ピリッとした辛さとツンと抜ける爽やかさ。そして舌に感じる独特な痺れが唯一無二の香辛料「山椒」。麻婆豆腐などに入っていたり、ウナギのかば焼きなんかにかけたりもするよな。
しかし時折「葉山椒」という言葉も見かけることがある。「山椒」と「葉山椒」、両者の違いは一体何なんでしょうな。
今回は「山椒」と「葉山椒」の違いについて、スパイス好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。料理が趣味で自宅に多数のスパイスを集めている。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

山椒と葉山椒の違い

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「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざがあります。体は小さいが気性や才能が非常に鋭く、力を発揮する人の例えです。このことわざ通り、ほんの少し料理に加えただけで強い存在感を放つ香辛料が「山椒」。そんな「山椒」に関連して「葉山椒」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。ここではまず「山椒」と「葉山椒」の違いについて解説していきます。

山椒:基本的に実山椒を指す

「山椒」と言うと基本的には「実山椒」を指します。そもそも「サンショウ」という植物はミカン科サンショウ属の落葉低木のこと。

「山椒は捨てるところがない」と言われ、実だけでなく葉や花、樹皮に至るまで食べることができます。また幹そのものも硬くて丈夫なため杖やすりこぎの材料として使われてきました。そんな「サンショウ」のうち実の部分を「山椒」と呼んでいるのです。「実山椒」あるいは「青山椒」とも呼ばれます。

葉山椒:サンショウの葉

「葉山椒」は先述の「サンショウ」の葉のことです。手の指を広げたような形で、ひらひらとした美しい葉で、料理に使うと香りだけでなく彩りと品が加わります。そのまま使ってもいいですし、火を通しても、調味液に漬け込んでもいい万能食材です。

旬の時期になると「木の芽」と呼ばれスーパーや飲食店に並ぶこともあります。「葉山椒」という名前よりも「木の芽」という名前の方が見かけたことのある人が多いかもしれませんね。

サンショウの効能

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「山椒」と「葉山椒」は独特の風味が人気ですが、これらは「サンショウ」独自の成分に由来するものなんです。古くから日本人にとって滋養強壮の妙薬としても愛用されてきた「サンショウ」。ここではそんな「サンショウ」が持っている効能を、成分ごとに解説していきます。

\次のページで「サンショオール:消化や代謝を活発にする」を解説!/

サンショオール:消化や代謝を活発にする

「サンショウ」と言えばピリッとした独特の痺れですが、これは「サンショオール」という成分に由来するのです。「サンショオール」は内臓のはたらきを活発にし、消化不良や胸のつかえを取る働きがあります。また新陳代謝を活発にすることから血行がよくなったり発汗作用を高めたりして、冷え性や肩こり、神経痛の改善効果も。

また殺菌・抗菌作用があり、古くは回虫(寄生虫の一種)の駆除薬としても使われていました。料理に添えるのは臭み消しだけでなく、殺菌効果や食中毒予防効果も狙っていたからなのです。

シトロネラール:鎮静作用や抗炎症作用

「シトロネラール」は柑橘類(シトラス)に共通する香り成分で、鎮静作用やけいれんを抑える鎮痙(ちんけい)作用、抗不安作用、抗炎症作用を持っています。また抗菌、殺虫作用も。虫よけフレグランスに柑橘系の香りが多いのはこういう理由もあったんですね

ジテルペン:免疫細胞や抗酸化作用を高める

「ジテルペン」は「サンショウ」を含む一部の植物に含まれる二次代謝産物です。二次代謝とは「生存に必須ではない代謝」のこと。つまり「サンショウ」の生存には関係なく生成された成分ということですね。

「ジテルペン」は免疫細胞を刺激して活性化させたり、抗酸化作用を高めたりします。加齢とともに体内の活性酸素は増えていきますが、抗酸化とはこれらの活性酸素から体を守ること。つまり体をさび付かせない(酸化させない)効能を持つのです。

山椒と葉山椒のおすすめレシピ

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ここまでの解説で「山椒」と「葉山椒」に食材としての魅力、そして栄養面での魅力を感じた人も多いのではないでしょうか。ぜひ食べてみてほしい「山椒」と「葉山椒」ですが、ここではそんな「山椒」と「葉山椒」のおすすめレシピを紹介していきます。自宅で簡単に作れるものが多いので参考にしてみてください。

