今回のテーマは洋画と邦画の違いについてです。どちらも映画のことで洋画は外国映画、邦画は日本映画のことを指す。特に洋画については、主にヨーロッパやアメリカで作られた映画を指す概念だと考えていいでしょう。
ではなぜ、外国映画に「洋」という漢字がついて日本映画に「邦」という漢字がつくのか?洋画と邦画の作風の違いは何なのか?これらの疑問を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

洋画と邦画の違いをざっくり解説

まず最初に、洋画と邦画の違いについてざっくり説明します。洋画と邦画はどちらも映画のジャンルで、洋画は外国で作られた映画、そして邦画は日本で作られた映画のことです。非常に分かりやすい分類ではありますが、実は「洋画」に含まれるのはヨーロッパやアメリカのもので、最近よく作られるようになったアジア系の映画は基本的に含みません。

洋画:外国で作られた映画

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洋画は、外国で作られた映画のことを指す言葉です。大まかな定義としては、日本以外の国や地域で製作された映画全般が洋画ということになりますが、ニュアンスとしてはアメリカやヨーロッパの国々で作られたものを指し、アジア圏で作られた映画は含みません。

「アメリカやヨーロッパで作られた」というのは、より厳密に言えば、その映画の製作会社の本社がアメリカやヨーロッパにあるという意味です。例えば、西欧人スタッフが日本を舞台にして撮影したドキュメンタリー映画の場合は、製作会社の本社がヨーロッパやアメリカにあれば「洋画」となります。

そして「洋画」という呼称は日本だけのものです。他国では、自国以外の映画を指す言葉として使いません。

邦画:日本で作られた映画

一方、邦画は、日本で作られた映画のことを指す言葉です。よって邦画には日本人の文化や歴史、感性を反映した作品が多く存在し、邦画ジャンルで有名な監督や俳優もたくさん存在しています。また、独自の映像表現やストーリー展開、メッセージ性などで他国の映画と差別化されていると言えるでしょう。

邦画は外国でも高い評価を受けており、世界的にも名作とされているものが多くあります。さまざまな国際映画祭や賞に参加し、その中で高い評価を得ているものも少なくありません。

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アジアで作られた映画の名称は?

先述した通り、日本で漠然と「外国映画」の意味として使われる「洋画」という言葉ですが、ニュアンスとしてそこにはアジア映画は含まれません。少なくとも日本では、伝統的に「外国映画といえば西欧圏の映画」だという先入観が強いと言えるでしょう。

しかし言うまでもなく、近年、アジアで作られた映画にも世界的に注目される名作が多くあります。例えば、インドではボリウッドと呼ばれる華やかなミュージカル映画や、社会問題を扱ったドラマ映画が人気です。

また韓国ではサスペンスやスリラーの傑作が多く生まれており、アカデミー賞を受賞したものもあります。中国でも歴史を題材にした壮大な映画や、現代の若者の生活を描いたコメディ映画などの評価が高いです。

洋画と邦画の「洋」「邦」の意味の違いは?

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ここまでで洋画と邦画という言葉の定義や、この二つの言葉が指す映画のジャンルについて解説しました。次に、「洋」と「邦」という漢字の意味の違いを見ていきましょう。

「洋」は海を表す漢字で、日本人にとって外国映画とは「海の向こうの国の映画」というニュアンスであることが分かります。一方、「邦」は自国や日本を表す漢字で、日本映画は日本人にとって「我が国の映画」 なのだと言えるでしょう。

洋画:「洋」は海のこと

洋画の「洋」という漢字は「海」を意味します。つまり、日本人にとって洋画とは「海の向こうから来た映画」というニュアンスだと言えるでしょう。

島国である日本では、海の向こうから来る異文化がとても新鮮で先進的なものとして映る傾向がありますが、「洋画」という言葉には、そうした国民性や精神文化が背景にあるとも解釈できます。

実際、洋画は日本人にとってとても魅力的なもので、気軽に異文化や異国の風景に触れられるエンターテインメントだと言えるでしょう。洋画の中で描かれている、日本国内では決して見られない外国の文化や風景・人々の立ち居振る舞いなどに驚きや感動をおぼえたことがある人も多いと思います。

邦画:「邦」は自国のこと

邦画の「邦」という漢字は「くに」と読み、自国を意味します。つまり、邦画とは「自国の映画」というニュアンスがあると言えるでしょう。もちろん邦画ではなく日本映画と呼ぶことも可能です。

よって邦画は、日本人の文化や歴史・感性を反映した作品が多いのが特徴で、同時に他国の人々に日本の文化や精神性などを伝えるものでもあります。例えば黒澤明の『七人の侍』は、江戸時代の侍たちが農民を救う物語を描いた映画ですが、その中で見られる日本の風土や精神性は、日本人にとっては当たり前でも外国人にとっては新鮮なものだと言えるでしょう。

ちなみに、その『七人の侍』の影響を受けてハリウッドで製作されたのが、有名な西部劇『荒野の七人』です。

洋画と邦画の英語の呼び方の違いは?

