この記事では神経症とうつ病の違いについてみていきます。どちらも精神的な病気だと知っているでしょうが、実は脳が関係している部分もあって、気の持ちようとかではないようです。しかも、うつ病は誰でもかかる可能性があり、職場や家族の対応次第で悪化する可能性があるんです。
そんな神経症やうつ病の違いを、向き合い方も含めて看護師でWebライターの近野チカと一緒に解説していきます。

ライター/近野チカ

Webライターで看護師。自身も不安障害を持ち、最近は闘うよりもうまく共存するようにしたら、あまり悩まされなくなった気がしている。ただしストレス耐性低め。

神経症とうつ病との違いとは?

神経症とうつ病は精神系の病気ですが、全く違う病気です。神経症も種類がいくつかあります。また、心の病気は心構えでなんとかなると思われがちですが、そうではありません。違いも含めて詳しくみていきましょう。

神経症とは心理的な原因で起こる不安障害などをいう

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神経症はノイローゼのことを言い、うつ病とは異なります。主な神経症はパニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害などです。過剰な不安や恐怖によって身体症状や精神症状が出現し、日常生活に支障をきたします。

・パニック障害...突然理由もなく激しい不安に襲われ、心臓がドキドキするなどのパニック発作を繰り返すため、発作が起こることに不安を抱くようになり、外出ができなくなる。

・社会不安障害(社会恐怖)...人に注目されることや人前で恥ずかしい思いをすることが怖くなり、人と話すことだけでなく、人が多くいる電車やバスなどに強い苦痛を感じる。

・強迫性障害...くり返し手を洗い続けるなど、つまらないと分かっていてもある行為をやめられず、くり返し同じことをしていないと不安で堪らなくなる。

・全般性不安障害...色々なことが気になり、極度に不安や心配になる状態が半年以上続く。

うつ病とは気分障害で脳のエネルギーが欠乏した状態

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うつ病は気分障害の1つです。気分障害とは、気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気をいいます。気分障害といっても、脳のエネルギーが欠乏したために脳のシステムがトラブルを起こした状態だと考えられ、決して気の持ちようで治るものではありません。

発症の原因はよく分かっていませんが、精神的なストレスや身体的なストレスが影響し脳がうまく働かなくなった結果、一日中気分が落ち込む、何をしても楽しめない、疲れやすい、食欲がない、眠れないなどの症状で日常生活に大きな支障をきたすものです。

うつ病は誰でもかかる可能性があり、2014年の厚生労働省の調査では約111万6000人もの患者がいました。WHO(世界保健機関)の報告書によると世界で推計3億2200万人(2015年時点)に達しています。

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神経症とうつ病の向き合い方とは

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神経症やうつ病は家族を含め、周囲の人の対応が重要になります。精神系の病気に分類されますが、自分の気持ち次第でなんとかなるという精神論で治すことはできません。それぞれの病気ごとの対応の仕方を詳しくみていきましょう。

1.うつ病との向き合い方(家族)

まずは病気を理解しましょう。患者本人は頑張りたいのに頑張れない自分に無力感、罪悪感を抱いていると同時に、1日も早く元に戻りたいと焦っています。

ゆっくり休養し、決断を求めてはいけません。仕事を休職するか退職するか、離婚するか否かといった重大なことは、自分で判断できるようになるまで先延ばしにします。患者は今晩のメニューを何にするかというささいな決断すら負担になる状況なのです。家族から「今日はカレーにしようか」というふうに提案すると答えやすくなります。

また励ますのではなく、温かく見守りましょう。原因はわからないことが多く、原因探しをしたところで解決しません。必ず治ること病気でもあるので、「治るわけがない」と思う本人に「絶対治る」と声かけをするのも、患者本人が治療に取り組む原動力になります。

2.職場にうつ病に人がいる場合

うつ病を患った従業員が復職する場合は、患者の家族同様、励まさない、適度に休息できるようにしましょう。職場での適度な休息とは、業務量が多すぎないように調整することです。焦らさないように本人の体調や負担感、業務を遂行する状況を確認しつつ、段階的に行います。あまりに減らしすぎるのは本人の自信喪失につながり症状が悪化するため、専門医に相談しましょう。

「調子どう?」と本人に聞いたり、腫れ物を触るような職場の雰囲気は、「自分は迷惑をかけている」と自責の念に駆られ追い詰めてしまいます。今まで通りに接する方が本人の気持ちは楽なのです。

会社には従業員の安全配慮義務があります。患者本人から相談してきた場合は、相手の話をさえぎったり、否定せずに聞くというのがポイントです。

3.神経症・パニック障害患者の向き合い方

パニック障害では、パニック発作のつらさや発作に対する不安を理解しましょう。

発作で死ぬことはありませんが、強い不安にとらわれているため、「大丈夫」と優しく声をかけて背中をさするなどの不安を軽減するようにしましょう。

広場恐怖(広場だけでなく、バスや電車などの公共交通機関や駐車場などの広い場所、店や映画館などの囲まれた場所、または列に並んだり人混みの中にいること、家の外に1人でいることのうち2つ以上の場面で強い恐怖や不安を感じる)があると、1人での外出を避けるようになり、家族など周囲の人が一緒に付き添わないと外出もままならなくなります。しかし、家族や周囲の人が1人でこなすには負担が大きく疲れきってしまうため、他の家族や友人、カウンセラーなどの協力を得ましょう。

4.神経症・社会不安障害患者の向き合い方

悩みを理解してもらえると感じられるような会話、本人が孤独感にさいなまれることのないようサポートします。プレッシャーを感じずに生活を送れるように無理をさせないようにしましょう。