山椒:アクセントに使うと良し

「山椒」と言えばウナギのかば焼きで使うイメージですが、かば焼きであれば全般的に相性が良いです。イワシなど他の魚や、ナスなどの野菜のかば焼きでも味を引き締めてくれます。

サーモンやタイのカルパッチョに実のまま散らしたり、煮物に混ぜ込むだけでも良いアクセントに。また「山椒」は中華料理でも活躍するだけあって、炒め物とも相性良し。たとえば牛肉や野菜と一緒に炒めるだけでも、特有の香りと痺れで食材たちの一体感を演出します。

葉山椒:漬け込むと活躍の場が増える

「葉山椒」はそのままだと焼き物や炒め物に添える程度しかできませんが、調味液に浸け込むと一気に活躍の場を広げます。

具体的には醤油やポン酢などに漬け混んで箸休めの一品にしたり、味噌に漬け込んで肉や魚に塗る山椒味噌を作るのも良いでしょう。みりんと醤油で煮込めばご飯が進む佃煮にもなります。焼酎などの蒸留酒に漬け込むことで山椒酒にするのも面白いですよ。

山椒は実、葉山椒は葉

ここまで「山椒」と「葉山椒」の違い、「サンショウ」という植物の持つ効能、そして「山椒」と「葉山椒」のおすすめレシピについて解説してきました。日本人にとって馴染みのある香辛料ですが、とても奥深い食材であることがわかったのではないでしょうか。

筆者は「山椒」が大好きで、色々な料理に使います。また和食のお店などで「葉山椒」の文字を見かけると、どんなアレンジをしているのか期待して注文することも。脇役と呼ぶには強すぎるくらいの存在感を持つ名脇役、それが「山椒」と「葉山椒」なのかもしれません。

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雑学食べ物・飲み物

3分で簡単にわかる山椒と葉山椒の違い!効能やおすすめのレシピも雑学好きライターがわかりやすく解説


ピリッとした辛さとツンと抜ける爽やかさ。そして舌に感じる独特な痺れが唯一無二の香辛料「山椒」。麻婆豆腐などに入っていたり、ウナギのかば焼きなんかにかけたりもするよな。
しかし時折「葉山椒」という言葉も見かけることがある。「山椒」と「葉山椒」、両者の違いは一体何なんでしょうな。
今回は「山椒」と「葉山椒」の違いについて、スパイス好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。料理が趣味で自宅に多数のスパイスを集めている。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

山椒と葉山椒の違い

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「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざがあります。体は小さいが気性や才能が非常に鋭く、力を発揮する人の例えです。このことわざ通り、ほんの少し料理に加えただけで強い存在感を放つ香辛料が「山椒」。そんな「山椒」に関連して「葉山椒」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。ここではまず「山椒」と「葉山椒」の違いについて解説していきます。

山椒:基本的に実山椒を指す

「山椒」と言うと基本的には「実山椒」を指します。そもそも「サンショウ」という植物はミカン科サンショウ属の落葉低木のこと。

「山椒は捨てるところがない」と言われ、実だけでなく葉や花、樹皮に至るまで食べることができます。また幹そのものも硬くて丈夫なため杖やすりこぎの材料として使われてきました。そんな「サンショウ」のうち実の部分を「山椒」と呼んでいるのです。「実山椒」あるいは「青山椒」とも呼ばれます。

葉山椒:サンショウの葉

「葉山椒」は先述の「サンショウ」の葉のことです。手の指を広げたような形で、ひらひらとした美しい葉で、料理に使うと香りだけでなく彩りと品が加わります。そのまま使ってもいいですし、火を通しても、調味液に漬け込んでもいい万能食材です。

旬の時期になると「木の芽」と呼ばれスーパーや飲食店に並ぶこともあります。「葉山椒」という名前よりも「木の芽」という名前の方が見かけたことのある人が多いかもしれませんね。

サンショウの効能

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「山椒」と「葉山椒」は独特の風味が人気ですが、これらは「サンショウ」独自の成分に由来するものなんです。古くから日本人にとって滋養強壮の妙薬としても愛用されてきた「サンショウ」。ここではそんな「サンショウ」が持っている効能を、成分ごとに解説していきます。

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