この記事では「はっそく」と「ほっそく」の2つの語の違いについて見ていきます。この2つは「発足」の読み方の違いを指しているが、2つの読み方があるようです。違いは読みが成立した時期にあるようですが、どちらの読み方が正しいのか気になる人もいるようです。
今回は、そんな2つの語の違いについて漢字の意味から確認しつつ、言葉の違いが気になった文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

どちらの読み方が正しいのか知りたくなった文学部卒ライター。

「はっそく」と「ほっそく」の違い

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「はっそく」や「ほっそく」の意味を国語辞典で引くと、両方の読み方とも辞書に載っています。辞書の見出しが「ほっそく」のほうに意味が書かれ、「はっそく」の見出しには「ほっそく」のことと表記されていることがほとんど。両方とも正しい読みではありますが、どちらかというと「ほっそく」のほうが広く知られた読み方で、迷ったら「ほっそく」と読むと良さそうです。

発足の意味と例文

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発足の意味は以下の2つです。現代では、1の意味で使うことが多いでしょう。2の意味で使うのは、近代の小説の中で見られることがあります。

1.組織、機構などの団体などを設立し、活動を開始すること。
例文:会社が発足する。同好会から部活を発足させた。

2.出発する、目的地に向かって行くこと。
例文:赴任先に向けて発足する。

「力無く故土 (こど) に向けて―する」〈太宰治・竹青〉

出典:goo辞書『デジタル大辞泉』小学館

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1.「発」の音読みと字義

「発」の音読みは2つ。「ハツ」は漢音、「ホツ」は呉音による読み方です。両方とも中国由来の読み方ですが、元々は呉音が日本に入り、帰国した遣唐使や唐からの渡来人が漢音による読み方を伝えるようになりました。その後は徐々に呉音から漢音に置き換えられていったと見られています。「ほっそくの読みのほうが歴史が古いことになりますね。また、時代が下るにつれて発音しやすいように、「ほつそく」「はつそく」の「つ」の音が、小さい「っ」に置き換わったと考えられているようです。

「発」には、出かけることの他に、物事を始めたり、行動を起こしたりするという字義があります。

2.「足」の音読みと字義

「足」の音読みは「ソク」のみです。音読みの変化などは特にありません。「足」には行く、進めるなどの字義があります。

発足の類語

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発足の類語にはどのようなものがあるのでしょうか。例をあげて紹介します。

1.発会:会を始めること

発会(はっかい)とは、会などの組織の集まりを始めること、もしくは、組織ができてから初めて会合を開いて集まることやその会合自体のこと。「新たに選出された委員で、実行委員会を発会した。」「代表者が集まって、竹林保存会が発会した。」などのように使います。また、取引所で月々の最初の立会について使うこともあるようです。

2.創業:事業を始めること

創業(そうぎょう)とは、事業を始めることです。個人事業主が店舗を興したり、会社組織を新規で始めたりすることをいいます。「誕生日に創業することに決めたよ。」「うちの会社は創業100周年で、記念式典を開くことになった。」というように使えますね。発足と創業が異なる点は、発足が会社組織以外にも使えることです。創業は仕事に関することだけに限定されます。

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3.出立:旅に出かけることなど

出立(しゅったつ)とは、旅に出かけること、物事を始めること。古めかしい言い方で、普段の話し言葉よりも小説などの書き言葉で使われることが多いようです。特に、物事を始めるという意味は、現代ではあまり見られなくなっているかもしれません。「彼は明け方のうちに出立したようだ。」といった使い方があります。

「此仮定から―すれば」〈夏目漱石・趣味の遺伝〉


出典:goo辞書『デジタル大辞泉』小学館

4.門出:自宅から出発することなど

門出(かどで)とは、元々旅などの際に自宅から出発することをいいました。「子どもの旅の門出を見送った。」のように使います。しかし、現代ではそこから派生して、新しい生活を始めるという意味で使う例がほとんどです。「大学を卒業して就職した子どもの門出を祝う。」といった使い方が見られます。

また、現在ではあまり見られませんが、昔は旅に出る前に大安吉日を選んで、近くの仮の場所に移ることという、縁起をかつぐ意味で使われたようです。

「ほっそく」は昔からの読み方で「はっそく」は新しい読み方

「ほっそく」も「はっそく」も「発足」の読みです。辞書ではほっそくのほうが正式な読み方で、はっそくは慣用的な読み方とされています。ほっそくは呉音による古来の中国から伝わった読み方で、はっそくは遅れて唐時代に伝えられた読み方です。どちらも間違った読みではありません。しかし、公の場などで使うとすれば広く認められている「ほっそく」を使うことをおすすめします。

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雑学

簡単でわかりやすい「はっそく」と「 ほっそく」の 違い!「発足」の読み方で正しいのはどっち?文学部卒ライターが詳しく解説

この記事では「はっそく」と「ほっそく」の2つの語の違いについて見ていきます。この2つは「発足」の読み方の違いを指しているが、2つの読み方があるようです。違いは読みが成立した時期にあるようですが、どちらの読み方が正しいのか気になる人もいるようです。
今回は、そんな2つの語の違いについて漢字の意味から確認しつつ、言葉の違いが気になった文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

どちらの読み方が正しいのか知りたくなった文学部卒ライター。

「はっそく」と「ほっそく」の違い

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「はっそく」や「ほっそく」の意味を国語辞典で引くと、両方の読み方とも辞書に載っています。辞書の見出しが「ほっそく」のほうに意味が書かれ、「はっそく」の見出しには「ほっそく」のことと表記されていることがほとんど。両方とも正しい読みではありますが、どちらかというと「ほっそく」のほうが広く知られた読み方で、迷ったら「ほっそく」と読むと良さそうです。

発足の意味と例文

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発足の意味は以下の2つです。現代では、1の意味で使うことが多いでしょう。2の意味で使うのは、近代の小説の中で見られることがあります。

1.組織、機構などの団体などを設立し、活動を開始すること。
例文:会社が発足する。同好会から部活を発足させた。

2.出発する、目的地に向かって行くこと。
例文:赴任先に向けて発足する。

「力無く故土 (こど) に向けて―する」〈太宰治・竹青〉

出典:goo辞書『デジタル大辞泉』小学館

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