今回のテーマは煮豚と角煮の違いについてです。どちらも豚肉をおいしく煮込んで作る料理で、ほとんどの人が一度は食べたことがあるでしょう。しかし両者には、材料として使われる肉の種類や調理方法に微妙な違いがあるんです。
煮豚はたこ糸などで縛って、肉を丸ごと煮込むのが特徴的です。そして角煮は、バラ肉の塊をカットしてから煮込むという手順になる。こうした相違点を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

煮豚と角煮の違いをざっくり解説

まず最初に、煮豚と角煮の特徴と違いについてざっくり説明しましょう。どちらも豚肉を煮込んで作る料理ですが、煮豚は使われる肉の種類が多く、角煮はバラ肉に限られているという点が異なっています。

また調理方法についても、煮豚は肉を事前にカットせず、たこ糸などでくくって丸ごと煮込みますが、角煮の方はカットしてから鍋に入れるという手順が一般的です。以上を踏まえて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

煮豚:豚肉の塊を煮込んだ料理

煮豚は、豚肉を醤油ベースの煮汁で柔らかく煮込んだ料理です。使用する肉の種類は、脂身が多いバラ肉やロース肉、もも肉などで、バラ肉のみを使う角煮とはこの点が大きく異なります。またこれらの肉を「切らずに」使用する点も違っているので、注意が必要です。

煮汁に、たこ糸で縛った豚肉と香辛料を入れて強火で沸かした後、中火から弱火で約一時間ほど煮込みますが、この時に風味やコクを出すために生姜やにんにく、八角などの香辛料を入れます。

味付けは甘辛く仕上げて、醤油とみりんが同量、砂糖と酒が半量ずつくらいを目安にして加えましょう。その後、煮汁が少なくなるまで強火で照りをつけます。

角煮:豚バラ肉をカットして煮込んだ料理

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豚の角煮は、豚のバラ肉の塊を、醤油ベースの濃いめの煮汁でほろほろになるまで煮込んだ料理です。

生姜やネギ、大根などの野菜を加えて甘さや旨みを出し、煮汁に肉と野菜を入れて強火で沸かした後、弱火で約二時間半ほどじっくりと煮込みましょう。角煮は濃厚な味付けにするのが基本で、醤油とみりんが同量と、砂糖と酒がそれぞれ1/4量ずつくらいを目安にします。最後に、煮汁が少なくなるまで強火で照りをつけて完成です。

前項で説明した煮豚は、材料の豚肉を切らずにたこ糸で縛ってから調理しますが、角煮の場合は材料の豚肉をあらかじめカットする点が大きく異なります。

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煮豚と角煮の材料の違いは?

ここまでで、煮豚と角煮の特徴と違いを解説しました。次に、それぞれの材料の違いについて改めて見ていきましょう。まず、煮豚はバラ肉に限らずロース肉やもも肉など、さまざまな部位の豚肉を使うのは前述の通りです。一方の角煮で使われるのはバラ肉のみになります。

煮豚:バラ肉のほかロース肉・もも肉も使う

煮豚では、バラ肉だけでなくロース肉やもも肉なども使います。バラ肉は脂身が多くて柔らかいのが大きな特徴で、ロース肉やもも肉は筋肉が多くてしっかりした食感があるので好みによって使い分けるといいでしょう。特にロース肉やもも肉は脂身が少ないので、煮汁に油を少し加えて風味を増すなどの工夫も必要です。

角煮:バラ肉のみ使う

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角煮に使う豚肉は、バラ肉のみと限られています。バラ肉は脂身と筋肉の層が交互に重なっているので、角切りにすると見た目が美しくなるのが大きな特徴だと言えるでしょう。また脂身も多いので、長時間煮込んでも乾燥しにくく、食べるときに箸でつついただけでほろほろと崩れるくらい柔らかくなります。反対に、筋肉が多いロース肉やもも肉を角煮に使うと、硬くなってしまい角煮らしくなくなるかも知れません。

また、ここではいわゆる「豚の角煮」を取り上げていますが、これはあくまでも「煮豚」と比較するためです。実は、そもそも角煮の材料は豚肉とは限りません。カツオやマグロの肉を角切りにして、同じように調理したものも角煮と呼ばれます。

煮豚と角煮の調理方法の違いは?

ここまでで、煮豚と角煮の材料の違いを解説しました。次に、双方の調理方法の違いについて見ていきましょう。煮豚は材料の豚肉をカットすることなく丸ごと煮込みますが、角煮の方は材料の豚肉を一口大に切り分けて煮込むという違いがあります。

\次のページで「煮豚:豚肉を「切らずに」煮込む」を解説!/

煮豚:豚肉を「切らずに」煮込む

煮豚は、基本的に豚肉を「切らずに」丸ごと煮込む料理で、先述したようにバラ肉・ロース肉・もも肉などの種類に関係なく丸ごと調理します。煮込む際には肉の塊をたこ糸で縛ったり、ネットに入れたりすることも少なくありません。

肉をたこ糸で縛る理由は、煮崩れが起きるのを防ぎ、出来上がった時に形が崩れないようにするためです。よって、形にこだわらないのであれば縛る必要はなく、家庭料理程度であれば煮る前にしっかり焼き目をつけるだけでも十分でしょう。

角煮:豚肉を「切ってから」煮込む

一方の角煮は、材料である豚のバラ肉を一口大に「切ってから」煮込む料理です。あらかじめカットしておくことで味が染み込みやすくなりますし、そこで長時間煮込むことで、箸でつついただけでほろほろと崩れるほど柔らかい食感に仕上がるでしょう。

もともと角煮のルーツは中華料理の「東坡肉(トンポーロウ)」で、日本には中国の杭州から伝わったとされています。この本場の東坡肉はいわば「皮付きの豚の角煮」で、八角・砂糖・酒・醤油による甘辛い味付けになっているのが一般的です。

対する日本の角煮は、作り方はほぼ同じですが、材料として皮付きの豚肉を使うか、また八角ではなくしょうがを使うかどうかによって中華風か日本風かに分かれることになるでしょう。

煮豚と角煮と似た料理についてもっと詳しく!

