この記事では、「白書」と「青書」の違いについてみていきます。白書は聞いたことがあっても、青書は知らないという人が多いのではないでしょうか。白と青という色の違いに何か意味はあるのでしょうか。今回は、白書とは何か、白書と青書という名称の由来、白書の種類や利用方法についてもくわしく雑学大好き図書館司書のひろみと一緒に解説していきます。

ライター/ひろみ

図書館司書として勤務18年目の主婦ライター。利用者から寄せられるさまざまな疑問に答えるため、日々尽力している。

白書と青書の違い

「白書」という言葉は聞いたことがあっても「青書」はあまり耳にしませんね。ここでは、白書と青書の違いについてみていきます。

白書:政府が発行する報告書

白書は日本の中央省庁が担当する分野についての現状や課題、対策についてまとめたもの。各白書にはそれぞれ、報告の根拠となる法令と報告先が定められています。主な報告先は国会、閣議です。その内容を国民に周知してもらうことを目的として、報告書という形で政府が年一回発行しています。日本における最初の白書は「経済実相報告書」で、1947年7月4日に公表されました。

青書:外務省が発行する報告書

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青書は白書のひとつ。白書には多くの種類がありますが、青書と呼ばれるものは外務省が発行する「外交青書」しかありません。外交青書には、日本外交の実態、情勢や方針が記載されています。1957年に「わが外交の近況」というタイトルで第1号が発行されました。現在の「外交青書」という名称が用いられるようになったのは1987年発行の第31号からです。

白書について知ろう

ここからは白書についてくわしく説明していきます。白書の種類や入手・閲覧方法を知り、上手な利用方法を身につけましょう。

名前の由来:イギリス議会から

白書や青書という名称は、イギリス政府が発行する刊行物にならってつけられています。イギリスでは、内閣がイギリス議会に提出する公式の報告書を、表紙が白であることから「ホワイトペーパー(white paper)」と呼んでいました。日本でもその名称をそのまま採用し、政府が発行する報告書を「白書」と名付けたのです。

同様にイギリスの外交委員会の報告書は、表紙が青色で「ブルーブック(bluebook)」と呼ばれていたため、日本の外交関係の報告書も「青書」と言われるようになりました。

厳密には、国会や閣議に提出した際は単に「報告」「報告書」と呼ばれ、議会承認後、一般向けに発行されるとき「白書」という名称に変更されます。

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白書の種類:40種類以上も

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政府が発行している白書には40種類以上あり、それぞれの分野の情報収集に役立ちます。具体的にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、私たちの生活に身近な白書について紹介していきます。

1.経済財政白書:内閣府発行
日本国内における1年間の経済や財政の動きを分析して、問題点や今後の課題、展望についてまとめたもの。「経済白書」と言われることも。日本で最初に発行された白書「経済実相報告書」を前身としています。

2.防災白書:内閣府発行
災害対策基本法にもとづいて発行されているもの。防災に関する計画や災害時に行った重点的な活動内容について報告されています。刊行開始は昭和38年です。

3.交通安全白書:内閣府発行
交通安全対策基本法の制定によって発行されるようになりました。交通安全に関する理解と関心を深めることにより、交通事故を根絶させることを目的としている白書です。昭和46年から発行されています。

4.犯罪白書:法務省発行
日本の国内外で起こったさまざまな犯罪について注意喚起や再犯防止対策を検討、研究するために発行される白書です。類似資料として警察庁が発行している「警察白書」もありますが、こちらは警察による犯罪の防止についてくわしく書かれています。

5.観光白書:観光庁発行
政府による観光に関する政策や計画、観光に関するデータをとりまとめた白書。外国人旅行者受入ランキングや国際観光収入ランキングなどが掲載されています。

入手方法:市販版の購入、オンライン版での閲覧

白書は全国の主な書店や政府刊行物センター、官報販売所で購入可能です。市販版と装丁やタイトルは異なりますが、内容はほぼ同じ原局版が図書館などに所蔵されていることもあるので調べてみてください。また最近はオンライン版として無料で公開されていて、簡単に閲覧できるようになっています。

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白書の利用方法

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特定のジャンルについてのデータや近況、問題点を確認したいときに白書は大変役に立ちます。民間ではなく政府が発行しているため信用度が高いこと、年1回発行されるため常に最新のデータが見られることや過去のデータと比較しやすいことがその理由です。過去の問題点がどのように改善されたのか、状況は良くなっているのか悪くなっているのかなどを知ることもできます。

プロ野球選手や有名アーティストによるコラムが掲載された白書もありますよ。

白書を通して国内の事柄に興味を持とう

今回は白書と青書の違いや名前の由来、さまざまな白書の種類について説明してきました。白書と青書は名称はちがいますが、どちらも報告書であることがわかりましたね。普段はあまり目にすることのない白書類ですが、国内で起こっている事柄の正確な状況を知るための重要な手掛かりになります。

観光白書や環境白書、情報通信白書などは、身近な問題について述べられているため、非常に興味深いですよ。オンライン版もあるので、ぜひ閲覧してみてください。

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簡単でわかりやすい!白書と青書の違いとは?名称の由来や白書の種類も雑学大好き図書館司書が詳しく解説

この記事では、「白書」と「青書」の違いについてみていきます。白書は聞いたことがあっても、青書は知らないという人が多いのではないでしょうか。白と青という色の違いに何か意味はあるのでしょうか。今回は、白書とは何か、白書と青書という名称の由来、白書の種類や利用方法についてもくわしく雑学大好き図書館司書のひろみと一緒に解説していきます。

ライター/ひろみ

図書館司書として勤務18年目の主婦ライター。利用者から寄せられるさまざまな疑問に答えるため、日々尽力している。

白書と青書の違い

「白書」という言葉は聞いたことがあっても「青書」はあまり耳にしませんね。ここでは、白書と青書の違いについてみていきます。

白書:政府が発行する報告書

白書は日本の中央省庁が担当する分野についての現状や課題、対策についてまとめたもの。各白書にはそれぞれ、報告の根拠となる法令と報告先が定められています。主な報告先は国会、閣議です。その内容を国民に周知してもらうことを目的として、報告書という形で政府が年一回発行しています。日本における最初の白書は「経済実相報告書」で、1947年7月4日に公表されました。

青書:外務省が発行する報告書

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青書は白書のひとつ。白書には多くの種類がありますが、青書と呼ばれるものは外務省が発行する「外交青書」しかありません。外交青書には、日本外交の実態、情勢や方針が記載されています。1957年に「わが外交の近況」というタイトルで第1号が発行されました。現在の「外交青書」という名称が用いられるようになったのは1987年発行の第31号からです。

白書について知ろう

ここからは白書についてくわしく説明していきます。白書の種類や入手・閲覧方法を知り、上手な利用方法を身につけましょう。

名前の由来:イギリス議会から

白書や青書という名称は、イギリス政府が発行する刊行物にならってつけられています。イギリスでは、内閣がイギリス議会に提出する公式の報告書を、表紙が白であることから「ホワイトペーパー(white paper)」と呼んでいました。日本でもその名称をそのまま採用し、政府が発行する報告書を「白書」と名付けたのです。

同様にイギリスの外交委員会の報告書は、表紙が青色で「ブルーブック(bluebook)」と呼ばれていたため、日本の外交関係の報告書も「青書」と言われるようになりました。

厳密には、国会や閣議に提出した際は単に「報告」「報告書」と呼ばれ、議会承認後、一般向けに発行されるとき「白書」という名称に変更されます。

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