今回のテーマは頸椎と頚椎の違いについてです。「頸椎」そして「頚椎」と違う漢字が使われているが、どちらも生物にとって重要な「首の骨」を意味する言葉です。では、なぜ違う漢字があてがわれているのでしょう?
答えを先に言えば、「頚椎」は「頸椎」の略語にあたるからです。以下ではそんな頸椎(頚椎)の仕組みやケア方法、それに異常が発生した場合の注意点を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

頸椎と頚椎の違いをざっくり解説

首の骨を指す言葉に「頸椎」と「頚椎」があります。これらは、どちらも同じ発音で同じ意味ですが、漢字の使い方が異なるので注意が必要です。では、なぜこのような違いが生じるのか、以下ではこの「頸椎」と「頚椎」の違いについて解説します。

頸椎:首の骨のこと

頸椎は首の骨のことです。首の骨は七つの骨から成り立っており、それぞれに番号が付けられています。頭部を支えたり、首の動きを可能にするなど重要な役割を果たしますが、病気やケガにも弱いため注意が必要です。

頸椎に関するケガとしては、頚椎症や頚椎ヘルニアが挙げられます。頸椎症は骨や軟骨の変性により神経を圧迫し、首や肩、腕に痛みやしびれが現れる病気です。急な首の動きや外傷による椎間板の飛び出しによる頸椎ヘルニアも同様の症状を引き起こるので注意しましょう。

頚椎捻挫というものもあり、これはスポーツや交通事故で首に強い衝撃が加わり、首の筋肉や靭帯が損傷を受け、首や肩に痛みやこりなどの症状が生じるものです。

頚椎:頸椎の略字

次に「頸椎」と「頚椎」の漢字の由来を見てみましょう。結論を言えば、頸椎の略字が頚椎です。頸椎は「首」と「骨」の合成文字で、首は人間の体部を示す漢字であり、骨は動物の支える硬い組織を意味します。

一方の頚椎は「首」と「頁」を組み合わせた略字です。「頁」は「髪」を表す漢字で、「首」の右上に置くことで「首に髪がある」という意味になります。これは「人間の首」を表す記号であり、従って頚椎もまた「首の骨」という意味だと言えるでしょう。

頚椎は「頁」が略字であるため書きやすく、読みやすい利点があり、日常的に使用されています。一方、頸椎は「骨」が書きにくく読みにくい傾向があり、一般的にはあまり使われていません。

頸椎や頚椎についてもっと詳しく!

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ここまでで「頸椎」と「頚椎」の言葉の違いを見てきました。ではこの頸椎や頚椎は、どのような仕組みで動いており、またどのような役割を果たしているのでしょうか。頸椎や頚椎に関する病気の種類などとあわせて解説します。

\次のページで「1.頸椎や頚椎の仕組みは?」を解説!/

1.頸椎や頚椎の仕組みは?

頸椎は首の骨としてだけではなく、脳と胴体をつなぐ重要なパイプラインとしての機能も持っています。頸椎の中に脊髄という神経の束が通っているのはご存知でしょう。脊髄は、脳から出た指令を胴体や四肢に伝えたり、胴体や四肢から感じた刺激を脳に伝えたりする役割を担っています。

また頸椎の周りに存在するのが、多くの血管やリンパ管です。これらには脳や首に栄養や酸素を運んだり、老廃物を排出したりする役割があります。

そして、頸椎を互いにつなげているのが関節です。関節は滑らかな軟骨で覆われており、関節液という液体で潤滑されています。これにより、首を自由に動かすことができるのです。

2.頸椎や頚椎の役割は?

