この記事では「アプリコット」と「あんず」の違いについてみていく。どちらもオレンジ色の甘酸っぱいジャムやドライフルーツのイメージで、砂糖漬けなどがお菓子に使われている。「あんず」の英語読みが「アプリコット」と思っている人が大半でしょう。もちろん間違いないのですが、微妙な違いがある。

そもそも「アプリコット」や「あんず」はどんなフルーツか、知っているかな。今回は違いから近似種の果実、そして杏仁豆腐の正体まで、ドライフルーツ好きな語学系主婦ライター小島ヨウと一緒に解説していきます。

ライター/小島 ヨウ

ドイツ語学科卒、英語劇や市民劇団に所属した語学系おばさんライター。漢字や言葉の使い方に興味あり。わかりやすくをモットーに深ぼり解説する。

「アプリコット」と「あんず」の違い

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「アプリコット」は「あんず」の英語名、同じ果実と認識されているでしょう。ジャムやドライフルーツとして良く食べられます。どちらも中国から中央アジアが原産、バラ科さくら属の植物です。どう違うのか、みていきます。

「アプリコット」:西洋種、実が大きく甘みがある

「アプリコット」「あんず」は古くから中国で栽培され、漢方として利用、咳止めに良いとされてきました。また食物繊維やミネラル、ビタミンなどが豊富。摂取すると免疫力を高め、美肌効果も期待されます。

原産地から西、そして世界中に広がったものが「アプリコット」です。あんずと比較するとサイズが大きく、甘みがあります。現在の生産量のトップ3はトルコ、ウズベキスタン、イランです。

「あんず(杏子)」:東洋種、少し酸味が強い

「あんず」は原産地から東、日本にまで伝わった種で、古くは「唐桃」と呼ばれていました。江戸時代に呼び方が「杏子:あんず」になり、現在日本での生産地は青森県が6割を占め、長野県が4割弱の2強です。開花は桜よりも早い時期。収穫は6月から7月、橙黄色に熟した果実は酸味が強く、生食に向かないため、加工品になります。

世界中で食べられる人気の果実

日本でのあんず栽培は実よりも種の中身、「杏仁」を取るためでした。それが大正時代以降、実を食べるヨーロッパの品種を積極的に導入。また寒冷地でも育つため広く世界で栽培され、加工品は長期保存、輸出入が可能です。よって日本でも「アプリコット」の呼び名で周知のものとなりました。

そもそもは同じ原産ですから「アプリコット」=「あんず」で間違いないでしょう。厳密にいうなら、アプリコットは西洋種、あんずは東洋種という違いです。

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「アプリコット」「あんず」の美味しい食べ方

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甘酸っぱいアプリコットやあんず。βカロチンの含有量が高いので、アンチエイジング・視力の維持・成人病の予防にも効果ありとされています。どうやって食べるのがおいしいのか、チェックしていきましょう。

生食は甘い「アプリコット」で

西洋種アプリコットは比較的甘みがあり、中でも「ハーコット」というカナダ生まれの品種やアメリカ生まれの「ゴールドコット」は生食用として栽培、販売されています。しっかり完熟した実がおすすめです。冷蔵庫での保存が可能ですが、早めに食べましょう

どちらも「ジャム」や「ドライフルーツ」がおすすめ

アプリコットやあんずは、やはりジャムやドライフルーツですね。パンやスイーツだけでなく、お料理のソースやお酒のカクテルなど何にでも使えます。

ほとんどのドライアプリコットは砂糖不使用で、ただ干しただけのシンプルなもの。甘さや栄養が凝縮されて美味しいです。しかしながら、高温多湿の日本では干しあんずの国産品は多くありません。ジャムやシロップ漬け、砂糖漬けが主です。

杏仁豆腐はあんずの種から!?

種を割って出てくる中身を「仁(さね)」と呼びます。ですから「杏仁(きょうにん)」はあんずの種の中身のことです。古くから漢方薬に使われる生薬で、咳をしずめ、タンを抑え、ぜんそくなどに効き目があります。

「杏仁」を粉にして甘みを加えると「杏仁霜(きょうにんそう)」となり、これに砂糖や牛乳、ゼラチンを加えて冷やしたものが「杏仁豆腐(きょうにんどうふ/あんにんどうふ)」です。

「アプリコット」「あんず」の仲間たち

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生の印象が薄いアプリコットやあんずですが、仲間を確認すると、その樹木や果実のイメージができますね。メジャーな種類をご紹介します。

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「梅」:英名はjapanese apricot、加工品が主

