この記事では「ちょうふく」と「じゅうふく」の違いについてみていきます。この2つは熟語「重複」の読み方です。違いはずばり本来の読み方と、なぜか正確には分からないが多くの人に広がった読み方という点にあるようです。どちらが正式な読み方であるか知りたいという人もいるかもしれませんね。
今回は、同じ熟語の読み方の違いについて、言葉の違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

言葉の意味やちょっとした違いが気になってしまう文学部卒ライター。

「ちょうふく」と「じゅうふく」の違い

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ちょうふくとじゅうふくは、熟語の「重複」の読み方です。同じ漢字ではあっても、読み方が違うだけで意味は全く一緒。重複とは、同じ物事が何回も重なり合うことをいいます。「重」の字義はかさなる、「複」の字義は2つ以上のものがかさなるということ。同じような意味の漢字を組み合わせることで、かさなることを強調しているかのようです。

重複の使い方と例文

重複の使い方は以下の通りです。読み方はどちらでも構いません。

・注文が重複したので、後のほうを取り消してもらった。
・彼がしゃべりだすと、話が重複して回りくどい。
・「頭痛が痛い」と言うと、「言葉が重複しているよ。すごく頭が痛いんだね!」と友人に苦笑いされた。

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重複の本来の読みと慣用読み

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重複の読み方は、もともと読まれてきた本来の読み「ちょうふく」と、慣用読み「じゅうふく」に分けられます。慣用読みというのは、間違えて読んだのがそのまま世間に広がり定着してしまった読み方のこと。本来、「じゅう」と読むのは物の重さや重量などを表す場合の熟語で使われたことが多かったようです。

しかし、「重箱(じゅうばこ)」や「重版(じゅうばん)」のように、重複と同じく重ねるという意味で使われる熟語でも「じゅう」と読む語が多くなりました。そのため「じゅうふく」と読んでも違和感がなく、読み方として認められるようになったと推測されます。

ただ、どちらかと言えば、「じゅうふく」と読む方の方が多いのではないでしょうか。

他の慣用読みの熟語

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慣用読みが認められるようになった熟語は多いので、その中からいくつかの例をあげて紹介します。

1.貼付:「ちょうふ」「てんぷ」

貼付は、物を接着剤などで貼り付けること。「履歴書に写真を貼付する」などのように使います。漢字の「貼」の音読みは「チョウ」なので、本来の読みは「ちょうふ」です。慣用読みが「てんぷ」。てんぷと読む方がほとんどで、正しい本来の読みを見て、驚く方が多いかもしれません。

「てんぷ」という慣用読みが広まったのは、「店」や「点」などのように「占」という字を含む漢字を「テン」という読みをすると考えて、誤読されてしまったという説があります。もう1つは似ている熟語「添付」と「貼付」を混同してしまい、同じ「てんぷ」という読み方をしたという説もあるようです。

2.固執:「こしゅう」「こしつ」

固執は、あくまでも自説にこだわりしつこく主張して他の人に譲らないこと。「人の言うことに耳を貸さず、固執して見苦しい」などのように使います。本来の読み方は「こしゅう」で、慣用読みは「こしつ」。「執」の音読みには「シュウ」「シツ」両方ありますので、特に問題はなさそうに見えますね。

しかし、しつこく取りついて離れないことを熟語で表す場合、「執念」「執心」などのように「シュウ」の読みを用いるのが主だったようです。時代が下るにつれて、「シツ」という読み方のほうが主流になってきたと考えられます。

3.出生:「しゅっしょう」「しゅっせい」

出生とは、生まれることや、ある土地や家柄などの生まれであることを表す語。「子どもの出生届を役所に出す」「Aさんの出生の秘密を知っている」などのように使いますね。本来の読みは「しゅっしょう」慣用読みが「しゅっせい」。「しゅっしょう」の読み方は、役所の届け出などで見られ、「しゅっせい」のほうが広く使われています。

「生」の音読みは、元々呉音の「ショウ」が古代の中国から入ってきた読み方で、「セイ」が漢音で唐から帰ってきた留学生や中国人が広めた読み方です。「セイ」という読みのほうが後から入ってきて、広く使われるようになったのかもしれません。

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ちょうふくは本来の読み、じゅうふくは慣用読み

ちょうふくとじゅうふくはどちらも熟語の「重複」の読み方で、意味は同じです。本来の正しい読みは「ちょうふく」ですが、誤った読み方の「じゅうふく」が広まって定着しました。そのため、「じゅうふく」も慣用的な読み方として国語辞典などに併記されています。

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簡単でわかりやすい「ちょうふく」と「じゅうふく」の違い!「重複」の正しい読み方はどっち?慣用読みの熟語も文学部卒ライターが詳しく解説

この記事では「ちょうふく」と「じゅうふく」の違いについてみていきます。この2つは熟語「重複」の読み方です。違いはずばり本来の読み方と、なぜか正確には分からないが多くの人に広がった読み方という点にあるようです。どちらが正式な読み方であるか知りたいという人もいるかもしれませんね。
今回は、同じ熟語の読み方の違いについて、言葉の違いが気になる文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

言葉の意味やちょっとした違いが気になってしまう文学部卒ライター。

「ちょうふく」と「じゅうふく」の違い

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ちょうふくとじゅうふくは、熟語の「重複」の読み方です。同じ漢字ではあっても、読み方が違うだけで意味は全く一緒。重複とは、同じ物事が何回も重なり合うことをいいます。「重」の字義はかさなる、「複」の字義は2つ以上のものがかさなるということ。同じような意味の漢字を組み合わせることで、かさなることを強調しているかのようです。

重複の使い方と例文

重複の使い方は以下の通りです。読み方はどちらでも構いません。

・注文が重複したので、後のほうを取り消してもらった。
・彼がしゃべりだすと、話が重複して回りくどい。
・「頭痛が痛い」と言うと、「言葉が重複しているよ。すごく頭が痛いんだね!」と友人に苦笑いされた。

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