健康ドリンクなんかでよく見かける「アルギニン」と「シトルリン」。
普段摂取する機会はあっても、この2つの成分にどんな違いがあるのかまで分かっていない人も多いんじゃないか。なんとなく体に良さそうだからと飲んでいるものが、むしろ体に悪かったりするのは怖いよな。
今回は「アルギニン」と「シトルリン」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。ジムで定期的に体を鍛えており、プロテインなども積極的に飲んでいる。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

アルギニンとシトルリンの違い

image by iStockphoto

人体は水分が60%、タンパク質が18%、脂質が18%、その他が4%で構成されていると言われています。そのタンパク質を構成しているのがアミノ酸です。しかしアミノ酸飲料や食品を見ると、「アルギニン」と「シトルリン」という表記があることも。これらはいったいどんな成分なのでしょうか。

ここではまず「アルギニン」と「シトルリン」の違いについて解説していきます。

アルギニン:タンパク質を構成するアミノ酸

「アルギニン」はアミノ酸の一種で、体内で合成できるため非必須アミノ酸(経口摂取が必須ではないアミノ酸)に分類されています。しかし子どもの頃の体では合成できないため、準必須アミノ酸と呼ばれることも。

また大人であっても体力消耗が激しい時には合成されにくく、また加齢により体内での合成量が半分にまで低下してしまいます。体内で作られるからと言って軽視せず、積極的に摂取する必要がある成分です。

シトルリン:アルギニンに変換されるアミノ酸

「シトルリン」は1930年の日本でスイカから発見されたアミノ酸です。「シトルリン」は「アルギニン」同様、非必須アミノ酸の一種。

しかし「シトルリン」は遊離アミノ酸という、細胞や血液中にばらばらの状態で存在しているアミノ酸なのが「アルギニン」と違う点。「アルギニン」が筋肉などの直接的な材料になるのに対して、「シトルリン」は体内で「アルギニン」に変換されるという性質を持っています。

アルギニンとシトルリンを摂取する理由

image by iStockphoto

「シトルリン」が体内で「アルギニン」に変換されるという解説を読み、「それなら最初からアルギニンだけを摂取すればいいのではないか」と思われた人も多いでしょう。たしかにわざわざ変換するまでもなく、直接タンパク質になる成分を摂取した方が効率的に思えますよね。

ここではなぜ「アルギニン」と「シトルリン」のどちらも摂取しなければいけないのかを解説していきます。

\次のページで「一度に消化できる量に限りがあるため」を解説!/

一度に消化できる量に限りがあるため

どんな成分でも一度に消化できる量は限りがあります。特にアルギニンは吸収率が悪く、摂取したうちの6割以上が失われるという性質があるのです。これに対して「シトルリン」はほとんど損失がありません。

また体内での吸収経路も違っている点です。「アルギニン」は腸管と肝臓で吸収されるのに対して、「シトルリン」は「アルギニン」に変換しそのまま全身に供給されます。実は吸収経路として「シトルリン」の方がスムーズであるという特徴があるのです。

相乗効果で血流を促進するため

「アルギニン」は血管拡張作用がある一酸化炭素を増やす性質があります。そしてなんと「アルギニン」は血管内皮細胞にて「シトルリン」に変換されるのです。

つまり「アルギニン」を多くとれば「シトルリン」が増え、「シトルリン」を多くとれば「アルギニン」が増える相乗効果が発生し、血流はどんどん良くなります。血流が良くなると体内に栄養を運びやすくなり、筋肉の成長だけでなく免疫力アップにも効果が期待できるのです。また肌の血色を良くし、くすみを改善し、抗酸化作用によって肌のツヤやハリの維持など美容効果もあります。

摂取時の注意点

「アルギニン」は吸収率が悪いため、お腹いっぱいまで食べたとしても副作用はありません。しかし「アルギニン」はアルカリ性のためpH(水素イオン)バランスを乱すことで消化器官に負担をかけます。具体的な症状としては下痢や腹痛、腎臓や肝臓への負担(いわゆる胸やけ)など。

「シトルリン」は毒性が低いため過剰摂取による健康被害は報告されていません。中性のため、体内のpHバランスを乱すこともない安全な成分です。

アルギニンとシトルリンが含まれているもの

image by iStockphoto

「アルギニン」と「シトルリン」は非必須アミノ酸ではあるものの、同時に積極的な摂取を心がけるべきであることがおわかりたいだけたと思います。それではここで、具体的に「アルギニン」と「シトルリン」の含有量が高い食品を紹介を見ていきましょう。毎日の食事に加えられそうな食品は積極的に献立に取り入れてみてください。

