みんなは「銀河系」や「銀河」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。ほとんどの人が聞いたことがるんじゃないかな。ただ、「銀河系」と「銀河」という2つの単語があることを不思議に思っている人もいるでしょう。

実はこの「銀河系」と「銀河」は同じ意味の言葉ではなのです。ちょっと違いがあるんですね。

今回はそんな「銀河系」と「銀河」の違いを、宇宙大好きな院卒日本語教師の"むかいひろき"と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働く言葉の違いに詳しい日本語教師。幼少期に宇宙に興味を持ち、かつての将来の夢は宇宙飛行士。これらの経験と趣味を活かし、「銀河系」と「銀河」の違いについて分かりやすく解説していく。

「銀河系」と「銀河」は別の天体!?

image by iStockphoto

「銀河系」も「銀河」も、宇宙についてのお話ではどちらもよく出てくる言葉ですよね。もしかしたら同じ意味の言葉だと考えている人もいるかもしれません。実は全く同じ意味ものではないんですよ。まずはそれぞれどのようなものなのかを確認していきましょう。

「銀河系」:地球が所属している「銀河」

まずは「銀河系」について、どのようなものなのかを確認していきましょう。ブリタニカ国際大百科事典の記述を一部引用しつつ確認していきます。百科事典にはどのような記述があるのでしょうか。

太陽の属する、恒星や星間物質およびダークマターの大集団。

出典:ブリタニカ国際大百科事典(ブリタニカ・ジャパン)「銀河系[ギンガケイ](Milky Way Galaxy)」

百科事典によると「銀河系」は「太陽の属する、恒星や星間物質およびダークマターの大集団」という意味になります。ここで大切なポイントは"太陽の属する"という部分です。太陽が属するということは、つまりは太陽系の惑星である地球も「銀河系」に属することになりますね。「銀河系」は日本語では「天の川銀河」とも呼ばれています。

太陽は「銀河系」の中心部から約2万5000光年離れたところに存在し、その太陽の周りを地球や火星、天王星などの太陽系の惑星が回っているのです。

そして「恒星や星間物質およびダークマターの大集団」にも名前が存在します。そう。それが「銀河」なのです。つまり「銀河系」は太陽や地球が属する「銀河」ですね。「銀河」については次の項目で詳しく解説していきます。

「銀河」:星などが集まってできた巨大な天体

さきほど「銀河系」の項目で説明に登場した「銀河」。いったいどのような天体なのでしょうか。ブリタニカ国際大百科事典の記述を一部引用しながら確認していきましょう。百科事典にはどのような記述がされているのでしょうか。

恒星と星間物質、ダークマター(暗黒物質)の大集団。

出典:ブリタニカ国際大百科事典(ブリタニカ・ジャパン)「銀河[ギンガ](galaxy)」

「銀河」についての百科事典の1行目には「恒星と星間物質、ダークマター(暗黒物質)の大集団」という説明があります。これは簡単に言えば「星やその他の宇宙物質が集まってできた巨大な天体」です。つまり、膨大な量の星々や宇宙の物質が集まってできた天体が「銀河」なのですね。

「銀河」に集まる星の数は小さい「銀河」で約1000万、巨大なものでは約100兆にも及びます。そしてこの「銀河」も宇宙の中で群れを形成しており、数個~数十個の群れは「銀河群」数千個から数万個の群れは「銀河団」と呼ばれ、さらにその「銀河団」が集まって「超銀河団」を形成し、これらが「宇宙の大規模構造」と呼ばれる宇宙の階層構造を形成しているのです。

この「銀河」には様々な種類があり、主にその形状から「渦巻銀河」や「車輪銀河」などと名付けられています。ちなみに太陽や地球の所属する「銀河系」は「渦巻銀河」の1つです。

\次のページで「「天の川」は「銀河系」や「銀河」と同じ?違う?」を解説!/

「天の川」は「銀河系」や「銀河」と同じ?違う?

image by iStockphoto

「銀河系」「銀河」に関連して、これまでに「天の川」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。こちらも星の集まりだと認識されていますよね。では「天の川」は「銀河系」や「銀河」と同じなのでしょうか。違うものなのでしょうか。

「天の川」は地球から見える「銀河系」の一部!

