この記事では「印字」と「印刷」の違いについてみていきます。どちらも、紙や物にインクを使って文字などをプリントすることに使う言葉ですが、なんとなくの意味は知っているつもりでも、その違いは何かと問われると答えに困るという人も少なくないでしょう。そこで今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「印刷」は「いんさつ」と読む!

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まずはじめに、「印刷」の読み自体についても迷ってしまうという方も少なくないようなので、その読み方をお教えしましょう。「印」は訓読みで「しるし」、音読みで「イン」と読み、「刷」は訓読みで「刷(す)る」や「刷(は)く」、音読みで「サツ」と読む字であり、「印刷」「いんさつ」と読みます。

印字と印刷のざっくりした違い

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今度は「印字」「印刷」のざっくりした違いについて説明しましょう。「印字」とは、紙などの媒体に字や記号をプリントすることを意味し、「印刷」とは、字や記号はもちろん図形やイラスト、写真や画像などを元にした原稿をプリントすることを意味します。

ただし、これらは一般的な言葉としての違いであり、場合によっては「印字」「印刷」が厳密に使いわけられるシチュエーションもあるので、今回はそのことについてもわかりやすく説明しましょう。

印字と印刷を漢字から説明

さきほど、「印字」字や記号を紙などの媒体にプリントすることで、「印刷」字や記号をはじめさまざまな画像からなる原稿を媒体にプリントすることだと説明しました。ここからは、言葉の意味について理解を深めるために、それぞれに使われている漢字に着目しながら説明していきたいと思います。

「印」は人を上から押しつけること

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まずはじめに、「印字」「印刷」の両方に使われている「印」について説明しましょう。「印」という字は、右側の形が「ひざまずいている人」を、左側の形は「下向きの手」をあらわし、上から手で人を押さえつけ、ひざまずかせている様子を元に作られたと考えられています。

そのため、「印」のもともとの意味は「おさえつける」でしたが、そこから「上から押さえてハンコを押す」意味でも使われるようになったのです。

そして、パソコンはもちろん、印刷機などもなかった時代には、まず「版木(はんき)」とよばれる板に元となる原稿を彫り、それをハンコと同じような要領で、紙に字や絵柄などをうつしていました。だからこそ、何かモノに字や絵柄などをプリントしてうつす「印字」「印刷」といった言葉に「印」が使われるのでしょう。

\次のページで「「字」は子どもを室内で育てる」を解説!/

「字」は子どもを室内で育てる

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つぎに、「字」という漢字について説明しましょやう。「字」の「宀(うかんむり)」は「家」や「屋根」などを、中の「子」は見たとおり「子ども」をあらわし、「字」とは、もともとは子どもを「産む」「育てる」といった意味でした。

そして、中国では昔、成人すると実名以外にも「あざな」という別の呼び名をつけていたのですが、成人が子どもの成長の一区切りだからか、「字」はその「あざな」の意味を持つようになったのです。

やがて、その呼び名を文字で書くことが多かったためか、古代中国の「秦」という王朝のときに「字」「文字」を意味するものとしても使われるようになりました。一説によると「字」が「宀」と「子」からできているように、漢字にはさまざまなパーツを組み合わせて作られたものが多くあり、字(文字)というものは、子を産み育てるように増えていくということから、定着したとも言われています。

「刷」は刃物を布できれいにする様子

今度は「印刷」「刷」について説明しましょう。「刷」の左側については、「尸」は「おしり」、「巾」は「布」をあらわし、おしりの汚れを布で「ふきとる」ことを意味しています。右側の「りっとう」は「刀」や「刃物」をあらわしますので、「刷」という字は、もともと「刃物を布できれいにする様子」をあらわし、そこから「こすってきれいにする」意味として使われていたのです。

さきほど、印刷機なども無かった時代は「版木」を使って印刷していたと説明しましたが、具体的な使い方としては、まず「版木」に墨などをつけて、その上に紙をのせ、それをヘラやバレンなどの道具で「こする」ことで紙に版木に彫られた文字や絵柄を写しとっていました。ですから「刷」という字は「こすってきれいにする」意味に加え、「印刷」をはじめ、「こすって文字を写し取る」という意味でも使われるようになったのです。

印字と印刷が細かく使いわけられる場面とは?

