この記事では「ブタクサ」と「キリンソウ」の違いについてみていく。どちらも小さな黄色い花が咲く植物です。高さや開花時期が違うのに、なぜか混同してしまう。また群生して秋に咲く「アキノキリンソウ」や「セイタカアワダチソウ」と間違う人も多いでしょう。混乱してしまう原因を、それぞれの花の違いを確認しつつ、語学系主婦ライターの小島ヨウとともに解説していきます。

ライター/小島 ヨウ

ドイツ語学科卒、英語劇や市民劇団に所属した語学系おばさんライター。漢字や言葉の使い方に興味あり。わかりやすくをモットーに深ぼり解説する。

「ブタクサ」と「キリンソウ」の違い

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季節ごとに野に咲く草花、なかなか名前は分かりませんよね。あれこれ似ているために一年中同じ植物が生えているのかと錯覚します。中でも混乱してしまう「ブタクサ」と「キリンソウ」、何が違うのかみていきましょう。

「ブタクサ」:キク科ブタクサ属、開花は8~10月

「ブタクサ」は花粉症で有名な外来種です。繁殖力が強く、本州から四国、九州まで、道端や空き地などどこでも生えています。茎の高さは30センチから1メートル、夏から秋にかけてが開花の時期。伸びた茎に小さく黄色い花が並んで咲きます。

また戦後に北米から入ってきたといわれる「オオブタクサ(クワモドキ)」はブタクサよりも花粉を多く飛ばすので厄介です。

「キリンソウ」:ベンケイソウ科、開花は5月

「黄輪草」とも「麒麟草」とも書かれる「キリンソウ」は多肉植物で高さ5センチから30センチほど。日当たりのよい岩場などで群生、小さく黄色い花が円状に集まって咲きます。絶滅危惧種に指定また薬用や食用の品種もあり、分布は広く東アジア全域です。

混同の原因は「アキノキリンソウ」、開花は8月~11月

「ブタクサ」と「キリンソウ」を紹介しましたが、あまり似通っていませんね。なのになぜ混同されてしまうのでしょうか。原因は「キリンソウ」とは全く別の草花「アキノキリンソウ」。秋に黄色い小さな花が密集して咲く、高さ80センチほどの植物です。

この花の別名が「アワダチソウ」で、しかも別種の「セイタカアワダチソウ」と呼び名が被っています。そして「セイタカアワダチソウ」が「ブタクサ」と開花時期が同じ、しかも姿かたちが似ているために、まわりまわって「ブタクサ」と「キリンソウ」が混同したそうです。

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「アキノキリンソウ」と「セイタカアワダチソウ」の違い

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それでは「ブタクサ」や「キリンソウ」と混同する別の植物、「アキノキリンソウ(アワダチソウ)」と「セイタカアワダチソウ」の違いについてみていきましょう。

「アキノキリンソウ」=「アワダチソウ」

春から夏に咲く「キリンソウ」の花の形が似ていることから名づけられた秋に咲く「アキノキリンソウ」。キク科アキノキリンソウ属の植物、日本固有種で北海道から沖縄まで分布しています。別名の「アワダチソウ」は、密集して咲く小さな黄色い花がお酒の泡が立っているように見えることからのようです。

「セイタカアワダチソウ」は外来種

「アキノキリンソウ」こと「アワダチソウ」に似ている外来種の北米原産「セイタカアワダチソウ」、種属は同じアキノキリンソウ科です。空き地や河川敷などでススキと競合、在来種を飲み込んで生育地を広げているため問題視されています。しかしながら繁殖は虫媒体で花粉は飛ばしません。また隆盛の後は大地の栄養分が枯渇、自身の毒で滅びてしまうという切ない植物です。

「ブタクサ」と「セイタカアワダチソウ」の違い

同じ時期に花を咲かせる「ブタクサ」と「セイタカアワダチソウ」、花粉症の原因は「ブタクサ」です。見分け方を確認しましょう。鮮やかな黄色い花はセイタカアワダチソウです、ブタクサの花はそう黄色くありません。またセイタカアワダチソウの葉っぱはすらりと細く先が尖っていますが、ブタクサの葉はギザギザとしてヨモギに似ています。

ブタクサの花粉症は意外に多いようです。見分けて、近寄らないようにしましょうね。

「花粉症」を引き起こす草花

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ブタクサなど花粉症を引き起こす草花の花粉を総称して「草本花粉」といいます。背の低い雑草類、近寄らなければ大丈夫ですので、要注意の植物をご紹介しましょう。

