アジャイルやスクラムという言葉を聞いたことがあるか。主にプログラム開発の現場で使われる言葉なのでなじみがないかもしれない。ただ、これは物事を解決することや、目標に従って組織を動かす考え方でもあるぞ。だから、プログラム開発と関係なくても、知っておけば役に立つかもしれませんね。そんなアジャイルとスクラムの関係や、アジャイルと対になるウォーターフォールについて、実際にプロジェクト管理をしてきたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさん。

スクラムはアジャイルという考え方の実践?

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アジャイルやスクラムとは、主にプログラム開発の現場で使われる言葉です。そのため、あまりなじみのない言葉かもしれません。ただ、アジャイルやスクラムはプログラム開発だけに通用する考え方ではありません。そのことを説明していきます。

そもそも、アジャイルとスクラムは何が違うのでしょう。実はアジャイルというのは考え方で、それを取り入れて進め方をまとめたものがスクラム。つまり、スクラムはアジャイルという大きな考え方の中のひとつです。例えばスマートフォンとiPhoneのようなものと考えてください。iPhoneがアップル社のスマートフォンで、他にもアンドロイドなどがあるのと同じ。アジャイルの具体的なやり方がスクラムです。

アジャイル:プログラム開発の考え方の一つ

アジャイルとはプログラム開発など、チームで目的を達成するための進め方のひとつです。それ以前はウォーターフォールという考え方が主流でしたが、それではうまくいかないケースもあります。そこで生まれたのがアジャイル。ですから、よくウォーターフォールと比較されます。ただし、どちらが良い悪いというものではありません

スクラム:アジャイルの具体的な進め方をまとめたもの

スクラムはよく「複雑な問題への適応型ソリューションをチームで開発し価値を生み出すための軽量級フレームワークである」と説明されます。少し難しいですが、ざっくり言えば「複雑な問題を少しずつかみ砕いて解決するためのマニュアル」です。アジャイルはこうやって進めましょうという考え方であるのに対して、スクラムはアジャイルを実現するための方法をまとめたものになります。

プログラム開発の2大派閥?ウォーターフォールとアジャイル

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プログラム開発の現場での進め方の考えとして有名なものがアジャイルとウォーターフォールです。今回はアジャイルとスクラムの説明ですのでウォーターフォールは直接関係ありません。しかし、アジャイルの特徴を説明するために、対となるウォーターフォールも含めて説明していきます。

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すべて決めてから動く?ウォーターフォールとは

ゲームなどで「仕様」という言葉を聞いたことがありますよね。ゲームも含めてあるプログラムがこう動いてほしいというものを決めたものが仕様です。ウォーターフォールというのはこの仕様を最初にすべてがっちり決めてしまうような考え方

ウォーターフォールとは「滝」のこと。ここで言う滝は華厳の滝やナイアガラの滝のような高いところから一気に水が流れ落ちるものではなく、上の写真にあるような段々になっているような滝です。プログラムを作る場合、いきなりつくり始めるのではなく何段階かの手順を踏んでいきます。その様子が階段状の滝のようなのでウォーターフォールと呼ぶのです。

考えながら動く?アジャイルとは

例えばゲーム機用に売っているソフトなどは最初からどういうゲームなのかが決まっています。そういうものはウォーターフォール向き。では、スマホゲームはどうでしょう。スマホのゲームは最初にリリースされた時点ではまだ遊べない機能があることや、後から機能が追加されたりすることがよくあります。ある程度は今後の予定は決まっているでしょうが、細かい部分は決まっていないことも。

アジャイルは徐々に新しい機能を追加していくような考え方です。最初にきっちり決めてすべてが完成するまでは時間がかかります。その結果、考えていたものが使いにくいことがわかることや、時代遅れになることも。それを避けるために、全体で10の機能を提供するとしたら、最初は5まで残りは毎月1つずつといった進め方をするのがアジャイルの考え方です。

他にもある?プログラム開発の手法とは

対照的でわかりやすいためアジャイルとウォーターフォールを説明しましたが、他の考え方もあります。よく出てくるのはスパイラルとプロトタイプです。スパイラルはアジャイルと似て細かい機能を少しづつつくります。ただ、アジャイルはつくっている途中のものを実際に使ってみますが、スパイラルはすべての機能が揃ってからです。プロトタイプは最低限のものをまずつくり、それを元に見直してから本格的につくりはじめます。

4つの考え方がありますが、組み合わせることも。例えば、プロトタイプをつくってからいくつかの機能のまとまりに分けて、それぞれでウォーターフォールということもあります。つくるものやそれをどう提供していくかでどう組み合わせるかを決めるのです。

なぜアジャイルか?その考え方を解説

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他の考え方も併せて説明しながらアジャイルについて簡単に説明しました。ここではもう少し詳しくアジャイルと、そのひとつであるスクラムを見ていきます。

