今回のテーマは昼顔と朝顔の違いについてです。どちらも我々にとってなじみ深い植物です。名前・形状・花の形など、何から何までそっくりな昼顔と朝顔ですが、実は細かく見ていくと共通点は意外と少ない。
また、植物のことを深く理解するなら、学問的な相違点だけではなく人間の文化との関係もチェックしておきたい。よって「花言葉」のことも取り上げながら、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

昼顔と朝顔の違いをざっくり解説

まず最初に、昼顔と朝顔の違いについてざっくり説明します。昼顔と朝顔はどちらもヒルガオ科の花です。しかし、咲く時間や生育期間に違いがあります。少し具体的に言えば、昼顔は朝から夕方まで咲き続ける多年草であり、朝顔は早朝に咲いて昼にしぼむ一年草です。こうした違いや共通点などをまずは確認していきましょう。

昼顔:朝から夕方まで咲き続ける多年草

image by iStockphoto

昼顔は、朝から夕方まで咲き続ける多年草で、日本やヨーロッパ、アジア太平洋諸島などを原産地とするつる性植物です。花は小ぶりでピンク色で、花びらの中央に放射状の筋があり、これを「曜」と呼びます。

花言葉は「絆」「友達のよしみ」「優しい愛情」といったものが与えられていますが、一方で「情事」というニュアンスがあるのも見逃せません。昼顔は日本の自然に溶け込んだ美しい花ですが、裏切りや秘密といったイメージもつきまとっています。

ちなみに昼顔は、地上に出ている葉や花は毎年枯れますが、地下茎で増殖しやすく生命力が非常に強い点が特徴です。よって、駆除が難しいため雑草として扱われることも少なくありません。

朝顔:早朝に咲いて昼にしぼむ一年草

一方の朝顔は、早朝に咲いて昼にしぼむ一年草で、熱帯アジアやヒマラヤ山麓などが原産地とされるつる性植物です。夏に私たちが日本国内で見かける植物の中でも、最もなじみ深いもののひとつと言えるでしょう。小学校の理科の授業では、ひまわりと並ぶ代表的な風物詩です。

実際、朝顔は日本で最も発達した園芸植物で、江戸時代から品種改良が盛んに行われてきました。その結果、花弁が細かく切れたり、反り返ったりする「変化朝顔」や、花径が大きくなる「大輪朝顔」など、さまざまな形態の朝顔が生まれたのです。

そんな朝顔の花は青や紫など多彩で、その大きさは10センチ以上に及びます。花びらの中央に「曜」と呼ばれる放射状の筋があるのは昼顔と同じです。

昼顔と朝顔の科と属は?

ここまでで、昼顔と朝顔の概要をざっくり解説しました。次に、昼顔と朝顔の科と属について見ていきましょう。まず、昼顔はヒルガオ科ヒルガオ属に属する花であり、学名はIpomoeanilです。そして朝顔は、同じヒルガオ科ではありますがサツマイモ属に属しており、よって学名もIpomoeapurpureaとなります。

\次のページで「昼顔:ヒルガオ科ヒルガオ属」を解説!/

昼顔:ヒルガオ科ヒルガオ属

昼顔はヒルガオ科ヒルガオ属に属しています。同じヒルガオ属の植物は他にもいくつかあり、例えば、ヒルガオやハマヒルガオ、ノウゼンカズラなどが挙げられるでしょう。世界に25種存在するヒルガオ属の植物は、その半数がカリフォルニア州の固有種です。

ハマヒルガオは、海岸に自生するつる性の植物で、淡紅色で4〜5センチの花を咲かせます。塩分に強いのが特徴です。またノウゼンカズラは、赤や黄色や白などの色があり、花びらが五枚あり星形になっています。

ちなみにノウゼンカズラをはじめとする昼顔系の植物の多くは有毒植物です。食べたり触ったりすると、アルカロイドによって吐き気や下痢や皮膚炎などの症状が出ることがあります。

