今回のテーマは加療と治療の違いについてです。治療という言葉は誰でも知っていると思うが、加療というのは初めて耳にする人もいるかも知れない。それもそのはずで、加療という言葉は治療の一種で、概念としては比較的新しいと言えるんです。
治療が病気やケガを治すのに対し、加療は、完治が見込めない患者のケアや苦痛の軽減を目指す。両者の違いと関係について、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

加療と治療の違いをざっくり解説

まず最初に、加療と治療の違いについてざっくり説明します。どちらも医療行為にあたりますが、目的や方法は異なっており、加療は症状の軽減や管理をめざす行為です。そして治療は病気やケガを治す行為を指すものと考えて下さい。

加療:症状の軽減や管理をめざす

image by iStockphoto

まず「加療」とは、症状の軽減や管理をめざす長期的な処置を指します。高血圧や糖尿病などの慢性疾患や、精神疾患などに対して使われることが多いです。加療は、病気などを完全に治すことではなく、患者の生活の質を向上させることが目標だと言えるでしょう。

加療は、医師や薬剤師などの専門家によって行われます。方法としては薬物療法や物理療法などがあり、薬物療法では薬を服用したり注射したりして、症状を抑えたり予防することになるでしょう。

また物理療法では、マッサージや運動などで身体の機能を回復・改善させることになります。こうした加療は一度始めると終わりがないことも珍しくなく、そのため、定期的な受診や検査が必須となるでしょう。

治療:病気やケガを治す

次に「治療」とは病気やケガを治すことを目的とするもので、一時的な処置を指します。風邪やインフルエンザなどの感染症、骨折や切り傷などの外傷などで行われることが多いです。治療の目的は、体の不調を完治させることや回復を早めることだと言えるでしょう。

治療も、医師や薬剤師などの専門家によって行われます。具体的には手術や投薬などの方法が考えられるでしょう。手術ではメスやレーザーなどで異常な部分を取り除いたり修復したりします。また投薬では、薬を服用するなどして細菌やウイルスなどを殺す措置が典型的です。

このようにして行われる治療は一定期間で終了することがほとんどで、そのかわり、患者は医師から指示された期間や回数で受診したり検査したりしなければなりません。

加療と治療の具体例は?

ここまでで、加療と治療の違いを解説しました。次に、加療と治療の具体例を見ていきましょう。加療の具体例としては、末期疾患に対する緩和ケアや、慢性的な痛みや不眠などの対処法などが挙げられます。治療の例としては、外傷への手術や、感染症への抗生物質の投与などが考えられるでしょう。

加療:末期疾患に対する緩和ケアなど

「加療」の具体例として考えられるのが、末期疾患に対する緩和ケアです。緩和ケアとは、完全に治すことが難しいか不可能な病気に対して、苦痛や不安を和らげたり、生活の質を高めたりすることを目的とした措置のことを指します。

こうした緩和ケアの適用対象としては、がんやエイズなどの末期疾患が挙げられるでしょう。それ以外にも、難治性の神経疾患や心不全などの慢性進行性の疾患もそうです。これらの症状について、薬物療法や心理的支援などの方法で、身体的・精神的な苦しみの軽減をはかることになります。

緩和ケアは在宅で受けることも可能です。よって実際の現場では、家族やボランティアなどの関係者が協力して行うこともあります。

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治療:外傷への手術など

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一方「治療」の具体例として考えられるのが、外傷への手術などです。例えば手術や放射線治療などの侵襲的な方法で患部を切除したり、殺菌したりするなどが挙げられるでしょう。また、病気を治すために抗生物質や解熱剤などの薬を服用することも治療のうちに入ります。

さらに幅広く捉えると、マッサージや鍼灸などの物理的な刺激で血行を改善したり、筋肉や神経をほぐしたりすることも治療の一種と言えるでしょう。こうした治療行為は、外科ではなく整骨院などで行われます。

さらにメンタル面での治療として、カウンセリングや心理療法などで心身のバランスを整えたり、ストレスを軽減するものも含まれると言えるでしょう。

加療と治療の目的は?

ここまでで、加療と治療の具体例を解説しました。次に、加療と治療は何を目指して行われるものなのか、その目的を見ていきましょう。

まず加療の目的はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上です。QOLとは生活の質や満足度を表す指標であり、加療によって患者の苦しみや不安を軽減することでQOLを高めます。一方、治療の目的は健康の回復です。患者の身体的な問題を解決することで健康を取り戻します。

加療:QOLの向上

加療が目的とするのは「QOL」の向上で、QOLとはクオリティ・オブ・ライフの略で、人生や生活の質を表す指標です。治療が身体的な健康とそれによる幸福を目的とするのに対し、加療は身体の健康状態はともかくとして、直接に患者の幸福度の向上を目的とすると言えるでしょう。

QOLは1970年代以降に注目されるようになった概念で、もとは健康関連の概念でしたが、それ以外にも拡張して解釈されるようになりました。健康に関するQOLは健康関連QOL(HRQOL)ということもあります。

よって加療には、機能訓練やリハビリテーショを行うことで日常生活動作(ADL)や社会参加(IADL)の能力を回復させることなども含まれるでしょう。

治療:健康の回復

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一方、治療が目的とするのは健康の回復です。例えば、糖尿病や高血圧などの慢性疾患であれば、血糖値や血圧を正常な範囲に保って合併症や臓器障害を予防し、健康な生活を送ることを目的として治療が行われます。

癌や感染症などの急性疾患の場合は、腫瘍や菌などの異物を除去したり、免疫力を高めたりする治療が行われるでしょう。そうして正常な細胞や組織の機能を回復させ、健康な状態に戻すことを目的とするのです。

そして骨折や脳卒中などの外傷や障害の場合は、損傷した部位を修復したりすることで身体的な能力や活動性を回復させ、健康な生活を取り戻すことを目的として治療が行われます。また、鬱病や不安障害など精神的な問題にもこれは当てはまるでしょう。

\次のページで「加療と治療の法律上の扱いは?」を解説!/

加療と治療の法律上の扱いは?

