今回のテーマははやぶさとはやての違いについてです。どちらも日本国内では最高クラスの速度を誇る新幹線で、日本の鉄道技術の粋を集めたと言ってもいいでしょう。特徴的な先頭車両のフォルムは、一度見たら忘れられないな。
ですが、はやぶさとはやては全く同じわけではない。はやぶさの方が後からできただけあって、性能や設備は遥かに優れていると言えるでしょう。雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

はやぶさとはやての違いをざっくり解説

まず最初に、はやぶさとはやての違いについてざっくり説明します。はやぶさとはやてはどちらも同じ路線を走る北海道新幹線の列車です。しかし運行区間や車両・座席の種類などに違いがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

はやぶさ:国内最高速度の新幹線

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まず、はやぶさは東京~新函館北斗を結ぶ新幹線で、国内最高速度である時速320キロで走行します。「はやぶさ」という名前は、かつて九州を走っていた寝台特急の名前を引き継いだものです。

最近は寝台特急そのものがどんどんなくなりつつあり、その時代の流れで寝台特急はやぶさも2009年に廃止されましたが、2011年に東北・北海道新幹線の最速列車として復活しました。

さらに、詳しくは後述しますが、はやぶさはE5系やH5系という最新の車両を使用しており、先頭部分が長く伸びているのが特徴です。これはトンネル内で発生する音を低減するために設計されたもので、はやぶさにはこのように最新の設備が搭載されています。

はやて:「はやぶさ」の補完的な位置づけの新幹線

一方のはやては最高速度が時速275キロと、はやぶさよりもやや劣ります。しかし、それでも十分に速いですし、はやてもE5系という最新型車両を使用している点が特徴的です。はやぶさとは、外観や内装のデザイン・色などが異なっています。

はやてという名前の由来は、「速い」や「風」を意味する言葉から選ばれました。漢字一文字で書く「颯(はやて)」という言葉には、疾風や急に吹く強い風などの意味もあります。

2002年に東北新幹線の八戸延伸に合わせて登場しましたが、はやぶさ登場以降は、補完的な役割となりました。はやぶさはグリーン車と普通車の間にグランクラスがあるため、はやぶさの車両数は10両ですが、はやての車両数は8両です。

\次のページで「違いその1.運行区間」を解説!/

違いその1.運行区間

ここまでで、はやぶさとはやての特徴と違いをざっくり見てきました。はやぶさは日本最高速度の新幹線で、はやてもかつてはその位置づけだったものの、現在は補完的な役割になっていることが分かったでしょう。次は、双方の運行区間の違いを解説します。

はやぶさ:東京駅~新函館北斗駅間を結ぶ

先にも少し触れましたが、はやぶさは東京駅~新函館北斗間を結ぶ新幹線で、この区間は約820キロメートルあります。しかしはやぶさは最高速度320キロメートルで走行するため、所要時間は約4時間です。まさしく国内最高速度の新幹線と言えるでしょう。

もしもこの区間を他の新幹線で走行すれば、もっと時間がかかります。たとえば、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」は最高速度300キロメートルで走りますので、この区間を走るとしたら約4時間半かかるでしょう。

さらに、東海道・山陽新幹線の「ひかり」は最高速度270キロメートルで走りますので、同じく東京駅~新函館北斗駅間を走れば約5時間かかる計算になります。

はやて:盛岡駅・新青森駅~新函館北斗駅間を結ぶ

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一方のはやては、先述の通り盛岡駅・新青森駅~新函館北斗駅間を結ぶ新幹線です。本州と北海道を結んでいるという点は同じですが、この区間の距離ははやぶさよりも少し短い約500キロメートル。これをはやては最高速度275キロメートルで走行するため、所要時間は約3時間半となるでしょう。

この区間を他の新幹線で走ったらどうなるか、前記のはやぶさと同じように例を挙げて比較してみます。「のぞみ」は最高速度300キロメートルなので約4時間、「ひかり」は最高速度270キロメートルなので約4時間半です。

