色々な鉄道会社に様々な鉄道車両があるよな。ですが、JRが国鉄だったころは、日本中で同じ車両を使っていた。その中でも、多くの路線で使われた電車が113系と115系です。今では一部の地域でしか見ることはできないが、1970年代から80年代前半にかけての通勤や通学を支えた電車です。つまり、日本を支えた電車と言っても過言ではないぞ。そんな113系と115系の違いや見分け方を、実際に113系で通勤や通学していた鉄道好きプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。113系で通学や通勤していた。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

合わせて5000両!国鉄時代の定番車両

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国鉄がJRグループになったのが1987年。それから30年以上過ぎ、すでに国鉄を知らない人が多くなっています。国鉄こと日本国有鉄道は同じタイプの車両を全国で使っていました。そのため、大手飲食チェーン店のようにどこに行っても同じタイプの車両が走っていたのです。

そんな国鉄時代に全国で5000両が走っていたのが113系や115系1980年代に通勤・通学していた世代には懐かしい電車です。そんな定番電車とも言える113系と115系の違いを説明します。

113系:温暖で平坦な路線向け

113系や115系はどちらも比較的長距離を走る路線向けの電車首都圏で言えば東海道線や東北線、高崎線、横須賀線などで使われる電車です。全国にこのような路線は数多くあります。その中でも113系はあまり坂がない比較的平坦な地域で、雪が頻繁に降って積もることがないような都市部で使われていた電車です。

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115系:勾配の多い寒冷地向け

115系の見た目は113系とそっくり。それもそのはずで、実は兄弟関係にあたります。元々111系という電車があり、それを元にして生まれたのが113系と115系です。この違いは走る路線の違い

113系が平坦で温暖な地域を想定しているのに対して、115系は山がちで坂が多いような路線で、冬は雪が積もるような寒冷地を想定しています。人間なら気候に合わせて服装を変えますが、電車はそうもいかないため、走る電車そのものを地域に合わせているのです。113系と115系に限らず、国鉄時代の鉄道車両は温暖地向けと寒冷地向けに分かれているケースがよくあります。

国鉄近郊型車両の決定版!111/113/115系とは

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鉄道車両は使い方に合わせていくつかのタイプに分けられます。都会で多くの人を運ぶのが通勤型。例えば、山手線や京浜東北線で使うのが通勤型電車です。一方、通勤型電車のように多くの人を運ぶより、ある程度長い時間乗るので快適さを求めるタイプの電車もあります。それを近郊型電車と呼びました。例えば、都心の会社に1時間前後かけて通うような路線である東海道線や東北線、高崎線などで使う電車です。

現在は通勤圏が拡大、電車も混雑するのであまり通勤型と近郊型という分け方をしなくなりました。しかし、90年代くらいまでははっきりした違いがあったのです。

通勤型電車と近郊型電車とは

今ではあまり違いがなく、近郊型電車と言う分類はなくなってきています。ざっくり言えば通勤型はとにかく大量に人を運ぶための電車です。逆に近郊型はある程度運ぶ人数を抑えても、長時間乗るため座席を増やして快適に過ごせるようにしようというもの。

今は両者の違いはあまりなく、近郊型と言う言葉を使う機会が減っています。しかし、90年代までの通勤型と近郊型の違いがはっきりしていた時代には、以下のような違いがあったのです。

・通勤型は乗降ドアが4つ、近郊型は3つ
・通勤型は横に長い椅子、近郊型は4人掛けのボックス席(上の写真)
・通勤型は駅間が短く短時間の乗車、近郊型は駅間が長くて長時間の乗車

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近郊型電車の決定版?111/113/115系の違いとは

国鉄時代の近郊型電車として全国で走っていたのが113系と115系。しかし、その前に111系という車両がありました。ただ、111系は少数製造されただけで、すぐに後継車両に切り替わります。この111系から生まれた後継車両が113系と115系です。

どちらも様々な派生型が登場し、合わせて5000両と大量生産されました。その主な違いは113系は平坦地の路線向けで、115系は山岳地や寒冷地の路線向けということ。そのため、見た目についてはあまり違いはなく、見えない部分の違いになります。

どうやって見分ける?113系と115系

細かい部分は色々違いますが、鉄道好きでないとなかなか見分けがつきません一番簡単なのは正面から見た時の塗り分け113系は中央のドアから斜めに塗り分けられていましたが、115系は直線で塗り分けられていました。

ただし、これは国鉄時代の話。国鉄時代は電車の塗装もあまりバリエーションはなくどこでも同じような色で塗られていました。その後、JRになって各社がそれぞれ工夫するようになります。その結果、電車の塗装はどのタイプかよりは路線で変わるように。そのため113系と115系の見た目の区別はますます難しくなってしまいました。

111/113系と115系の違いとは?

