なぜ戦後初の好景気は「神武景気」と名付けられた?「岩戸景気」「いざなぎ景気」も行政書士試験合格ライターが簡単にわかりやすく解説
1.岩戸景気:「天の岩戸神話」が由来の好景気
岩戸景気とは、1958(昭和33)年7月から1961(昭和36)年12月までの42ヶ月間続いた好景気の名前です。岩戸景気の前に起きた神武景気の31ヶ月間を超えたため、神武天皇より古いとされる「天の岩戸神話」より名付けられました。「投資が投資を呼ぶ」という言葉が生まれたほど、企業が競い合うかのように設備投資していたのです。
1959(昭和34)年に、当時の明仁皇太子と美智子妃のご成婚でミッチーブームが起きました。「三種の神器」は飛ぶように売れ、中でも特にカラーテレビが爆発的に売れたそうです。池田勇人が所得倍増計画を発表したのも、岩戸景気の頃でした。この頃から、高度経済成長がさらに加速します。
2.いざなぎ景気:戦後最長の好景気
いざなぎ景気は、1965(昭和40)年11月から1970(昭和45)年7月までの57ヶ月間続き、戦後最長の好景気となりました。岩戸景気を超えたため、天の岩戸神話よりさらに古いとされるイザナギノミコトから名付けられています。日本神話では、イザナギノミコトが日本列島を作ったとされているのです。
1960年代半ばになると、日本の国際収支は黒字に転じました。その結果、1968(昭和43)年には日本の国民所得(GNP)が当時の西ドイツを抜き、世界2位にまで上昇しています。さらに、いざなぎ景気では消費が拡大して、カラーテレビ・クーラー・カーの「3C」が普及するようになりました。
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3.バブル景気:実体経済からかけ離れた泡のような好景気
1986(昭和61)年11月から1991(平成3)年5月までの55ヶ月間続いた好景気を、バブル景気と呼びます。「バブル経済」という、実体経済からかけ離れて資産価値が高騰する経済状態を示す言葉は、バブル期以前からすでにありました。中身がないのに大きく膨らみ、やがて破裂する様子を泡に例えたものです。
当時の過剰投機や地価高騰は、まさに泡のようだったと断言して良いでしょう。一時は日経平均株価が史上最高値になりましたが、バブル景気からの後退は深刻なものでした。バブル景気後の日本は不況が続き、「失われた10年」という言葉も生まれました。今も「失われた30年」が続いているとする意見さえもあります。
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神武景気を迎えた日本は高度経済成長を実現した
1954年に、戦後初めての好景気である「神武景気」が到来しました。日本史上で例を見ない景気だということから、初代天皇の名を取って「神武景気」と名付けられています。神武景気は2年半ほど続きましたが、その後も岩戸景気やいざなぎ景気などが起きました。オイルショックを迎えるまで、日本は高度経済成長を続けたのです。