「天の川」は端的に言えば、「地球から見ることができる銀河系の一部」です。現代の技術では太陽や地球が属する「銀河系」を外側から観察したり写真を撮ったりすることはできません。(もちろん、形質を想定することはできます。)しかし地球が「銀河系」の中に存在するということは、その地球から「銀河系」の一部は見えて当然なのです。

肉眼で町明かりが少ない場所で夜空を見てみると、「銀河系」に属する星々が連なって光の帯を形成し、川のように見えるところがあります。これが「天の川」です。

日本では「川」ととらえられていますが、国や地域によっては「川」ではなくギリシャのように「Milk(乳)」とされる場合もあります。ギリシャの呼び方がもとになった英語では、「天の川」は「Milky Way(乳の道)」と呼ばれていますね。

「銀河系」以外の「銀河」を一部ご紹介!

ここからは「銀河系」以外にどのような「銀河」が宇宙に存在するのかを見ていきましょう。といっても、「銀河」はこの宇宙に無数存在するので、すべてを紹介することはできません。ここでは有名な2つの「銀河」に絞って紹介します。

「アンドロメダ銀河」:地球の最も近くにある綺麗で大きな「銀河」

M31: アンドロメダ銀河
Adam Evans - M31, the Andromeda Galaxy (now with h-alpha) Uploaded by NotFromUtrecht, CC 表示 2.0, リンクによる

「アンドロメダ銀河」は地球から約220万光年の距離に存在する「銀河」で、地球から最も近くにある銀河の1つです。一方で肉眼で見ることができる天体の中では最も遠くにある天体の1つでもあります。

「アンドロメダ銀河」は「銀河系」と同じ「渦巻銀河」という形状です。大型の望遠鏡による観測が進んでいるため、このきれいな渦巻き状の「銀河」の写真を教科書や図鑑で見たことがあるという人も多いかもしれませんね。「アンドロメダ銀河」の直径は約22万光年だと考えられており、太陽や地球が属する「銀河系」の直径約10万光年の倍以上の大きさがあるとされています。

\次のページで「「おたまじゃくし銀河」:形がまるで”おたまじゃくし”!」を解説!/

「おたまじゃくし銀河」:形がまるで”おたまじゃくし”!

UGC 10214HST.jpg
NASA, H. Ford (JHU), G. Illingworth (USCS/LO), M. Clampin (STScI), G. Hartig (STScI), the ACS Science Team, and ESA. - File Description, パブリック・ドメイン, リンクによる

「おたまじゃくし銀河」はその名の通り"おたまじゃくし"のような形をした「銀河」で、地球から約4.2億光年離れたところに存在する「銀河」です。この"おたまじゃくしの尾"の部分は約28万光年の長さがあると考えられており、質量の大きな青い色の星団から構成されていると考えられています。

この"おたまじゃくしの尾"の部分は、やがて"尾"ではなく渦巻状になり、"おたまじゃくしの頭"の渦巻きの部分の近くに「伴銀河(大きな銀河の周囲を公転する小さな「銀河」)」を形成するのではないかと考えられていますね。

「銀河系」は宇宙に無数存在する「銀河」の1つ!

