この記事では「賠償金」と「慰謝料」の違いを見ていきます。「賠償金」と「慰謝料」の2つを混同している人も多いんじゃないか。「賠償金」とは何を指しているのか、「慰謝料」とは何を指しているのか。よく耳にする「示談金」や「和解金」と併せて元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「賠償金」と「慰謝料」の違い

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比較的身近なところでいうと交通事故などが起こったときによく耳にする「賠償金」や「慰謝料」。それ以外でももちろん耳にすることはありますが、この「賠償金」と「慰謝料」を混同している人も多いのではないでしょうか。まずは、「賠償金」と「慰謝料」の違いを確認していきます。

「賠償金」:損害賠償の金額

「賠償金」とは損害賠償の金額のこと。損害賠償とは、故意または不注意で他人に損害を与えた人が、被害者に対してその損害を償うことです。この損害賠償は「財産的損害」と「精神的損害」の2つあります。

「財産的損害」とは財産や利益に対する損害賠償のことで、具体的には治療費や休業損害、逸失利益などですね。例えばある宝石店が強盗に遭った場合、休業中の損害、将来にわたって受け取る利益(逸失利益)などを請求できます。交通事故であれば、事故で生じたケガに対する治療費、車や自転車の修理代、仕事を休んでいる間の給料などが、財産的損害の対象となりますね。

「精神的損害」とは文字通り、精神的苦痛に対する損害賠償のことで、いわゆる「慰謝料」がこれに当たります。「慰謝料」については次に詳しく説明しますね。

「慰謝料」:精神的損害の金額

「慰謝料」とは前述の「精神的損害」への「賠償金」のこと。つまり、「慰謝料」は「賠償金」の1つと考えてください。「慰謝料」は精神的苦痛に対する損害賠償のため、「財産的損害」のように明確な金額が出てこないのが特徴です。

「慰謝料」には入通院、後遺障害、死亡、離婚、名誉棄損などに対する「慰謝料」はよく耳にするぐらい有名ですね。また、交通事故であれば自賠責基準、任意基準、弁護士基準の3つの基準で算出する「慰謝料」があります。ただ、物損事故の場合は「慰謝料」が支払われることはないようです。

「財産的損害」を詳しく

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「財産的損害」はさらに大きく2つにわけることができます。「積極損害」と「消極損害」の2つ。交通事故の事例で確認していきますね。

「積極損害」とは交通事故により支出を余儀なくされた損害のことを指しており、治療費や入院費、通院のための交通費、手術費などの費用ですね。車やバイク、自転車の修理代などの費用も「積極損害」になりますね。

一方「消極損害」は交通事故に遭わなければ、被害者が得られたはずの利益のこと。休業補償は事故に遭わなければ仕事に行って得られたはずの給与を保証するもので、「消極損害」に当たります。後遺症が残ったり、死亡したりした場合も、本来得られたはずの収入などが得られないわけですから補償の対象となり、これも「消極損害」です。

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「示談金」・「和解金」とは何?

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交通事故などでよく耳にする「示談金」、企業同士の裁判や国との裁判など耳にすることのある「和解金」。これは「賠償金」と同じなのでしょうか、それとも「賠償金」とは別のものなのでしょうか。次に「示談金」や「和解金」について説明していきます。

#1 「示談金」

「示談」とは民事で争っている当事者が話し合いで解決すること。交通事故などで加害者側と被害者側で賠償の内容などを裁判などをせず、当事者(多くは保険会社の担当者)が話し合いで解決することが多くみられます。

そのときに支払われるのが「示談金」話し合いによって合意に達した金額ですが、被害者が被った損害を加害者側は補填する金額のことですので、実質「賠償金」と同じと考えてよいでしょう。裁判などしないので、双方が同意した内容をきちんと文書にしておくことが重要ですね。

ちなみに「示談」という言葉は裁判では使われません。裁判を経ずに話し合いで解決しますからね。「示談金」は「賠償金」と同じですので、当然「慰謝料」も含まれています。

#2 「和解金」

裁判などで耳にすることのある「和解」という言葉。「示談」と異なり、「和解」は法律用語で、裁判の判決を待たずに、争っている当事者が何かしらの合意に達することです。そのときに支払われるのが「和解金」

