この記事では「伐採」と「伐木」の違いについてみていきます。どちらも、山や森などに生えている木を切り倒すことに対して使われる言葉ですが、普段あまり使う言葉ではないだけに漢字の読み方も迷うという人も少なくないでしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

伐採と伐木の読み方とは?

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まずはじめに、「伐採」「伐木」の読み方について説明しましょう。「伐」という字は音読みで「バツ」と読む字で、「伐採」「ばっさい」「伐木」「ばつぼく」と読みます。「伐採」「伐木」も常用漢字ですが、これらの単語は普段よく使う言葉ではないためか、読み方に迷ってしまう人も少なくないようです。読み方がわからなかった人は、ぜひ覚えてくださいね。

伐採と伐木のざっくりした違い

つぎに、「伐採」「伐木」のざっくりした違いについて説明したいと思います。といっても、「伐採」「伐木」はどちらも「山や森などに生えている木を切り倒すこと」であり、正直、言葉の意味としては同じものだと言えるでしょう。

ただし、あえて違いを挙げるならば、「伐採」木を切り倒すことを意味する言葉として一般の人が広く使うのに対し、「伐木」林業や土木・造園業などの専門分野において、資格や講習の専門用語的に使われる言葉であるという違いがあります。また、熟語の構成としても違いがあるのですが、それに関してはこの後に説明していきましょう。

伐採と伐木を漢字から説明

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さきほど、「伐採」「伐木」はどちらも「山や森などに生えている木を切り倒すこと」を意味するものの、熟語としての構成に違いがあると説明しました。熟語としての構成とはつまり、「伐採」「伐木」がそれぞれ、どのような意味の漢字どのように組み合わせてできているかという事です。

そう言われても今はまだピンとこない人も多いかと思いますが、ここからは「伐採」「伐木」にそれぞれ使われている漢字の成り立ちや意味を紹介しながら、そのことについて、ていねいに説明していきますので安心してください。

「伐」は木を切ること

まずはじめに、「伐採」「伐木」の両方に使われている「伐」について説明しましょう。「伐」という字は、右側の「戈」は「ほこ」、つまり「刃物」をあらわしていて、それに「人」を意味する「にんべん」を組み合わせたことで、人が草を切ることや、敵を討つことを意味し、訓読みには「きる」「うつ」などの読みがあります。

ですので、「伐採」「伐木」以外にも、敵を討つ意味の「討伐(とうばつ)」や人を殺すような荒々しさを意味する「殺伐(さつばつ)」などの言葉にも使われる字です。

\次のページで「「採」は木の芽などを手でつまむ様子」を解説!/

「採」は木の芽などを手でつまむ様子

つぎに、「伐採」「採」について説明しましょう。「採」という字は、右側の「采」は「手で木の芽や果物をつまむ様子」をあらわしていて、それを「手へん」と組み合わせたことで、木の芽を摘(つま)みとる意味の「とる」をあらわしていましたが、やがて「木を切りだすこと」にも使われるようになりました。

ですので、「木を切ること」を意味する「伐」と、同じく「木を切り出すこと」にも使われる「採」を組み合わせた「伐採」は、似た意味の漢字を組み合わせて作った二字熟語であり、「山や森などに生えている木を切り倒すこと」を意味するのです。

「伐木」は木を伐る(きる)こと

今度は「伐木」「木」について説明しましょう。といっても、「木」という漢字の意味については多くの人がご存じかと思いますが、地面に生える植物の「き」のことです。漢字の成り立ちについては、木が生えている様子を字にしたと考えられています。

そして、さきほど説明したように「伐」「(木などを)切る」という意味なので、「伐木」とはシンプルに言えば「木を切ること」を意味し、たとえば「山を登る」ことを「登山」と言うのと同じように「前の漢字」が「動作」を、後ろの漢字が「その目的」に当たる意味を表す二字熟語と言えるのです。

「剪定」との違いとは?