患者は不安と恐怖と戦いながら、何事もないように普段から頑張っている状態です。頑張れとむやみに励ますより、温かい目で見守りましょう。落ち込んでいる時、人前に出ることはさらなる恐怖を与えます。1人の時間を作ってあげましょう。

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5.強迫性障害の向き合い方

自身の強迫観念(手が汚れていると気になって仕方ない、家の鍵を閉めたか気になってしかないといった極めて強い不安や恐怖のこと)と回避行動(何時間も手を洗う、鍵を何度も確認するなど)を周囲の人にも強制する傾向があり、深刻な場合は暴力をふるう場合があります。

家族は患者の言う通りにしてしまいがちです。しかし、要求がエスカレートして対応できなくなると、患者の怒りにふれるという悪循環に陥ります。患者と距離をとるようにしても患者側から近づいてしまう場合があるので簡単に解決できる問題ではありません。

患者もやめられない苦しみがありますが、家族も患者の要求に応え続けるのはできないことを患者本人に理解してもらわなければいけません。また外出ができない状態や家族に暴力を振るう場合は医療機関を受診する必要があることも理解してもらう必要があります。本人や家族だけでは解決しようとせず、まず医療機関に相談しましょう。

6.神経症・全般性不安障害患者の向き合い方

患者は周囲の人に不安や心配を相談することが多いのですが、相談を受けたときは身体的な不調に苦しんでいます。気持ちの問題や性格のせいではないので決めつけるようなことはせず、否定的なことは言わないようにしましょう。できないことがあっても責めず、不安を訴えているときは聞き役に徹します。その際、アドバイスはせずに自分が味方であることを伝えるのがポイントです。休める環境があると安心できます。

また、本人が意識を変えようと努力しているときには褒めましょう。十分な睡眠とバランスの良い食事をとり、適度な運動はするというように生活習慣を整えることは精神の安定につながります。

神経症とは心理的な原因で起こる不安障害で、うつ病とは気分障害

ノイローゼのことを神経症といい、うつ病とは異なる病気です。神経症にはパニック障害、社会不安障害(社会恐怖)、強迫性障害、全般性不安障害などがあり、過剰な不安や恐怖によって身体症状や精神症状が出現し、日常生活に支障をきたします。

うつ病は気分障害の1つです。気分障害とは、気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気をいいます。気分障害といっても、脳のエネルギーが欠乏したために脳のシステムがトラブルを起こした状態だと考えられ、決して気の持ちようで治るものではありません。

うつ病は誰でもかかる可能性があり、2014年の厚生労働省の調査では、約111万6000人もの患者がいました。WHO(世界保健機関)の報告書によると、世界で推計3億2200万人(2015年時点)に達しています。

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簡単でわかりやすい!神経症とうつ病の違いとは?向き合い方も看護師ライターが詳しく解説

この記事では神経症とうつ病の違いについてみていきます。どちらも精神的な病気だと知っているでしょうが、実は脳が関係している部分もあって、気の持ちようとかではないようです。しかも、うつ病は誰でもかかる可能性があり、職場や家族の対応次第で悪化する可能性があるんです。
そんな神経症やうつ病の違いを、向き合い方も含めて看護師でWebライターの近野チカと一緒に解説していきます。

ライター/近野チカ

Webライターで看護師。自身も不安障害を持ち、最近は闘うよりもうまく共存するようにしたら、あまり悩まされなくなった気がしている。ただしストレス耐性低め。

神経症とうつ病との違いとは?

神経症とうつ病は精神系の病気ですが、全く違う病気です。神経症も種類がいくつかあります。また、心の病気は心構えでなんとかなると思われがちですが、そうではありません。違いも含めて詳しくみていきましょう。

神経症とは心理的な原因で起こる不安障害などをいう

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神経症はノイローゼのことを言い、うつ病とは異なります。主な神経症はパニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害などです。過剰な不安や恐怖によって身体症状や精神症状が出現し、日常生活に支障をきたします。

・パニック障害...突然理由もなく激しい不安に襲われ、心臓がドキドキするなどのパニック発作を繰り返すため、発作が起こることに不安を抱くようになり、外出ができなくなる。

・社会不安障害(社会恐怖)…人に注目されることや人前で恥ずかしい思いをすることが怖くなり、人と話すことだけでなく、人が多くいる電車やバスなどに強い苦痛を感じる。

・強迫性障害…くり返し手を洗い続けるなど、つまらないと分かっていてもある行為をやめられず、くり返し同じことをしていないと不安で堪らなくなる。

・全般性不安障害…色々なことが気になり、極度に不安や心配になる状態が半年以上続く。

うつ病とは気分障害で脳のエネルギーが欠乏した状態

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うつ病は気分障害の1つです。気分障害とは、気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気をいいます。気分障害といっても、脳のエネルギーが欠乏したために脳のシステムがトラブルを起こした状態だと考えられ、決して気の持ちようで治るものではありません。

発症の原因はよく分かっていませんが、精神的なストレスや身体的なストレスが影響し脳がうまく働かなくなった結果、一日中気分が落ち込む、何をしても楽しめない、疲れやすい、食欲がない、眠れないなどの症状で日常生活に大きな支障をきたすものです。

うつ病は誰でもかかる可能性があり、2014年の厚生労働省の調査では約111万6000人もの患者がいました。WHO(世界保健機関)の報告書によると世界で推計3億2200万人(2015年時点)に達しています。

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