この記事ではフィドルとバイオリンの違いについてみていきます。どちらも小型の弦楽器で、肩と首を使って弓を動かしながら演奏したり、爪で弾くように音をだしたりするというイメージがあるよな。楽器の違いではなく、主に演奏スタイルや音楽の解釈など重視するところが異なるようです。
今回は、そんな弦楽器の違いについて、クラシック音楽が好きな文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

チャイコフスキーの『弦楽四重奏曲 第一番』が好きな文学部卒ライター。

フィドルとバイオリンの大まかなイメージの違い

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フィドルは自由な立ち位置で演奏される楽器で、場所も制限がなく、観客は立ったり踊ったりして楽しそうに聴いているイメージがあります。一方でバイオリンは、演奏前にしっかりと音合わせをした楽器で、指揮者の指示や解釈に従って演奏し、観客はコンサートホールなどに着席して、行儀よく耳を傾けている様子が想像できますね。

ただ、フィドルもバイオリンも見た目では全く同じような楽器に見えて、大きな違いはないのではと感じる方がほとんどかもしれません。

フィドルについて

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実は、バイオリンとフィドルは全く同じ楽器です。フィドルは、もともとは英語「fiddle」。アメリカ発祥のカントリー音楽やアコースティック音楽のジャンルの1つブルーグラス、ポップスやジャズで使う際の小型の弦楽器のことです。どちらかといえば、バイオリンは公的な名称で、フィドルは俗語のように使います。

1.民族音楽でノリを重視

フィドルが主に使われるのは民族音楽。前述の通りアメリカ発祥のカントリーや、北欧の民謡、アイリッシュまたはケルト音楽で用いる時にいいます。ざっくりというのであれば、クラシック以外のジャンルでバイオリンを弾く場面でフィドルと使うと覚えておくとよいでしょう。フィドルを弾く時には、その場のノリの良さや、雰囲気に合わせて楽しむことを重視します。

2.飲食店や道端で弾くスタイル

フィドルの演奏は、カフェや酒類を提供する飲食店内、もしくは、道端や公園などの戸外の場所で行われます。正式なプログラムがあるわけではなく、即興だったり、リクエストに応えたりなどその場のノリにまかせて楽しくが基本。民族音楽のようにその場の人がみんなで踊ったり、合いの手を入れたりなど自由なスタイルで演奏されます。

\次のページで「3.弾き方も自由」を解説!/

3.弾き方も自由

フィドルの弾き方は自由で制約がありません。演奏者の個性や特色を生かせます。楽譜のとおりに弾かなくても、その場に合わせて適当にといっても過言ではありません。演奏技術よりも、いかに皆で楽しめるか、盛り上がることができるかが大切です。他の人がフィドルを弾いていて、その場で飛び入り参加して合奏するといったことも自由にできます。

4.楽器のコンディションは問わない

フィドルで使う楽器について、コンディションは問いません。高い物でも練習用の安価なものでも構いませんし、合奏する場合でもチューニング(決められた音に合わせること)は特に行われない場合も多いです。ただ、外で演奏することも多いので、しっかりと手入れがされた高い楽器ではもったいないと感じる演奏者も多いといわれています。

バイオリンについて

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バイオリンの楽器名は、主としてクラシック音楽で使われます。ただし、日本の場合でいうと、現在ではポピュラーやジャズ、イージーリスニングの分野などでもバイオリンを使うことがほとんどで、フィドルという名前はあまり有名ではないかもしれません。

1.作曲者の意図を忠実に表現

バイオリンは作曲者の考えを重視して、意図する通りに忠実に表現する演奏をします。オーケストラであれば、指揮者の指示や解釈に従って弾くことも。作曲者の指示に、曲のテンポ、音の強弱、音色の様子などがあり、譜面に全て書かれています。

\次のページで「2.ステージで演奏」を解説!/

2.ステージで演奏

バイオリンはコンサートホールなどのステージで演奏するのが主です。オーケストラであれば大人数を収容できる大きなホール、ソロ、デュエット、トリオ、カルテットのような小人数であれば小さなコンサートホールなどを使うのが一般的。年末年始の特別なガラ・コンサートや、記念コンサートであれば例外的に歴史的建造物や野外ステージで演奏することもあります。

