この記事では「まん防(まん延防止等重点措置)」と「緊急事態宣言」の違いを見ていきます。新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっていた中、感染拡大の対策として打たれた手です。新型コロナウイルス感染症はすでに落ち着いているが、またいつ新たな感染症が発生するかわからないからな。マスコミなどでもよく取り上げられていたが、この2つの違いを細かいところまで元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「まん防」と「緊急事態宣言」の違い

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2019年12月に中国で発生した「新型コロナウイルス感染症」(海外では「COVID-19」)。2020年には日本をはじめ世界中で感染が急速に拡大し、世界各地で渡航禁止やロックダウンなど、感染拡大を防止する対策が取られました。学校に行けない、仕事はリモートワーク、友人・同僚との食事もNGなど。

感染の拡大が見られる中、感染拡大への対策として政府が発令したのが「まん防」と「緊急事態宣言」。「まん防」は新型コロナウイルス感染を防ぐ目的で創設された新たな制度で、2021年2月13日に施行。日本では2023年5月に5類に移行されましたが、今後も同様の感染症が発生する可能性は否定できません。

そのような中、改めてこの2つの感染拡大防止対策について、その違いなどを整理しておきましょう。違いを知っておくことで、次に何かあったときの参考になるのではないでしょうか。

違い#1:発出レベル

まず1つ目の違いは発出されるレベル(ステージ)です。旧レベル(ステージ)は4段階(2022年1月新レベルに)。旧レベルは感染状況を基準にしていましたが、新レベルでは医療機関が対応できるかどうかを基準としています。レベルについては下記を参照してください。

「まん防」発出の基準となるレベルは旧レベルの「ステージ3」・新レベルの「レベル2又は3」、「緊急事態宣言」発出の基準となるのは旧レベルの「ステージ4」・新レベルの「レベル3」。このレベルに達すると必ず発出されるというわけではなく、その他の状況も考慮し決定されます。

旧レベル
ステージ1:感染者の散発的発生
ステージ2:感染者の漸増(ぜんぞう) *漸増=次第に増えること
ステージ3:感染者の急増 *「まん防」発出の基準
ステージ4:爆発的な感染拡大 *「緊急事態宣言」発出の基準

新レベル
レベル0:感染者ゼロ
レベル1:維持すべき=新型コロナに対する医療が対応できている。
レベル2:警戒を強化=新規感染者が増加傾向にある。*「まん防」発出の基準
レベル3:対策を強化=必要な医療が提供できない。*「まん防」「緊急事態宣言」発出の基準
レベル4:避けたい=新型コロナへの医療に対応できない。

違い#2:対象地域

2つ目の違いは発出の対象となる地域です。「まん防」の対象となるのは都道府県内の区域でどの区域を対象とするのかは都道府県知事が指定します。一方、「緊急事態宣言」の対象となるのは都道府県単位

違い#3:期間

3つ目の違いは期間。「まん防」は1回あたり6ヶ月以内で、何回でも延長は可能です。一方の「緊急事態宣言」は2年以内と定められていますが、合計1年を超えない範囲で複数回の延長ができるようになっています。

\次のページで「違い#4-1:要請内容その1」を解説!/

違い#4-1:要請内容その1

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4つ目の違いは各都道府県からの要請内容です。新型コロナウイルス感染症は飛沫による感染も多いため、人が集まる飲食店への要請などについてはメディアでも多く取り上げられていました。そこで、まずは飲食店などへの要請内容を確認します。

「まん防」発出時の飲食店への要請ですが、営業時間の短縮を要請・命令することができますが、休業の要請はできません。また、不要不急の外出を控えるよう要請をすることはできますが、全面的な外出自粛の要請は不可です。命令に違反した飲食店等に対しては罰則を科すこともできます(20万円以下の科料)。

「緊急事態宣言」では、飲食店等に対し、営業時間の短縮、休業を要請・命令することが可能となります。また、外出自粛の要請も可能です。「まん防」同様、命令に違反した飲食店等に対しての罰則もありますね(30万円以下の科料)。

違い#4-2:要請内容その2

そのほかの要請内容を見ていきましょう。

「まん防」では、スポーツやイベントなども制限を受けることとなります。来場者数の上限を5,000人または収容定員の50パーセントのいずれか低いほう。また、収容定員5,000人に満たない施設については、大声を出さない前提であれば収容率100パーセント、大声を出すのであれば収容率50パーセント以内で開催が可能。開催時間は都道府県知事の指示に従うこととなっています。

一方、「緊急事態宣言」発出時の上限は5,000人収容定員が5,000人に満たない場合は収容率50パーセントが上限時間も21時まで、との制限があります。

違い#5:国会報告

最後は国会への報告についてです。「まん防」については国会への報告は義務付けられていません。「国会に速やかに報告する」との付帯決議はあるものの、法的拘束力はないとされています。一方、「緊急事態宣言」については発出時、期間の延長、区域の変更など、国会への報告が法律に明記されていますね。

