この記事では支度と仕度の違いについてみていきます。どちらも身の回りの準備をする際に使う言葉ではありますが、どちらの漢字表記が適しているか悩んでしまう人もいるかもしれない。細かく見ていくと、公式の場で使う熟語は決められているようです。
今回はそんな2つの熟語について、どちらの語が使うのにふさわしいか違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

支度も仕度もどちらも見かけるけれども、どちらを使うべきか気になる文学部卒ライター。

「支度/仕度」の大きな違い

image by iStockphoto

「したく」には「支度仕度」と2つの漢字が当てられています。国語辞典などでは、両方の漢字表記が載っていることがほとんどです。ただし、主に1つを選んで使っている方もいますし、どちらを使ったら良いのか迷うことがありますね。実は両方とも意味は同じ。好みでより分けて使えますが、公的な場では「支度」で統一されています。

1.支度:元々使われていた漢語

支度は元々中国から伝来した漢語で、日本語化しています。古来から元々使われていた表記はこちらです。用字辞典を見ると正式な表記として、マスコミや公的な文書などでは「支度」に統一して使うように取り決めがされています。

「支」の字義は、物事を見積もりする、はかること。「度」も数量や大きさなどを表す単位で使われていることから、はかることといった意味合いで捉えられます。同じような言葉を重ねて、意味を強調しているかのようですね。そこから転じて、推し量って準備をするような意味で使われたのかもしれません。

2.仕度:当て字

「仕度」は、漢字の読みがなから付いた当て字です。「仕」は動詞「する」の連用形「し」の当て字だと言われています。したがって、正式な表記ではないので、公的な場の書き言葉では使われません。とはいえ、別に好みで使っても、特に差し支えないようです。

「支度/仕度」の意味と例文

image by iStockphoto

それでは、支度/仕度の意味や例文を見てみましょう。現代語では主に2つの意味で使われています。

\次のページで「1.必要なものを揃える」を解説!/

1.必要なものを揃える

支度/仕度は、前々から予定されていることを行動に移すために、事前に必要な物を揃えるという意味で使われます。元々の意味は、物事を計って数えること、計算をすること、見積もりを立てることという意味でした。そこから転じて、あらかじめ計画を立ててそれに従って必要な物を揃える、準備をするといった使い方をするようになったということ。例文は以下の通りです。

・卒業旅行の支度をすませた。
・お客さんが来るので、夕飯の仕度をそろそろ始めようかな。
・ギフトショップから「お彼岸の支度はお済みですか」というダイレクトメールが届いた。
・釣りの仕度をして、海に向かった。

2.衣服などを整える

支度/仕度は、外出する際などで衣服やヘアスタイルなどの身の回りを整えてきちんとした服装やふさわしい身なりに改めることといった意味でも使います。物事の準備をすることから派生していると考えられますね。例文は以下の通りです。

・結婚式に出席するため、支度をする。
・学校に行く時間だよ!早く仕度して!
・支度が間に合わない。待ち時間に遅刻しそう。
・昔の王族は、舞踏会へ行く仕度をするのが大変だったようだ。

3.他の意味

支度/仕度は、食事を摂る嫁入りに備えて用意する道具(嫁入り道具:嫁入り支度)や、新郎から新婦に渡す結納金(支度金)といった意味もあったということです。現代語ではあまり見かけませんね。

\次のページで「「支度/仕度」の丁寧な表現」を解説!/

「支度/仕度」の丁寧な表現

image by iStockphoto

支度/仕度を丁寧な表現、相手への敬意を示すような表現は、話し言葉で「お支度(おしたく)」というのが一般に浸透しています。電車の車掌さんのアナウンスでも、「お忘れ物がないようにお支度ください」といったような言い方をしますね。

通常の場合、日本発祥の言葉であれば丁寧な表現で接頭語の「お」が付きますが、「支度」は元々は中国発祥の熟語です。「ご」という接頭語が付いて、「ご支度(ごしたく)」でないとおかしいのではという方もいます。

慣用読みのように、世間に広がっている使い方なので、そのまま「お支度」でも問題ないでしょう。ただし、言葉は時代につれて変化していく物ですので、話し言葉でも書き言葉でも、今後の成り行きを見て使い方を考える必要があります。

支度は中国由来の熟語・仕度は当て字という違い

支度も仕度も同じ意味の熟語です。それぞれ、好みの熟語を使って構わないとされています。ただし、仕度は中国から入ってきた漢語が日本語化したもの。本来の漢字表記です。そのため、公式な文書やマスコミなどでは仕度を使うことで統一されています。ビジネスの場や改まった場所では「支度」を選ぶと無難。仕度は当て字で、「する」の連用形「し」が漢字化したものということです。

" /> 簡単でわかりやすい支度と仕度の違い!正しいのはどっち?例文や丁寧語も文学部卒ライターが詳しく解説 – Study-Z
雑学

簡単でわかりやすい支度と仕度の違い!正しいのはどっち?例文や丁寧語も文学部卒ライターが詳しく解説

この記事では支度と仕度の違いについてみていきます。どちらも身の回りの準備をする際に使う言葉ではありますが、どちらの漢字表記が適しているか悩んでしまう人もいるかもしれない。細かく見ていくと、公式の場で使う熟語は決められているようです。
今回はそんな2つの熟語について、どちらの語が使うのにふさわしいか違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

支度も仕度もどちらも見かけるけれども、どちらを使うべきか気になる文学部卒ライター。

「支度/仕度」の大きな違い

image by iStockphoto

「したく」には「支度仕度」と2つの漢字が当てられています。国語辞典などでは、両方の漢字表記が載っていることがほとんどです。ただし、主に1つを選んで使っている方もいますし、どちらを使ったら良いのか迷うことがありますね。実は両方とも意味は同じ。好みでより分けて使えますが、公的な場では「支度」で統一されています。

1.支度:元々使われていた漢語

支度は元々中国から伝来した漢語で、日本語化しています。古来から元々使われていた表記はこちらです。用字辞典を見ると正式な表記として、マスコミや公的な文書などでは「支度」に統一して使うように取り決めがされています。

「支」の字義は、物事を見積もりする、はかること。「度」も数量や大きさなどを表す単位で使われていることから、はかることといった意味合いで捉えられます。同じような言葉を重ねて、意味を強調しているかのようですね。そこから転じて、推し量って準備をするような意味で使われたのかもしれません。

2.仕度:当て字

「仕度」は、漢字の読みがなから付いた当て字です。「仕」は動詞「する」の連用形「し」の当て字だと言われています。したがって、正式な表記ではないので、公的な場の書き言葉では使われません。とはいえ、別に好みで使っても、特に差し支えないようです。

「支度/仕度」の意味と例文

image by iStockphoto

それでは、支度/仕度の意味や例文を見てみましょう。現代語では主に2つの意味で使われています。

\次のページで「1.必要なものを揃える」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: