家電製品やパソコンなどで富士通という名前を聞いたことがあるか。近年、その富士通と似ている富士通Japanという名前を聞くことも増えたんじゃないでしょうか。ですが富士通と富士通Japanは何が違うのか分かるか。どちらも富士通が付いているのだから関係があるのはわかるが、何がどう違うのかはよく分からない奴も多いでしょう。そんな富士通と富士通Japanの関係や成り立ちから今後まで、別グループで似たような仕事をしていたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

製造業とシステムインテグレーター?富士通と富士通Japanの違いとは

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CMでよく見かけるというほどではないかもしれませんが、富士通と言う会社名を聞いたことがありますか。家電や通信機器の製造・販売などをしている日本の大企業です。その富士通が頭に付いている「富士通Japan」という会社名を聞いたことがある方もいるかも。CMで出てくることはあまりありませんが、ニュースで耳にした方もいるかもしれません。

頭に富士通が付いていることから分かる通り、富士通Japanは富士通の子会社。ざっくり言えば富士通グループ内で国内向けのシステムインテグレーターをしているのが富士通Japanです。ではシステムインテグレーターとは何か。その説明やなぜ富士通Japanが誕生したのかを説明します。

富士通:日本の総合エレクトロニクスメーカー

他の家電を製造・販売している会社ほど知名度がないかもしれませんが、富士通は日本の電気・通信会社です。設立は1935年電話などの通信機器をつくる会社として始まります。似たような会社に日本電気(NEC)があり、比較されることも多いです。

パソコンの会社としても有名ですよね。NECやシャープなどとともに日本の代表的パソコンメーカーでした。ただし、現在富士通のパソコンは中国レノボ社との共同事業。富士通も出資していますが、レノボが多く出資しています。

富士通Japan:富士通の国内システムインテグレーター

富士通Japanは富士通の子会社。富士通に限らず大きな会社はグループをつくり、その中に様々な子会社があります。1つの会社で様々な仕事をするだけでなく、場合によっては役割分担。それで効率的に仕事ができるようにするのです。

富士通Japanは富士通グループの中で国内のシステムインテグレーター事業を分担。システムインテグレーターが何かは後で説明します。富士通は元々は通信機器をつくる会社でしたが、現在はシステムインテグレーターとして世界的な企業に成長。その国内事業を担う富士通Japanは富士通グループの中でも重要な会社なのです。

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役割分担?富士通Japanは富士通の子会社

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最初にざっくり説明しましたが、富士通Japanは富士通グループのシステムインテグレーター事業を担う情報通信子会社です。富士通は通信関係を中心とした製造業の会社ですが、関係する事業の子会社をいくつか持っており、そのひとつになります。

子会社は事業分野ごとに役割を分担する会社です。親会社である富士通の中でもよいのですが、独立して動くことができるのが特徴。大きな会社の中の一部門と子会社ではそれぞれメリットもデメリットもあります。メリットが多いと判断されると子会社になるわけです。

そもそも何者?システムインテグレーター(SI)とは

そもそもシステムインテグレーターとは何でしょうか。システムインテグレーターにもいろいろな種類がありますが、今回関係するのは情報システムのシステムインテグレーターです。情報システムとは会社で仕事に使うプログラムのこと。これらのプログラムはその会社が自分で作ることもあれば、他社に依頼することもあります。この、依頼されてシステムをつくる会社がシステムインテグレーター略してSIです。SIを主な事業とする会社をSIer(エスアイアー)と呼ぶこともあります。

つまり、富士通Japanは他の会社、あるいは役所や自治体などから依頼を受けて情報システムという会社や役所内の様々な仕事をこなすためのプログラムをつくる会社です。

ITに強い?富士通のシステムインテグレーター事業

富士通は通信関係の製造業。その製品には会社の中で使う大きなコンピューターを含みます。これらのコンピューターで仕事をするには、情報システムが必要。そのため、コンピューターを製造する企業の多くはSIerでもあります。富士通の他では国内ではNECや日立、国外ではIBMなどがコンピューターの製造からSIも手掛けている会社です。

SIerにコンピューターを製造していた会社が多いのは、そのコンピューターに一番詳しいから。コンピューターをつくっている会社に情報システムも作ってもらった方が安心ですよね。そのため、コンピューターの製造会社の多くは大手のSIerであることが多いのです。

効率が悪い?同種の子会社をまとめた富士通Japan

富士通Japanが生まれたのは2020年。もちろんそれ以前にもSI事業を手掛ける会社がグループ内に存在しました。富士通だけではなく、日本の大きな会社グループには同じように似たようなことをやる別の会社がいくつかあることが多いです。同じような会社がいくつもあることにはそれぞれ理由がありますが、一つにまとめた方が効率が良いのは確か。いくつかの会社グループがSI事業だけでなく似たような会社をまとめています。

富士通Japanも富士通や子会社のSI関係の会社を一つにまとめて富士通Japanを設立しました。富士通は国内だけでなく、国外向けにもSI事業を手掛けています。ただ、富士通Japanは国内がターゲット国外向けは富士通や別の会社が担っています。

統合されて消滅?富士通Japanの問題と今後

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富士通Japanという会社名をニュースで聞いたという方も多いかも。マイナンバー関連のトラブルが報道されましたが、その多くに富士通Japanが関係しているとして報道されています。他にも様々な噂話などを聞いたことあるかもしれません。最後に富士通Japan以外のシステムインテグレーターや、富士通Japanの問題、噂などを説明します。