\次のページで「5類移行で変わること」を解説!/

5類移行で変わること

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新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけは、発生当初は新たな感染症ということで結核やSARSなどと同じ「2類相当」でした。その後、新型インフルエンザ感染症と同等に位置づけられたことで、感染者に対して「2類」よりも厳しい措置を講じることができるようになったのです。

しかし、2023年5月8日付で「5類」に移行されたことで、行動制限もなくなりましたし、マスクの着用も必須ではなくなりましたね。また、発熱外来ではなく一般の医療機関での診察も受けられるようになりました。

ただ、「5類」に移行されたものの、ワクチン接種の費用や入院、検査の費用は引き続き公費負担です。しかし、公費負担についても今後見直されることとなっています。

感染症法に基づく分類
1類:エボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱など
2類:結核、SARS、ジフテリアなど
3類:腸チフス、コレラなど
4類:黄熱、狂犬病、サル痘、マラリアなど
5類:季節性インフルエンザ、梅毒、麻しんなど

「まん防」と「緊急事態宣言」の違いはいろいろ

「まん防(まん延防止等特別措置)」と「緊急事態宣言」の違いはいろいろありましたね。全体的に言えることは、「まん防」より「緊急事態宣言」のほうが厳しい措置になるということ。感染拡大を防止するための対策とは言え、国民の生活を制限する措置なだけに、不便に思うことも多いでしょう。新型コロナウイルス感染症と同じような感染症が今後も発生する可能性はゼロではありませんので、同様の事態となる可能性はありますが、一度整理しておくことで次に起こりうる同じ事態に備えることができればと思います。

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簡単に分かる「まん防(まん延防止等重点措置)」と「緊急事態宣言」の違い!5類移行で変わることも元塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「まん防(まん延防止等重点措置)」と「緊急事態宣言」の違いを見ていきます。新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっていた中、感染拡大の対策として打たれた手です。新型コロナウイルス感染症はすでに落ち着いているが、またいつ新たな感染症が発生するかわからないからな。マスコミなどでもよく取り上げられていたが、この2つの違いを細かいところまで元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「まん防」と「緊急事態宣言」の違い

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2019年12月に中国で発生した「新型コロナウイルス感染症」(海外では「COVID-19」)。2020年には日本をはじめ世界中で感染が急速に拡大し、世界各地で渡航禁止やロックダウンなど、感染拡大を防止する対策が取られました。学校に行けない、仕事はリモートワーク、友人・同僚との食事もNGなど。

感染の拡大が見られる中、感染拡大への対策として政府が発令したのが「まん防」と「緊急事態宣言」。「まん防」は新型コロナウイルス感染を防ぐ目的で創設された新たな制度で、2021年2月13日に施行。日本では2023年5月に5類に移行されましたが、今後も同様の感染症が発生する可能性は否定できません。

そのような中、改めてこの2つの感染拡大防止対策について、その違いなどを整理しておきましょう。違いを知っておくことで、次に何かあったときの参考になるのではないでしょうか。

違い#1:発出レベル

まず1つ目の違いは発出されるレベル(ステージ)です。旧レベル(ステージ)は4段階(2022年1月新レベルに)。旧レベルは感染状況を基準にしていましたが、新レベルでは医療機関が対応できるかどうかを基準としています。レベルについては下記を参照してください。

「まん防」発出の基準となるレベルは旧レベルの「ステージ3」・新レベルの「レベル2又は3」、「緊急事態宣言」発出の基準となるのは旧レベルの「ステージ4」・新レベルの「レベル3」。このレベルに達すると必ず発出されるというわけではなく、その他の状況も考慮し決定されます。

旧レベル
ステージ1:感染者の散発的発生
ステージ2:感染者の漸増(ぜんぞう) *漸増=次第に増えること
ステージ3:感染者の急増 *「まん防」発出の基準
ステージ4:爆発的な感染拡大 *「緊急事態宣言」発出の基準

新レベル
レベル0:感染者ゼロ
レベル1:維持すべき=新型コロナに対する医療が対応できている。
レベル2:警戒を強化=新規感染者が増加傾向にある。*「まん防」発出の基準
レベル3:対策を強化=必要な医療が提供できない。*「まん防」「緊急事態宣言」発出の基準
レベル4:避けたい=新型コロナへの医療に対応できない。

違い#2:対象地域

2つ目の違いは発出の対象となる地域です。「まん防」の対象となるのは都道府県内の区域でどの区域を対象とするのかは都道府県知事が指定します。一方、「緊急事態宣言」の対象となるのは都道府県単位

違い#3:期間

3つ目の違いは期間。「まん防」は1回あたり6ヶ月以内で、何回でも延長は可能です。一方の「緊急事態宣言」は2年以内と定められていますが、合計1年を超えない範囲で複数回の延長ができるようになっています。

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