予言という言葉を聞いたことがあるよな。その予言をするのが予言者です。ですが別の書き方として「預言者」と書くこともある。この預言者と予言者は日本では使い分けることが多い。ですが、実はそれは日本での話で、海外では分けていないことが多い。そんな預言者と予言者の由来や、日本での使い分け、そもそも預言とは何かを20世紀末にノストラダムスの予言にちょっと不安だったプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。20世紀末はノストラダムスの予言よりも2000年問題の対応に追われていた。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

実は英語では同じ?預言者と予言者の違いとは

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予言と聞くとどんなものを思い浮かべますか。おそらく、未来のまだ分からないことを予知したものを思い浮かべるかと思います。その予言をする人が予言者ですよね。実はその予言や予言者にも日本語では2種類あります。

ひとつは未来のことを予知する予言。そしてもう一つは神の言葉を伝える預言です。どちらも読みは「よげん」と同じ。しかし、日本では違う意味で考えることがあります。実は神の言葉を伝える預言は必ずしも未来のこととは限りません。また、英語など外国語では区別しないことが多いです。そんな預言者と予言者の違いについて説明します。

預言者:神から預かった言葉を伝える

預言者とは神から預かった言葉、預言一般に伝える人のこと。日本語の「」には預金のようにあずけるという意味があります。そのため、神などの超自然的な存在から預かった言葉を「預言」と呼び、それを伝える人を預言者と呼ぶのです。一般的には宗教的な意味で捉えます。多くの場合、未来や将来のことであることが多いですが、必ずしも未来のこととは限りません

予言者:未来のことを伝える

一方で、一般には分からない未来のことをあらかじめ言い当てるのが予言予言をする人が予言者です。宗教的なものであることも多く、その場合は予言=預言となります。ただ、宗教とは関係ないことも多いです。神やそれに近いものから伝えられたものか、その人独自のものかという違いで分けて考えます。

例えば、何かの宗教と関係ない人でも、神や仏から聞いたことならば預言になるでしょう。一方、予知夢や占いなどで未来を知った場合は予言になるわけです。多くの予言は神やそれに近いものから聞いたとされるものが多いため、預言と予言を区別しないこともあります。

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違うと考えるのは日本だけ?預言と予言

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預言と予言の違いを説明しましたが、実はこういう区別は外国ではあまり見ないもの。例えば、英語では預言や予言にあたる言葉は1つだけです。そんな海外と日本での預言や予言の考え方の違いを説明します。

英語のprophecyに由来する預言

日本の預言や予言にあたる英語は「prophecy 」です。ラテン語や古代ギリシャ語に由来する言葉で、神の意志を解釈する才能のこととされています。日本語で言えば預言に近いですね。そのprophecy をする人がprophetになります。

日本では預言と予言を分けることもまとめてしまうこともありますが、そもそも英語などでは言葉を分けていないわけです。日本で預言者とされる人も予言者とされる人も、どちらもprophetになります。

predicition(予測)と予言

英語でも日本語でも、預言に近い言葉として「予測(predicition)」があります。これは科学的な根拠や過去の事実からの推測から、未来を予知するものです。例えば、日本で若者が減っているのでこのままでは労働者人口が減るという予測や、地球温暖化で海面が上昇するという予測などがあります。

このような予測のことをたとえで「予言」と呼ぶことがありますよね。これは英語でも同じ。ただ、このような科学的な根拠に基づいた予測と、超常的な根拠に基づいた予言は分けて考えることが多いです。その意味では広い意味の予言には宗教的な預言と、科学的な予測と、それ以外の予言の3種類があることになります。

実は日本独自?「預言」と予言の使い分け

何回か触れましたが、預言と予言を分けて考えるのは日本以外ではあまり見ないものです。預言という漢字は中国から入ってきたもの。ですが、実は「預」という漢字の本来の意味には「あずける」という意味はありません予定や予言の「予」と同じ文字です。そのため、元々の漢字の「預言」には「神から預かる」という意味はなかったとされています。

ただ、予言の英語であるprophecyには神の意志を受け取るという意味があるのも確か。いつの間にか抜け落ちていた意味が復活したようにも見えます。これは文化の違いによるものが大きいかもしれません。西洋などではすべて神に結びつけて考えるため、未来のことを予知することは例え宗教と関係なく、本人が夢や占いで得たものでも、神の意志と考えたのかもしれませんね。

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本当に予言は可能?預言者や予言者の例

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預言者と予言者の違いを説明しましたが、実際にはどのような預言者や予言者がいるのでしょう。現在でも何月何日に地震が起きるみたいな予言はよく見ますよね。そのため多くの予言者がいますが、ここでは多くの人が知るような預言者や予言者を説明します。

日本で大流行したノストラダムス

有名な予言と言えばノストラダムスの大予言でしょう。1990年代後半に年頃だった人は覚えている人が多いかと思います。また、その当時を舞台にしたマンガなどに登場することも。