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富士通Japanだけではない?日本のシステムインテグレーター

そもそも富士通Japanの規模はどれくらいなのでしょうか。細かいランキングは調査会社や年度で変わるので取り上げませんが、日本国内のSIerとしてはトップクラスの会社が富士通と富士通Japanです。他にもコンピューターを製造していたメーカー系SIerとしてNECや日立などが並びます。また、メーカー系ではないSIerとしてはNTTデータもトップクラスです。

日本のSIerのトップクラスの企業ということは、そのお客となる会社や役所、自治体も多数。年度にもよりますが、富士通のSI事業の売り上げは年間3から4兆円程度、お客は18万社とも言われています。富士通Japanと関係会社で1万人の従業員を抱えている巨大企業なのです。

トラブル多発?マイナンバーカード関連事業での不祥事

そんな巨大SI企業である富士通Japanマイナンバーカード関連の情報システムもいくつもつくっています。しかし、それらで数々の不具合が発生していることが問題に。このような行政関係の情報システムは、それぞれの自治体ごとにつくるというよりは、共通するものをつくって多くの自治体に提供します。そのため、ある部分に問題があれば、それを利用している多くの自治体でも同じ問題が発生してしまうわけです。

なぜ個別に作らないかと言えば、バラバラでは効率が悪いから。例えば、問題になっているものの一つにコンビニでマイナンバーカードを使って住民票を発行してもらうサービスがあります。やりたいことはどこの自治体でも同じですよね。それを個別につくるのは無駄。そのため、富士通Japanが共通のものをつくり、それを多くの自治体に使ってもらいます。その方が無駄が少なく、お金もかからないわけです。

富士通への統合説も?富士通Japanは消滅するのか

そんな富士通Japanですが、富士通に統合されて消滅するのではないかという噂まで出ているようです。なぜこんな話が出てくるのでしょう。実は役所や自治体からの仕事を受けるには資格が必要なことが多いです。しかし、問題が起きると資格が停止されたり、はく奪されることも。そのため、問題が起きると中身は同じで別会社にすることも。そうして引き続き仕事を受けることがあります。別のグループ会社で実際にそういうことをしていた事例も。

もっともこれはあくまで噂話。富士通の経営陣は噂を否定しています。実際、会社の事業を別の会社に移したり、新しく会社を作るのは時間もお金もかかる。そういうことをするのは最後の手段ということです。

富士通の国内事業の中核である富士通Japan、日本の代表的SI企業

富士通は日本を代表する通信関係のメーカー通信機器の他に会社で使うような大きなコンピューターをつくっています。それらのコンピューターで動く仕事で使うプログラム、情報システムをつくるシステムインテグレーターとしてもトップクラスです。国内の会社や役所、自治体などからの依頼で情報システムをつくる会社が富士通Japan富士通の子会社です。

そんな富士通Japanのつくる情報システムは多くの会社などで使われています。その反面、問題が起きると大きな影響が出てしまうことも。影響が大きいだけに、慎重につくってほしいですね。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!富士通と富士通Japanの違いとは?関係や役割分担・今後についてもプログラマーがわかりやすく解説

家電製品やパソコンなどで富士通という名前を聞いたことがあるか。近年、その富士通と似ている富士通Japanという名前を聞くことも増えたんじゃないでしょうか。ですが富士通と富士通Japanは何が違うのか分かるか。どちらも富士通が付いているのだから関係があるのはわかるが、何がどう違うのかはよく分からない奴も多いでしょう。そんな富士通と富士通Japanの関係や成り立ちから今後まで、別グループで似たような仕事をしていたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

製造業とシステムインテグレーター?富士通と富士通Japanの違いとは

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CMでよく見かけるというほどではないかもしれませんが、富士通と言う会社名を聞いたことがありますか。家電や通信機器の製造・販売などをしている日本の大企業です。その富士通が頭に付いている「富士通Japan」という会社名を聞いたことがある方もいるかも。CMで出てくることはあまりありませんが、ニュースで耳にした方もいるかもしれません。

頭に富士通が付いていることから分かる通り、富士通Japanは富士通の子会社。ざっくり言えば富士通グループ内で国内向けのシステムインテグレーターをしているのが富士通Japanです。ではシステムインテグレーターとは何か。その説明やなぜ富士通Japanが誕生したのかを説明します。

富士通:日本の総合エレクトロニクスメーカー

他の家電を製造・販売している会社ほど知名度がないかもしれませんが、富士通は日本の電気・通信会社です。設立は1935年電話などの通信機器をつくる会社として始まります。似たような会社に日本電気(NEC)があり、比較されることも多いです。

パソコンの会社としても有名ですよね。NECやシャープなどとともに日本の代表的パソコンメーカーでした。ただし、現在富士通のパソコンは中国レノボ社との共同事業。富士通も出資していますが、レノボが多く出資しています。

富士通Japan:富士通の国内システムインテグレーター

富士通Japanは富士通の子会社。富士通に限らず大きな会社はグループをつくり、その中に様々な子会社があります。1つの会社で様々な仕事をするだけでなく、場合によっては役割分担。それで効率的に仕事ができるようにするのです。

富士通Japanは富士通グループの中で国内のシステムインテグレーター事業を分担。システムインテグレーターが何かは後で説明します。富士通は元々は通信機器をつくる会社でしたが、現在はシステムインテグレーターとして世界的な企業に成長。その国内事業を担う富士通Japanは富士通グループの中でも重要な会社なのです。

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