「梅」も中国原産、飛鳥時代に日本に入ってきたといわれます。奈良時代から庭木で親しまれ、江戸時代には果実を収穫するため栽培されました。

青い未熟な果実は毒があるので、梅干しや梅酒、梅ジャムなどに加工。クエン酸・リンゴ酸などが豊富に含まれるため強い酸味がありますが、食せば食欲増進・疲労回復・抗菌除菌など様々な効果が期待されます。日本人にとって梅は身近な食材ですね。

「すもも」:日本すももはプラム、西洋すももはプルーン

「すもも」は桃に比べて酸味が強いのが和名の由来といわれています。黄橙色の果実の中国原産「日本すもも」と、青紫や赤紫の実のヨーロッパ・コーカサス原産の「西洋すもも」の2大種があり、多品種で交雑され発展した様々なすももの総称が「プラム」です。また日本すももや生のすももを「プラム」、西洋すももやドライすももを「プルーン」と呼ぶこともあります。

「びわ」:実の色が似ていてもバラ科ビワ属

「あんず」と果実の色が似ている「びわ」は中国南西部原産。和名の由来は、オレンジ色の果実の形また葉の形が楽器の「琵琶」に似ているからといわれています。温暖な地域で育ち、6月~7月に結実、酸味は薄く甘い果肉です。やはり仁や葉に毒があります。

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「アプリコット」「あんず」は栄養満点だが、食べすぎに注意

この記事では「アプリコット」と「あんず」の違いを説明しました。「アプリコット」は西洋種で「あんず」は東洋種という違い、原産は同じだとわかりましたね。ドライアプリコットは鉄分が多く栄養豊富で便秘の解消にも有効です。女性に嬉しい食べ物ですが、生と比べてハイカロリー。適量は一日3~5個です、食べすぎにご注意くださいね。

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3分でわかる「アプリコット」と「あんず」の 違い!杏仁豆腐は何からできている?語学系主婦ライターがわかりやすく解説

この記事では「アプリコット」と「あんず」の違いについてみていく。どちらもオレンジ色の甘酸っぱいジャムやドライフルーツのイメージで、砂糖漬けなどがお菓子に使われている。「あんず」の英語読みが「アプリコット」と思っている人が大半でしょう。もちろん間違いないのですが、微妙な違いがある。

そもそも「アプリコット」や「あんず」はどんなフルーツか、知っているかな。今回は違いから近似種の果実、そして杏仁豆腐の正体まで、ドライフルーツ好きな語学系主婦ライター小島ヨウと一緒に解説していきます。

ライター/小島 ヨウ

ドイツ語学科卒、英語劇や市民劇団に所属した語学系おばさんライター。漢字や言葉の使い方に興味あり。わかりやすくをモットーに深ぼり解説する。

「アプリコット」と「あんず」の違い

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「アプリコット」は「あんず」の英語名、同じ果実と認識されているでしょう。ジャムやドライフルーツとして良く食べられます。どちらも中国から中央アジアが原産、バラ科さくら属の植物です。どう違うのか、みていきます。

「アプリコット」:西洋種、実が大きく甘みがある

「アプリコット」「あんず」は古くから中国で栽培され、漢方として利用、咳止めに良いとされてきました。また食物繊維やミネラル、ビタミンなどが豊富。摂取すると免疫力を高め、美肌効果も期待されます。

原産地から西、そして世界中に広がったものが「アプリコット」です。あんずと比較するとサイズが大きく、甘みがあります。現在の生産量のトップ3はトルコ、ウズベキスタン、イランです。

「あんず(杏子)」:東洋種、少し酸味が強い

「あんず」は原産地から東、日本にまで伝わった種で、古くは「唐桃」と呼ばれていました。江戸時代に呼び方が「杏子:あんず」になり、現在日本での生産地は青森県が6割を占め、長野県が4割弱の2強です。開花は桜よりも早い時期。収穫は6月から7月、橙黄色に熟した果実は酸味が強く、生食に向かないため、加工品になります。

世界中で食べられる人気の果実

日本でのあんず栽培は実よりも種の中身、「杏仁」を取るためでした。それが大正時代以降、実を食べるヨーロッパの品種を積極的に導入。また寒冷地でも育つため広く世界で栽培され、加工品は長期保存、輸出入が可能です。よって日本でも「アプリコット」の呼び名で周知のものとなりました。

そもそもは同じ原産ですから「アプリコット」=「あんず」で間違いないでしょう。厳密にいうなら、アプリコットは西洋種、あんずは東洋種という違いです。

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