この記事ではフラストレーションとストレスの違いについてみていきます。どちらも精神・肉体に影響を及ぼす状態を表すが、その違いは発生する条件にあるぞ。結論から言うとストレスは外的要因から、フラストレーションは内的要因から起こりやすい。テストやプレゼンの前に胸がざわついたり、天気や騒音など外的要因によって起きるのがストレスです。一方フラストレーションは、ライブに行きたかったのにコロナ禍で中止になったなど自分の欲求が満たされなかったときに起こる。そんな2つの違いや原因、解消法について雑学好きライターYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

現役ママライターのYuna。ストレス解消法は家族と一緒に寝ること。「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

フラストレーションとストレスのざっくりとした違い

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フラストレーションが溜まる、ストレスが溜まる。どちらも精神・肉体的に疲労して、好ましくない状態を表します。2つの分類方法は発生する要因が自分の内側ならフラストレーション、外側ならストレスです。

フラストレーションは内的要因が多く、つまり何らかの原因で欲求が満たされないときに溜まります。一方ストレスは外的要因、自分の外側にある環境から影響を受けて起きる現象です。どちらも溜まり続けると心身ともに消耗するため、深刻な状況に陥る前に解消しましょう。

違いその1.定義

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フラストレーションとストレスは、どちらも心理学用語です。ネガティブな側面に限らず、人間の生命活動の一部として俯瞰した視点で研究されています。

一言で説明するなら、フラストレーションは欲求不満の状態。心理学上ではフラストレーションに耐える能力をフラストレーション耐性と呼びます。一方ストレスは心身が緊張している状態のこと。ストレスに対処する努力を試みることをコーピングと言い、社員のメンタルケアに導入している企業もあります。

フラストレーション:欲求不満な状態

フラストレーションは心理学では以下のように定義づけられています。

フラストレーションとは、「動機付けられた行動の欲求が何らかの阻害により阻止された状態(=欲求不満な状態)、および、それによる失望や挫折、落胆、いらだちなどの一連の不快な感情」をいいます。障害には、外的なもの以外に、価値観、遠慮、能力不足などという内的なものもあります。

(出典:心理学用語の学習)

フラストレーションは内的・外的要因の両方で起こります。フラストレーションへの耐性には個人差があるものの、欲求が満たされなければ溜まり続ける一方でしょう。フラストレーションが溜まるとイライラしやすいイメージが浮かびますよね。実はそのまま放置していると、免疫力が低下するなど体に悪影響を及ぼすことも。

ストレス:心身の緊張状態

ストレスは心理学では以下のように定義づけられています。

\次のページで「違いその2.溜まったときの影響」を解説!/

ストレスとは、「心身の適応能力に対して課せられる欲求と、その欲求によって引き起こされる心身の緊張状態を包括する概念」のことを指します。
その欲求を「ストレッサー」、緊張状態を「ストレス反応(内分泌系や自律神経系)と呼びます。

(出典:心理学用語の学習)

ストレスの心理学における捉え方では、外的要因によって心と体に負荷を与えるのはむしろ生命活動を高めるという考え方もあります。何かに挑戦したり乗り越えたりするために、適度なストレスの対処は必要不可欠というわけです。一方で現代人が心の病を患う人が多い理由は、適度に対処できないストレスが増えているからと考えられます。

違いその2.溜まったときの影響

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フラストレーションやストレスが溜まると、なんとなく心や体に良くないイメージを抱きますよね。2つが適度に溜まる分には対処可能な人が多いですが、連続して起こると自身に深刻な悪影響を及ぼします。フラストレーション・ストレスへの耐性は人それぞれ違うため、自分をよく観察して手遅れになる前に対処しましょう。

フラストレーション:短気になり免疫機能も落ちる

自分の許容範囲を超えたフラストレーションが溜まると、仕事や学業よりも趣味に没頭したくなったりむしゃくしゃ暴れたくなったりします。P-Fスタディというフラストレーションに対する反応を伺うテストによると、欲求不満時の反応は3つの型に分類可能です。

自責型
原因を自分にあるとして、自分を責める(例:私が気を付けていなかったのが悪いんです)

他責型
原因を他者にあるとして、他人のせいにする(例:壊れたのはお前のせいだ!)

無責型
原因を誰のせいともせず、責任の所在をはっきりさせない(例:壊れてしまったのは古いからでしょう、誰も悪くありませんよ)

(出典:Direct Communication)

フラストレーションへの反応は上記の3つの型が起点になりやすいです。フラストレーションの蓄積が続いた場合、精神的な幸福度が低下したり高血圧のリスクが高まるなどの症状が起きる可能性が。欲求不満に耐えて我慢せず、適度に発散できるように心がけましょう。

\次のページで「ストレス:不安に襲われ精神的病に繋がることも」を解説!/

ストレス:不安に襲われ精神的病に繋がることも

心理学においてストレスの原因になるストレッサーが連続して起きると、ストレスへの反応が身体・行動面に表れます。このストレス反応に対処が遅れると、精神的に病んだり身体にも悪影響が。主なストレッサーの種類は、ライフイベント、デイリーハッスルズ、トラウマティックな体験の3つです。

「ライフイベント」とは、人生において大きな変化をもたらす出来事のことで、家族との死別、離婚、失業などがあります。引っ越し、入学、就職、結婚といった、一見肯定的なライフイベントも、生活が大きくかわるため、ストレッサーとなり得ます。「デイリーハッスルズ(daily hassles)」は、普段から経験するような日常の些細な出来事のことで、これも重要なストレッサーです。例えば、満員電車での通勤・通学、友人の態度、子育てなどが含まれます。「トラウマティックな体験」は、災害、事故、戦争、虐待など、生命に影響を及ぼすような体験のことです。

