簡単でわかりやすい!印字と印刷の違いとは?読み方や漢字の意味も現役塾講師がわかりやすく解説
「字」は子どもを室内で育てる
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つぎに、「字」という漢字について説明しましょやう。「字」の「宀(うかんむり)」は「家」や「屋根」などを、中の「子」は見たとおり「子ども」をあらわし、「字」とは、もともとは子どもを「産む」や「育てる」といった意味でした。
そして、中国では昔、成人すると実名以外にも「あざな」という別の呼び名をつけていたのですが、成人が子どもの成長の一区切りだからか、「字」はその「あざな」の意味を持つようになったのです。
やがて、その呼び名を文字で書くことが多かったためか、古代中国の「秦」という王朝のときに「字」は「文字」を意味するものとしても使われるようになりました。一説によると「字」が「宀」と「子」からできているように、漢字にはさまざまなパーツを組み合わせて作られたものが多くあり、字(文字)というものは、子を産み育てるように増えていくということから、定着したとも言われています。
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「刷」は刃物を布できれいにする様子
今度は「印刷」の「刷」について説明しましょう。「刷」の左側については、「尸」は「おしり」、「巾」は「布」をあらわし、おしりの汚れを布で「ふきとる」ことを意味しています。右側の「りっとう」は「刀」や「刃物」をあらわしますので、「刷」という字は、もともと「刃物を布できれいにする様子」をあらわし、そこから「こすってきれいにする」意味として使われていたのです。
さきほど、印刷機なども無かった時代は「版木」を使って印刷していたと説明しましたが、具体的な使い方としては、まず「版木」に墨などをつけて、その上に紙をのせ、それをヘラやバレンなどの道具で「こする」ことで紙に版木に彫られた文字や絵柄を写しとっていました。ですから「刷」という字は「こすってきれいにする」意味に加え、「印刷」をはじめ、「こすって文字を写し取る」という意味でも使われるようになったのです。
印字と印刷が細かく使いわけられる場面とは?
さきほど、単純な言葉の違いとしては「プリントすること全般」が「印刷」で、文字や記号のみに関しては「印字」であるものの、厳密に使いわけらるシチュエーションがあることを説明しましたね。それは一体どんな場面かというと、印刷業界という専門的な分野においての話です。
たとえば何かしらの商品の箱があったとして、その箱のロゴや絵柄などのデザインは「印刷」、製造日や賞味期限などに関しては「印字」と使いわけられたりします。何が違うかというと、箱のロゴや絵柄などは一度決まれば、同じデザインを大量に刷ることができますよね。しかし、製造日や賞味期限などの文字情報はその日ごとに変えなくてはならないため、パッケージを「印刷」した箱に、後から「印字」したりするのです。
印字は文字や記号を、印刷は絵柄や画像もプリントすること!
ここまでの説明で、「印字」は字や記号を紙などの媒体にプリントすることで、「印刷」は字や記号に加え、絵柄や画像などを媒体にプリントすることだということや、印刷業界ではこれらが厳密に使いわけられたりしていることを知っていただけたかと思います。今回の説明が、みなさんの理解に少しでも役立てたなら幸いです。