アルギニン:いわゆるタンパク源

「アルギニン」はいわゆるタンパク源として知られる食材が該当します。具体的には肉・魚・卵と言った動物系食材はもちろん、大豆・ピーナッツ・アーモンドなどの豆類です。またゴマにも多く含まれているので、毎日の料理にさっと一振りするだけでも違ってくるでしょう。

\次のページで「シトルリン:ウリ科の植物に多い」を解説!/

シトルリン:ウリ科の植物に多い

「シトルリン」はウリ科の植物に多く含まれています。元祖「シトルリン」食材スイカに関しては100gあたり180mgも含まれていますが、この含有量は他の食材を圧倒するほどの量です。その他にはメロン・へちま・キュウリ・ニガウリ(ゴーヤ)、冬瓜(とうがん)などに多く含まれています。ウリ科以外では精のつく食材として有名なニンニクが豊富です。

アルギニンはタンパク質を作る、シトルリンはアルギニンに変換される

ここまで「アルギニン」と「シトルリン」の違い、なぜどちらも摂取する必要があるのか、そして「アルギニン」と「シトルリン」が含まれている食材について解説してきました。アミノ酸は筋トレをしている人だけが意識すればいいものではありません。免疫機能や美容のため誰もが意識して摂取すべき成分なのです。

筆者は自宅用の買い物では、納豆や豆腐など大豆製品を積極的に購入するようにしています。肉や魚より安価なことも理由の1つですが、あまり飽きずに食べ続けられる食品であることがポイント。みなさんも毎日の食事で意識して「アルギニン」と「シトルリン」を摂取するようにしましょう。

" /> 3分で簡単にわかるアルギニンとシトルリンの違い!副作用は?摂取量や飲むタイミングも雑学好きライターがわかりやすく解説 – Study-Z
資格・専門雑学

3分で簡単にわかるアルギニンとシトルリンの違い!副作用は?摂取量や飲むタイミングも雑学好きライターがわかりやすく解説


健康ドリンクなんかでよく見かける「アルギニン」と「シトルリン」。
普段摂取する機会はあっても、この2つの成分にどんな違いがあるのかまで分かっていない人も多いんじゃないか。なんとなく体に良さそうだからと飲んでいるものが、むしろ体に悪かったりするのは怖いよな。
今回は「アルギニン」と「シトルリン」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。ジムで定期的に体を鍛えており、プロテインなども積極的に飲んでいる。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

アルギニンとシトルリンの違い

image by iStockphoto

人体は水分が60%、タンパク質が18%、脂質が18%、その他が4%で構成されていると言われています。そのタンパク質を構成しているのがアミノ酸です。しかしアミノ酸飲料や食品を見ると、「アルギニン」と「シトルリン」という表記があることも。これらはいったいどんな成分なのでしょうか。

ここではまず「アルギニン」と「シトルリン」の違いについて解説していきます。

アルギニン:タンパク質を構成するアミノ酸

「アルギニン」はアミノ酸の一種で、体内で合成できるため非必須アミノ酸(経口摂取が必須ではないアミノ酸)に分類されています。しかし子どもの頃の体では合成できないため、準必須アミノ酸と呼ばれることも。

また大人であっても体力消耗が激しい時には合成されにくく、また加齢により体内での合成量が半分にまで低下してしまいます。体内で作られるからと言って軽視せず、積極的に摂取する必要がある成分です。

シトルリン:アルギニンに変換されるアミノ酸

「シトルリン」は1930年の日本でスイカから発見されたアミノ酸です。「シトルリン」は「アルギニン」同様、非必須アミノ酸の一種。

しかし「シトルリン」は遊離アミノ酸という、細胞や血液中にばらばらの状態で存在しているアミノ酸なのが「アルギニン」と違う点。「アルギニン」が筋肉などの直接的な材料になるのに対して、「シトルリン」は体内で「アルギニン」に変換されるという性質を持っています。

アルギニンとシトルリンを摂取する理由

image by iStockphoto

「シトルリン」が体内で「アルギニン」に変換されるという解説を読み、「それなら最初からアルギニンだけを摂取すればいいのではないか」と思われた人も多いでしょう。たしかにわざわざ変換するまでもなく、直接タンパク質になる成分を摂取した方が効率的に思えますよね。

ここではなぜ「アルギニン」と「シトルリン」のどちらも摂取しなければいけないのかを解説していきます。

\次のページで「一度に消化できる量に限りがあるため」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: