この記事では「ささぎ」と「いんげん」の違いについてみていきます。2つとも「さやまで食べられる豆の仲間」というイメージがあるよな。ですが両者は「原産地」が違うんです。いんげんが入ってきたのは、比較的最近のことらしいのです。今回はそんな「豆の仲間」の違いを、見分け方も含めて、大学で農学を専攻したライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では「さやも種子も食べられる豆の仲間」、ささぎといんげんの違いについてわかりやすく解説していく。

ささぎといんげんを大まかに比較

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ささぎもいんげんもマメ科に分類される「豆の仲間」です。ともに「種子」やそれを覆う「さや」の部分が食用とされています。以下ではそんな、共通点の多い両者について大まかに比較。その分類や品種をみていきましょう!

「ささぎ」はさや・種子が食用となる「豆の仲間」

「ささぎ」はマメ科ササゲ属のササゲという豆の別名。世界中で食用とされてきた作物です。そんなささぎは、改良の結果いくつかの品種に分かれているのが特徴。

大まかにささぎは、草丈100cmの「つるあり種」と草丈30cmの「つるなし種」に分けられます。そこからさらに、さやを食用とする「十六ささげ」や、種子(豆)を食用とする「金時ささげ」などに分岐。以下の通りバリエーションに富んでいます。

「ささぎ」の品種と可食部
・十六ささげ(三尺ささげ):長いさや
・金時ささげ:赤褐色の豆
・宮古島黒小豆:黒い豆
・ブラックアイビーンズ:ヘソの周りだけ黒い、クリーム色の豆

「いんげん」には「ささぎに似た品種」がある

同じくマメ科の「いんげん」も、世界中で食されてきた作物。しかしこちらは別グループの「インゲンマメ属」に分類されています。

そんないんげんでも改良が進められており、用途別に品種が生み出されてきました。いんげんも草丈150cmの「つるあり種」と草丈30cmの「つるなし種」に大別可能。さらにさやを食用とする「さやいんげん」や、豆を食用とする「金時豆」に分かれます。

「いんげん」の品種と可食部
・丸さやいんげん:筒形のさや
・平ざやいんげん:平たいさや
・金時豆:赤褐色の豆
・手亡:白い豆

\次のページで「ささぎといんげんの具体的な違い」を解説!/

以下この記事では、用途が似ている豆の仲間「ささぎ」と「いんげん」について、見た目や栄養など「具体的な違い」を解説。さらに可食部である「さや」と「豆」の下処理の方法も紹介していきます。最後まで読めば、「豆料理」が食べたくなること間違いありません!

ささぎといんげんの具体的な違い

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ささぎといんげんとでは、具体的に違う点が5つ存在。とくに「さや」でも「豆」でも見た目が違うので、容易に判別ができます。さらにささぎ/いんげんでは、原産地や栄養にも違いが。以下「両者の歴史」から、比べていきましょう!

違い1.原産地と歴史

ささぎといんげんとでは、出自が大きく異なります。まず「ささぎ」はアフリカ原産。そこからインド・中国をはじめとしたシルクロード上の地域を経由して、平安時代初期(9世紀)に日本へ伝来しました。この「ささぎ」は当時の出来事を記した東大寺の日誌にも、「大角豆」として記載されています。

対して「いんげん」は南アメリカ原産で、新大陸を発見した「コロンブス」によってスペインへと持ち込まれました。そんないんげんが日本に入ってきたのは、江戸時代初期のこと。中国(当時は明)から来日した僧侶「隠元禅師」によって伝えられました。そう「いんげん豆」の名前は、「お坊さん」にちなんだものだったのです。

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違い2.豆の用途

ささぎもいんげんも、「豆を利用する品種」と「さやを利用する品種」に分けられます。そして「豆を利用する品種」については、ささぎ/いんげんとで用途に違いが。まず「金時ささげ」や「宮古島黒小豆」などささぎは、もっぱら赤飯に用いられています。対していんげんでは「金時豆」が煮豆や豆サラダの、「手亡」が白あんのそれぞれ原材料となっているのです。

違い3.豆の見た目

ささぎ/いんげんでは豆の部分、つまり種子のシルエットに違いが存在。まずいんげんの種子は、「典型的な豆の形」となっています。種子のシルエットは楕円形で、へその部分だけくぼんでいるのです。対してささぎの種子では「丸みを帯びた四角形」のシルエットが特徴的。そのシルエットから、「大角豆」の異名が付いています。

違い4.さやの長さ

先ほどの「さやを利用する品種」については、ささぎ/いんげんとで「さやの長さ」が違います。「ささぎ」のさやは、一般的な「さやいんげん」のものよりも遥かに長大です。

その長さは食べごろサイズで30〜50cm、最長でなんと90cm(三尺)を超えます。さや用のささぎである「三尺ささげ」は、その長さにちなんだ品種名だったのです。対していんげんのさやは、最長でも15cm程度にしかなりません。

違い5.栄養素

「ささぎ」は、いんげんよりも栄養面で優れています。まず「十六ささぎ」と「さやいんげん」を比べてみましょう。十六ささぎには、皮膚の健康を保つビタミンAと、抗酸化作用をもつビタミンCが豊富。さやいんげんと比べてみるとビタミンAは2倍、ビタミンCは3倍も多くなっています。

また豆単体を比べてみても、栄養豊富なのは「ささぎ」です。ミネラルが豊富で、とくにモリブデンの含有量は「全食材トップクラス」の150μg。対していんげんのモリブデン含有量は27μgにとどまります。

ささぎ/いんげんの食べ方

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ここからはささぎといんげんの食べ方について紹介。下処理から料理まで、その方法を詳しく解説していきます。とくに「毒」をもっている、「金時豆」の下処理の方法は必見。正しい調理法を身につけて、食卓に豆を取り入れましょう!

\次のページで「ささぎの下処理と料理法」を解説!/

ささぎの下処理と料理法

十六ささげなど、「さやを利用するささぎ」の下処理は簡単。茹でる前にヘタとさやの先端を取るだけなので、スジ取りが要りません。あとは沸騰したお湯にささぎと塩少量を入れて、2分茹でるだけで下処理が完了します。

この下茹での際にささぎを「輪ゴム」で束ねておくと、その後の調理が楽になるそうです。下茹でしたささぎは冷まして一口サイズに切れば、天ぷら・和え物・炒め物など幅広い和食に使えます。

一方ささぎの「豆」では入念な下処理が必要。生の豆類には有毒なタンパク質が含まれているので、下処理を徹底しましょう。以下の手順で下処理を済ませたささぎは、赤飯やぜんさいに使えます。ちなみに火を通した「ささぎ」では、赤飯の代名詞「小豆」と違って豆の皮が割れないのが特徴。ささぎを使った赤飯は「腹が切れない」ということで、武士に愛されてきました。

ささぎ(豆)の下処理
1.鍋に「ささぎ」と水をいれて、沸騰するまで中火で茹でる
2.空にした鍋に「茹でたささぎ」と水をいれて、もう一度中火で沸騰させる
3.沸騰したら落し蓋をして、弱火にする
4.途中でアクを取りつつ、「ささぎ」が柔らかくなるまで茹で続ける(40分程度)
5.柔らかくなった「ささぎ」をザルに上げれば、下処理が完了

いんげんの下処理と料理法

「さやいんげん」の場合、基本的な下処理は十六ささげとほぼ変わりありません。ただ硬いスジが付いている場合は、スジ取りが必要。ヘタの根本を手で折れば、まとめてスジも取れてしまいますよ。

あとは沸騰したお湯にさやいんげんと塩少量を加えて、2分茹でれば下処理が完了します。そんな「さやいんげん」はささぎと比べて固いので、ソテーやきんぴらなど炒め物にうってつけです。

対して金時豆など「豆を利用するいんげん」では、ささぎ以上に入念な下処理が必要。「いんげんの下処理」では、2回茹でる前に「水に漬ける工程」が加わるのです。ちなみにその工程は生の豆に3倍量の水を加えて6時間漬ける、というものになります。対して「市販の水煮」なら、下処理は不要です。こちらはそのままサラダや煮豆、チリコンカンに使えますよ。

「ささぎ」は、「いんげん」よりも栄養豊富

「ささぎ」も「いんげん」も豆の仲間です。どちらでもその「さや」と「種子」が、食用となります。ただ両者を見分けるのは簡単。ささぎは「長いさやと角ばった種子」を、いんげんは「短いさやと丸みを帯びた種子」をそれぞれもっているのです。また栄養価にも違いがあって、「ささぎ」のほうがビタミンやミネラルを多く含んでいます。

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雑学

簡単でわかりやすい!ささぎといんげんの違いとは?品種や原産地・おすすめの食べ方も農学専攻ライターが詳しく解説

この記事では「ささぎ」と「いんげん」の違いについてみていきます。2つとも「さやまで食べられる豆の仲間」というイメージがあるよな。ですが両者は「原産地」が違うんです。いんげんが入ってきたのは、比較的最近のことらしいのです。今回はそんな「豆の仲間」の違いを、見分け方も含めて、大学で農学を専攻したライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では「さやも種子も食べられる豆の仲間」、ささぎといんげんの違いについてわかりやすく解説していく。

ささぎといんげんを大まかに比較

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ささぎもいんげんもマメ科に分類される「豆の仲間」です。ともに「種子」やそれを覆う「さや」の部分が食用とされています。以下ではそんな、共通点の多い両者について大まかに比較。その分類や品種をみていきましょう!

「ささぎ」はさや・種子が食用となる「豆の仲間」

「ささぎ」はマメ科ササゲ属のササゲという豆の別名。世界中で食用とされてきた作物です。そんなささぎは、改良の結果いくつかの品種に分かれているのが特徴。

大まかにささぎは、草丈100cmの「つるあり種」と草丈30cmの「つるなし種」に分けられます。そこからさらに、さやを食用とする「十六ささげ」や、種子(豆)を食用とする「金時ささげ」などに分岐。以下の通りバリエーションに富んでいます。

「ささぎ」の品種と可食部
・十六ささげ(三尺ささげ):長いさや
・金時ささげ:赤褐色の豆
・宮古島黒小豆:黒い豆
・ブラックアイビーンズ:ヘソの周りだけ黒い、クリーム色の豆

「いんげん」には「ささぎに似た品種」がある

同じくマメ科の「いんげん」も、世界中で食されてきた作物。しかしこちらは別グループの「インゲンマメ属」に分類されています。

そんないんげんでも改良が進められており、用途別に品種が生み出されてきました。いんげんも草丈150cmの「つるあり種」と草丈30cmの「つるなし種」に大別可能。さらにさやを食用とする「さやいんげん」や、豆を食用とする「金時豆」に分かれます。

「いんげん」の品種と可食部
・丸さやいんげん:筒形のさや
・平ざやいんげん:平たいさや
・金時豆:赤褐色の豆
・手亡:白い豆

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