3.演奏者も観客も正装に近い服装

バイオリンの演奏者の格好は、オーケストラなどでは黒いフォーマルな服、ソロではタキシードやドレスなど正装が多いです。観客も晴れ着や正装に近い服を着用して、着席してかしこまって静かに耳を傾けるようにしています。ただ、『ラデツキー行進曲』のような軽快な曲、アンコールに使われるノリの良い曲は、演奏者や指揮者が手拍子をリクエストして、観客が応えるという場面も。フィドルと比べると、窮屈に感じる方もいるかもしれません。

近年では、身近な音楽として親しまれるように演奏者も客も平服でというところも増えているということです。

4.品質の良い楽器を使用

バイオリンは、できるだけ質の良い楽器を使用するのが一般的。一流のバイオリニストが使う、ストラディバリウスのような古くからの定評がある楽器は非常に高値です。自分で所有するのが難しく、持ち主から有償で借りている演奏者がほとんど。最高の状態で演奏できるように普段から大切に手入れがされています

コンサートでは演奏する前に、第1バイオリンの首席奏者の男性のコンサートマスター(女性はコンサートミストレス)が音を出して、各楽器の音の高低を合わせます。チューニングすることで、各楽器の音がクリアになり、音が濁ることなく綺麗に響き渡るということです。

フィドルはクラシック以外のジャンルで民族音楽、バイオリンはクラシック音楽で使用する楽器名

フィドルとバイオリンは全く同じ楽器です。一般的に、クラシックの分野で演奏する場合をバイオリン、民族音楽やクラシック以外のジャンルで演奏する楽器をフィドルといいます。世界的に見て、バイオリンのほうが公的な場で使われることがほとんど。演奏場所や演奏スタイル、ジャンルに細かな違いが見られますが、日本ではフィドルという語はあまり耳にする機会がなく、バイオリンを使う方が多いです。

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雑学

簡単でわかりやすいフィドルとバイオリンの違い!演奏スタイルや使い分けも文学部卒ライターが詳しく解説

この記事ではフィドルとバイオリンの違いについてみていきます。どちらも小型の弦楽器で、肩と首を使って弓を動かしながら演奏したり、爪で弾くように音をだしたりするというイメージがあるよな。楽器の違いではなく、主に演奏スタイルや音楽の解釈など重視するところが異なるようです。
今回は、そんな弦楽器の違いについて、クラシック音楽が好きな文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

チャイコフスキーの『弦楽四重奏曲 第一番』が好きな文学部卒ライター。

フィドルとバイオリンの大まかなイメージの違い

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フィドルは自由な立ち位置で演奏される楽器で、場所も制限がなく、観客は立ったり踊ったりして楽しそうに聴いているイメージがあります。一方でバイオリンは、演奏前にしっかりと音合わせをした楽器で、指揮者の指示や解釈に従って演奏し、観客はコンサートホールなどに着席して、行儀よく耳を傾けている様子が想像できますね。

ただ、フィドルもバイオリンも見た目では全く同じような楽器に見えて、大きな違いはないのではと感じる方がほとんどかもしれません。

フィドルについて

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実は、バイオリンとフィドルは全く同じ楽器です。フィドルは、もともとは英語「fiddle」。アメリカ発祥のカントリー音楽やアコースティック音楽のジャンルの1つブルーグラス、ポップスやジャズで使う際の小型の弦楽器のことです。どちらかといえば、バイオリンは公的な名称で、フィドルは俗語のように使います。

1.民族音楽でノリを重視

フィドルが主に使われるのは民族音楽。前述の通りアメリカ発祥のカントリーや、北欧の民謡、アイリッシュまたはケルト音楽で用いる時にいいます。ざっくりというのであれば、クラシック以外のジャンルでバイオリンを弾く場面でフィドルと使うと覚えておくとよいでしょう。フィドルを弾く時には、その場のノリの良さや、雰囲気に合わせて楽しむことを重視します。

2.飲食店や道端で弾くスタイル

フィドルの演奏は、カフェや酒類を提供する飲食店内、もしくは、道端や公園などの戸外の場所で行われます。正式なプログラムがあるわけではなく、即興だったり、リクエストに応えたりなどその場のノリにまかせて楽しくが基本。民族音楽のようにその場の人がみんなで踊ったり、合いの手を入れたりなど自由なスタイルで演奏されます。

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