つまり、「和解金」と前述の「示談金」はほぼ同じもので、いわゆる「賠償金」なのです。裁判をせず当事者同士の話し合いで解決するのが「示談」、裁判の途中で判決を待たずに解決するのが「和解」。どちらもある合意に達したことを表し、そのときに生じる金額がそれぞれ「示談金」「和解金」ということなのです。

「慰謝料」は「賠償金」の1つ

「賠償金」とは損害賠償の金額のことで、「財産的損害」と「精神的損害」の2つに対する金額。そのうち「精神的損害」に対する「賠償金」が「慰謝料」なのです。つまり、「慰謝料」は「賠償金」の1つに過ぎないということ。また、損害賠償の内容合意に至るまでの過程の違いで「示談金」や「和解金」といった言い方が異なる「賠償金」もあります。混同しやすい言葉ですが、ずいぶんすっきりしたのではないでしょうか。

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簡単で分かりやすい「賠償金」と「慰謝料」の違い!「示談金」や「和解金」との違いも元塾講師が詳しく解説!

この記事では「賠償金」と「慰謝料」の違いを見ていきます。「賠償金」と「慰謝料」の2つを混同している人も多いんじゃないか。「賠償金」とは何を指しているのか、「慰謝料」とは何を指しているのか。よく耳にする「示談金」や「和解金」と併せて元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「賠償金」と「慰謝料」の違い

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比較的身近なところでいうと交通事故などが起こったときによく耳にする「賠償金」や「慰謝料」。それ以外でももちろん耳にすることはありますが、この「賠償金」と「慰謝料」を混同している人も多いのではないでしょうか。まずは、「賠償金」と「慰謝料」の違いを確認していきます。

「賠償金」:損害賠償の金額

「賠償金」とは損害賠償の金額のこと。損害賠償とは、故意または不注意で他人に損害を与えた人が、被害者に対してその損害を償うことです。この損害賠償は「財産的損害」と「精神的損害」の2つあります。

「財産的損害」とは財産や利益に対する損害賠償のことで、具体的には治療費や休業損害、逸失利益などですね。例えばある宝石店が強盗に遭った場合、休業中の損害、将来にわたって受け取る利益(逸失利益)などを請求できます。交通事故であれば、事故で生じたケガに対する治療費、車や自転車の修理代、仕事を休んでいる間の給料などが、財産的損害の対象となりますね。

「精神的損害」とは文字通り、精神的苦痛に対する損害賠償のことで、いわゆる「慰謝料」がこれに当たります。「慰謝料」については次に詳しく説明しますね。

「慰謝料」:精神的損害の金額

「慰謝料」とは前述の「精神的損害」への「賠償金」のこと。つまり、「慰謝料」は「賠償金」の1つと考えてください。「慰謝料」は精神的苦痛に対する損害賠償のため、「財産的損害」のように明確な金額が出てこないのが特徴です。

「慰謝料」には入通院、後遺障害、死亡、離婚、名誉棄損などに対する「慰謝料」はよく耳にするぐらい有名ですね。また、交通事故であれば自賠責基準、任意基準、弁護士基準の3つの基準で算出する「慰謝料」があります。ただ、物損事故の場合は「慰謝料」が支払われることはないようです。

「財産的損害」を詳しく

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「財産的損害」はさらに大きく2つにわけることができます。「積極損害」と「消極損害」の2つ。交通事故の事例で確認していきますね。

「積極損害」とは交通事故により支出を余儀なくされた損害のことを指しており、治療費や入院費、通院のための交通費、手術費などの費用ですね。車やバイク、自転車の修理代などの費用も「積極損害」になりますね。

一方「消極損害」は交通事故に遭わなければ、被害者が得られたはずの利益のこと。休業補償は事故に遭わなければ仕事に行って得られたはずの給与を保証するもので、「消極損害」に当たります。後遺症が残ったり、死亡したりした場合も、本来得られたはずの収入などが得られないわけですから補償の対象となり、これも「消極損害」です。

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