
簡単でわかりやすい!「至る」と「到る」 の違いとは?漢字の意味や使い分けも現役塾講師がわかりやすく解説

ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
至ると到るのざっくりした意味とは

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まずはじめに、「至る」と「到る」のざっくりした意味について説明したいと思います。「至る」と「到る」はどちらも「目的とした場所や目標地点にいきつくこと」や「ある状態やある段階に達すること」などを意味し、正直、意味の上では大きな違いはありません。
ただ、言葉の成り立ちや使われ方などについては違いがありますので、今回はそのことについて、ていねいに説明したいと思います。
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至ると到るの漢字を説明
さきほど、「至る」と「到る」はどちらも「目的とした場所や目標地点にいきつくこと」や「ある状態やある段階に達すること」で意味としては大きな違いがないことを説明しましたが、ここからはこれらの言葉に対する理解を深めるために、「至」と「到」の漢字に着目しながら説明していきたいと思います。
「至」は目標に矢が命中する様子

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まずはじめに、「至る」について説明しましょう。「至」という漢字の一番下の横線は「地面」や「目標」を、それ以外の上の部分は「下向きの矢」の形をあらわしています。そこから「至」は、「地面」や「目標」に「矢」が達するいうことで、「目的とした場所や目標地点にいきつくこと」や「ある状態やある段階に達すること」などをあらわす「いたる」という意味になったと考えられているのです。
また、「至」は音読みでは「シ」、訓読みで「いたる」と読む字で、この「いたる」という読み方は、日常で使う漢字の目安とされる「常用漢字」として指定されている読み方になります。
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「到」はカタナの刃のように曲がりながら到達する様子

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つぎに「到る」について説明しましょう。「致」の左側の「至」はさきほど説明したように、「下向きの矢」が「地面」や「目標」に届く様子を、右側の「りっとう」は「刀」をあらわしています。「至」は矢が直線的に目標に届く様子をあらわしていましたが、「到」は「カタナの刃」のように曲がりながら目標に届く様子から生まれた字です。
また、「到」は音読みで「トウ」と読みます。訓読みは、「至る」と同じように、「到る」と送り仮名をふって「いたる」と読みますが、こちらは常用漢字としては指定されておらず、あくまで常用外としての使い方ですので注意してください。
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至ると到るの使い分けとは
さきほど、漢字の成り立ちや読みに着目しながら「至る」と「到る」を説明しましたが、ここでは「至る」と「到る」の使い分けについて説明しましょう。たとえば、人によっては「ある状態やある段階になること」に対しては「至る」を使い、「ある場所やある地点にいきつくこと」に対しては「到る」を使うなどと説明している場合もあります。
しかし、一年で一番昼が長く、それを境に本格的な夏が始まる日のことを「夏至」といいますが、「夏が来る」ことは「夏が到来する」などと言ったり、その説明で定義するには非常に曖昧です。ただ、「至る」と「到る」にはもっと決定的な違いがあります。それは「至る」を「いたる」と読むのは常用であり、「到る」は常用外であるという点です。ですから、「いたる」を漢字にする場合には「至る」の方を書けばまず間違いありません。
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