(出典:東京大学・保健・健康推進本部 保健センター)

ストレッサーのうち1つが蓄積するだけでも負荷はかかりますが、時期やイベントによって2つや3つと重なると負荷は倍増します。例えばコロナ禍の時期に入学や就職の時期が重なった人々は、ライフイベントとデイリーハッスルズの2つのストレッサーに見舞われました。

違いその3.解消法

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フラストレーションとストレスの解消法は、それぞれ異なるアプローチが必要です。フラストレーションは欲求不満な状態なので、欲求不満な状況そのものを減らします。日々の生活においてはフラストレーションが溜まりにくい環境に身を置きましょう。ストレスは心理学上でストレスに対処するコーピングを参考に、2つのポイントに焦点を置きます

フラストレーション:欲求不満な状態を減らす

マズローの欲求段階説によると、欲求は生理的欲求と社会的欲求の2種類に分けられます。生理的欲求は食欲や性欲、睡眠欲などの生命維持に欠かせない欲求です。社会的欲求は現代人にとっても密接な自己実現がしたいという欲求を表します。欲求不満な状態を減らすためには、自分のフラストレーションがどの欲求が満たされないことによる不満なのかを見極めましょう。

1 欲求不満になるような環境を避ける(環境を変える)。
2 欲求不満に耐える力を強める。
3 欲求不満の解消法を自分なりに工夫する。

(出典:心理学総合案内「こころの散歩道」)

フラストレーションを俯瞰して分類できたら、上記の3つの方法の中から自分が取り組めそうな方法を選んで実践してみましょう。

\次のページで「ストレス:心身の耐性を鍛え緊張に備える」を解説!/

ストレス:心身の耐性を鍛え緊張に備える

心理学においてストレスに対処するための努力を指すコーピング。コーピングから様々なストレスへの対処法へのヒントを得てみましょう。

問題焦点型コープング:
直接状況や問題に働きかけ、それを変化させることでストレスに対処する試み

情動焦点型コーピング:
状況を認知的に再評価し、情動的な苦痛を低減することでストレスに対処する試み

(出典:心理学用語の学習)

ストレスの問題そのものにアプローチするのが問題焦点型コーピング。ストレスを与えている問題そのものへの考え方や捉え方を変える方法が情動焦点型コーピングです。2つを使い分けるなら、ストレスを与えている問題が自分でコントロール可能であれば前者、それ以外なら後者の方法と考えましょう。

ストレスを感じる機会があったとき、自分で解決できる問題なら自分で解決します。自分でどうにもならない問題だった場合は、一旦心をリラックスさせてから問題への着眼点を変えてみてはどうでしょうか。

フラストレーションとストレスの違いを見分けて解消しよう

フラストレーションとストレスは、発生条件が違います。フラストレーションは内的要因で、ストレスは外的要因をきっかけに起こりやすいです。どちらも溜め込むと心と身体に害をもたらします。日頃からフラストレーションやストレスを溜めにくい環境づくりを心がけましょう。もし溜まってしまったときは、一旦冷静になってから問題を俯瞰してみるのがおすすめです。

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雑学

簡単でわかりやすいフラストレーションとストレスの違い!定義や解消法も雑学ライターが詳しく解説

この記事ではフラストレーションとストレスの違いについてみていきます。どちらも精神・肉体に影響を及ぼす状態を表すが、その違いは発生する条件にあるぞ。結論から言うとストレスは外的要因から、フラストレーションは内的要因から起こりやすい。テストやプレゼンの前に胸がざわついたり、天気や騒音など外的要因によって起きるのがストレスです。一方フラストレーションは、ライブに行きたかったのにコロナ禍で中止になったなど自分の欲求が満たされなかったときに起こる。そんな2つの違いや原因、解消法について雑学好きライターYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

現役ママライターのYuna。ストレス解消法は家族と一緒に寝ること。「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

フラストレーションとストレスのざっくりとした違い

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フラストレーションが溜まる、ストレスが溜まる。どちらも精神・肉体的に疲労して、好ましくない状態を表します。2つの分類方法は発生する要因が自分の内側ならフラストレーション、外側ならストレスです。

フラストレーションは内的要因が多く、つまり何らかの原因で欲求が満たされないときに溜まります。一方ストレスは外的要因、自分の外側にある環境から影響を受けて起きる現象です。どちらも溜まり続けると心身ともに消耗するため、深刻な状況に陥る前に解消しましょう。

違いその1.定義

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フラストレーションとストレスは、どちらも心理学用語です。ネガティブな側面に限らず、人間の生命活動の一部として俯瞰した視点で研究されています。

一言で説明するなら、フラストレーションは欲求不満の状態。心理学上ではフラストレーションに耐える能力をフラストレーション耐性と呼びます。一方ストレスは心身が緊張している状態のこと。ストレスに対処する努力を試みることをコーピングと言い、社員のメンタルケアに導入している企業もあります。

フラストレーション:欲求不満な状態

フラストレーションは心理学では以下のように定義づけられています。

フラストレーションとは、「動機付けられた行動の欲求が何らかの阻害により阻止された状態(=欲求不満な状態)、および、それによる失望や挫折、落胆、いらだちなどの一連の不快な感情」をいいます。障害には、外的なもの以外に、価値観、遠慮、能力不足などという内的なものもあります。

(出典:心理学用語の学習)

フラストレーションは内的・外的要因の両方で起こります。フラストレーションへの耐性には個人差があるものの、欲求が満たされなければ溜まり続ける一方でしょう。フラストレーションが溜まるとイライラしやすいイメージが浮かびますよね。実はそのまま放置していると、免疫力が低下するなど体に悪影響を及ぼすことも。

ストレス:心身の緊張状態

ストレスは心理学では以下のように定義づけられています。

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