JRE 113-SotobouLine.jpg
basser - 投稿者自身による著作物, CC0, リンクによる

見た目はあまり違わない113系と115系。しかし、決定的な違いがあります。それは坂に関係あります。坂に関係した113系と115系の決定的な違いについて説明します。

一番の違いはブレーキ?115系は山岳向け

113系は温暖で平坦なところ向けで、115系は寒冷で山がちなところ向けと説明しました。基本はそうなのですが、バリエーションの中には寒冷地向けの113系や、温暖地向けの115系なども存在しています。実は113系と115系の一番の違いはブレーキなのです。

山岳地帯の道路ではエンジンブレーキを使用するように標識が出ていることがあります。これは、通常のブレーキを頻繁に使うと効きが悪くなってしまい事故を起こすことがあるため。そのためエンジンブレーキを使います。鉄道車両にも同様です。通常のブレーキは車や電車を止めるためのもの。しかし、止めるのではなく一定以上の速度が出ないように抑えるためのブレーキがあります。この有無が113系と115系の違いなのです。

鉄道は勾配に弱い?鉄道と坂

ブレーキの説明の前に坂と鉄道の関係です。実は鉄道は坂に弱いもの。例えば、温泉で有名な箱根に箱根登山鉄道という路線があります。箱根の急勾配を上るために電車には特殊な装備が必要。つまり、他の路線を走る電車を持ってきても箱根の坂は登ることができないのです。

一方、走る場所は多少違いますが、自動車は箱根の山を普通に走りますよね。普通の電車だけでなく、箱根登山の電車でも登れないような急坂でも自動車ならば登ることが可能。これは、鉄道が鉄のレールを鉄の車輪で走ることや、鉄道車両が自動車よりも重いことが関係します。色々理由はありますが、そもそも鉄道は坂に弱いのです。

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モーター出力は同じだが、ブレーキが違う115系

山を走る電車は強力なモーターが必要だと思いませんか。実は113系と115系は同じモーターです。電車にはモーターが付いている車両と付いていない車両があります。山を走る列車はモーターが付いている車両を増やすことで対応しているのです。

それよりも問題なのがブレーキ通常のブレーキを頻繁に使うと効きにくくなるのは自動車も鉄道も同じ。そうならないように、下り坂で速度が上がりすぎないように専用のブレーキを用意してあるのが115系の特徴。箱根駅伝で山のコースに強い選手を「山の神」と呼びますが、115系は鉄道界の山の神なのです。

平地向けの113系と山向けの115系、どちらも残りわずか

113系も115系も70年代から80年代に全国で活躍した国鉄の電車です。通勤用と言うよりは、比較的長時間乗る普通列車用の車両。その違いは急な下り坂が続くような路線に対応したブレーキの有無です。一般型が113系、山のスペシャリストが115系というのが兄弟電車の違いになります。

そんなどこでも見ることができた113系や115系も、JRになってから30年以上が経って残りわずか2023年時点で合わせて400両弱と全製造数の8%しか残っていません。特に113系は3000両のうち残りは100両程度。JR西日本の岡山地区などに残るのみです。一方の115系も300両以下に減っていますが、JR西日本の一部と長野のしなの鉄道で現役山に特化しているため113系より多く残っています。とは言え、最初に登場してから50年以上が経過。どちらも見ることができるのはあとわずかです。

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簡単でわかりやすい!113系と115系の違いとは?用途や見分け方も鉄道好きプログラマーがわかりやすく解説

色々な鉄道会社に様々な鉄道車両があるよな。ですが、JRが国鉄だったころは、日本中で同じ車両を使っていた。その中でも、多くの路線で使われた電車が113系と115系です。今では一部の地域でしか見ることはできないが、1970年代から80年代前半にかけての通勤や通学を支えた電車です。つまり、日本を支えた電車と言っても過言ではないぞ。そんな113系と115系の違いや見分け方を、実際に113系で通勤や通学していた鉄道好きプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。113系で通学や通勤していた。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

合わせて5000両!国鉄時代の定番車両

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国鉄がJRグループになったのが1987年。それから30年以上過ぎ、すでに国鉄を知らない人が多くなっています。国鉄こと日本国有鉄道は同じタイプの車両を全国で使っていました。そのため、大手飲食チェーン店のようにどこに行っても同じタイプの車両が走っていたのです。

そんな国鉄時代に全国で5000両が走っていたのが113系や115系1980年代に通勤・通学していた世代には懐かしい電車です。そんな定番電車とも言える113系と115系の違いを説明します。

113系:温暖で平坦な路線向け

113系や115系はどちらも比較的長距離を走る路線向けの電車首都圏で言えば東海道線や東北線、高崎線、横須賀線などで使われる電車です。全国にこのような路線は数多くあります。その中でも113系はあまり坂がない比較的平坦な地域で、雪が頻繁に降って積もることがないような都市部で使われていた電車です。

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