
簡単に分かる「発展途上国」と「後発開発途上国」の違い!「先進国」との違いも海外在住日本語教師が分かりやすく解説!
ところで、「発展途上国」と似たような言葉で「後発開発途上国」というのを聞いたことがある人がいるかもしれませんね。実はこの両者は似ているようで別物なんです。
今回はそんな「発展途上国」と「後発開発途上国」の違いについて、海外在住の院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき
ロシアの大学に再就職した、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に言葉や世界情勢について分かりやすく解説していく。
世界には「先進国」と「発展途上国」がある

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「発展途上国」と「後発開発途上国」の違いを見ていく前に、前提として頭に入れておいたほうが良い話があります。それが「先進国」と「発展途上国」の違いです。それぞれどのような国々なのか、まずは見ていきましょう。
経済的に豊かで文明が発達した「先進国」
「先進国」は国民1人当たりの所得水準が高く、工業化が著しく進んでいる国を指す言葉です。経済や工業以外にも、社会、文化を含めて進歩した国としてとらえられます。
ただ、実はこの「先進国」には明確な定義がありません。「先進国」に関する指標を提示している国際機関がいくつかありますが、そのすべてを満たしている国は間違いなく「先進国」といっていいでしょう。この「先進国」はヨーロッパと北米、そして東アジアに偏って存在しています。よく「先進国」として扱われる国を以下にまとめてみました。なお、指標によってはここにない国が「先進国」として扱われることがあります。その逆も然りです。
・アジア、太平洋地域
オーストラリア、日本、ニュージーランド、シンガポール、韓国、台湾、(香港、マカオ)
・中東、アフリカ地域
イスラエル
・ヨーロッパ
アンドラ、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、イタリア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、モナコ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、サンマリノ、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、バチカン(ここに名前がない国でも、バルカン半島の国々以外を中心に先進国として扱われることは多い。)
・南北アメリカ、中米
アメリカ、カナダ
比較的豊かな国から貧しい国まで様々な「発展途上国」

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「発展途上国」は国民1人当たりの所得水準が高くなかったり、国の経済において農業や漁業などの第一次産業の比重が高い…といった国の発展の程度を示す様々な指標において、その水準が高くない国の総称です。
先述の「先進国」の一覧の中にない国は、基本的に「発展途上国」とみなすことができます。ただ、その「発展途上国」の中でも、中東の産油国のように経済がとても豊かになってきている国々や中国のような工業や経済が近年著しく発展している国と、紛争や飢餓に苦しむ国とに分かれてしまっているのが現状です。
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「後発開発途上国」とは?

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「先進国」と「発展途上国」の違いが分かったところで、ここから本題に入っていきましょう。「先進国」と「発展途上国」の間に格差があるのはもちろん、先述の通り「発展途上国」の中にも格差があります。その格差が「発展途上国」と「後発開発途上国」の違いを紐解くうえでのポイントです。
「発展途上国」の中でも特に発展が遅れている国
「後発開発途上国」は、簡潔に言えば「発展途上国」の中でも特に発展が遅れている国のことです。先述の「先進国」と「発展途上国」には明確な定義はありませんが、「後発開発途上国」の定義は国連によって、国民総所得の3年平均推定値が1,018米ドル以下であること…などが定められています。
「後発開発途上国」は、医療が未発達で子供の死亡率が高く平均寿命が極端に短かったり、教育が普及しておらず大人の識字率が極端に低かったり…などと多くの問題を抱えている国々です。
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