この記事では「暖炉」と「薪ストーブ」の違いについてみていきます。どちらも、そのおしゃれさから近年人気の高まっている、冬に使用する暖房設備ですが、それぞれの言葉はなんとなく知っているつもりでも、その違いは何かと聞かれると答えに困る人も少なくないでしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

暖炉と薪ストーブのざっくりした違い

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まずは「暖炉」「薪ストーブ」のざっくりした違いについて説明しましょう。その大きな違いとは、「暖炉」本体が壁に埋め込まれる形で作られ、耐火レンガや石材などで出来ているのに対し、「薪ストーブ」部屋の中に設置する形で、鋳鉄や鋼板などで作られているものが多いという違いです。ただ、これらの違いはあくまでも主だった違いに過ぎませんので、今回はもっと細かい違いまでていねいに説明したいと思います。

暖炉には扉がなく、薪ストーブにはある

さきほど、「暖炉」「薪ストーブ」のざっくりした違いとして、設置方法や材質の違いについて説明しましたが、ここからはそれ以外の違いについて説明していきましょう。「暖炉」「薪ストーブ」のその他の違いとしては「扉があるかないか」という違いです。

「暖炉」には扉がついていないので、焚き火にあたる時のような、直火で暖をとる形になる一方、「薪ストーブ」には扉がついていますので、薪に火を点けた後は扉を閉じて使います。よって、「暖炉」からは火がパチパチと燃える音や薪の燃える匂いが強く感じられますが、それと比べると「薪ストーブ」からは音や匂いといったものはあまり感じられません。

暖炉と薪ストーブでは煙突の配管が違う

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つぎに、「暖炉」「薪ストーブ」煙突の違いについて説明しましょう。「暖炉」はさきほど説明したように、壁に埋め込まれる形で作られているため、煙突は壁の中を通ってそのまま外に抜けますが、「薪ストーブ」は鋳鉄や鋼板のものが室内に設置されている形なので、煙突に関しては金属製の配管が室内を通り、壁を抜けて外に出るという違いがあります。

そして、このような設置方法や材質、煙突の配管の違いがあるため、両者の間には部屋の暖まり方にも違いがあるのです。「暖炉」は、煙とともに多くのエネルギーがそのまま外に抜けてしまい、火からの直接的な暖かさだけで部屋全体は暖まりにくいのですが、「薪ストーブ」は、本体や配管で暖まった空気が部屋の中に広がっていきますので、部屋全体もじんわりと暖まります。

暖炉と薪ストーブのメリット・デメリットとは

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近年注目度が高まっている「暖炉」「薪ストーブ」ですが、その分、それぞれにどんなメリットがあり、どんなデメリットがあるか気になる人も多いようです。そこで、ここからは「暖炉」「薪ストーブ」のメリット・デメリットについて説明したいと思います。

\次のページで「暖炉のメリット」を解説!/

暖炉のメリット

まずは、「暖炉のメリット」について説明したいと思います。まず、なんといっても暖炉は普通の暖房器具と比べておしゃれなことが挙げられるでしょう。普通の器具ですと部屋の中がごちゃごちゃして生活感が出てしまったりしますが、作りつけの暖炉はそのようなことはありませんし、暖炉の周りの装飾である「マントルピース」は飾り棚として利用することもでき、洋風のオシャレな空間を演出できます。

また、さきほど言ったように暖炉には扉がないので薪の燃える音や匂いをじかに感じることが可能です。最近では癒しを求めて、YouTubeで暖炉の炎や焚火などの動画を見たりする人がいますが、炎のゆらめきには実際に「1/fゆらぎ」という癒し効果があることがわかっています。また、暖炉の火を利用し、ピザやマシュマロを焼くなど、調理を楽しむこともできるのです。

暖炉のデメリット

つぎに、「暖炉のデメリット」について説明しましょう。まず、暖炉薪に火をつけてから暖かく感じるまで2~3時間かかってしまいます。また、さきほど言ったように多くの熱が煙突から出て行ってしまうため部屋全体を暖めることはできません。また、扉がないという構造のため、家具などの周りのものに引火したり、ペットや小さいお子さんが火傷したりしないよう気を付ける必要があります。

それと、部屋に作りつけるものであるため、本体の値段や工事費用など、高額な初期費用がかかるのもデメリットですね。また、煙突に薪を燃やした煤(スス)がたまると火災の原因になってしまうため、定期的なメンテナンスが必要なのですが、自分で掃除するのは危険なため、専門業者に依頼するのが一般的です。そのため、暖炉はどうしても、何かとお金がかかってしまいます。

薪ストーブのメリット

今度は、「薪ストーブのメリット」について説明しましょう。まず挙げられるのが、さきほどの暖炉と同じように普通の暖房器具とは違う、可愛らしいデザインのものも多く、おしゃれな点でしょう。そして、これまた暖炉と同じく、燃やす火を利用したり、熱くなったストーブ上部の熱を利用して鍋などを温め、煮込み料理を作るなど料理に利用できます。

また、暖炉と違うメリットとして、さきほど説明したような設置方法や素材、配管の違いがあるので熱効率が良く、部屋全体の空気をじんわりと温めることができる点があげられるのです。

薪ストーブのデメリット

最後に「薪ストーブのデメリット」について説明しましょう。まず、薪ストーブ暖炉と同じように、薪に火をつけてから暖かさを感じられるまで2~3時間ほどかかっていまいます。また、さきほど料理に利用できるメリットがあると説明しましたが、コンパクトなサイズのものだと中に鍋などを入れる十分なスペースがなく、調理に使うことが出来なかったりするのです。

また、暖炉と同様に専門業者によるメンテナンスが必要ですし、一般的な暖房器具と違って部屋に設置するとそこから移動できないため、暖房の必要ない季節にはただ邪魔なだけになってしまうことがあります。

暖炉のメリット……おしゃれ・薪の燃える音や匂いをじかに感じられる・調理に利用できる
暖炉のデメリット……暖まるまで時間がかかる・部屋全体は暖められない・火に気を付ける必要がある・高額な初期費用・メンテナンスが必要

薪ストーブのメリット……おしゃれ・調理に利用できる・部屋全体を暖められる
薪ストーブのデメリット……暖まるまで時間がかかる・メンテナンスが必要・部屋の中で移動させることができない

\次のページで「暖炉と薪ストーブは設置方法や素材が違う!」を解説!/

暖炉と薪ストーブは設置方法や素材が違う!

ここまでの説明で、「暖炉」壁に埋め込まれる形式で作られ、耐火レンガや石材などで出来ているものであるのに対し、「薪ストーブ」はあくまで部屋の中に設置されるもので、鋳鉄や鋼板などで作られているものが多いという違いがあることや、それぞれが持つメリット・デメリットについても知っていただけたかと思います。今回の説明が、みなさんの理解に少しでも役立てたなら幸いです。

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雑学

簡単でわかりやすい!暖炉と薪ストーブの違いとは?メリット・デメリットも現役塾講師がわかりやすく解説

暖炉のメリット

まずは、「暖炉のメリット」について説明したいと思います。まず、なんといっても暖炉は普通の暖房器具と比べておしゃれなことが挙げられるでしょう。普通の器具ですと部屋の中がごちゃごちゃして生活感が出てしまったりしますが、作りつけの暖炉はそのようなことはありませんし、暖炉の周りの装飾である「マントルピース」は飾り棚として利用することもでき、洋風のオシャレな空間を演出できます。

また、さきほど言ったように暖炉には扉がないので薪の燃える音や匂いをじかに感じることが可能です。最近では癒しを求めて、YouTubeで暖炉の炎や焚火などの動画を見たりする人がいますが、炎のゆらめきには実際に「1/fゆらぎ」という癒し効果があることがわかっています。また、暖炉の火を利用し、ピザやマシュマロを焼くなど、調理を楽しむこともできるのです。

暖炉のデメリット

つぎに、「暖炉のデメリット」について説明しましょう。まず、暖炉薪に火をつけてから暖かく感じるまで2~3時間かかってしまいます。また、さきほど言ったように多くの熱が煙突から出て行ってしまうため部屋全体を暖めることはできません。また、扉がないという構造のため、家具などの周りのものに引火したり、ペットや小さいお子さんが火傷したりしないよう気を付ける必要があります。

それと、部屋に作りつけるものであるため、本体の値段や工事費用など、高額な初期費用がかかるのもデメリットですね。また、煙突に薪を燃やした煤(スス)がたまると火災の原因になってしまうため、定期的なメンテナンスが必要なのですが、自分で掃除するのは危険なため、専門業者に依頼するのが一般的です。そのため、暖炉はどうしても、何かとお金がかかってしまいます。

薪ストーブのメリット

今度は、「薪ストーブのメリット」について説明しましょう。まず挙げられるのが、さきほどの暖炉と同じように普通の暖房器具とは違う、可愛らしいデザインのものも多く、おしゃれな点でしょう。そして、これまた暖炉と同じく、燃やす火を利用したり、熱くなったストーブ上部の熱を利用して鍋などを温め、煮込み料理を作るなど料理に利用できます。

また、暖炉と違うメリットとして、さきほど説明したような設置方法や素材、配管の違いがあるので熱効率が良く、部屋全体の空気をじんわりと温めることができる点があげられるのです。

薪ストーブのデメリット

最後に「薪ストーブのデメリット」について説明しましょう。まず、薪ストーブ暖炉と同じように、薪に火をつけてから暖かさを感じられるまで2~3時間ほどかかっていまいます。また、さきほど料理に利用できるメリットがあると説明しましたが、コンパクトなサイズのものだと中に鍋などを入れる十分なスペースがなく、調理に使うことが出来なかったりするのです。

また、暖炉と同様に専門業者によるメンテナンスが必要ですし、一般的な暖房器具と違って部屋に設置するとそこから移動できないため、暖房の必要ない季節にはただ邪魔なだけになってしまうことがあります。

暖炉のメリット……おしゃれ・薪の燃える音や匂いをじかに感じられる・調理に利用できる
暖炉のデメリット……暖まるまで時間がかかる・部屋全体は暖められない・火に気を付ける必要がある・高額な初期費用・メンテナンスが必要

薪ストーブのメリット……おしゃれ・調理に利用できる・部屋全体を暖められる
薪ストーブのデメリット……暖まるまで時間がかかる・メンテナンスが必要・部屋の中で移動させることができない

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