今回のテーマはプラントベースとヴィーガンの違いについてです。野菜しか食べない「菜食主義」という言葉がありますが、日本語でひと口に菜食主義と言っても実際にはいろいろある。その一種がプラントベースとヴィーガンで、ちなみにこうした菜食主義の総称を「ベジタリアン」と言うんです。
両者はなぜ野菜をメインとした食事を採用しているのか、その理由などを雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

プラントベースとヴィーガンの違いをざっくり解説

まず最初に、プラントベースとヴィーガンの違いを説明します。両者はどちらも動物性食品を摂取しない点が共通していますが、前者は「食事法」なのに対し、後者は「主義や思想・あるいはそれを主張する人」のことです。

少し具体的に言えば、プラントベースは健康や病気の予防のために植物性食品中心の食事法を採用するものだと言えるでしょう。一方、ヴィーガンは動物愛護や環境保護のために完全菜食主義を貫くことです。

プラントベース:植物性食品中心の食事法

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プラントベースは、植物性食品中心の食事法のことを指します。植物性食品とは野菜や果物、穀物や豆類など動物由来でない食品のことですが、その目的は健康を維持したり、病気を予防することなどです。

単に植物性食品をメインとするという意味では、プラントベースはヴィーガンやベジタリアンという言葉とニュアンスが似ています。しかし、後述するようにヴィーガンは動物愛護などの理由で動物性食品を一切食べません。プラントベースは必要に応じて摂取することもあり、この点が大きく異なります。

プラントベースは、植物性食品に含まれる食物繊維やビタミンなど、現代の食生活で不足しがちな栄養素を積極的に摂取できる点がメリットです。

ヴィーガン:完全菜食主義者

一方のヴィーガンは完全菜食主義者のことで、肉や魚だけでなく、卵や乳製品などの動物性食品も一切食べません。また、革製品や毛皮などの動物由来のものも使わないのが大きな特徴です。

ヴィーガンは、動物愛護や環境保護を目的にこのような生活を送っています。つまり思想や主義主張に基づいて、「正義」を理由に植物性食品のみを食べていると言えるでしょう。

ヴィーガンにもさまざまなタイプがあり、例えばエシカルヴィーガンは動物愛護の観点から、エンバイロメントヴィーガンは環境保護の観点から、ダイエタリーヴィーガンは健康の観点からヴィーガンを実践しています。また、生きた酵素を摂るために「加熱」を行わないリビングフードヴィーガンも挙げられるでしょう。

プラントベースとヴィーガンの動物性食品との関係は?

ここまでで、プラントベースとヴィーガンの違いを解説しました。次に、プラントベースとヴィーガンは動物性食品とどのような関係にあるのかを見ていきましょう。

プラントベースはできるだけ動物性食品を食べないようにしますが、完全に食べないわけではありません。しかしヴィーガンはもっと極端で、絶対に動物性食品を食べません。肉や魚はもちろん、卵や乳製品、はちみつなどを口にすることも厳禁です。

\次のページで「プラントベース:できるだけ食べない」を解説!/

プラントベース:できるだけ食べない

プラントベースでは動物性食品をできるだけ摂取しませんが、完全に排除するわけではありません。基本的には植物由来の原材料を使用した食品を摂取する食習慣ですが、場合によっては動物性食品も食べます。

プラントベースを採用するメリットは、摂取カロリーや脂肪分を抑えられることや、美容面でプラスになる栄養素を意識的に採れることです。一方のデメリットは、植物性食品だけでは摂取しにくい栄養素があることでしょう。しかしこのデメリットについては、必要に応じて動物性食品をとるなどの柔軟な姿勢でカバーできます。

ヴィーガン:絶対に食べない

一方、完全菜食主義であるヴィーガンは、自らの信念に基づき、卵やバター、はちみつなどを含む動物性食品を摂取することを拒否します。

このような食事スタイルを採用するメリットは、結果的に体にいい植物性油を摂取することになる点や、環境に優しい点でしょう。実際、食肉加工に使われる水資源の大量消費や、飼料のための森林伐採は世界的な問題となっており、ヴィーガンはそれらの問題に対する解決策のひとつを身をもって示していると言えます。

デメリットは、摂取しにくい栄養素があることや、食品の選択肢が限られることです。また、ヴィーガン向けの食品や衣類が販売されている場所はまだ少なく、日常生活での不便さは否めません。

プラントベースとヴィーガンの目的は?

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ここまでで、プラントベースとヴィーガンは動物性食品についてどのように捉えているのかを解説しました。次に、両者は何を目的としてそのような食事を心がけているのかを見ていきましょう。

まず、プラントベースは健康や病気の予防を目的としています。野菜中心の食事そのものではなくあくまでも健康維持が目的なので、必要に応じて動物性食品を摂取することもあるのが特徴です。一方のヴィーガンは、動物愛護や環境保護を目的としているため妥協の余地はなく、動物性食品は一切食べません。

プラントベース:健康維持と病気の予防

もともとプラントベースはアメリカの栄養学者によって提唱された食事法です。健康や病気を予防し、植物性食品に含まれる栄養素や食物繊維を多く摂取することで、身体の調子を整えることを目的としています。

プラントベースを実践するメリットは、さまざまな病気の予防や改善につながることです。植物性食品にはコレステロールや脂肪が少なく、ビタミンやミネラル、抗酸化物質などが豊富に含まれています。これらの栄養素は心臓病や糖尿病、がんなどの慢性疾患のリスクを下げることが期待できるでしょう。

また、食物繊維には腸内環境を改善し、免疫力を高める効果もあります。

ヴィーガン:動物愛護や環境保護

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ヴィーガンが目的とするのは動物愛護や環境保護です。彼らは動物の権利を尊重し、動物の苦しみや環境破壊を減らすことを目指しながら活動を行っています。そうした主義主張の趣旨はともかく、ヴィーガンのような食事スタイルのメリットは、動物性食品に含まれるコレステロールや脂肪の摂取を避けられる一方で、植物性食品に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に摂れることでしょう。

また、環境に優しいライフスタイルを送りながら動物への思いやりや共感力を育むことで、精神的な満足を得ることも期待できます。

\次のページで「プラントベースとヴィーガンの注意点は?」を解説!/

プラントベースとヴィーガンの注意点は?

