この記事ではイデオロギーと思想の違いについてみていきます。どちらも抽象的な考え方や信念を表す言葉で、ぱっと思い浮かぶイメージが人によって千差万別。結論から言うとどちらも同じ意味で使われることが多い。2つの違いは用途の範囲です。政治や宗教など特定の分野で使うのがイデオロギーで、思想は特定の分野に限定されずより広範囲で使われるぞ。そんなイデオロギーと思想の違いについて、雑学ライターYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

現役ママライターのYuna。誰にでも分かりやすく「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

イデオロギーと思想のざっくりとした違い

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イデオロギーと思想は似たような意味で受け取られることが多いですが、同列ではありません。思想という大きなカテゴリーの一部がイデオロギーなのです。思想は人々の行動の基本や動機になります。文化や国民性を拠り所に、歴史の発展とともに形成されてきました。

一方イデオロギーは、思想の中でも政治・社会的な偏向性を持っているのが特徴です。プロパガンダのような、政治的な宣伝活動などが当てはまります。多くの人はイデオロギーと思想を混同して発信・受信していることが多いです。

違いその1.意味

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イデオロギーと思想の違いを理解するには、思想とは何かを問う必要があります。思想と似た意味を持つ言葉は、理念、主義、哲学、そしてイデオロギーです。

寿司やモナリザなどのキーワードを頭に浮かべると、10人が想像しても限りなく近いイメージが湧きそうですよね。一方思想やイデオロギーは、特定のイメージを持たず漠然としている特徴があります。イデオロギーは思想と意味が近いですが、政治・社会の分野に絞られた思想です。

思想:個性や国民性を分かつ行動原理の源

思想の意味をインターネットの辞書で検索すると、以下のような意味があります。

心に思い浮かべること。考えること。考え。「新しい—が浮かぶ」
「普天下の人をして自由に—し」〈中村訳・自由之理〉

人生や社会についての一つのまとまった考え・意見。特に、政治的、社会的な見解をいうことが多い。「反体制—を弾圧する」「末法(まっぽう)—」「危険—」

3 哲学で、考えることによって得られた、体系的にまとまっている意識の内容をいう。

(出典:Weblio辞書)

思想とは自分や他人、世界を思い描くことで、私たちの行動の基本や動機になっていることが多いです。抽象的でふわふわしたイメージが先行しやすいですが、思想によって個性があったり国民性が形成されます。思想は私たちの進化・発展とともに成長し、人間の歴史と切っても切り離せない要素なのです。

イデオロギー:政治・社会的な偏向がある思想

イデオロギーの意味をインターネットの辞書で検索すると、以下のような意味があります。

\次のページで「違いその2.使い方」を解説!/

「イデオロギー」とは、「社会のあり方などに対する考え方」や「人の行動を左右する考え方や信条」、場合によっては「偏った物の見方」という意味で用いられる言葉である。

「イデオロギー」は、基本的には、「社会はこうあるべきだ」という理念が理論的にまとめ上げられたもの、特定の理念や観念が体系としてまとめられたもの、などを指す意味で使える表現である。

(出典:Weblio辞書)

イデオロギーも思想と同様、人間の行動原理の源には違いありません。一方で社会はこうあるべきという理念や信念に基づく考えでもあるのが特徴です。

子どもや高齢者に優しい社会であるべきという考えは一見思想と思われやすいですが、実は政治・社会的に偏っています。正確に分類するならイデオロギーなのです。イデオロギーを論述する上で念頭に置きたいポイントは、イデオロギーであると自覚がない状態で発信・受信されることが多い点でしょう。

違いその2.使い方

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思想とイデオロギーは、人の行動の基本原理という側面において意味が似ています。2つの言葉を自覚して使い分けている人は少ないでしょう。

ではどうやって使い分けるのでしょうか?簡単に想像がつくのは、その思想が政治・社会的な要素を持っているかどうかです。社会や政治にこうあるべきという思いは、イデオロギーに該当します。それ以外の思いや考えは、個人であろうが民族・国家単位であろうが思想と言えるのです。

思想:広義で特定の分野に限らない

思想は個人ひとりひとり、あるいは日本人・アメリカ人などの民族単位が大切にしている考えや行動原理を表します。日本人なら協調性や和を大切にするべきという思想が根付いていますが、アメリカ人なら協調性よりも個性に重きを置くべきと考えるでしょう。

宗教の違いも思想の違いの一種といえます。自然の恵みに感謝し万物に神様が宿ると考える日本と、ただひとつの神を認めて崇める西洋の文化の違いは顕著です。言葉だけでは抽象的なイメージがありますが、思想は私たちが選択・行動するための信念であり拠り所でもあります

