テレビや動画の説明でインターレースやプログレッシブという言葉を聞いたことがあるか。これは画面表示や動画の方式を示す言葉です。フレームレートと共にゲームなどでの映像表示の滑らかさを表すときに使われる。ですがこの違いをちゃんと理解しているか。それぞれの違いや、どういう用途に向いているかをプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

テレビや動画のインターレースとプログレッシブとは

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テレビの画面を撮影すると目に見えていたものと違う感じになっていませんか。また、上の写真のように鉄道写真や街頭の映像広告を撮ると全体が表示さないことがありますよね。こんなことになるのは、実は映像表示は1度に全体を表示していないことがあるためです。

インターレースとは一度に全体を表示しない方式。一方、プログレッシブは一度に全体を表示する方式で、ノンインターレースとも呼びます。これは人間の目の仕組みとも関係しているのです。そんなインターレースとプログレッシブの違いを説明します。

インターレース:映像を間引いて表示する仕組み

インターレース表示とは、映像を表示する際に1度に全体を表示せずに何回かに分けて表示する方式です。テレビなどでは2回で表示します。分けると言っても上半分と下半分や、左半分と右半分といった分け方ではありません

テレビや動画などは縦横の点の集まりでできています。例えば、横1280個、横720個の点の集まりです。この時、画面の上から偶数番目の横一列と奇数番目の横一列に分けて、2回で表示するのがインターレース。1秒間に何十回も書き換えるので、2回で1回分でも人間の目には問題なく見えるのです。

プログレッシブ:映像をそのまま表示する仕組み

一方のプログレッシブは画面全体を1度で表示します。インターレースではないため、ノンインターレースとも。つまり、世の中にはインターレースとプログレッシブ(ノンインターレース)のどちらかしかありません。普通に考えるとプログレッシブだけで十分と思えます。ただ、そうはできない事情があるわけです。

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フレーム?レート?動画表示の仕組みとは?

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最近のスマホやゲーミングモニタなどの説明で120Hzや90Hzといった数字を見たことがありませんか。これらの数字は大きい方が画面表示が滑らかです。これが何を示しているのか、インターレースやプログレッシブとどう関係しているのかを説明します。

動画は静止画(フレーム)の連続

映像は縦と横の点の集まりです。スマホやテレビの画面をよく見れば、その点が見えるかも。ただし、その点が横1280個、縦720個や、横1920個、縦1080個など、とても細かい点からできています。これを1秒間に数十回書き換えながら表示するのが動画です。パラパラマンガと同じですね。

パラパラマンガの1ページはただの静止画。これを少しづつ動きを付けて描いたものをパラパラめくることで、まるで動いているように見えます。これが動画の仕組み。つまり、動画とは静止画の連続なのです。

1秒間に何コマ?フレームレートとは

動画は静止画(フレーム)の集まりを、素早く書き換えながら表示したもの。それを1秒間に何回書き換えるかをフレームレートと呼びます。このフレームレートの単位がHzです。つまり、90Hzであれば1秒間に映像を90回書き換えます。フレームレートが大きいほど映像が滑らかに動いて見えるのです。

このフレームレートも様々昔のテレビや映画は1秒間に24か30フレーム動きの速いゲームなどでは60フレーム最近のスマホやPCのゲームの中には90や120フレームなどといったものもあります。一般的には数字が大きければ大きいほど滑らかな動きです。

1回で送るか?複数に分けるか?インターレースとは

動画はフレームという静止画の集まりです。この1フレームの映像が完成しているのがプログレッシブ。一方、インターレースでは画面の横1列のうち最初のフレームで奇数番目の一列、次のフレームで偶数番目の一列のように、2フレーム使って全体を表示します。

なぜ分けるかというと、1度に全体を書き直すと大変だから。それならばフレームレートを小さくすればよいと思いますよね。ただ、人間の目は抜けている部分を適切に補う力があります。そのため、完全な絵をゆっくりしたフレームレートで表示するより、不完全な絵を素早いフレームレートで表示するほうが滑らかに見えることがあるのです。

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どちらがよい?インターレースとプログレッシブ

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ここまでインターレースとプログレッシブの仕組みの違いを説明してきました。ただ、普通に考えればプログレッシブだけで十分と思うかも。最後に、なぜインターレースが必要なのか、どのように使い分けるのかを説明します。

