今回のテーマは脊柱(せきちゅう)と脊椎(せきつい)の違いについてです。どちらも漠然と「身体の背骨のあたり」というイメージを持っている人が多いと思うが、実を言えば脊柱と脊椎はどちらも同じ意味で、背骨のことを指すんです。
ではなぜ脊柱と脊椎の二種類の言葉があるのか?その理由や背骨の役割などを雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

脊柱と脊椎の違いをざっくり解説

まず最初に、脊柱と脊椎の違いについてざっくり説明します。結論を先に言えば、脊柱と脊椎はどちらも同じ「背骨」を指す言葉で、ただ呼称が異なっているに過ぎません。脊柱が医学上の正式名称で、脊椎は一般的な名称だと考えるといいでしょう。

脊柱:「背骨」の正式名称

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脊柱とは、一般的に背骨と呼ばれている部分の医学上の正式名称です。脊柱は、脊椎動物の体の中心を支える骨格で、多数の椎骨という骨が縦に連なってできています。

脊柱の中央にあるのが、椎骨にある穴が連なってできている脊柱管です。その中に脊髄が通っており、脊柱は頭骨に続いて頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎という部分に分かれています。

脊柱は動物によって形や数が異なりますが、共通しているのは、直立二足歩行に必要なバランスをとるためにS字状に湾曲していることです。これを生理的湾曲といいます。しかし、発育や生活習慣などによって異常な湾曲が起こることもあり、これが痛みや姿勢の悪化などを引き起こすことも珍しくありません。

脊椎:「背骨」の一般的な名称

次に脊椎は、背骨の一般的な名称のことです。よって内容的には脊柱と変わりません。このように、医学的な正式名称と一般的な名称が別になっているケースは多くあります。

医学的な正式名称は、病気や部位の原因や構造を正確に表現するために必要です。しかし一般の人にとっては難解で覚えにくいことが多いでしょう。そこで、簡単でわかりやすい言葉の方が一般的な名称として普及するのです。

例えば胃潰瘍という病気は、医学的には消化性潰瘍となります。胃潰瘍は胃に限らず十二指腸にも起こり得るので、消化性潰瘍という広い範囲を表す医学的な正式名称が使われるのです。また鼻水は、医学的には鼻漏と呼ばれます。

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脊柱と脊椎(背骨)の役割についてもっと詳しく!

前項までで、脊柱と脊椎はともに「背骨」のことを指し、よって内容的には同じであることを解説しました。このように、医学用語と一般の用語が別になっていることは決して珍しくありません。次は、そんな脊柱と脊椎(背骨)の四つの役割を見ていきましょう。なお、以下では脊柱も脊椎も、分かりやすく「背骨」という言葉で統一します。

1.体を支える役割

背骨には体を支える役割があります。重い頭や体重を支えつつ、重力に抗して姿勢を保持する柱として機能するということです。

背骨がS字状に湾曲していることは前述の通りですが、このカーブは、歩いたりジャンプしたりする時に足から背骨に伝わる衝撃を和らげるクッションの役割をしています。もしも背骨がまっすぐだと、カーブのある背骨よりも10倍も負担がかかるでしょう。

同時に、背骨には体を動かす役割もあります。背骨はさまざまな方向に曲がったりねじれたりすることで、体の柔軟性やバランスを保っているのです。そうした動きを支えているのがいわゆる椎間板で、椎骨同士をつないで関節やクッションの役割をしています。

2.神経を保護する役割

背骨には、神経を保護する役割もあります。背骨は椎骨と呼ばれる骨がずっとつながって連結したものです。その中にはリング状になっている部分があり、この部分を椎体といい、脳から出てきた太い神経の束・脊髄が通っています。

脊髄は感覚や運動などの情報を伝える重要な役割を持っており、その働きを保護することは生命維持に欠かせません。背骨はこの脊髄を守る役割を負っています。背骨には、体を物理的に支える役割の他にも、体の機能全体を守る機能があることが分かるでしょう。

ちなみに脊髄はニューロンと神経線維の集合体であり、中枢神経の一部分として位置づけられています。これが傷ついてしまうと、通常は再生することはありません。

3.クッションの役割

背骨にはクッションの役割もあります。背骨に備わっている椎間板は、水分を多く含む部分と線維でできた部分からなり、歩いたりジャンプしたりしたときに足から背骨に伝わる衝撃を和らげる役割を負っているのです。

椎間板は年齢とともに水分量が減ってしまうことがあり、その場合は衝撃吸収力が低下してしまいます。その結果、背骨や神経に負担がかかったり、痛みやしびれなどの症状が出たりすることも珍しくありません。よって、椎間板の状態がどうなっているのかをこまめにチェックすることも大切です。

ここまでの内容でも、背骨の健康は全身の健康にも関係していることが分かるでしょう。椎間板は、適度な運動や水分補給、姿勢の改善などでケアできます。

4.呼吸や姿勢に関する役割

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背骨は呼吸や姿勢に関する役割も負っています。背骨には筋肉や靭帯が付着しており、これらは呼吸や姿勢に関係する運動を制御しているのです。また前述の通り背骨は前後や左右に曲がっていますが、このカーブは直立二足歩行に必要なバランスを取るために欠かせません。

背骨のカーブと筋肉の状態は、呼吸の深さと姿勢の良さの相互作用も司どっています。どちらか一方が異常を来すと、もう一方にも影響をおよぼすため、大切にしなければいけません。

よって、日常生活でも適切な運動やストレッチ、姿勢の改善やマッサージなどを施して背骨を柔らかく保つことで、呼吸と姿勢の双方を良好に保つことが可能になるのです。

\次のページで「脊柱と脊椎(背骨)の病気やケガについてもっと詳しく!」を解説!/

脊柱と脊椎(背骨)の病気やケガについてもっと詳しく!

