ここ数十年くらい地球温暖化や気候変動などの環境問題が世界規模で話題になっていますね。え、何?よく知らない?オイオイ。受験生も社会人も、これくらいの時事の知識は頭に入れておかないとこれから先で本当に苦労します。

そんな環境問題の救世主になるかもしれないのが「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」です。この両者は微妙に違いがあるんですが、知っているか?

今回はそんな「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」の違いを、言葉の違いに詳しい院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

微妙に違う「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」

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「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」と聞いて、同じエネルギーだと思ったことはありませんか? 実は厳密にいえばこの2つは微妙に違うエネルギーです。まずは辞書の記述を参考に、この2つのエネルギーの概観を見ていきましょう。

「自然エネルギー」:自然現象由来のエネルギー資源

まずは「自然エネルギー」について確認していきましょう。「自然エネルギー」は辞書には次のような記述がありますね。

エネルギー資源として利用可能な、自然現象のエネルギー。

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「しぜん-エネルギー【自然エネルギー】」

『広辞苑』には「エネルギー資源として利用可能な、自然現象のエネルギー」と記述がありました。なお、記述はすべてではなく、一部を抜粋・引用しています。

皆さんはこの「自然現象のエネルギー資源」、何を思い浮かべますか? ポイントは「自然現象」であることです。自然のものから人間が作り出した物質はここには該当しません。あくまで自然現象をそのまま活用したエネルギー資源を指します。詳しくは後ほど見ていきますが、太陽光や風力、地熱などといったものが該当するでしょう。

「再生可能エネルギー」:持続利用可能なエネルギー資源

続いてもう一方の「再生可能エネルギー」について、辞書での記述を確認してみましょう。「再生可能エネルギー」はどのような記述があるのでしょうか。

\次のページで「「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」両者に該当するもの」を解説!/

枯渇のおそれがある化石燃料などに対して、持続的に利用可能な自然界のエネルギー資源。

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「さいせいかのう-エネルギー【再生可能エネルギー】」

こちらも記述はすべてではなく、一部を抜粋・引用していますが、『広辞苑』によると、「再生可能エネルギー」は「持続的に利用可能な自然界のエネルギー資源」とのこと。これだけを見ると「自然エネルギー」との違いはよく分かりませんよね。同じなのでしょうか?

いいえ、違いはあります。「再生可能エネルギー」には、先述の「自然エネルギー」に含まれるエネルギー資源のほか、人間が自然のものから作り出した物質を利用したエネルギー資源も含まれるのです。つまり、「再生可能エネルギー」のほうが「自然エネルギー」よりも、より広い範囲のエネルギー資源を表す言葉だと言えるでしょう。

「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」両者に該当するもの

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では、ここからは「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」にはどのようなエネルギー資源があるのか、詳しく見ていきましょう。「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」には、1.自然エネルギーと再生可能エネルギーの双方に該当するもの、2.再生可能エネルギーのみに該当するもの…の2パターンがあります

太陽光、太陽熱、風力、水力、地熱など

まずは「1.自然エネルギーと再生可能エネルギーの双方に該当するもの」から見ていきましょう。

このパターンに該当するエネルギー資源は、太陽光と太陽熱といった太陽からのエネルギーを利用するもの、風力、水力、地熱が代表的なものです。

太陽光や太陽熱はソーラーパネルで光や熱を吸収しエネルギーに変換します。風力は風車を利用して風をエネルギーに転換、水力は水が上から下へ落ちる際にタービンを回すことでエネルギーを発生させ、地熱は地下からの熱をエネルギーに転換するものです。これらのエネルギー資源は、エネルギー資源自体は自然のものなので環境にやさしいですが、エネルギーの転換効率が悪かったり、エネルギーに転換するための装置が環境問題につながったりするなどの課題があります

\次のページで「「再生可能エネルギー」にのみ該当するもの」を解説!/

「再生可能エネルギー」にのみ該当するもの

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続いて「2.再生可能エネルギーのみに該当するもの」を見ていきましょう。こちらは自然現象をそのまま活用するのではなく、自然現象から得られた資源に人間の手を加えたものからエネルギー資源を得るものです。

バイオマス、温度差など

「再生可能エネルギー」のみに該当するものの代表例が、「バイオマスエネルギー」です。植物や生ごみ、動物の糞尿などを燃やして生まれるエネルギーや、それらをガス化した際に生まれるエネルギーを資源として活用します。

もう1つ代表的なものは「温度差エネルギー」です。このエネルギーは、水の温度差を利用してエネルギーを取り出します。例えば地下水や河川の水温は、夏は大気と比べ低く、冬は大気と比べ低いです。この温度差をヒートポンプを活用してエネルギー資源として取り出します

「再生可能エネルギー」は「自然エネルギー」の1タイプ!

今回は「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」の違いについて解説しました。「自然エネルギー」は「再生可能エネルギー」の中の1つのタイプです。「再生可能エネルギー」の中でも、自然現象をそのまま活用したエネルギー資源を指します。一方の「再生可能エネルギー」には、自然現象にさらに人間の手を加えたエネルギー資源が含まれるのです。

" /> 簡単に分かる「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」の違い!バイオマス発電はどっち?院卒日本語教師が分かりやすく解説! – Study-Z
雑学

簡単に分かる「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」の違い!バイオマス発電はどっち?院卒日本語教師が分かりやすく解説!

ここ数十年くらい地球温暖化や気候変動などの環境問題が世界規模で話題になっていますね。え、何?よく知らない?オイオイ。受験生も社会人も、これくらいの時事の知識は頭に入れておかないとこれから先で本当に苦労します。

そんな環境問題の救世主になるかもしれないのが「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」です。この両者は微妙に違いがあるんですが、知っているか?

今回はそんな「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」の違いを、言葉の違いに詳しい院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

微妙に違う「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」

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「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」と聞いて、同じエネルギーだと思ったことはありませんか? 実は厳密にいえばこの2つは微妙に違うエネルギーです。まずは辞書の記述を参考に、この2つのエネルギーの概観を見ていきましょう。

「自然エネルギー」:自然現象由来のエネルギー資源

まずは「自然エネルギー」について確認していきましょう。「自然エネルギー」は辞書には次のような記述がありますね。

エネルギー資源として利用可能な、自然現象のエネルギー。

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「しぜん-エネルギー【自然エネルギー】」

『広辞苑』には「エネルギー資源として利用可能な、自然現象のエネルギー」と記述がありました。なお、記述はすべてではなく、一部を抜粋・引用しています。

皆さんはこの「自然現象のエネルギー資源」、何を思い浮かべますか? ポイントは「自然現象」であることです。自然のものから人間が作り出した物質はここには該当しません。あくまで自然現象をそのまま活用したエネルギー資源を指します。詳しくは後ほど見ていきますが、太陽光や風力、地熱などといったものが該当するでしょう。

「再生可能エネルギー」:持続利用可能なエネルギー資源

続いてもう一方の「再生可能エネルギー」について、辞書での記述を確認してみましょう。「再生可能エネルギー」はどのような記述があるのでしょうか。

\次のページで「「自然エネルギー」と「再生可能エネルギー」両者に該当するもの」を解説!/

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