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木を切る作業を意味する言葉には「伐採」「伐木」以外にも「剪定(せんてい)」という言葉がありますね。それでは、「伐採」「伐木」「剪定」にはどのような違いがあるのでしょうか。まず、「伐採」「伐木」はさきほどから説明しているように「木そのものを根本の方から切り倒すこと」を意味するのでしたよね。

それに対し、「剪定」とは、「剪」「はさみ」や、はさみを使って「切りそろえる」ことを、「定」「定める(さだめる)」、つまり「ととのえる」ことをあらわし、「木を生育したり、見た目整えたりするために枝の一部を切って手入れをすること」を意味する言葉です。ですので、「伐採」「伐木」「剪定」では、「木そのものを切り倒す」か、「枝を切って整える」かという違いがあります。

伐採・伐木……木そのものを、根本の方から切り倒すこと
剪定
……木を生育したり、見た目整えたりするために枝の一部を切って手入れをすること

伐採と伐木はどちらも木を切り倒すこと!

今回の説明で「伐採」「伐木」は、どちらも「山や森などに生えている木を切り倒すこと」を意味するものの、熟語としての構成が違うことや、「剪定」との意味の違いについても知っていただけたかと思います。また、さきほど説明したように、世間一般でよく使われるのは「伐採」の方ですので、みなさんも会話や文章で使うときには迷わず「伐採」の方を使えば間違いありません。

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簡単でわかりやすい!伐採と伐木の違いとは?剪定との違いも現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「伐採」と「伐木」の違いについてみていきます。どちらも、山や森などに生えている木を切り倒すことに対して使われる言葉ですが、普段あまり使う言葉ではないだけに漢字の読み方も迷うという人も少なくないでしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

伐採と伐木の読み方とは?

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まずはじめに、「伐採」「伐木」の読み方について説明しましょう。「伐」という字は音読みで「バツ」と読む字で、「伐採」「ばっさい」「伐木」「ばつぼく」と読みます。「伐採」「伐木」も常用漢字ですが、これらの単語は普段よく使う言葉ではないためか、読み方に迷ってしまう人も少なくないようです。読み方がわからなかった人は、ぜひ覚えてくださいね。

伐採と伐木のざっくりした違い

つぎに、「伐採」「伐木」のざっくりした違いについて説明したいと思います。といっても、「伐採」「伐木」はどちらも「山や森などに生えている木を切り倒すこと」であり、正直、言葉の意味としては同じものだと言えるでしょう。

ただし、あえて違いを挙げるならば、「伐採」木を切り倒すことを意味する言葉として一般の人が広く使うのに対し、「伐木」林業や土木・造園業などの専門分野において、資格や講習の専門用語的に使われる言葉であるという違いがあります。また、熟語の構成としても違いがあるのですが、それに関してはこの後に説明していきましょう。

伐採と伐木を漢字から説明

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さきほど、「伐採」「伐木」はどちらも「山や森などに生えている木を切り倒すこと」を意味するものの、熟語としての構成に違いがあると説明しました。熟語としての構成とはつまり、「伐採」「伐木」がそれぞれ、どのような意味の漢字どのように組み合わせてできているかという事です。

そう言われても今はまだピンとこない人も多いかと思いますが、ここからは「伐採」「伐木」にそれぞれ使われている漢字の成り立ちや意味を紹介しながら、そのことについて、ていねいに説明していきますので安心してください。

「伐」は木を切ること

まずはじめに、「伐採」「伐木」の両方に使われている「伐」について説明しましょう。「伐」という字は、右側の「戈」は「ほこ」、つまり「刃物」をあらわしていて、それに「人」を意味する「にんべん」を組み合わせたことで、人が草を切ることや、敵を討つことを意味し、訓読みには「きる」「うつ」などの読みがあります。

ですので、「伐採」「伐木」以外にも、敵を討つ意味の「討伐(とうばつ)」や人を殺すような荒々しさを意味する「殺伐(さつばつ)」などの言葉にも使われる字です。

\次のページで「「採」は木の芽などを手でつまむ様子」を解説!/

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