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ここまでで、煮豚と確認のそれぞれの特徴と、材料の種類・調理方法の違いについて解説してきました。しかし豚肉をメインの材料とする料理はこの二品に限らず、他にも似たようなものがいくつかあります。以下では、皆さんもよく知っているチャーシューやラフテーについて説明しましょう。

1.チャーシュー:豚肉を甘辛いタレに漬け込んで蒸したり煮たりしたもの

チャーシューは本来は中国語で「叉焼(チャーシュー)」と表記されます。このことからも分かる通り中国料理の一種で、豚肉を甘辛いタレに漬け込んで蒸したり煮たりしたものです。日本では、ラーメンやチャーハンの具材として昔から人気が高いと言えるでしょう。

作り方は、豚肉を下味に漬けてから表面を焼き、水や酒などで煮込んで柔らかくします。その後タレに漬け込んだり、はちみつや黒こしょうなどで仕上げたりしますが、肉の形を整えてタコ糸やネットで巻いたり、スパイスや香味野菜を加えたりすることが多いです。

 

2.ラフテー:皮付きのバラ肉を泡盛・砂糖・醤油で煮込んだもの

別名「ラフティー」とも呼ばれるラフテーは、沖縄県に伝わる伝統的な郷土料理です。もともと沖縄の琉球料理は豚肉をふんだんに使うことが知られており、「豚に始まり豚に終わる」と言われることもあるとか。肉をはじめ、顔や内臓、血液や耳と、無駄になる部位はほとんどありません。

ラフテーで使われるのは皮付きのバラ肉で、角切りにしたものを泡盛・砂糖・醤油でじっくりと煮込んで作られます。出来上がりは、とろけるような皮の口当たりと柔らかさが非常に特徴的で、ほんのりと漂う泡盛の香りもたまりません。

もともとは保存食として作られていたので濃いめの味付けだったのですが、近年は一般向けに薄味になってきました。イベント時などにもよく食べられます。

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豚肉を切らずに煮込むのが煮豚、バラ肉の塊を切って煮込むのが角煮

煮豚と角煮は、どちらも豚肉を醤油ベースの煮汁で調理する料理ですが、使用する肉の種類方や調理方法に大きな違いがあります。煮豚は材料の豚肉を「切らずに」柔らかく煮込む料理ですが、角煮は豚肉の塊を「切ってから」じっくり煮込むのです。

また、使用する肉の種類は、煮豚はバラ肉やロース肉、もも肉などさまざまですが、角煮はバラ肉と決まっています。どちらも豚肉の美味しさを堪能できる料理で、自分の好みに合わせて作りましょう。

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簡単でわかりやすい!煮豚と角煮の違いは?材料・調理方法・味付けも雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは煮豚と角煮の違いについてです。どちらも豚肉をおいしく煮込んで作る料理で、ほとんどの人が一度は食べたことがあるでしょう。しかし両者には、材料として使われる肉の種類や調理方法に微妙な違いがあるんです。
煮豚はたこ糸などで縛って、肉を丸ごと煮込むのが特徴的です。そして角煮は、バラ肉の塊をカットしてから煮込むという手順になる。こうした相違点を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

煮豚と角煮の違いをざっくり解説

まず最初に、煮豚と角煮の特徴と違いについてざっくり説明しましょう。どちらも豚肉を煮込んで作る料理ですが、煮豚は使われる肉の種類が多く、角煮はバラ肉に限られているという点が異なっています。

また調理方法についても、煮豚は肉を事前にカットせず、たこ糸などでくくって丸ごと煮込みますが、角煮の方はカットしてから鍋に入れるという手順が一般的です。以上を踏まえて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

煮豚:豚肉の塊を煮込んだ料理

煮豚は、豚肉を醤油ベースの煮汁で柔らかく煮込んだ料理です。使用する肉の種類は、脂身が多いバラ肉やロース肉、もも肉などで、バラ肉のみを使う角煮とはこの点が大きく異なります。またこれらの肉を「切らずに」使用する点も違っているので、注意が必要です。

煮汁に、たこ糸で縛った豚肉と香辛料を入れて強火で沸かした後、中火から弱火で約一時間ほど煮込みますが、この時に風味やコクを出すために生姜やにんにく、八角などの香辛料を入れます。

味付けは甘辛く仕上げて、醤油とみりんが同量、砂糖と酒が半量ずつくらいを目安にして加えましょう。その後、煮汁が少なくなるまで強火で照りをつけます。

角煮:豚バラ肉をカットして煮込んだ料理

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豚の角煮は、豚のバラ肉の塊を、醤油ベースの濃いめの煮汁でほろほろになるまで煮込んだ料理です。

生姜やネギ、大根などの野菜を加えて甘さや旨みを出し、煮汁に肉と野菜を入れて強火で沸かした後、弱火で約二時間半ほどじっくりと煮込みましょう。角煮は濃厚な味付けにするのが基本で、醤油とみりんが同量と、砂糖と酒がそれぞれ1/4量ずつくらいを目安にします。最後に、煮汁が少なくなるまで強火で照りをつけて完成です。

前項で説明した煮豚は、材料の豚肉を切らずにたこ糸で縛ってから調理しますが、角煮の場合は材料の豚肉をあらかじめカットする点が大きく異なります。

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