ノストラダムスは16世紀前半のフランスの医師、占い師予言者としても有名です。未来のことと言っても具体的な日付や何が起こるかが書いてあるわけではありません。予言集と言う詩を集めたもので、それを後世の人が歴史上の事実と重ね合わせて予言であるとしています。有名なのが1999年の7月に恐怖の大王が降りてくるというもの。そのため、1999年に人類が滅亡すると言われていました。

ノアやムハンマドも?宗教と預言者

予言者として有名なのはノストラダムス。では預言者はどうでしょう。例えば、イスラム教では以下の5大預言者が存在します。これらの預言者はノストラダムスのように人類が滅亡するといったことを言っているわけではありません。神の言葉を伝えるのが預言者なのです。

・ノア(ノアの箱舟で有名)
・アブラハム
・モーセ(日本ではモーゼの十戒で有名)
・ナザレのイエス
・ムハンマド(イスラム教では最後の預言者とされている)

確定した未来ではなく実は戒め?宗教と預言

予言と言うと未来のこと、例えばノストラダムスの大予言ならば人類が滅亡する、といったことと考えがちです。しかし、宗教における預言は未来のこととは限りません。日本の仏教ではよくお釈迦様の教えというものがありますが、これも預言と考えられます。

例えば、善行を積めば死後に天国や極楽へ行くことができる、といった話がよくありますよね。これが本来の預言です。例えば、盗みやむやみな殺生をすれば地獄に落ちる、などのようにこういうことをしないほうがよいと戒めるものが預言。キリスト教などでは罪を悔い改めなければ悪いことが起きるなどとされます。それが転じて、何月何日に災いが起こるといった預言や予言につながっていったわけですね。

神の言葉を伝えるのか未来を予知するのか、しかし未来は変えられる

実際のところ、予言が本当に可能かはわかりません。ただ、90年代後半に日本中で話題になったノストラダムスの大予言の通りに1999年に人類は滅亡しませんでした。その他にもマヤの予言や何月何日に火山の噴火や大地震が起きるといった予言は毎日のように見かけます。

ただ、元々の預言というのは未来を示すものと言うよりは戒めの言葉に近いもの。善行を積めば天国に行くことができるみたいなものです。未来に確実に予言された何かが起こるというよりは、そういう悪いことを避けるために努力しなさいというもの。つまり、予言は確定した未来ではなく、変えられるものなのです。

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言葉雑学

簡単でわかりやすい!預言者と予言者の違いとは?宗教?未来のこととは限らない?由来や日本語での使い分けもプログラマーがわかりやすく解説

予言という言葉を聞いたことがあるよな。その予言をするのが予言者です。ですが別の書き方として「預言者」と書くこともある。この預言者と予言者は日本では使い分けることが多い。ですが、実はそれは日本での話で、海外では分けていないことが多い。そんな預言者と予言者の由来や、日本での使い分け、そもそも預言とは何かを20世紀末にノストラダムスの予言にちょっと不安だったプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。20世紀末はノストラダムスの予言よりも2000年問題の対応に追われていた。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

実は英語では同じ?預言者と予言者の違いとは

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予言と聞くとどんなものを思い浮かべますか。おそらく、未来のまだ分からないことを予知したものを思い浮かべるかと思います。その予言をする人が予言者ですよね。実はその予言や予言者にも日本語では2種類あります。

ひとつは未来のことを予知する予言。そしてもう一つは神の言葉を伝える預言です。どちらも読みは「よげん」と同じ。しかし、日本では違う意味で考えることがあります。実は神の言葉を伝える預言は必ずしも未来のこととは限りません。また、英語など外国語では区別しないことが多いです。そんな預言者と予言者の違いについて説明します。

預言者:神から預かった言葉を伝える

預言者とは神から預かった言葉、預言一般に伝える人のこと。日本語の「」には預金のようにあずけるという意味があります。そのため、神などの超自然的な存在から預かった言葉を「預言」と呼び、それを伝える人を預言者と呼ぶのです。一般的には宗教的な意味で捉えます。多くの場合、未来や将来のことであることが多いですが、必ずしも未来のこととは限りません

予言者:未来のことを伝える

一方で、一般には分からない未来のことをあらかじめ言い当てるのが予言予言をする人が予言者です。宗教的なものであることも多く、その場合は予言=預言となります。ただ、宗教とは関係ないことも多いです。神やそれに近いものから伝えられたものか、その人独自のものかという違いで分けて考えます。

例えば、何かの宗教と関係ない人でも、神や仏から聞いたことならば預言になるでしょう。一方、予知夢や占いなどで未来を知った場合は予言になるわけです。多くの予言は神やそれに近いものから聞いたとされるものが多いため、預言と予言を区別しないこともあります。

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