今回のテーマは為替手形と約束手形の違いについてです。どちらもお金のやり取りで使われる書類のことですが、「振出」「裏書」などという言葉遣いは専門的かつ独特なところもあり、根拠法となる法律をチェックしてもゼロから理解するのはなかなか難しい。
簡単に言えば、どちらも「後でお金を払うことを約束する書類」なんです。この点をポイントにしながら、できるだけ噛み砕いて雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

為替手形と約束手形の違いをざっくり解説

まず最初に、為替手形と約束手形の違いについてざっくり説明しましょう。まず、為替手形と約束手形はどちらも金銭の支払いを約束する有価証券である点は共通しています。

ちなみに有価証券とは、財産的価値のある権利を表す証券であって、簡単に言えば「お金と同じ価値がある書類」です。例としては株券や債券、小切手などが挙げられるでしょう。そして為替手形は三者間で利用され、約束手形は二者間で利用されるのが大きな違いです。以下で詳しく解説しましょう。

為替手形:第三者がお金の支払いを約束する書類

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為替手形とは、金銭の支払いを約束する有価証券の一種です。具体的には、ある人が別の人に商品やサービスを売ったときに、その代金を第三者に支払わせることができる書類だと考えてください。

この場合の第三者は、最初に商品を買った人に対して借金などがあるケースがほとんどです。つまり、借金返済のかわりに、最初に商品を買った人が払うべき代金を肩代わりする形だと考えてください。

為替手形を使うと、現金の輸送や振込みにかかる時間や費用を節約できるため、遠隔地で行われる取引で利用されます。第三者が支払いの責任を引き受けることで、代金が確実に支払われるようにするという信用リスク回避の効果も期待できるでしょう。ただし、近年は使われる機会が少なくなっています。

約束手形:特定の人がお金の支払いを約束する書類

為替手形と似ているものに約束手形があります。約束手形も金銭の支払いを約束する有価証券という点は同じです。が、その支払い方法には大きな違いがあり、約束手形は為替手形と異なり「第三者」にお金を支払わせるものではありません。

約束手形は、ある人が自分で商品やサービスを買った際、「あとで代金を支払う」ことを約束する書類です。だから「約束手形」というのだと考えるといいでしょう。あくまでも、商品やサービスに対する代金を支払うのは、購入した本人です。

一方で、これは為替手形にも共通することですが、約束手形は「裏書」と言う手続きを経ることで金銭の受取人が変わることもあります。

\次のページで「為替手形と約束手形を使うメリットは?」を解説!/

為替手形と約束手形を使うメリットは?

ここまでで、為替手形と約束手形という言葉の違いを解説しました。次に、これらの手形を使うことのメリットを見ていきましょう。

為替手形の大きなメリットは、代金の支払いや精算が確実に行われることです。為替手形を見せられた支払人は、そこに記載されている金額を払わなければなりません。もし支払わなければこの支払人は訴えられることになるでしょう。

また約束手形のメリットは、支払期日を延ばすことができることです。約束手形は振出人と受取人が合意すれば支払期日を変更することができるからで、いわば約束手形は資金繰りの柔軟性を高めることができる有価証券だと言えるでしょう。

為替手形:支払いが確実に行われる

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為替手形を使うメリットは、第三者を介することで金銭の支払いが確実に行われることです。取引相手が支払いを遅延したり、不履行になったりすることによって生じる信用リスク回避の効果があると言えるでしょう。

一方、為替手形を使うデメリットもあります。例えば、受取人は支払人の口座にお金があるかどうかを確認できないため、期日に現金化できない可能性も否定できません。また、期日より前に現金化する場合は利子や手数料が発生しますし、さらに印紙税もかかるためコストも高くつきます。

約束手形:支払いを先延ばしできる

約束手形は、現金が手元になくても商品やサービスを購入できるので、資金繰りに困っているときに便利な方法です。さらに大きなメリットとして、受取人の承諾を得られれば支払いを先延ばしできることが挙げられるでしょう。

例えば、仕入れから売上までに時間がかかる業種では、約束手形を使うことで支払い期日を長く設定できます。約束手形は単なる口約束よりも信用性が高いので、取引先からの信用を得やすいですし、利息も発生しません。

一方、デメリットとしては支払期日の負担が増大することが挙げられます。もし支払いが滞ったり不渡りになったりすると、信用低下や取引停止など重大な影響を受けるでしょう。

為替手形と約束手形の取引で関係する人の違いは?