朝顔:ヒルガオ科サツマイモ属

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次に、朝顔はヒルガオ科サツマイモ属に属しています。日本の固有種ではなく、もともとは奈良時代に中国から渡来して薬草として用いられていました。よって日本朝顔、西洋朝顔、朝鮮朝顔などがあります。

また、ヒルガオ科サツマイモ属に属する植物では、ハナビシソウやサツマイモ、クウシンサイ(空心菜)などが挙げられるでしょう。ハナビシソウは花が星形になっていて、白やピンクや紫などの色があるなど朝顔とは多くの共通点があります。

また、サツマイモやクウシンサイなど、野菜として食べることができる植物も多いです。サツマイモは言うまでもありませんが、クウシンサイも近年、中華料理などでも頻繁に使われるようになってきました。

昼顔と朝顔の花の色と大きさは?

ここまでで、昼顔と朝顔の科と属を解説しました。次に、昼顔と朝顔の花の色と大きさを見ていきましょう。まず昼顔の花は淡いピンク色で、直径は約5~6センチです。一方、朝顔の花はさまざまな色があり直径も約10~15センチと大きく、双方の違いはこうした点にも見ることができます。

昼顔:淡いピンク色で5~6センチ

昼顔の花は淡いピンク色で、紫外線を反射して花びらを傷めないようになっています。先述した「曜」の数は、品種によって異なりますが一般的には5本とされており、また花の大きさは5~6センチと小ぶりです。朝顔よりもかわいらしいサイズと言えるでしょう。葉は厚く表面がざらついており、これによって水分の蒸散を抑えることができるという特徴があります。

朝顔:さまざまな色があり10~15センチ

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朝顔の花の色は青・紫・赤・白・複色などさまざまで、よって私たちも、自分の好みの色のものを選ぶことが可能です。花の大きさは10~15センチと大きく、品種改良されたものでは20センチ以上に及ぶものもあります。

\次のページで「昼顔と朝顔の花言葉は?」を解説!/

昼顔と朝顔の花言葉は?

ここまでで、昼顔と朝顔の花の色と大きさを解説しました。最後に、昼顔と朝顔のそれぞれの花言葉を見ていきましょう。花言葉には花に対する人間の感性が凝縮されています。ここまで説明した科や属、花の色や大きさなどの特徴が、人間の文化の中でどう解釈され位置づけられてきたのかが、花言葉を通して見えてくることでしょう。

昼顔の花言葉は「優しい愛情」「情事」で、朝顔は「愛情」「明日もさわやか」です。これらの花言葉は、どのような解釈を経て与えられたのでしょうか。

昼顔:「優しい愛情」「情事」

昼顔の花言葉は「優しい愛情」「情事」などです。「優しい愛情」という言葉は、昼顔の花が淡いピンク色で優しげに見えることが由来でしょう。

また、昼顔は自分だけでは実ることができない植物で、他の株の花粉を必要とする異株受粉という形で種子を作らなければなりません。その意味でも、他人の愛を必要とする植物なのだと言えます。

ただ「情事」という花言葉はその裏返しでしょう。つる性植物特有の、つるが絡みつくさまから連想したと思われます。少し前に昼顔をテーマとした不倫ドラマが人気になったこともあり、あまり良いイメージの花とは言えないかも知れません。

朝顔:「愛情」「明日もさわやか」

一方、朝顔の花言葉は「愛情」「明日もさわやか」「結束」などで、昼顔よりもポジティブなニュアンスが強いと言えるでしょう。朝顔もまた、昼顔と同じ異株受粉によって種子を作る植物なので、「愛情」が与えられるのは納得できます。

また「結束」は、やはり昼顔と同じく、つる性植物特有の、つるが絡みつくさまから連想したものでしょう。昼顔はそれが情事や不倫というイメージになるのとは反対に、朝顔は絆や結びつきというイメージになっています。