ここまでで、加療と治療の目的を解説しました。次に、加療と治療の法律上の扱いを見ていきましょう。加療は法律では定義されていないため、医師や患者が自由に判断できる範囲内で行われます。一方、治療は医師法によって規定されており、医師免許が必要です。

加療:法律では定義されていない

ここまで述べた通り、「加療」は症状の軽減や管理をめざす長期的な治療のことを指しますが、この概念は法律で厳密には定義されておらず、医師や患者の間で使われる一般的な用語だと考えて下さい。

ただし、加療には薬物療法や物理療法などの方法がありますので、それらについては医師法や薬事法などの関連法規に従う必要があります。加療は治療の一種であると言っていいでしょう。

また、法的な制限などはないとはいえ、加療は医師と患者の信頼関係に基づいて行われる必要があります。加療を受けるかどうかは、その内容や目的、効果や副作用、費用や期間などを患者に十分に説明しなければなりません。

治療:医師免許が必要

一方、治療行為全般は、国家試験に合格して医師免許を取得した人だけが行えます。また加療もそうです。加療は治療行為の一種なので、他にも投薬を行う場合は薬事法の関連法規にも従わなければなりません。

ただ、例えば医師免許を持たない柔道整復師が接骨院などで治療行為を行うのは、医師免許を持つ医師が行う狭い意味での治療ではありませんが、もっと広い意味で「治療」と呼ばれることもあります。

よって整理すると、加療は治療の一種です。それは、法律的には医師免許を取得している医師によって行われますが、一般的には、医師以外の人が傷病に対して「手当て」などを行うことも「治療」と呼ぶことがあります。

加療は症状の軽減や管理を、治療は症状の完治をめざす

病気やケガを完全に治すために、医師から手術や投薬などを受けるのが「治療」です。一方、完治が見込まれないような病気やケガについて、症状をできるだけ軽減できるようコントロールするのが「加療」だと言えるでしょう。

加療は、例えば高齢者がガンにかかって体力的に手術が難しい場合に、ガンを治すのではなく症状を軽減するための処置などが当てはまります。なお、加療という名称は全般的な治療行為の一種です。

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雑学

簡単でわかりやすい!加療と治療の違いは?具体例や目的も雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは加療と治療の違いについてです。治療という言葉は誰でも知っていると思うが、加療というのは初めて耳にする人もいるかも知れない。それもそのはずで、加療という言葉は治療の一種で、概念としては比較的新しいと言えるんです。
治療が病気やケガを治すのに対し、加療は、完治が見込めない患者のケアや苦痛の軽減を目指す。両者の違いと関係について、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

加療と治療の違いをざっくり解説

まず最初に、加療と治療の違いについてざっくり説明します。どちらも医療行為にあたりますが、目的や方法は異なっており、加療は症状の軽減や管理をめざす行為です。そして治療は病気やケガを治す行為を指すものと考えて下さい。

加療:症状の軽減や管理をめざす

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まず「加療」とは、症状の軽減や管理をめざす長期的な処置を指します。高血圧や糖尿病などの慢性疾患や、精神疾患などに対して使われることが多いです。加療は、病気などを完全に治すことではなく、患者の生活の質を向上させることが目標だと言えるでしょう。

加療は、医師や薬剤師などの専門家によって行われます。方法としては薬物療法や物理療法などがあり、薬物療法では薬を服用したり注射したりして、症状を抑えたり予防することになるでしょう。

また物理療法では、マッサージや運動などで身体の機能を回復・改善させることになります。こうした加療は一度始めると終わりがないことも珍しくなく、そのため、定期的な受診や検査が必須となるでしょう。

治療:病気やケガを治す

次に「治療」とは病気やケガを治すことを目的とするもので、一時的な処置を指します。風邪やインフルエンザなどの感染症、骨折や切り傷などの外傷などで行われることが多いです。治療の目的は、体の不調を完治させることや回復を早めることだと言えるでしょう。

治療も、医師や薬剤師などの専門家によって行われます。具体的には手術や投薬などの方法が考えられるでしょう。手術ではメスやレーザーなどで異常な部分を取り除いたり修復したりします。また投薬では、薬を服用するなどして細菌やウイルスなどを殺す措置が典型的です。

このようにして行われる治療は一定期間で終了することがほとんどで、そのかわり、患者は医師から指示された期間や回数で受診したり検査したりしなければなりません。

加療と治療の具体例は?

ここまでで、加療と治療の違いを解説しました。次に、加療と治療の具体例を見ていきましょう。加療の具体例としては、末期疾患に対する緩和ケアや、慢性的な痛みや不眠などの対処法などが挙げられます。治療の例としては、外傷への手術や、感染症への抗生物質の投与などが考えられるでしょう。

加療:末期疾患に対する緩和ケアなど

「加療」の具体例として考えられるのが、末期疾患に対する緩和ケアです。緩和ケアとは、完全に治すことが難しいか不可能な病気に対して、苦痛や不安を和らげたり、生活の質を高めたりすることを目的とした措置のことを指します。

こうした緩和ケアの適用対象としては、がんやエイズなどの末期疾患が挙げられるでしょう。それ以外にも、難治性の神経疾患や心不全などの慢性進行性の疾患もそうです。これらの症状について、薬物療法や心理的支援などの方法で、身体的・精神的な苦しみの軽減をはかることになります。

緩和ケアは在宅で受けることも可能です。よって実際の現場では、家族やボランティアなどの関係者が協力して行うこともあります。

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