こうして見ていくと、はやぶさに劣るとはいえ、はやてもスピードについては十分に頼りになる新幹線だと言えるでしょう。

違いその2.車両

ここまでで、はやぶさとはやての運行区間の違いを解説しました。次に、はやぶさとはやての車両の違いを見ていきましょう。はやぶさはE5系またはH5系という車両を使用しており、先頭部分が流線型になっています。一方のはやてはE5系を使用しており、先頭部分が角ばっているのが特徴です。これによって外観だけでなく、性能や快適性にも違いが出てきます。

はやぶさ:E5系とH5系を使用

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はやぶさの車両はE5系やH5系という最新の車両を使用しています。E5およびびH5は新幹線の車両形式を表す記号で、E5は東日本旅客鉄道(JR東日本)が所有する車両のこと、そしてH5は北海道旅客鉄道(JR北海道)が所有する車両のことです。

つまりEとHは、それぞれ東北新幹線と北海道新幹線の頭文字を表しています。5は、新幹線の車両形式の通し番号です。

以上のE5系・H5系は、先頭部分が鳥のくちばしのように長く伸びています。これは空気抵抗を減らしてトンネル内で発生する音を低減するために設計されました。また、高速運転時にも乗り心地の快適さを確保するため、カーブでの傾きを改善する車体傾斜装置が設けられています。

\次のページで「はやて:E5系のみ使用」を解説!/

はやて:E5系のみ使用

一方、はやての車両はE5系車両を使っている点ははやぶさと同じですが、H5系は使われていません。先頭部分が鳥のくちばしのように長く伸びていることや、フルアクティブサスペンション・車体傾斜装置などの先進的な技術が採用されている点は、はやぶさと同様です。

もう少しE5系の特徴を説明しましょう。E5系の内装の特徴は、ピロー付きのシートやカップホルダーなどが備えられていることです。リクライニングも可能なので快適な乗り心地で過ごせるでしょう。

また、女性専用サニタリー空間や多目的室なども設置されているほか、Wi-Fiや電源コンセントが利用可能で、パソコンやスマートフォンなどの機器を使って乗車中に仕事や作業を行えます。

違いその3.座席

ここまでで、はやぶさとはやての車両の違いを解説しました。はやぶさにはE5系・H5系の双方が使われており、一方のはやてにはE5系のみが使われていることが分かりましたね。次に、はやぶさとはやての座席の違いを見ていきましょう。最も特徴的なのは、はやぶさにはグランクラスという最高級の座席が備わっている点です。

はやぶさ:最高級の座席「グランクラス」がある

はやぶさには「グランクラス」が存在します。グランクラスとは、いわば飛行機のファーストクラスにあたる最高級の座席です。広くて快適なシートや専用のアテンダントなど、特別なサービスが受けることができます。

グランクラスは、本革シートやウールの絨毯などの上質な素材を採用した居心地のよい空間となっており、リクライニング角度45度のオール電動式シートにより最適なポジションでゆったり過ごすことが可能です。

また、各シートには電源コンセントや読書灯なども備えられおり、まるでホテルの部屋にいるような環境だと言えます。グランクラスを利用するには、通常の指定席料金に加えて東京~新函館北斗間で一万円の加算料金が必要です。

はやて:グリーン車・普通車両が利用可能

一方、はやてにはグランクラスは存在せず、従来のグリーン車や普通車両を使用することになります。いずれもはやぶさのグランクラスには劣るものの十分に快適で、普通車でも、先述した通りピロー付きのシートやカップホルダーなどが利用可能です。

またリクライニング機能も備わっているほか、荷物置場もあるので、新幹線での移動にあたり大きな手荷物を持っている人も安心して利用できるでしょう。

はやては9号車がグリーン車で、1号車から8号車が普通車です。普通車には他の新幹線と同様に自由席もあり、利用する座席によって切符を購入しましょう。はやぶさもはやても、いずれも一定レベルかそれ以上の快適さが確保されていると言えます。