「明日もさわやか」という花言葉は、朝顔の花が早朝に清々しく咲くことが由来です。朝顔は暑さや乾燥に強いこともあり、明日への希望や前向きな気持ちを表しているのでしょう。

昼顔と朝顔は咲く時間帯・花の色・大きさなどが異なる

昼顔と朝顔は、形がとてもよく似ています。実際どちらもヒルガオ科のつる性植物という点は共通しており、親戚同士と言えるでしょう。しかし昼顔は朝~夕方に咲き朝顔は早朝~昼間に咲くという点や、昼顔の花の色はピンクのみですが朝顔にはさまざまな色の種類があるなど、違う点の方が多いです。

また、朝顔の方が古典文学作品に登場したり、江戸時代から品種改良が行われたりするなど、日本文化との関わりも深いと言えるでしょう。

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簡単でわかりやすい!昼顔と朝顔の違いは?色や大きさ・花言葉も雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは昼顔と朝顔の違いについてです。どちらも我々にとってなじみ深い植物です。名前・形状・花の形など、何から何までそっくりな昼顔と朝顔ですが、実は細かく見ていくと共通点は意外と少ない。
また、植物のことを深く理解するなら、学問的な相違点だけではなく人間の文化との関係もチェックしておきたい。よって「花言葉」のことも取り上げながら、雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

昼顔と朝顔の違いをざっくり解説

まず最初に、昼顔と朝顔の違いについてざっくり説明します。昼顔と朝顔はどちらもヒルガオ科の花です。しかし、咲く時間や生育期間に違いがあります。少し具体的に言えば、昼顔は朝から夕方まで咲き続ける多年草であり、朝顔は早朝に咲いて昼にしぼむ一年草です。こうした違いや共通点などをまずは確認していきましょう。

昼顔:朝から夕方まで咲き続ける多年草

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昼顔は、朝から夕方まで咲き続ける多年草で、日本やヨーロッパ、アジア太平洋諸島などを原産地とするつる性植物です。花は小ぶりでピンク色で、花びらの中央に放射状の筋があり、これを「曜」と呼びます。

花言葉は「絆」「友達のよしみ」「優しい愛情」といったものが与えられていますが、一方で「情事」というニュアンスがあるのも見逃せません。昼顔は日本の自然に溶け込んだ美しい花ですが、裏切りや秘密といったイメージもつきまとっています。

ちなみに昼顔は、地上に出ている葉や花は毎年枯れますが、地下茎で増殖しやすく生命力が非常に強い点が特徴です。よって、駆除が難しいため雑草として扱われることも少なくありません。

朝顔:早朝に咲いて昼にしぼむ一年草

一方の朝顔は、早朝に咲いて昼にしぼむ一年草で、熱帯アジアやヒマラヤ山麓などが原産地とされるつる性植物です。夏に私たちが日本国内で見かける植物の中でも、最もなじみ深いもののひとつと言えるでしょう。小学校の理科の授業では、ひまわりと並ぶ代表的な風物詩です。

実際、朝顔は日本で最も発達した園芸植物で、江戸時代から品種改良が盛んに行われてきました。その結果、花弁が細かく切れたり、反り返ったりする「変化朝顔」や、花径が大きくなる「大輪朝顔」など、さまざまな形態の朝顔が生まれたのです。

そんな朝顔の花は青や紫など多彩で、その大きさは10センチ以上に及びます。花びらの中央に「曜」と呼ばれる放射状の筋があるのは昼顔と同じです。

昼顔と朝顔の科と属は?

ここまでで、昼顔と朝顔の概要をざっくり解説しました。次に、昼顔と朝顔の科と属について見ていきましょう。まず、昼顔はヒルガオ科ヒルガオ属に属する花であり、学名はIpomoeanilです。そして朝顔は、同じヒルガオ科ではありますがサツマイモ属に属しており、よって学名もIpomoeapurpureaとなります。

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