ここまでで、プラントベースとヴィーガンは何を目的として菜食中心の食事を採用しているのかを解説しました。次は両者の注意点を見ていきましょう。

まずプラントベースは、食事をする本人が栄養や健康に注意する必要があります。植物性食品だけではカルシウムや鉄、ビタミンB12などが不足する可能性があるからです。それはヴィーガンも同じですが、ヴィーガンの場合はその主義主張のアピール方法についても注意しなければなりません。

プラントベース:栄養や健康

プラントベースは先述の通り健康や病気の予防を目的としますが、極端に動物性食品を摂取しないと、かえって栄養面や健康面に悪影響を及ぼします。特に、動物性食品に多く含まれるビタミンB12やカルシウム、鉄分などの栄養素が不足しがちになるので、バランスの良い食事を心がけるべきでしょう。

ヴィーガン:周囲とのあつれき

ヴィーガンは完全菜食「主義」なので、その主義主張の強烈さから、周囲とのあつれきが生じることが少なくありません。ヴィーガンは動物愛護などの観点から動物性食品を一切摂らないことを選択していますが、中にはヴィーガンではない人を非難したり、破壊活動をともなう暴力的な形で自分の主義主張をアピールしようとする人もいるので注意しましょう。

プラントベースは「柔軟な」菜食主義でヴィーガンは「完全」菜食主義

プラントベースとヴィーガンは、食事において動物性食品をメインとしないという点が共通しています。両者が異なるのは、プラントベースは健康維持や病気の予防などが目的なのに対し、ヴィーガンは動物愛護・環境保護などの思想に基づいている点です。

どちらも栄養バランスが偏らないように注意が必要ですが、特にヴィーガンはその思想・主義主張の強烈さから、破壊活動に及ぶケースなどもあるという突出した注意点があります。

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簡単でわかりやすい!プラントベースとヴィーガンの違いは?動物性食品との関わり方や注意点も雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマはプラントベースとヴィーガンの違いについてです。野菜しか食べない「菜食主義」という言葉がありますが、日本語でひと口に菜食主義と言っても実際にはいろいろある。その一種がプラントベースとヴィーガンで、ちなみにこうした菜食主義の総称を「ベジタリアン」と言うんです。
両者はなぜ野菜をメインとした食事を採用しているのか、その理由などを雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

プラントベースとヴィーガンの違いをざっくり解説

まず最初に、プラントベースとヴィーガンの違いを説明します。両者はどちらも動物性食品を摂取しない点が共通していますが、前者は「食事法」なのに対し、後者は「主義や思想・あるいはそれを主張する人」のことです。

少し具体的に言えば、プラントベースは健康や病気の予防のために植物性食品中心の食事法を採用するものだと言えるでしょう。一方、ヴィーガンは動物愛護や環境保護のために完全菜食主義を貫くことです。

プラントベース:植物性食品中心の食事法

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プラントベースは、植物性食品中心の食事法のことを指します。植物性食品とは野菜や果物、穀物や豆類など動物由来でない食品のことですが、その目的は健康を維持したり、病気を予防することなどです。

単に植物性食品をメインとするという意味では、プラントベースはヴィーガンやベジタリアンという言葉とニュアンスが似ています。しかし、後述するようにヴィーガンは動物愛護などの理由で動物性食品を一切食べません。プラントベースは必要に応じて摂取することもあり、この点が大きく異なります。

プラントベースは、植物性食品に含まれる食物繊維やビタミンなど、現代の食生活で不足しがちな栄養素を積極的に摂取できる点がメリットです。

ヴィーガン:完全菜食主義者

一方のヴィーガンは完全菜食主義者のことで、肉や魚だけでなく、卵や乳製品などの動物性食品も一切食べません。また、革製品や毛皮などの動物由来のものも使わないのが大きな特徴です。

ヴィーガンは、動物愛護や環境保護を目的にこのような生活を送っています。つまり思想や主義主張に基づいて、「正義」を理由に植物性食品のみを食べていると言えるでしょう。

ヴィーガンにもさまざまなタイプがあり、例えばエシカルヴィーガンは動物愛護の観点から、エンバイロメントヴィーガンは環境保護の観点から、ダイエタリーヴィーガンは健康の観点からヴィーガンを実践しています。また、生きた酵素を摂るために「加熱」を行わないリビングフードヴィーガンも挙げられるでしょう。

プラントベースとヴィーガンの動物性食品との関係は?

ここまでで、プラントベースとヴィーガンの違いを解説しました。次に、プラントベースとヴィーガンは動物性食品とどのような関係にあるのかを見ていきましょう。

プラントベースはできるだけ動物性食品を食べないようにしますが、完全に食べないわけではありません。しかしヴィーガンはもっと極端で、絶対に動物性食品を食べません。肉や魚はもちろん、卵や乳製品、はちみつなどを口にすることも厳禁です。

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