インターレースのメリット・デメリット

インターレースのメリットは1フレームのサイズを半分にできること。2回で1枚分の画像をつくればよいのですから、全体では半分になりますよね。テレビではテレビ局から電波を家庭に送信しています。その時に送信できるデータ量はそれほど大きくできません。そのため、人間には気にならない範囲で節約できるインターレースがよく使われます。

一方、最初の写真のように1コマ1コマは不完全な画像です。そのため、写真を撮るとうまく映らないことも。また素早く切り替えていますが、人によって不完全な映像なのでちらつきを感じることもあります。

プログレッシブのメリット・デメリット

プログレッシブとインターレースは反対の考え方ですので、メリットとデメリットも逆になります。フレームレートが上がって映像の書き換え回数が多くなればなるほど、毎回、完全な静止画を書くのは大変ですよね。逆に、一時停止した際や画面を撮影した際には常に完全な静止画が表示されているので、インターレースのようにおかしな表示になることはありません

どう使い分ける?インターレースとプログレッシブ

このようにそれぞれ向き不向きがあるのがインターレースとプログレッシブ。多くの場合、利用者の方で選択できることは少ないので、積極的に使い分ける場面は少ないです。放送では一度に送信できるデータ量に限りがあるためインターレース方式を採用しています。一方、それよりも余裕があるネット動画やゲームではプログレッシブ方式が多いです。

また、高級なテレビやレコーダーなどでは、放送のインターレース方式の画像をプログレッシブ方式に変換して表示するものもあります。これは不完全な静止画の同じフレームや前後のフレームの情報から不足部分を補って完全な静止画をつくることでプログレッシブ方式に変換。それにより、元々のプログレッシブ方式には及ばずとも、それに近いものを表示するようにしています。

テレビはインターレース、動画はプログレッシブが多い

インターレースとプログレッシブとはテレビ放送やネット動画などを表示するときの仕組みで、映像の滑らかさなどに影響します。一度に送信できるデータ量に制限がある放送ではインターレースが使われることが多いです。逆に、ネット動画などではプログレッシブが選択できるか、プログレッシブだけであるのが一般的

もちろん、処理能力やデータ量に余裕があればプログレッシブ方式の方が滑らかに表示できます。そのため、元がインターレース方式の動画をプログレッシブ方式に変換して表示する機能をもつ機器も。一般的にはインターレースでも問題ないですが、より滑らかな画像を見たい場合には、変換機能がある機器を選択することも可能です。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!インターレースとプログレッシブの違いとは?画面表示の仕組みやメリット・デメリットもプログラマーがわかりやすく解説

テレビや動画の説明でインターレースやプログレッシブという言葉を聞いたことがあるか。これは画面表示や動画の方式を示す言葉です。フレームレートと共にゲームなどでの映像表示の滑らかさを表すときに使われる。ですがこの違いをちゃんと理解しているか。それぞれの違いや、どういう用途に向いているかをプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

テレビや動画のインターレースとプログレッシブとは

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テレビの画面を撮影すると目に見えていたものと違う感じになっていませんか。また、上の写真のように鉄道写真や街頭の映像広告を撮ると全体が表示さないことがありますよね。こんなことになるのは、実は映像表示は1度に全体を表示していないことがあるためです。

インターレースとは一度に全体を表示しない方式。一方、プログレッシブは一度に全体を表示する方式で、ノンインターレースとも呼びます。これは人間の目の仕組みとも関係しているのです。そんなインターレースとプログレッシブの違いを説明します。

インターレース:映像を間引いて表示する仕組み

インターレース表示とは、映像を表示する際に1度に全体を表示せずに何回かに分けて表示する方式です。テレビなどでは2回で表示します。分けると言っても上半分と下半分や、左半分と右半分といった分け方ではありません

テレビや動画などは縦横の点の集まりでできています。例えば、横1280個、横720個の点の集まりです。この時、画面の上から偶数番目の横一列と奇数番目の横一列に分けて、2回で表示するのがインターレース。1秒間に何十回も書き換えるので、2回で1回分でも人間の目には問題なく見えるのです。

プログレッシブ:映像をそのまま表示する仕組み

一方のプログレッシブは画面全体を1度で表示します。インターレースではないため、ノンインターレースとも。つまり、世の中にはインターレースとプログレッシブ(ノンインターレース)のどちらかしかありません。普通に考えるとプログレッシブだけで十分と思えます。ただ、そうはできない事情があるわけです。

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