軍事的な目的で使用される船が軍艦です。時折港町に寄港したりするので、その勇壮な外観に目を奪われた人もいるかもしれない。しかし軍艦にはいくつか種類があるのを知っているでしょうか。
今回は混同しがちな「巡洋艦(じゅんようかん)」、「駆逐艦(くちくかん)」、「戦艦」の違いについて、おおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

巡洋艦・駆逐艦・戦艦の違い

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世界各国では軍事的な目的のため軍艦が導入されています。島国日本では海洋防衛のため、軍隊こそないものの海上自衛隊に軍艦が配備されていますね。そんな軍艦にも種類があります。代表的なものが「巡洋艦」、「駆逐艦」、「戦艦」です。ここではこの3種類の軍艦の違いについて解説していきます。

巡洋艦:防御と索敵が主な任務

「巡洋艦」は防御と索敵が主な任務。戦闘時の主力である大型艦船の護衛を目的として建造されたため、対潜や対空の迎撃・攻撃に長けた軍艦です。航空機や潜水艦からの攻撃を迎撃したり、攻撃してきた敵船を破壊したりします。

また艦隊周辺の索敵も行っており、敵を発見したら迅速に脅威を取り除くことが求められる艦船です。他にも偵察や通商破壊、陸上砲撃や上陸支援など多くの任務に当たります。

駆逐艦:機動力を活かした攻撃が主な任務

「駆逐艦」は英語で「Destroyer(デストロイヤー)」と呼ばれる、文字通り敵船の破壊を主な任務とする艦船です。「駆逐艦」は小型のものが多く、小回りや加速に優れているため機動力を活かした作戦が得意。魚雷を搭載することで「戦艦」など大型の敵船を破壊する、ジャイアントキラーとして活躍しています。

戦艦:艦隊の指揮をとる花形

日本人の心に残る「大和(やまと)」を始め、海戦の花形と呼べる艦船が「戦艦」です。かつては艦隊の旗艦(きかん)を務めることも多くありました。旗艦とは司令官が乗り指揮をとる軍艦のこと。

「戦艦」は圧倒的な火力と防御力を誇っています。主砲・副砲・機関銃といった装備の充実、敵の「戦艦」の主砲に耐えうる装甲の厚さ、数百~数千人規模の搭乗可能人数など、竣工当時の技術の粋を集めて造られたものがほとんどです。巨大なサイズと数万トンクラスのとてつもない重量を誇る反面、建造費・維持費ともに莫大なものとなっています。

\次のページで「現代の巡洋艦、駆逐艦、戦艦」を解説!/

現代の巡洋艦、駆逐艦、戦艦

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「巡洋艦」、「駆逐艦」、「戦艦」それぞれの特徴はおわかりいただけたと思います。しかしこれは艦隊決戦が主流だった20世紀までの特徴であり、戦闘展開が多様化している現代では変わりつつあるのです。ここでは現代に至るまでに「巡洋艦」、「駆逐艦」、「戦艦」に起こった変化を解説していきます。

巡洋艦は大型化している

現代の「巡洋艦」は一般的に大型化していると言われています。その理由は現代に求められる防御と索敵の範囲が広がったため。航空機・潜水艦はもちろん、陸上からのミサイルや通信妨害など、攻撃パターンが多様化する中でより多くの装備が必要になったのです。

駆逐艦も大型化している

現代の「駆逐艦」も、「巡洋艦」同様に大型化していると言われています。元々「駆逐艦」の重量は5000トン程度でしたが、現代では10000トンクラスのものも増加中。その理由は技術の向上により、装備を充実させても高機動力を維持できるようになったから。海戦のニーズに合わせどんどん多機能化していったんですね。

戦艦は実践配備されなくなった

「巡洋艦」や「駆逐艦」の需要が高まる一方で、「戦艦」を実戦配備する国はなくなりました。第一の理由として莫大な建造費や維持費が挙げられます。世界的に見て一部の国を除けば、国家予算の観点から軍縮は進んでおり「戦艦」の保有は非現実的。また「戦艦」には航空攻撃に弱いという弱点があり、レーダーに映らないステルス機をはじめ航空機が充実した現代では苦戦を強いられることも挙げられるでしょう。

