この記事では難民と避難民の違いについてみていきます。どちらも母国を追われて海外へ移った人たちを想像すると思うが、日本政府は2つを明確に区別している。難民と避難民の違いを一言でまとめると、日本の難民認定制度に認められているか否かです。日本で難民に認定されるハードルはかなり高く、現在はウクライナ避難民と他国民の待遇差が問題視されている。そんな難民と避難民について雑学好きライターYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

現役ママライターのYuna。ウクライナ情勢をきっかけに国際情勢にアンテナをたて始めた。「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

難民と避難民のざっくりした違い

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難民と避難民の違いは、難民認定制度によって認定されているか否かです。難民に認定されると日本で安定した在留が叶う他、永住許可要件が一部緩和されたり難民旅行証明書が交付が許可されます。日本では難民の受け入れに対して消極的でしたが、2022年からのウクライナ情勢をきっかけに難民についての対応を改める必要に迫られているのです。

難民:特定の理由で迫害される恐れがある人たち

日本の難民の定義は、難民条約第1条において定められています。

人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。

(出典:出入国在留管理庁,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nanmin_00001.html)

難民とは要するに、故郷を何らかの理由で追われ国籍外の国に逃げてきた人たちを指します。日本では1975年頃のインドシナ難民をきっかけに、難民条約が加入・発効されました。

避難民:一時的に滞在を認められた人たち

避難民の定義は明確でなく、主にウクライナから日本へ逃げてきた人たちを指して使われています。日本政府から人道的な配慮で特別に滞在を認められており、難民と区別する目的で用いられるケースが多いです。難民との違いは2点あります。1点目は難民認定制度に承認されていないこと、2点目は滞在は一時的で長期滞在を保証しないことです。

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ウクライナ避難民の現状

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2022年2月24日からはじまったウクライナ侵攻。国を脱出しなければならなくなったウクライナの人々の現在が気になりますよね。法務省の調査では2023年7月12日時点で、2,120人のウクライナの人々が日本に避難していることがわかっています。

日本政府は移民を受け入れないのが基本姿勢で、他国と比べて難民認定のハードルは高いです。一方でこれまでの姿勢を覆すウクライナの人々への臨時的な待遇が話題になっています。

ウクライナ避難民と他国避難民の待遇差

日本にはウクライナ避難民に似た境遇の人々がおり、ウクライナ避難民との待遇差が問題視されています。ウクライナ避難民は労働可能な資格を持てる特定活動という枠組みによって、国民健康保険への加入や子どもを学校に通わせるケースも。

一方2021年頃に始まったアフガニスタンからの避難者たちは、迫害可能性の証明や身元保証人の確保などをはじめ厳しい受け入れ条件にさらされています。避難民への待遇差は人権侵害だという指摘も多いです。

日本政府はなぜ避難民と難民を区別する?

日本政府が難民と避難民を区別する理由は、ウクライナを支援する立場を取りながら移民を受け入れない姿勢をつらぬくためです。ウクライナから逃げてきた人々を難民と認めると、当然日本への定住資格を与えることに。日本政府としては移民を受け入れたくないですが、国際的な体面は保たねばなりません。あえて避難民と呼称することで、難民と明確に区別しているのです。

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難民受け入れ対策の今後の課題

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日本の難民受け入れ対策は世界標準と比べ遅れていると言わざるを得ません。日本が難民・移民の受け入れに対し消極的である理由は様々ですが、ウクライナ情勢をきっかけに受け入れ対策を見直す必要に迫られています。

日本の難民受け入れ対策の課題は主に2点です。1点目は、ウクライナ避難民以前から日本への移住を希望している人々への対策を早めること。2点目は、日本の難民受け入れ制度を国際標準に会わせていくことです。

1.第三国定住を進める

日本が抱える難民対策の課題の1つ目は、第三国定住を進めることです。

第三国定住とは、難民キャンプ等で一時的な庇護を受けた難民を、当初庇護を求めた国から新たに受入れに合意した第三国へ移動させることで、難民は移動先の第三国において庇護あるいはその他の長期的な滞在権利を与えられることになります。

(出典:外務省,https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/nanmin/main3.html#ex1)

第三国定住は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によって各国に推奨されており、日本もアジア諸国の難民問題を中心に2008年12月に第三国定住の受け入れを閣議決定。2020年以降は年1〜2回の頻度で約60人ほど受け入れるはずでしたが、2023年までの第三国定住で受け入れられたのは約250人。ウクライナ避難民が2,000人以上受け入れられているのに対し対応がかなり遅れているのです。

私たち日本国民はウクライナ情勢前から日本に定住を望む人々の存在を認知し、日本政府に警鐘を鳴らしていかなければなりません。

2.難民受け入れ制度を国際標準に合わせる

日本で暮らすことになった外国人がぶつかる問題は、言語の壁や就労支援など最低限の日常を送るための整備不足。日本は他国の難民対策を参考にすべきです。例えばドイツでは、ドイツ語研修や生活習慣を学ぶ機会が難民に与えられます。

日本のウクライナ避難民への対応はこれまでの難民対策に比べ迅速でした。日本政府は今回の件をきっかけに難民受け入れ対策を軟化し、国際標準に合わせていくことが今後の課題となるでしょう。

難民への関心が高まったウクライナ情勢

ウクライナ情勢をきっかけに、難民と避難民が区別されるようになりました。ウクライナ情勢が収束するまで、世界中でウクライナの人々への臨時的措置が続くでしょう。日本は他国に比べて難民や移民の受け入れに消極的な姿勢をつらぬいてきましたが、ウクライナ避難民への対応の早さは評価されるべきです。ウクライナ情勢をきっかけに、日本国民の認識は少しずつ変わっていくかもしれませんね。

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雑学

簡単でわかりやすい難民と避難民の違い!ウクライナ避難民の現状と今後の課題も雑学好きライターが詳しく解説

この記事では難民と避難民の違いについてみていきます。どちらも母国を追われて海外へ移った人たちを想像すると思うが、日本政府は2つを明確に区別している。難民と避難民の違いを一言でまとめると、日本の難民認定制度に認められているか否かです。日本で難民に認定されるハードルはかなり高く、現在はウクライナ避難民と他国民の待遇差が問題視されている。そんな難民と避難民について雑学好きライターYunaと一緒に解説していきます。

ライター/Yuna

現役ママライターのYuna。ウクライナ情勢をきっかけに国際情勢にアンテナをたて始めた。「今すぐ使える雑学」をコンセプトに解説していく。

難民と避難民のざっくりした違い

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難民と避難民の違いは、難民認定制度によって認定されているか否かです。難民に認定されると日本で安定した在留が叶う他、永住許可要件が一部緩和されたり難民旅行証明書が交付が許可されます。日本では難民の受け入れに対して消極的でしたが、2022年からのウクライナ情勢をきっかけに難民についての対応を改める必要に迫られているのです。

難民:特定の理由で迫害される恐れがある人たち

日本の難民の定義は、難民条約第1条において定められています。

人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。

(出典:出入国在留管理庁,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nanmin_00001.html)

難民とは要するに、故郷を何らかの理由で追われ国籍外の国に逃げてきた人たちを指します。日本では1975年頃のインドシナ難民をきっかけに、難民条約が加入・発効されました。

避難民:一時的に滞在を認められた人たち

避難民の定義は明確でなく、主にウクライナから日本へ逃げてきた人たちを指して使われています。日本政府から人道的な配慮で特別に滞在を認められており、難民と区別する目的で用いられるケースが多いです。難民との違いは2点あります。1点目は難民認定制度に承認されていないこと、2点目は滞在は一時的で長期滞在を保証しないことです。

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