頸椎には、脳を支える役割があります。人間の脳は約1.4キログラムもありますが、その重さを支えるのは主に第1頸椎と第2頸椎です。第1頸椎は「環状」と呼ばれる特殊な形をしており、第2頸椎にある突起と結合しています。

また、頸椎のもうひとつの重要な役割は首の可動性を保つことです。首は、前後に曲げたり伸ばしたりすることができるでしょう。これらの動きには、それぞれに担当する筋肉や靭帯があり、そしてそれらを支えるのは頸椎や頚椎です。

そして頸椎には、脳と胴体の情報伝達を保つ役割もあります。また前項でも述べましたが、頸椎や頚椎の周りには多くの血管やリンパ管があり、これらは、脳や首に栄養や酸素を運んだりする役割を担っているのです。

3.頸椎や頚椎に関する病気は?

頸椎はさまざまな病気にかかる可能性もあります。ここでは代表的なものをいくつか紹介しますが、一つめは頸椎ヘルニアです。これは脊髄や神経を圧迫してしまう病気で、頸椎の間にある円盤というクッションが破れてしまうことで生じます。

この病気になると、首や肩の痛みだけでなく、手足のしびれや筋力低下などの症状が現れることも少なくありません。原因としては、加齢や姿勢の悪さなどが挙げられるでしょう。

二つめは、頚部捻挫で、交通事故などで首が急激に前後に振られてしまい、筋肉や靭帯などが傷ついてしまう病気です。この病気になると、首や肩の痛みだけでなく、めまいや吐き気などの症状が現れるでしょう。

頸椎や頚椎のケア方法についてもっと詳しく!

頸椎は首の骨としてだけでなく、脳と胴体をつなぐパイプラインとしても機能しています。そのため普段から頚椎にはかなりの負担がかかっており、折を見て適切なケアを行うことが欠かせません。以下では、ケア方法とそれに関する知識を解説します。

\次のページで「1.頸椎や頚椎のケア方法は?」を解説!/

1.頸椎や頚椎のケア方法は?

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頸椎をケアするのであれば、まずは病院で診断を受けるのが最適ですが、通院するほど重要とは感じられない場合や、こりなどを今すぐに治したいこともあるでしょう。そんな場合に自分でできることとして、以下の三つがおすすめです。

まず姿勢に気をつけて下さい。首を前に曲げたり、顎を突き出したりすると、首に負担がかかります。顎を引いて背筋を伸ばし、パソコンやスマホを見るときは画面を目の高さに合わせましょう。

次に枕を見直すことです。枕が高すぎると首が下向きになってしまいます。仰向けに寝たときに、首がアーチを描くような高さの枕が理想的と言えるでしょう。また適度に運動したりストレッチしたりして血流をよくし、筋肉をほぐすのも効果的です。

2.頸椎や頚椎が痛んだらどうする?

頸椎が痛んだ場合は、まず安静にして動かさないようにすることが大切です。不用意に首を動かすと、神経障害を悪化させる可能性があります。首を固定するために、頚椎カラーという装具を着用するのもいいでしょう。

また、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬を服用して、炎症や痛みを抑えることも可能です。湿布や塗り薬を併用することも考えられますが、しかしこれらの応急処置だけでは根本的な治療にはなりません。

やはり、頸椎が痛んだ場合は整形外科を受診して診断を受けることが必要です。レントゲンやMRIなどの画像検査を受けて、保存的治療や手術治療などの適切な治療法を受けるようにしましょう。

3.頸椎や頚椎の老化と病気の遺伝の関係は?

頸椎は加齢によって変形したり痛んだりすることが少なくありません。これは頸椎変形症と呼ばれる病気です。頸椎変形症は、一般的に50歳以上の人に多く見られますが、発症時期や症状には個人差があります。

頸椎変形症の発症に関連していると思われるのが、遺伝的要因です。つまり、親や祖父母などの親族に頸椎変形症がある場合は、自分も発症する可能性が高くなると考えられています。

もちろん発症要因は遺伝だけではなく、姿勢や生活習慣なども影響するでしょう。正しい姿勢を保ったり、ストレッチや運動をしたりすることで、頸椎変形症の予防や進行の遅延につなげるのが大切です。

4.頸椎や頚椎の病気と生活習慣の関係は?