さきほど、単純な言葉の違いとしては「プリントすること全般」「印刷」で、文字や記号のみに関しては「印字」であるものの、厳密に使いわけらるシチュエーションがあることを説明しましたね。それは一体どんな場面かというと、印刷業界という専門的な分野においての話です。


たとえば何かしらの商品の箱があったとして、その箱のロゴや絵柄などのデザイン「印刷」製造日や賞味期限などに関しては「印字」と使いわけられたりします。何が違うかというと、箱のロゴや絵柄などは一度決まれば、同じデザインを大量に刷ることができますよね。しかし、製造日や賞味期限などの文字情報はその日ごとに変えなくてはならないため、パッケージを「印刷」した箱に、後から「印字」したりするのです。

印字は文字や記号を、印刷は絵柄や画像もプリントすること!

ここまでの説明で、「印字」字や記号を紙などの媒体にプリントすることで、「印刷」字や記号に加え、絵柄や画像などを媒体にプリントすることだということや、印刷業界ではこれらが厳密に使いわけられたりしていることを知っていただけたかと思います。今回の説明が、みなさんの理解に少しでも役立てたなら幸いです。

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雑学

簡単でわかりやすい!印字と印刷の違いとは?読み方や漢字の意味も現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「印字」と「印刷」の違いについてみていきます。どちらも、紙や物にインクを使って文字などをプリントすることに使う言葉ですが、なんとなくの意味は知っているつもりでも、その違いは何かと問われると答えに困るという人も少なくないでしょう。そこで今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

「印刷」は「いんさつ」と読む!

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まずはじめに、「印刷」の読み自体についても迷ってしまうという方も少なくないようなので、その読み方をお教えしましょう。「印」は訓読みで「しるし」、音読みで「イン」と読み、「刷」は訓読みで「刷(す)る」や「刷(は)く」、音読みで「サツ」と読む字であり、「印刷」「いんさつ」と読みます。

印字と印刷のざっくりした違い

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今度は「印字」「印刷」のざっくりした違いについて説明しましょう。「印字」とは、紙などの媒体に字や記号をプリントすることを意味し、「印刷」とは、字や記号はもちろん図形やイラスト、写真や画像などを元にした原稿をプリントすることを意味します。

ただし、これらは一般的な言葉としての違いであり、場合によっては「印字」「印刷」が厳密に使いわけられるシチュエーションもあるので、今回はそのことについてもわかりやすく説明しましょう。

印字と印刷を漢字から説明

さきほど、「印字」字や記号を紙などの媒体にプリントすることで、「印刷」字や記号をはじめさまざまな画像からなる原稿を媒体にプリントすることだと説明しました。ここからは、言葉の意味について理解を深めるために、それぞれに使われている漢字に着目しながら説明していきたいと思います。

「印」は人を上から押しつけること

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まずはじめに、「印字」「印刷」の両方に使われている「印」について説明しましょう。「印」という字は、右側の形が「ひざまずいている人」を、左側の形は「下向きの手」をあらわし、上から手で人を押さえつけ、ひざまずかせている様子を元に作られたと考えられています。

そのため、「印」のもともとの意味は「おさえつける」でしたが、そこから「上から押さえてハンコを押す」意味でも使われるようになったのです。

そして、パソコンはもちろん、印刷機などもなかった時代には、まず「版木(はんき)」とよばれる板に元となる原稿を彫り、それをハンコと同じような要領で、紙に字や絵柄などをうつしていました。だからこそ、何かモノに字や絵柄などをプリントしてうつす「印字」「印刷」といった言葉に「印」が使われるのでしょう。

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