ここまでで、洋画と邦画の「洋」と「邦」という漢字が持つ意味やニュアンスを解説しました。では次に、英語圏では「洋画」と「邦画」がそれぞれどう呼ばれているかを見ていきましょう。外国から見れば、私たちにとっての「邦画」は「外国映画」になるわけで、当然名称も異なります。

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洋画:「Movie」「Film」

一般的に、英語圏の国では映画のことを「Movie」や「Film」と呼びます。これらは単に映像作品という意味ですが、両者には微妙なニュアンスの違いがあると言えるでしょう。「Movie」は一般的に大衆向けの商業的な映画を指し、「Film」は一般的に芸術性や社会性の高い映画を指します。

例えば『アベンジャーズ』や『ハリー・ポッター』シリーズのような娯楽作品は「Movie」にあたり、『シンドラーのリスト』や『パリより愛をこめて』などは「Film」にあたると言えるでしょう。ちなみに「Film」はイギリス英語で、「film strip」(フィルムストリップ)の略語です。

邦画:「Japanese movies」「Japanese cinema」

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一方、日本で作られた映画、つまり私たちにとっての「邦画」は英語圏では「Japanese movies」と呼ばれます。とても分かりやすいですね。ただし注意しなければならないのは、Japanese moviesは特定の映画作品について話す場合などに用いられる言葉だということです。

一方、日本の映画産業や映画文化全般を指す場合は「Japanese cinema」になります。 Japanese cinemaは国内外の映画作品、映画館、映画製作の歴史、映画監督、俳優、映画祭など、広範な要素に関連して使われるので覚えておきましょう。

洋画と邦画の作風の違いは?

ここまでで、洋画と邦画の定義や「洋」「邦」の漢字の意味、そして外国での映画の名称を解説しました。最後に、洋画と邦画の内容に少し踏み込んで、それぞれどんな作風および文化的特徴特徴を持っているかを見ていきましょう。

一般的に、洋画はアクションやスペクタクルをメインにする傾向があります。大規模な予算や技術を使って、迫力やスリルを表現するのが多いと言えるでしょう。一方、邦画は感情や人間関係をメインにする傾向があり、小規模な予算や技術でも、繊細な心理や感性を表現することに重きを置きます。

ただ、もちろんこれらはステレオタイプの見方です。実際にはこのように一概に言えるものではありません。

洋画:アクションをメインにする

洋画にもさまざまなジャンルやテーマの作品がありますが、その中でも、予算が多いことから大規模で派手なアクションをメインにする作品はよく目立ちます。皆さんも、「ハリウッド映画」と聞くと、多くの場合壮大なアクション映画やスペクタクルロマン作品を思い浮かべるのではないでしょうか。

例えば『アベンジャーズ』シリーズは世界中で大ヒットしましたが、その予算は一作品あたり約三億ドル(約330億円)と言われています。

また『ミッション・インポッシブル』シリーズも世界的に人気がありますが、その予算は一作品あたり約一億五千万ドル(約165億円)です。

邦画:感情をメインにする

一方、邦画は伝統的に登場人物の感情の機微を描くものが多いと言われています。これは、日本独自の映像表現やストーリー展開、メッセージ性などに関係していると言えるでしょう。

例えば『東京物語』は、老夫婦が東京に住む子供たちを訪ねる物語を描いた映画ですが、その中で見られる登場人物たちの心情や対話は、日本人にとっては深いものです。

『東京物語』は、アメリカやヨーロッパでも高く評価されましたが、その理由の一つは、登場人物の感情の機微を描くことで、普遍的な人間性や家族愛を表現したからだと言えるでしょう。

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洋画は外国映画、邦画は日本映画

洋画は外国映画のことで、邦画は日本映画のことです。特に洋画という概念には注意が必要で、そこに含まれるのはヨーロッパなど西欧圏の国々で製作された作品であり、アジア映画は含まないのが一般的と言えるでしょう。

近年は韓国・中国・インドなどでも映画がたくさん製作されており、世界でも高い評価を受けています。よって、西欧の映画と日本映画だけが含まれる「洋画と邦画」という図式は、今の時代にはそぐわないと言えるでしょう。

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簡単でわかりやすい!洋画と邦画の違いとは?作風や英語表現も雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは洋画と邦画の違いについてです。どちらも映画のことで洋画は外国映画、邦画は日本映画のことを指す。特に洋画については、主にヨーロッパやアメリカで作られた映画を指す概念だと考えていいでしょう。
ではなぜ、外国映画に「洋」という漢字がついて日本映画に「邦」という漢字がつくのか?洋画と邦画の作風の違いは何なのか?これらの疑問を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

洋画と邦画の違いをざっくり解説

まず最初に、洋画と邦画の違いについてざっくり説明します。洋画と邦画はどちらも映画のジャンルで、洋画は外国で作られた映画、そして邦画は日本で作られた映画のことです。非常に分かりやすい分類ではありますが、実は「洋画」に含まれるのはヨーロッパやアメリカのもので、最近よく作られるようになったアジア系の映画は基本的に含みません。

洋画:外国で作られた映画

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洋画は、外国で作られた映画のことを指す言葉です。大まかな定義としては、日本以外の国や地域で製作された映画全般が洋画ということになりますが、ニュアンスとしてはアメリカやヨーロッパの国々で作られたものを指し、アジア圏で作られた映画は含みません。

「アメリカやヨーロッパで作られた」というのは、より厳密に言えば、その映画の製作会社の本社がアメリカやヨーロッパにあるという意味です。例えば、西欧人スタッフが日本を舞台にして撮影したドキュメンタリー映画の場合は、製作会社の本社がヨーロッパやアメリカにあれば「洋画」となります。

そして「洋画」という呼称は日本だけのものです。他国では、自国以外の映画を指す言葉として使いません。

邦画:日本で作られた映画

一方、邦画は、日本で作られた映画のことを指す言葉です。よって邦画には日本人の文化や歴史、感性を反映した作品が多く存在し、邦画ジャンルで有名な監督や俳優もたくさん存在しています。また、独自の映像表現やストーリー展開、メッセージ性などで他国の映画と差別化されていると言えるでしょう。

邦画は外国でも高い評価を受けており、世界的にも名作とされているものが多くあります。さまざまな国際映画祭や賞に参加し、その中で高い評価を得ているものも少なくありません。

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