頸椎の病気は、生活習慣と密接な関係があります。例えば長時間同じ姿勢でいることが挙げられるでしょう。パソコンやスマホを使う際に首を前に曲げたり傾けたりすると、どうしても首に負担がかかるものです。これはスマホ首やパソコン首と呼ばれる現象なので、普段から注意しましょう。

また睡眠不足や睡眠姿勢の悪さも首のこりや痛みを引き起こします。睡眠不足は首の血行不良や筋肉の回復不良を招きますし、また睡眠時の姿勢が悪いと首に無理な角度や圧力がかかるからです。

そして喫煙や飲酒もよくありません。いずれも血管を収縮させたり硬化させたりすることがあり、常習すると栄養や酸素が行き渡りにくくなります。

「頸椎」の略字が「頚椎」

首の骨を指す「頸椎」という言葉は、書き方が難解なため一般的にはあまり使われず、その略字である「頚椎」の方が、書きやすく読みやすいでしょう。いずれも読み方や用法は同じなので、状況に応じて使い分けて下さい。

頸椎あるいは頚椎として書き表される首の骨は、頭を支えたり脳と身体をつなぐパイプラインとしての役目も担っています。平素より負担がかかりやすいので、適切な生活習慣やケアによって正常に保つようにしましょう。

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簡単でわかりやすい!頸椎と頚椎との違いは?仕組みやケア方法も雑学好きライターが詳しく解説

今回のテーマは頸椎と頚椎の違いについてです。「頸椎」そして「頚椎」と違う漢字が使われているが、どちらも生物にとって重要な「首の骨」を意味する言葉です。では、なぜ違う漢字があてがわれているのでしょう?
答えを先に言えば、「頚椎」は「頸椎」の略語にあたるからです。以下ではそんな頸椎(頚椎)の仕組みやケア方法、それに異常が発生した場合の注意点を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

頸椎と頚椎の違いをざっくり解説

首の骨を指す言葉に「頸椎」と「頚椎」があります。これらは、どちらも同じ発音で同じ意味ですが、漢字の使い方が異なるので注意が必要です。では、なぜこのような違いが生じるのか、以下ではこの「頸椎」と「頚椎」の違いについて解説します。

頸椎:首の骨のこと

頸椎は首の骨のことです。首の骨は七つの骨から成り立っており、それぞれに番号が付けられています。頭部を支えたり、首の動きを可能にするなど重要な役割を果たしますが、病気やケガにも弱いため注意が必要です。

頸椎に関するケガとしては、頚椎症や頚椎ヘルニアが挙げられます。頸椎症は骨や軟骨の変性により神経を圧迫し、首や肩、腕に痛みやしびれが現れる病気です。急な首の動きや外傷による椎間板の飛び出しによる頸椎ヘルニアも同様の症状を引き起こるので注意しましょう。

頚椎捻挫というものもあり、これはスポーツや交通事故で首に強い衝撃が加わり、首の筋肉や靭帯が損傷を受け、首や肩に痛みやこりなどの症状が生じるものです。

頚椎:頸椎の略字

次に「頸椎」と「頚椎」の漢字の由来を見てみましょう。結論を言えば、頸椎の略字が頚椎です。頸椎は「首」と「骨」の合成文字で、首は人間の体部を示す漢字であり、骨は動物の支える硬い組織を意味します。

一方の頚椎は「首」と「頁」を組み合わせた略字です。「頁」は「髪」を表す漢字で、「首」の右上に置くことで「首に髪がある」という意味になります。これは「人間の首」を表す記号であり、従って頚椎もまた「首の骨」という意味だと言えるでしょう。

頚椎は「頁」が略字であるため書きやすく、読みやすい利点があり、日常的に使用されています。一方、頸椎は「骨」が書きにくく読みにくい傾向があり、一般的にはあまり使われていません。

頸椎や頚椎についてもっと詳しく!

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ここまでで「頸椎」と「頚椎」の言葉の違いを見てきました。ではこの頸椎や頚椎は、どのような仕組みで動いており、またどのような役割を果たしているのでしょうか。頸椎や頚椎に関する病気の種類などとあわせて解説します。

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