簡単でわかりやすい!国税庁と税務署の違いは?仕事内容や歴史・納税者との関係も雑学好きライターが詳しく解説
国税庁と税務署の仕事の違いは?
ここまでで、国税庁と税務署の特徴や関係を解説しました。次に、それぞれが担う仕事の違いを見ていきましょう。国税庁の主な仕事は税務行政全般に関する企画・立案・解釈を行い、法令や通達などを発布することです。また、重要な納税者や複雑な事案については直接調査や査定を行うこともあります。
一方、税務署は管轄区域内の内国税(所得税・法人税・消費税など)の賦課・徴収を行うのが主な仕事です。また、納税者への相談や指導、申告書や納付書などの受付も行います。
国税庁:税務行政の企画・立案・解釈
国税庁の主な仕事は税務行政の企画・立案・解釈だと言えるでしょう。税務行政とは、国民が納めるべき税金を公平に徴収するために必要な法律や制度を整備し、適切に運用することですが、国税庁は、税法の解釈や適用に関する基準を策定し、国税局や税務署に通達します。
これを受けて国税局や税務署は、国税庁の指導に従って個々の納税者に対する課税や納付の手続きを行うことになるのです。
また、国税庁は、税法の改正や新設に関する企画や立案を行い、財務省や国会に提案することもあります。この他、悪質な脱税や不正な還付を防止するために監査や捜査を行うなどし、これらの仕事を通じて、公正で効率的な税務行政を実現しようとしていると言えるでしょう。
税務署:管轄区域内の内国税の賦課・徴収
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税務署の主な仕事は管轄区域内の内国税の賦課・徴収です。内国税とは、所得税や法人税など、国が徴収する税金の総称で、税務署はまず、会社や個人事業者などの納税者に対して税金の申告や納付の手続きを案内します。そして必要に応じて調査や査定を行っているのです。
この調査・査定業務は、納税者の帳簿などを確認し、税金の計算が正しいかどうかを判断するもので、税務署はこのようにして納税義務者が適正に税金を納めることを確認し、滞納した場合は督促や強制執行を行います。
督促は、滞納者に対して納期限を通知し、早期に納付するように促すものです。これらの仕事を通じて、税務署は国の財政を支える租税収入の確保に努めています。
国税庁と税務署の歴史の違いは?
ここまでで、国税庁と税務署の特徴や仕事内容の違いを解説しました。次に、両者はいつから存在しているのか、その歴史的な背景を見ていきましょう。
国税庁は戦後に開設された機関で、1949年に財政省から分離されました。その目的は、戦後混乱期における経済復興計画にともなう財政需要に応えるためです。一方、税務署は明治時代に発足した機関で、近代的な税制の確立と国民の納税意識の向上のため、1873年に地方税務署として設置されました。
国税庁:戦後に開庁
国税庁が発足したのは、戦後の昭和24年(1949年)6月1日です。それまでは大蔵省の主税局が国税の賦課・徴収を担当していましたが、連合国軍最高司令官からの指令により、財務行政と徴税機構を分離することになりました。
そして国税庁は内国税の適正かつ公平な賦課・徴収を目的とする機関として、財務省の外局に位置づけられたのです。国税庁の下には、全国を分轄する形で11の国税局と沖縄国税事務所が設置され、その下には524の税務署が置かれました。このようにして、国税庁・国税局・税務署の一元的な税務行政機構が確立されたのです。
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