簡単でわかりやすい!アブラボウズとバラムツの違いとは?アブラソコムツとの違いも生物系ライターが詳しく解説
アブラボウズはれっきとした「高級魚」
「アブラボウズ」は切り身1kgあたりに、2,000円前後の値が付く高級魚。その脂の乗った白身は、煮付け・焼き物・揚げ物・刺身など幅広い料理に適しています。ほかにも神奈川県の三浦半島では、アブラボウズを酒粕や味噌に漬け込んだ「粕漬け・味噌漬け」が地元の名物として愛されてきました。
そんなアブラボウズですが、食べ過ぎは厳禁。一日の摂取量は生食で60g、加熱済みでも120g程度にとどめましょう。
バラムツや仲間のアブラソコムツも海外では食用に
食べると脂混じりの便が漏れてしまう「バラムツ/アブラソコムツ」も、海外の一部地域では食用魚です。台湾ではバラムツ/アブラソコムツの卵巣が、ボラの卵巣同様「からすみ」に加工されています。実はボラでもバラムツ/アブラソコムツでも、卵巣にはワックスエステルが豊富。塩漬け・乾燥の工程で水分を抜いた卵巣は、ワックスエステルに由来する濃厚な風味をもつ「からすみ」となるのです。
また海外の寿司屋では「ホワイトツナ」なる商品名で、生のアブラソコムツを提供していることがあります。味こそ名前通り「大トロ」に似ているホワイトツナですが、その正体は毒魚です。下痢や皮脂漏症など健康被害をきたす恐れがあるので、ホワイトツナを食べるのはやめておきましょう。
「アブラボウズ」は高級魚で「バラムツ」は毒魚
アブラボウズもバラムツも、全身が脂身でできている深海魚です。しかし一般に食用となるのは、脂の成分がオリーブオイルに近いアブラボウズだけ。バラムツや近縁のアブラソコムツの身には、人間が消化できないワックスエステルが含まれているのです。そのため食べると下痢など健康被害が生じる「毒魚」として、日本の法律で流通が禁止されています。