ここまでで、脊柱と脊椎という言葉の違いや、この二つの言葉が指し示す「背骨」が私たちの身体においてどのような役割を果たしているのかを解説してきました。次に、そんな背骨が原因となって引き起こされる病気やケガについて、代表的なものを三つ紹介します。

1.脊椎骨折

脊椎骨折は、背骨の一部が割れたりするもので、交通事故や高所からの転落などの強い外力によって起こることが多いです。これが起きると背中や首に激しい痛みが生じ、脊髄や神経が圧迫されることで、手足のしびれなどの神経症状が出ることも珍しくありません。

診断は、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査で行われます。治療は症状の重さや骨折の種類によって異なり、軽度な場合はギプスやコルセットなどで背骨を固定して安静にすることで治ることもあるでしょう。重度な場合は、手術で背骨を固定したり、圧迫された神経を解放したりします。

脊椎骨折が疑われる場合は、重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期に受診することが大切です。

2.脊柱側弯症

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脊柱側弯症は背骨が左右に曲がってしまう病気で、生まれつき背骨に異常がある場合や神経や筋肉に問題がある場合などに起こります。原因不明のケースも珍しくありません。

症状としては、肩や腰の高さが左右で異なったり胸郭や肋骨の形が変わったりします。また背中にコブ(隆起)ができたりすることもあり、重度な場合は呼吸困難や心不全などの内臓障害につながることも少なくないです。

軽度であれば定期的な経過観察や運動療法などで対処しますが、中等度では装具療法で背骨の成長を調整することもあるでしょう。重度だと手術で背骨を矯正したり、固定したりする必要があります。脊柱側弯症は成長期に悪化することが多いため、早期治療が大切です。

3.頚椎後縦靱帯骨化症

頚椎後縦靱帯骨化症は、首の骨の後ろにある靭帯が骨になってしまう病気です。遺伝や性ホルモン、カルシウム代謝などが関係していると考えられていますが、原因はまだ分かっていません。

症状としては、首や肩や手指に痛みやしびれが生じます。また骨になった靭帯によって脊髄や神経が圧迫されることもあるでしょう。そうすると手足の動きにくさや感覚障害、排尿障害などの神経症状が出ることも珍しくありません。

軽度であれば首を固定する装具をつけたり、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬で対処します。重度だと骨化した靭帯を手術で取り除いたりしますが、軽い外傷で神経障害が急激に進行することもあるため、注意が必要です。

脊柱は「背骨」の正式名称、脊椎は一般的な名称

脊柱と脊椎は、いずれも同じ「背骨」を指す言葉です。「脊柱」が医学上の正式名称で、「脊椎」は一般的な名称だと考えて下さい。医学上の正式名称は一般には難解に感じられることが多いため、こうした別の呼び名がつけられることがあります。

整理すると、脊柱は専門用語で、脊椎と背骨が一般的な名称だと考えるということです。他に専門用語と一般的な用語が別々に存在するケースとして、「むち打ち」「風邪」なども挙げられます。

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簡単でわかりやすい!脊椎と脊柱の違いは?役割や病気・ケガの種類も雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは脊柱(せきちゅう)と脊椎(せきつい)の違いについてです。どちらも漠然と「身体の背骨のあたり」というイメージを持っている人が多いと思うが、実を言えば脊柱と脊椎はどちらも同じ意味で、背骨のことを指すんです。
ではなぜ脊柱と脊椎の二種類の言葉があるのか?その理由や背骨の役割などを雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

脊柱と脊椎の違いをざっくり解説

まず最初に、脊柱と脊椎の違いについてざっくり説明します。結論を先に言えば、脊柱と脊椎はどちらも同じ「背骨」を指す言葉で、ただ呼称が異なっているに過ぎません。脊柱が医学上の正式名称で、脊椎は一般的な名称だと考えるといいでしょう。

脊柱:「背骨」の正式名称

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脊柱とは、一般的に背骨と呼ばれている部分の医学上の正式名称です。脊柱は、脊椎動物の体の中心を支える骨格で、多数の椎骨という骨が縦に連なってできています。

脊柱の中央にあるのが、椎骨にある穴が連なってできている脊柱管です。その中に脊髄が通っており、脊柱は頭骨に続いて頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎という部分に分かれています。

脊柱は動物によって形や数が異なりますが、共通しているのは、直立二足歩行に必要なバランスをとるためにS字状に湾曲していることです。これを生理的湾曲といいます。しかし、発育や生活習慣などによって異常な湾曲が起こることもあり、これが痛みや姿勢の悪化などを引き起こすことも珍しくありません。

脊椎:「背骨」の一般的な名称

次に脊椎は、背骨の一般的な名称のことです。よって内容的には脊柱と変わりません。このように、医学的な正式名称と一般的な名称が別になっているケースは多くあります。

医学的な正式名称は、病気や部位の原因や構造を正確に表現するために必要です。しかし一般の人にとっては難解で覚えにくいことが多いでしょう。そこで、簡単でわかりやすい言葉の方が一般的な名称として普及するのです。

例えば胃潰瘍という病気は、医学的には消化性潰瘍となります。胃潰瘍は胃に限らず十二指腸にも起こり得るので、消化性潰瘍という広い範囲を表す医学的な正式名称が使われるのです。また鼻水は、医学的には鼻漏と呼ばれます。

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