はやぶさは国内最速新幹線、はやてはその補完的な位置づけ

はやぶさとはやては本州と北海道を結ぶ新幹線です。しかし運行区間や車両などが異なっています。まず、はやぶさは東京~新函館北斗間を最高速度320キロメートルで走る国内最速の新幹線です。E5系やH5系という最新の車両を使用しており、グランクラスという特別な座席もあります。

一方、盛岡・新青森~新函館北斗間を結ぶはやては最高速度275キロメートルです。E5系のみを使用しておりグランクラスはなく、はやぶさの補完的なポジションと言えるでしょう。

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簡単でわかりやすい!はやぶさとはやての違いは?運行区間や車両・座席も雑学好きライターが詳しく解説

違いその1.運行区間

ここまでで、はやぶさとはやての特徴と違いをざっくり見てきました。はやぶさは日本最高速度の新幹線で、はやてもかつてはその位置づけだったものの、現在は補完的な役割になっていることが分かったでしょう。次は、双方の運行区間の違いを解説します。

はやぶさ:東京駅~新函館北斗駅間を結ぶ

先にも少し触れましたが、はやぶさは東京駅~新函館北斗間を結ぶ新幹線で、この区間は約820キロメートルあります。しかしはやぶさは最高速度320キロメートルで走行するため、所要時間は約4時間です。まさしく国内最高速度の新幹線と言えるでしょう。

もしもこの区間を他の新幹線で走行すれば、もっと時間がかかります。たとえば、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」は最高速度300キロメートルで走りますので、この区間を走るとしたら約4時間半かかるでしょう。

さらに、東海道・山陽新幹線の「ひかり」は最高速度270キロメートルで走りますので、同じく東京駅~新函館北斗駅間を走れば約5時間かかる計算になります。

はやて:盛岡駅・新青森駅~新函館北斗駅間を結ぶ

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一方のはやては、先述の通り盛岡駅・新青森駅~新函館北斗駅間を結ぶ新幹線です。本州と北海道を結んでいるという点は同じですが、この区間の距離ははやぶさよりも少し短い約500キロメートル。これをはやては最高速度275キロメートルで走行するため、所要時間は約3時間半となるでしょう。

この区間を他の新幹線で走ったらどうなるか、前記のはやぶさと同じように例を挙げて比較してみます。「のぞみ」は最高速度300キロメートルなので約4時間、「ひかり」は最高速度270キロメートルなので約4時間半です。

こうして見ていくと、はやぶさに劣るとはいえ、はやてもスピードについては十分に頼りになる新幹線だと言えるでしょう。

違いその2.車両

ここまでで、はやぶさとはやての運行区間の違いを解説しました。次に、はやぶさとはやての車両の違いを見ていきましょう。はやぶさはE5系またはH5系という車両を使用しており、先頭部分が流線型になっています。一方のはやてはE5系を使用しており、先頭部分が角ばっているのが特徴です。これによって外観だけでなく、性能や快適性にも違いが出てきます。

はやぶさ:E5系とH5系を使用

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はやぶさの車両はE5系やH5系という最新の車両を使用しています。E5およびびH5は新幹線の車両形式を表す記号で、E5は東日本旅客鉄道(JR東日本)が所有する車両のこと、そしてH5は北海道旅客鉄道(JR北海道)が所有する車両のことです。

つまりEとHは、それぞれ東北新幹線と北海道新幹線の頭文字を表しています。5は、新幹線の車両形式の通し番号です。

以上のE5系・H5系は、先頭部分が鳥のくちばしのように長く伸びています。これは空気抵抗を減らしてトンネル内で発生する音を低減するために設計されました。また、高速運転時にも乗り心地の快適さを確保するため、カーブでの傾きを改善する車体傾斜装置が設けられています。

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