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「ヨモギ」:開花時期8月~10月にご注意

「ヨモギ」といえば草だんごや草餅など和菓子のイメージですね。若葉は多くの薬効があるのでハーブの女王と呼ばれているそうです。春の味覚としてだけでなく化粧水など美容製品にも使われるヨモギ。夏から秋にかけて花を付け、大量の花粉を飛ばし、アレルギー性鼻炎や結膜炎を引き起こします。

「カモガヤ」:イネ科、4月末~7月にご注意

「カモガヤ」はイネ科の植物で、春から初夏にかけて花粉症の原因になる白っぽい花が塊で咲きます。河原や公園、道路わきなどどこでも生え、花粉の飛散距離は数十メートル。草刈りして除去、できない場合は近づかないことです。

また、猫じゃらしと呼ばれる「エノコログサ」に似ているイネ科の「オオアワガエリ」も6月~8月に花粉を飛ばし、花粉症の原因になります。

「キリンソウ」は無害、「ブタクサ」には要注意

この記事では「ブタクサ」と「キリンソウ」の違いについて説明しました。双方黄色い小さな花が咲く植物で、ブタクサは花粉症の原因となり、キリンソウは高さ30センチほどの多肉植物。アキノキリンソウとセイタカアワダチソウそしてブタクサが似ているため、混同してしまうことが分かりましたね。

スギ花粉の季節は警戒しても、草本花粉にはノーガードの方が多いかもしれません。とにかく、原因となる植物には近寄らないことが一番ですよ。

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簡単にわかる「ブタクサ」と「キリンソウ」の違い!セイタカアワダチソウとの違いや花粉症の原因も語学系主婦ライターがわかりやすく解説

この記事では「ブタクサ」と「キリンソウ」の違いについてみていく。どちらも小さな黄色い花が咲く植物です。高さや開花時期が違うのに、なぜか混同してしまう。また群生して秋に咲く「アキノキリンソウ」や「セイタカアワダチソウ」と間違う人も多いでしょう。混乱してしまう原因を、それぞれの花の違いを確認しつつ、語学系主婦ライターの小島ヨウとともに解説していきます。

ライター/小島 ヨウ

ドイツ語学科卒、英語劇や市民劇団に所属した語学系おばさんライター。漢字や言葉の使い方に興味あり。わかりやすくをモットーに深ぼり解説する。

「ブタクサ」と「キリンソウ」の違い

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季節ごとに野に咲く草花、なかなか名前は分かりませんよね。あれこれ似ているために一年中同じ植物が生えているのかと錯覚します。中でも混乱してしまう「ブタクサ」と「キリンソウ」、何が違うのかみていきましょう。

「ブタクサ」:キク科ブタクサ属、開花は8~10月

「ブタクサ」は花粉症で有名な外来種です。繁殖力が強く、本州から四国、九州まで、道端や空き地などどこでも生えています。茎の高さは30センチから1メートル、夏から秋にかけてが開花の時期。伸びた茎に小さく黄色い花が並んで咲きます。

また戦後に北米から入ってきたといわれる「オオブタクサ(クワモドキ)」はブタクサよりも花粉を多く飛ばすので厄介です。

「キリンソウ」:ベンケイソウ科、開花は5月

「黄輪草」とも「麒麟草」とも書かれる「キリンソウ」は多肉植物で高さ5センチから30センチほど。日当たりのよい岩場などで群生、小さく黄色い花が円状に集まって咲きます。絶滅危惧種に指定また薬用や食用の品種もあり、分布は広く東アジア全域です。

混同の原因は「アキノキリンソウ」、開花は8月~11月

「ブタクサ」と「キリンソウ」を紹介しましたが、あまり似通っていませんね。なのになぜ混同されてしまうのでしょうか。原因は「キリンソウ」とは全く別の草花「アキノキリンソウ」。秋に黄色い小さな花が密集して咲く、高さ80センチほどの植物です。

この花の別名が「アワダチソウ」で、しかも別種の「セイタカアワダチソウ」と呼び名が被っています。そして「セイタカアワダチソウ」が「ブタクサ」と開花時期が同じ、しかも姿かたちが似ているために、まわりまわって「ブタクサ」と「キリンソウ」が混同したそうです。

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