ユーザーと共につくっていくのがアジャイル

プログラムにも色々あります。例えば、会社で仕事に使うようなものがありますよね。これらはどう仕事を進めるかが最初から決まっているので、それに合わせてプログラムをつくります。仕事のものなのでこうすべきと言うのが最初からきっちり決まっていることが多いわけです。

一方、スマホゲームなどはユーザの意見なども聞きながら、調整しながらつくっていきます。こちらに向いているのがアジャイル最初からすべて用意するわけではなくユーザと共につくっていくわけです。同じ小説でも新聞やウェブで連載しているものと、本として出版するものの違いと似ているかもしれませんね。

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アジャイルの一例?スクラムとは

考え方としてのアジャイルはなんとなく理解できたでしょうか。でも、それを実際にどう進めればよいのかわかりませんよね。そのためのひとつのマニュアルのようなものがスクラムです。スクラムは元々は日本の学者が日米の組織の違いをまとめた論文から生まれました。この論文を元にケン・シュエイバーとジェフ・サザーランドがまとめたのがスクラムラグビーのスクラムから名前をとっています。

ラグビーのようにチームでスクラムを組んで目標に向かって進むわけです。ゴールは決まっていますが、ただそこに向かって前進するだけではありませんよね。状況を見ながら、その時々の最善の方向に進むわけです。

スクラムだけがアジャイルじゃない?XPとは

アジャイルのひとつがスクラムですが、それだけではありません。他のアジャイルの中でも有名なのがエクストリーム・プログラミング(XP)です。XPはスクラムのように体系化されたものと言うよりは、アジャイルという考え方の中のもう少し細かい考え方というもの。

とくに有名なのがペアプログラミングという考え方。プログラムは規模によって一人で作ることもあれば、何人かや何十人も関わるものも様々です。ただ、通常は分担して作業をするので、ある部分をつくるのは一人。ペアプログラミングでは1台のコンピューターで2人が一定時間ごとに入れ替わりながらつくります。一人が指示を出し、もう一人が指示を受けて実際にプログラムをつくるのです。一見効率が悪そうですが、生産性が高くなるという研究結果があります。

ウォーターフォールかアジャイルかはケースバイケース

プログラムをつくる時の進め方で有名なのがウォーターフォールとアジャイル。そのアジャイルにもいくつかのものがありますが、とくに有名なのがスクラムです。ウォーターフォールでは最初につくるものをすべて決めてから、段階を踏んでつくっていきます。アジャイルでは段階を踏むのは同じですが、すべてを最初に決めるわけではありません全体の方針は決めておきますが、どう進んでいくかは調整しながら進めます。

そのアジャイルの実際の進め方をある程度分かりやすくまとめたものがスクラムどれを使うかはその時々の状況しだいです。目的に合わせて進めやすいやり方を選びます。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!アジャイルとスクラムの違いとは?ウォーターホールやXPとの違いもプログラマーがわかりやすく解説

アジャイルの一例?スクラムとは

考え方としてのアジャイルはなんとなく理解できたでしょうか。でも、それを実際にどう進めればよいのかわかりませんよね。そのためのひとつのマニュアルのようなものがスクラムです。スクラムは元々は日本の学者が日米の組織の違いをまとめた論文から生まれました。この論文を元にケン・シュエイバーとジェフ・サザーランドがまとめたのがスクラムラグビーのスクラムから名前をとっています。

ラグビーのようにチームでスクラムを組んで目標に向かって進むわけです。ゴールは決まっていますが、ただそこに向かって前進するだけではありませんよね。状況を見ながら、その時々の最善の方向に進むわけです。

スクラムだけがアジャイルじゃない?XPとは

アジャイルのひとつがスクラムですが、それだけではありません。他のアジャイルの中でも有名なのがエクストリーム・プログラミング(XP)です。XPはスクラムのように体系化されたものと言うよりは、アジャイルという考え方の中のもう少し細かい考え方というもの。

とくに有名なのがペアプログラミングという考え方。プログラムは規模によって一人で作ることもあれば、何人かや何十人も関わるものも様々です。ただ、通常は分担して作業をするので、ある部分をつくるのは一人。ペアプログラミングでは1台のコンピューターで2人が一定時間ごとに入れ替わりながらつくります。一人が指示を出し、もう一人が指示を受けて実際にプログラムをつくるのです。一見効率が悪そうですが、生産性が高くなるという研究結果があります。

ウォーターフォールかアジャイルかはケースバイケース

プログラムをつくる時の進め方で有名なのがウォーターフォールとアジャイル。そのアジャイルにもいくつかのものがありますが、とくに有名なのがスクラムです。ウォーターフォールでは最初につくるものをすべて決めてから、段階を踏んでつくっていきます。アジャイルでは段階を踏むのは同じですが、すべてを最初に決めるわけではありません全体の方針は決めておきますが、どう進んでいくかは調整しながら進めます。

そのアジャイルの実際の進め方をある程度分かりやすくまとめたものがスクラムどれを使うかはその時々の状況しだいです。目的に合わせて進めやすいやり方を選びます。

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