この記事では「宰相」と「首相」の違いについてみていきます。どちらも、主に政治に関する分野において、総理大臣などに対して使われることのある言葉ですが、それぞれの言葉はなんとなく知っているつもりでも、その違いは何かと聞かれると答えに困る人も少なくないでしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

宰相と首相の読み方を説明

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まず、「宰相」「首相」の読み方がわからないという人もいるかと思うので、それぞれの読みについて説明しましょう。「宰相」については、「宰」は音読みで「サイ」と読み、「相」に関しては「ソウ」と読む言葉が多いですが「ショウ」という読み方もあり、「宰相」「サイショウ」と読みます。これを「サイソウ」と読んで間違われることの多い言葉ですので、気をつけてくださいね。

つぎに「首相」ですが、「首」は音読みで「シュ」と読みます。そして、この「相」もさきほどの説明と同じく、「ショウ」と読むパターンで、「首相」と書いて「シュショウ」という読みです。また、こちらに関しても「シュソウ」と読んで間違われることが多い言葉ですので、しっかり覚えておきましょう。

宰相と首相のざっくりした違い

今度は、「宰相」「首相」のおおまかな違いについて説明しましょう。「宰相」「首相」は、現代の日本においてはどちらも「総理大臣」のことで、基本的には同じものを指します。ただ、それぞれの言葉の由来や意味としては厳密に言うと違いがあるので、今回はそのことをていねいに説明していきましょう。

宰相と首相の漢字を説明

さきほど、現代の日本においては「宰相」「首相」はどちらも「総理大臣」のこと指すものの、厳密には言葉の由来や意味としては違いがあることを説明しましたね。そこで、ここからは「宰相」「首相」という言葉に対する理解を深めるため、それぞれに使われている漢字に着目しながら説明していきたいと思います。

「相」は相けるで「たすける」と読む

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みなさんは、「相」という漢字の意味は何かと問われると、まず「手相」や「形相」などに使われるように「物の姿や様子」の意味や、「相互」「相思」などにの「たがいに」という意味などが思い浮かぶのではないでしょうか。

しかし、あまり知られていないのですが、実は「相」という字には「たすける」という意味もあり、「相ける」と送りがなが振られている場合には、「たすける」と読むのです。そして、「宰相」「首相」に使われている「相」も、もともとはこの「たすける」意味として使われたと考えられています。

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「宰」は料理をつかさどる

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つぎに、「宰」という字について説明しましょう。「宰」の「ウかんむり」は屋根や家を、中の「辛」は刃物をあらわし、そこから「宰」という字はもともと「料理をする」ことを意味していました。そして、「たすける」意味をもつ「相」と組み合わせた「宰相」という言葉は、元は中国において「皇帝の料理や身の回りの世話などをする人」を意味する言葉だったと言われています。

やがて「宰」という字は「つかさどる」という意味でも使われるようになり、「宰相」「政務をつかさどり、皇帝を補佐する役職」を指すようになったのです。さらに、「宰相」という言葉は日本においても内閣制度以前の「太政官制」という体制がとられていた時代に、中国の呼び方にちなんで「参議」という、政治をつかさどる地位の高い役職のことを指す通称として使われていました。そして、今日でも「宰相」内閣総理大臣のことを指す通称として使われることがあるのです。

「首」は「一番」や「最高」を意味する

今度は、「首」について説明したいと思います。みなさんは「首」と聞くと、まず頭と胴体とをつないでいる部分をイメージするかと思いますが、実はそこから上の、頭全体を含めた部分のことを、もともとは「首」と呼んでいたのです。そして「首(頭全体)」は体の中でも一番上にありますよね?

ですから、「首」という言葉は「首位」「首席」など、「一番」「最高」のものを意味するときに使われることがあります。そして「首相」とはもともと「首席宰相(しゅせきさいしょう)」を略したものだと言われており、政治をつかさどる「宰相」の中でも「主席」、つまり最高位にあたる「内閣総理大臣」のことを指すのです。

宰相も首相も総理大臣を意味する!

ここまでの説明で、「宰相」「首相」も今日の日本においては「内閣総理大臣」のことを指すものの、もともとの言葉の意味や由来に着目すると違いがあることを知っていただけたかと思います。また、どちらも総理のことを指すといっても、一般的にはまず「総理」が使われていますので、「宰相」「首相」のどちらを使うか迷ったという方は、「総理」の方を使えば間違いありません。

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雑学

簡単でわかりやすい!宰相と首相の違いとは?読み方や漢字の意味も現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「宰相」と「首相」の違いについてみていきます。どちらも、主に政治に関する分野において、総理大臣などに対して使われることのある言葉ですが、それぞれの言葉はなんとなく知っているつもりでも、その違いは何かと聞かれると答えに困る人も少なくないでしょう。今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

宰相と首相の読み方を説明

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まず、「宰相」「首相」の読み方がわからないという人もいるかと思うので、それぞれの読みについて説明しましょう。「宰相」については、「宰」は音読みで「サイ」と読み、「相」に関しては「ソウ」と読む言葉が多いですが「ショウ」という読み方もあり、「宰相」「サイショウ」と読みます。これを「サイソウ」と読んで間違われることの多い言葉ですので、気をつけてくださいね。

つぎに「首相」ですが、「首」は音読みで「シュ」と読みます。そして、この「相」もさきほどの説明と同じく、「ショウ」と読むパターンで、「首相」と書いて「シュショウ」という読みです。また、こちらに関しても「シュソウ」と読んで間違われることが多い言葉ですので、しっかり覚えておきましょう。

宰相と首相のざっくりした違い

今度は、「宰相」「首相」のおおまかな違いについて説明しましょう。「宰相」「首相」は、現代の日本においてはどちらも「総理大臣」のことで、基本的には同じものを指します。ただ、それぞれの言葉の由来や意味としては厳密に言うと違いがあるので、今回はそのことをていねいに説明していきましょう。

宰相と首相の漢字を説明

さきほど、現代の日本においては「宰相」「首相」はどちらも「総理大臣」のこと指すものの、厳密には言葉の由来や意味としては違いがあることを説明しましたね。そこで、ここからは「宰相」「首相」という言葉に対する理解を深めるため、それぞれに使われている漢字に着目しながら説明していきたいと思います。

「相」は相けるで「たすける」と読む

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みなさんは、「相」という漢字の意味は何かと問われると、まず「手相」や「形相」などに使われるように「物の姿や様子」の意味や、「相互」「相思」などにの「たがいに」という意味などが思い浮かぶのではないでしょうか。

しかし、あまり知られていないのですが、実は「相」という字には「たすける」という意味もあり、「相ける」と送りがなが振られている場合には、「たすける」と読むのです。そして、「宰相」「首相」に使われている「相」も、もともとはこの「たすける」意味として使われたと考えられています。

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