かつて「戦艦」を保有していたアメリカ、イギリス、日本などではかつて活躍した戦艦が記念艦や記念施設として保存されています。

駆逐艦とフリゲート艦の違い

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「駆逐艦」を調べると必ずと言っていいほど一緒にヒットするキーワードが「フリゲート艦」です。「フリゲート」という言葉自体が日本ではあまり使われないこともあり、どんな軍艦なのかわからない人がほとんどでしょう。ここでは「駆逐艦」と「フリゲート艦」の違いについて解説していきます。

\次のページで「フリゲート艦:駆逐艦より小型で低速」を解説!/

フリゲート艦:駆逐艦より小型で低速

「フリゲート艦」は主力艦よりも小さくて、任務の補佐を埋める艦船です。ここで言う主力艦とは「駆逐艦」や「巡洋艦」を指しますが、特に「駆逐艦」のことを指します。明確な大きさでの定義はないため、各国が「フリゲート艦」と宣言すれば、それが「フリゲート艦」と扱われるのが現状です。

ちなみに「フリゲート(Frigate)」とは小型の艦船を意味する英語で、日本語の「フリゲート艦」という言葉は「艦」の意味が二重になっている表現と言えます。

巡洋艦は防御と索敵、駆逐艦は攻撃、戦艦は指揮

ここまで「巡洋艦」・「駆逐艦」・「戦艦」の違い、現代での各軍艦の特徴、そして「駆逐艦」と「フリゲート艦」の違いについて解説してきました。一口に軍艦と言ってもさまざまな種類が存在することがわかったのではないでしょうか。

国防には予算が必要で、その財源の一部を負担するのは当然ながら私たちの税金。自分たちの税金がどういった使われ方をしているのか知るためにも、軍艦というものに目を向ける機会があってもいいと筆者は思っています。

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3分で簡単にわかる巡洋艦・駆逐艦・戦艦の違い!フリゲート艦との違いも雑学好きライターがわかりやすく解説


軍事的な目的で使用される船が軍艦です。時折港町に寄港したりするので、その勇壮な外観に目を奪われた人もいるかもしれない。しかし軍艦にはいくつか種類があるのを知っているでしょうか。
今回は混同しがちな「巡洋艦(じゅんようかん)」、「駆逐艦(くちくかん)」、「戦艦」の違いについて、おおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

巡洋艦・駆逐艦・戦艦の違い

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世界各国では軍事的な目的のため軍艦が導入されています。島国日本では海洋防衛のため、軍隊こそないものの海上自衛隊に軍艦が配備されていますね。そんな軍艦にも種類があります。代表的なものが「巡洋艦」、「駆逐艦」、「戦艦」です。ここではこの3種類の軍艦の違いについて解説していきます。

巡洋艦:防御と索敵が主な任務

「巡洋艦」は防御と索敵が主な任務。戦闘時の主力である大型艦船の護衛を目的として建造されたため、対潜や対空の迎撃・攻撃に長けた軍艦です。航空機や潜水艦からの攻撃を迎撃したり、攻撃してきた敵船を破壊したりします。

また艦隊周辺の索敵も行っており、敵を発見したら迅速に脅威を取り除くことが求められる艦船です。他にも偵察や通商破壊、陸上砲撃や上陸支援など多くの任務に当たります。

駆逐艦:機動力を活かした攻撃が主な任務

「駆逐艦」は英語で「Destroyer(デストロイヤー)」と呼ばれる、文字通り敵船の破壊を主な任務とする艦船です。「駆逐艦」は小型のものが多く、小回りや加速に優れているため機動力を活かした作戦が得意。魚雷を搭載することで「戦艦」など大型の敵船を破壊する、ジャイアントキラーとして活躍しています。

戦艦:艦隊の指揮をとる花形

日本人の心に残る「大和(やまと)」を始め、海戦の花形と呼べる艦船が「戦艦」です。かつては艦隊の旗艦(きかん)を務めることも多くありました。旗艦とは司令官が乗り指揮をとる軍艦のこと。

「戦艦」は圧倒的な火力と防御力を誇っています。主砲・副砲・機関銃といった装備の充実、敵の「戦艦」の主砲に耐えうる装甲の厚さ、数百~数千人規模の搭乗可能人数など、竣工当時の技術の粋を集めて造られたものがほとんどです。巨大なサイズと数万トンクラスのとてつもない重量を誇る反面、建造費・維持費ともに莫大なものとなっています。

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