今回は「銀河系」と「銀河」の違いを中心に解説しました。「銀河」は「星やその他の宇宙物質が集まってできた巨大な天体」を意味し、「銀河系」は「太陽が属する星やその他の宇宙物質が集まってできた巨大な天体」を意味し、宇宙には無数の「銀河」が存在しています。つまり、「銀河系」は太陽が所属する「銀河」のことで、宇宙に無数存在する「銀河」の1つなのです。

「銀河」の仲間には、「銀河系」のほかに「アンドロメダ銀河」や「おたまじゃくし銀河」など、宇宙にたくさん存在しています。

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雑学

簡単に分かる「銀河系」と「銀河」の違い!アンドロメダ銀河やおたまじゃくし銀河も宇宙好きの院卒日本語教師が分かりやすく解説

みんなは「銀河系」や「銀河」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。ほとんどの人が聞いたことがるんじゃないかな。ただ、「銀河系」と「銀河」という2つの単語があることを不思議に思っている人もいるでしょう。

実はこの「銀河系」と「銀河」は同じ意味の言葉ではなのです。ちょっと違いがあるんですね。

今回はそんな「銀河系」と「銀河」の違いを、宇宙大好きな院卒日本語教師の”むかいひろき”と一緒に解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働く言葉の違いに詳しい日本語教師。幼少期に宇宙に興味を持ち、かつての将来の夢は宇宙飛行士。これらの経験と趣味を活かし、「銀河系」と「銀河」の違いについて分かりやすく解説していく。

「銀河系」と「銀河」は別の天体!?

image by iStockphoto

「銀河系」も「銀河」も、宇宙についてのお話ではどちらもよく出てくる言葉ですよね。もしかしたら同じ意味の言葉だと考えている人もいるかもしれません。実は全く同じ意味ものではないんですよ。まずはそれぞれどのようなものなのかを確認していきましょう。

「銀河系」:地球が所属している「銀河」

まずは「銀河系」について、どのようなものなのかを確認していきましょう。ブリタニカ国際大百科事典の記述を一部引用しつつ確認していきます。百科事典にはどのような記述があるのでしょうか。

太陽の属する、恒星や星間物質およびダークマターの大集団。

出典:ブリタニカ国際大百科事典(ブリタニカ・ジャパン)「銀河系[ギンガケイ](Milky Way Galaxy)」

百科事典によると「銀河系」は「太陽の属する、恒星や星間物質およびダークマターの大集団」という意味になります。ここで大切なポイントは”太陽の属する”という部分です。太陽が属するということは、つまりは太陽系の惑星である地球も「銀河系」に属することになりますね。「銀河系」は日本語では「天の川銀河」とも呼ばれています。

太陽は「銀河系」の中心部から約2万5000光年離れたところに存在し、その太陽の周りを地球や火星、天王星などの太陽系の惑星が回っているのです。

そして「恒星や星間物質およびダークマターの大集団」にも名前が存在します。そう。それが「銀河」なのです。つまり「銀河系」は太陽や地球が属する「銀河」ですね。「銀河」については次の項目で詳しく解説していきます。

「銀河」:星などが集まってできた巨大な天体

さきほど「銀河系」の項目で説明に登場した「銀河」。いったいどのような天体なのでしょうか。ブリタニカ国際大百科事典の記述を一部引用しながら確認していきましょう。百科事典にはどのような記述がされているのでしょうか。

恒星と星間物質、ダークマター(暗黒物質)の大集団。

出典:ブリタニカ国際大百科事典(ブリタニカ・ジャパン)「銀河[ギンガ](galaxy)」

「銀河」についての百科事典の1行目には「恒星と星間物質、ダークマター(暗黒物質)の大集団」という説明があります。これは簡単に言えば「星やその他の宇宙物質が集まってできた巨大な天体」です。つまり、膨大な量の星々や宇宙の物質が集まってできた天体が「銀河」なのですね。

「銀河」に集まる星の数は小さい「銀河」で約1000万、巨大なものでは約100兆にも及びます。そしてこの「銀河」も宇宙の中で群れを形成しており、数個~数十個の群れは「銀河群」数千個から数万個の群れは「銀河団」と呼ばれ、さらにその「銀河団」が集まって「超銀河団」を形成し、これらが「宇宙の大規模構造」と呼ばれる宇宙の階層構造を形成しているのです。

この「銀河」には様々な種類があり、主にその形状から「渦巻銀河」や「車輪銀河」などと名付けられています。ちなみに太陽や地球の所属する「銀河系」は「渦巻銀河」の1つです。

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