イデオロギー:政治や宗教の分野

イデオロギーは多くの人が無自覚で使っており、自分では思想だと思っていても実際はイデオロギーに分類されるケースは少なくありません。

政治・政党には社会はこうあるべきという主張がありますよね。イデオロギーは思想の中でも政治・社会的に偏った考えを表していて、狭くて限定的なのが特徴。イデオロギーは思想の一部で、意味も非常に似ています。イデオロギーを発信する側、受信する側の双方がイデオロギーを思想と混同してしまうのも無理もないのです。

\次のページで「2つが混同されやすい理由」を解説!/

2つが混同されやすい理由

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イデオロギーと思想はなぜ混同されやすいのでしょうか。イデオロギーは思想の一部に含まれ、人間の行動原理の源になっているという点では同じだからです。多くの人が思想とイデオロギーを区別せずに使っています。2つを区別できなくても、言論の場や生活をする上で困りません。思想の定義が抽象的でふわふわしているため、明確に区別するのも難しいのです。

1.どちらも人の考えや信念を表すから

思想とイデオロギーが混同されやすい理由の1つ目は、2つが根本的には似ているから。信念や考えは目に見えず人の頭の中で思い浮かべるものですよね。思想とイデオロギーの境界線も曖昧で目に見えません。

2つの違いは政治・社会的な偏りの有無のみで、どちらも人の考えや信念を表した言葉です。政治や社会に対する研究や分析でもしない限り、2つの定義を明確にする機会もありませんよね。

2.日常生活で区別する必要が無いから

思想とイデオロギーが混同されやすい理由の2つ目は、日々の生活で2つを区別する必要がないからです。私たちの日々の生活で2つを誤用することがあったとしても困りませんよね。イデオロギーの定義は時代や社会情勢によって変化し、その都度問い直す必要がある概念なのです。思想とイデオロギーが歴史とともに培われてきたように、2つを形成する要素はこれからも変わり続けます。

日常生活にあふれるイデオロギーと思想を区別してみよう

思想とイデオロギーは、根本は同じ。思想は個人から国家までの広範囲におよぶ信念そのものです。一方イデオロギーは思想の中でも政治・社会的に偏った狭くて限定的な考えのこと。2つの要素の境界線は薄く、頭の中で行ったり来たりするので区別するのは難しいでしょう。あえて区別するなら、テレビや書籍、日々のコミュニケーションの中で意識するのがおすすめです。

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簡単でわかりやすい思想とイデオロギーの違い!混同する理由も雑学ライターが詳しく解説

この記事ではイデオロギーと思想の違いについてみていきます。どちらも抽象的な考え方や信念を表す言葉で、ぱっと思い浮かぶイメージが人によって千差万別。結論から言うとどちらも同じ意味で使われることが多い。2つの違いは用途の範囲です。政治や宗教など特定の分野で使うのがイデオロギーで、思想は特定の分野に限定されずより広範囲で使われるぞ。そんなイデオロギーと思想の違いについて、雑学ライターYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

現役ママライターのYuna。誰にでも分かりやすく「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

イデオロギーと思想のざっくりとした違い

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イデオロギーと思想は似たような意味で受け取られることが多いですが、同列ではありません。思想という大きなカテゴリーの一部がイデオロギーなのです。思想は人々の行動の基本や動機になります。文化や国民性を拠り所に、歴史の発展とともに形成されてきました。

一方イデオロギーは、思想の中でも政治・社会的な偏向性を持っているのが特徴です。プロパガンダのような、政治的な宣伝活動などが当てはまります。多くの人はイデオロギーと思想を混同して発信・受信していることが多いです。

違いその1.意味

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イデオロギーと思想の違いを理解するには、思想とは何かを問う必要があります。思想と似た意味を持つ言葉は、理念、主義、哲学、そしてイデオロギーです。

寿司やモナリザなどのキーワードを頭に浮かべると、10人が想像しても限りなく近いイメージが湧きそうですよね。一方思想やイデオロギーは、特定のイメージを持たず漠然としている特徴があります。イデオロギーは思想と意味が近いですが、政治・社会の分野に絞られた思想です。

思想:個性や国民性を分かつ行動原理の源

思想の意味をインターネットの辞書で検索すると、以下のような意味があります。

心に思い浮かべること。考えること。考え。「新しい—が浮かぶ」
「普天下の人をして自由に—し」〈中村訳・自由之理〉

人生や社会についての一つのまとまった考え・意見。特に、政治的、社会的な見解をいうことが多い。「反体制—を弾圧する」「末法(まっぽう)—」「危険—」

3 哲学で、考えることによって得られた、体系的にまとまっている意識の内容をいう。

(出典:Weblio辞書)

思想とは自分や他人、世界を思い描くことで、私たちの行動の基本や動機になっていることが多いです。抽象的でふわふわしたイメージが先行しやすいですが、思想によって個性があったり国民性が形成されます。思想は私たちの進化・発展とともに成長し、人間の歴史と切っても切り離せない要素なのです。

イデオロギー:政治・社会的な偏向がある思想

イデオロギーの意味をインターネットの辞書で検索すると、以下のような意味があります。

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