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為替手形と約束手形を使うことのメリットを解説しました。次に、こうした手形取引に関係する人はどういう人なのかを見ていきましょう。手形取引に関係する人は、大きく分けて「振出人」「受取人」「引受人」「裏書人」の四つになります。

まず「振出人」は手形を発行した人で、「受取人」はその手形を受け取り、将来的に金銭をもらえることを約束された人です。約束手形の場合は将来的に「振出人」が「受取人」に金銭を払いますが、為替手形の場合は、支払うのは「引受人」となります。

さらに、手形取引の登場人物には「裏書人」というのも存在するので少しややこしくなってくるのですが、そのおかげで手形取引は信用や流動性が高まっていると言えるでしょう。

為替手形:基本は振出人・受取人・引受人の三者

為替手形を使って取引を行う場合、その取引の関係者は振出人・受取人・引受人の三者が基本です。振出人は為替手形を発行する人で、受取人は為替手形を受け取る人になります。そして引受人が、振出人が支払いを依頼した第三者です。

このように、為替手形は三者間で利用されることが多いですが、為替手形は「裏書」という手続きによって譲渡可能という性質を持っています。裏書によって譲渡される場合、受取人は「裏書人」として手書きの裏に必要事項を記入し、新たに手形を受け取った人は「被裏書人」という位置づけになるでしょう。

すると、為替手形の支払期日に、引受人は被裏書人に金銭を支払うことになります。

\次のページで「約束手形:基本は振出人・受取人の二者」を解説!/

約束手形:基本は振出人・受取人の二者

約束手形を使って取引を行う場合、その取引の関係者は振出人・受取人の二者が基本です。前項の内容と比較すると分かりますが、約束手形の手形取引において引受人は存在せず、最終的な支払いはあくまでも振出人が行います。

また、為替手形と同じく、約束手形も「裏書」による譲渡が可能です。裏書譲渡を行う場合、約束手形の受取人が裏書人となり、被裏書人が最後に金銭を受け取ることになるのも為替手形の場合と同じだと考えてください。

小切手との違いは?

ここまでで、為替手形と約束手形の手形取引で関わってくる関係者の違いを解説しました。次に、両者の特徴と違いをよりはっきりさせるために、同じく有価証券である「小切手」との違いを見ていきましょう。

小切手も金銭の支払いを約束する有価証券ですが、為替手形や約束手形とは異なる特徴があります。例えば手形は、受取人として指名されている人しか支払いを受けられませんが、小切手は銀行に持参した人なら原則的に誰でも現金化できるでしょう。

また、支払期日が決まっている手形とは異なり、小切手はいつでも現金化できます。逆に、有効期限は一年と決まっており、一年以内に現金化しないと無効となるのが小切手の特徴です。

第三者が支払うのが為替手形で、振出人が自分で支払うのが約束手形

為替手形と約束手形は、共に金銭の支払いを約束する有価証券だという点は同じです。異なるのはそれぞれの支払い方法で、為替手形は振出人が第三者に支払いを依頼するもので、受取人はその第三者から金銭を受け取ります。

一方、約束手形は振出人が将来的に自分自身が支払うことを約束するものです。受取人は振出人から直接金銭を受け取ることになり、つまり為替手形は第三者の介在が必要ですが、約束手形は直接的な取引だと言えるでしょう。

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雑学

簡単でわかりやすい!為替手形と約束手形の違いは?手形取引のメリットや小切手との違いも雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは為替手形と約束手形の違いについてです。どちらもお金のやり取りで使われる書類のことですが、「振出」「裏書」などという言葉遣いは専門的かつ独特なところもあり、根拠法となる法律をチェックしてもゼロから理解するのはなかなか難しい。
簡単に言えば、どちらも「後でお金を払うことを約束する書類」なんです。この点をポイントにしながら、できるだけ噛み砕いて雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

為替手形と約束手形の違いをざっくり解説

まず最初に、為替手形と約束手形の違いについてざっくり説明しましょう。まず、為替手形と約束手形はどちらも金銭の支払いを約束する有価証券である点は共通しています。

ちなみに有価証券とは、財産的価値のある権利を表す証券であって、簡単に言えば「お金と同じ価値がある書類」です。例としては株券や債券、小切手などが挙げられるでしょう。そして為替手形は三者間で利用され、約束手形は二者間で利用されるのが大きな違いです。以下で詳しく解説しましょう。

為替手形:第三者がお金の支払いを約束する書類

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為替手形とは、金銭の支払いを約束する有価証券の一種です。具体的には、ある人が別の人に商品やサービスを売ったときに、その代金を第三者に支払わせることができる書類だと考えてください。

この場合の第三者は、最初に商品を買った人に対して借金などがあるケースがほとんどです。つまり、借金返済のかわりに、最初に商品を買った人が払うべき代金を肩代わりする形だと考えてください。

為替手形を使うと、現金の輸送や振込みにかかる時間や費用を節約できるため、遠隔地で行われる取引で利用されます。第三者が支払いの責任を引き受けることで、代金が確実に支払われるようにするという信用リスク回避の効果も期待できるでしょう。ただし、近年は使われる機会が少なくなっています。

約束手形:特定の人がお金の支払いを約束する書類

為替手形と似ているものに約束手形があります。約束手形も金銭の支払いを約束する有価証券という点は同じです。が、その支払い方法には大きな違いがあり、約束手形は為替手形と異なり「第三者」にお金を支払わせるものではありません。

約束手形は、ある人が自分で商品やサービスを買った際、「あとで代金を支払う」ことを約束する書類です。だから「約束手形」というのだと考えるといいでしょう。あくまでも、商品やサービスに対する代金を支払うのは、購入した本人です。

一方で、これは為替手形にも共通することですが、約束手形は「裏書」と言う手続きを経ることで金銭の受取人が変わることもあります。

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