今回は政治の話で、立憲民主党と国民民主党という二つの政党の違いがテーマです。どちらも与党・自民党に対する野党であり、与党の政策を批判する立場にありますが、その政治的なスタンスや方向性は大きく異なっているんです。
また、ある政党の基本政策について理解を深めるにはその支持層についても知っておく必要がある。これらの内容を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

立憲民主党と国民民主党の違いをざっくり解説

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立憲民主党国民民主党は、共に野党であり現在の与党・自民党を批判する立場である点は同じです。また、共通の政党を母体としている点も共通していますが、その政治姿勢については異なるところもあります。以下ではその相違点をざっくり見ていきましょう。

立憲民主党:中道左派の野党第一党

立憲民主党中道左派の野党第一党です。中道左派とは、政治的な方向性で言うと「平等」を重んじる立場で、貧富の格差の解消などを目指しています。

立憲民主党が掲げるスローガンは「まっとうな政治」です。現状の政治が「まっとう」でないという認識からスタートしており、「立憲主義と多様性」の破壊、情報の隠蔽、そしてトップダウンで行われる政治への危機感を強く訴えています。また、与党自民党に対する攻撃的で厳しい姿勢も特徴的です。

メンバーには市民運動家や法曹出身者が多く、かつて存在した日本労働組合総評議会(総評)に属していた労働組合である旧総評系の支援を受けています。

国民民主党:中道政党の野党

一方の国民民主党は立憲民主党とは異なり、右派でも左派でもない中道を歩む中道政党の野党です。彼らは「改革中道政党」を標榜しており「つくろう、新しい答え」というスローガンを掲げています。

特に、与党と対決することよりも解決策の提示によって独自色を出し、建設的な野党として提案型野党になることを目指している点が特徴的です。

よって、国会議案や政府案件に対しても、付帯決議を通した建設的な提案を行っています。党員には官僚出身者が多く、かつての日本社会党系労組である旧同盟系の労組から支援を受けてる点が大きな特徴です。

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違いその1.基本政策

ここまでで、立憲民主党と国民民主党の違いをざっくり解説してきました。政治的な方向性政党としてのポリシー党員や支援者のタイプも異なっていることが分かったでしょう。次に、両者の基本政策について簡単に解説します。

立憲民主党:「平等」を重んじる政策

立憲民主党は、綱領で「立憲主義と草の根民主主義」「共生社会」「公正な経済」「国際協調と専守防衛」を掲げています。特に、トップダウンの政治機構よりも一般市民一人一人の積極的な政治参加を理想とする草の根民主主義を重んじるところに、独自色が現れていると言えるでしょう。

この綱領に掲げた基本理念にもとづき、立憲民主党は中長期的な視野で基本政策に取り組むことを基本姿勢としています。

例えば「立憲主義に基づく民主政治」「人権を尊重した自由な社会」「多様性を認め合い互いに支え合う共生社会」「人を大切にした幸福を実感できる経済」などがその基本政策です。その内容には「平等」を重んじる中道左派の性格がよく表れています。

国民民主党:「国民が必要とする政策」

一方の国民民主党は、先述の通り「改革中道政党」を標榜しており、穏健保守からリベラルまでの正反対の立場に通じる政策を是々非々で提案する政策提案型の政党です。よってその基本政策は、未来志向かつ課題解決型の内容となっています。

国民民主党が重要視するのは「国民が必要とする政策」です。政策の五本柱として「給料が上がる経済」の実現や積極財政への転換、「人づくり」による国づくり、自主防衛、「正直な政治」の貫徹という方針を掲げています。

例えば、国民民主党が「給料が上がる経済」を実現するために提案しているのが、積極財政による経済対策です。物価を上回る賃上げのためには、労働需給を好転させる事が必要だと述べています。

違いその2.経済政策

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ここまでで、立憲民主党と国民民主党の特徴や政治的な基本政策について、それぞれの違いを確認してきました。いずれも同じ「野党」ではありますが、スタンスに微妙な違いがあることが分かったでしょう。次に、私たちの生活にも大きく影響する経済政策について、双方の提案する基本政策の違いを説明します。

立憲民主党:需要サイドに立った経済政策

立憲民主党は、地域分散・分権・内需主導型経済を目指しています。地産地消を基本とし、地域のニーズに応じた新たな地場産業を創出することを理想としていると言えるでしょう。

その基本方針に基づいて、特に推進を呼び掛けている分野は環境・エネルギー分野、医療・介護分野、農業・観光分野です。特にこの中でも、中小・小規模事業者の専門性や独自性を伸ばす公的支援の拡充を重要視しています。需要サイドに立った経済政策を掲げる立憲民主党は、地域の発展と持続可能な経済成長を目指しているのです。

国民民主党:積極財政・長期的・計画的な経済政策

国民民主党は、物価が上がり過ぎて景気が低迷するスタグフレーションに陥らないように、経済政策として「積極財政」を推し進めるよう提唱しています。具体的に、特に重要視しているのは消費税減税やガソリン減税など「家計減税」で家計の消費力を高めることです。

また、人づくり、デジタル化、カーボン・ニュートラルを目指して「大規模、長期、計画的」な投資を行うことも提唱しています。これらは、立憲民主党と同様に需要サイドに立った経済政策と言えるでしょう。

\次のページで「違いその3.支持層」を解説!/

違いその3.支持層

ここまでで、立憲民主党と国民民主党の特徴や基本となる政治的スタンス、それに経済政策の政策方針について見てきました。

ところで、政治政党の政策というのは、支持層のニーズに応える形で打ち出されるものです。よって政党のことをよく知るにはその支持層についての理解も深めておく必要があります。次は、この二つの政党が、どのような団体に支援されているかについて見ていきましょう。

立憲民主党:かつての社会党支持層

立憲民主党は、自治体職員による組合である「自治労」、私鉄の労働組合である「私鉄総連」、教師の組合である「日教組」など、かつて社会党を支持した旧「総評(日本労働組合総評議会)」に加盟していた団体が多く支援しています。

ちなみに社会党とは、1945年から1996年まで存在した政党で、現在の社会民主党の前身です。社会党は労働者や農家など広範な民衆を支持基盤としており、急進的な革命思想であるマルクス主義を掲げる共産党とは異なり、社会民主主義を掲げていました。

ただ近年は社会民主党に変わって以降は、かつてのような存在感はありません。それまで社会党を支持していた人たちの新たな受け皿としての役割を、現在は立憲民主党が負っているとも言えるでしょう。

国民民主党:過激な社会主義に反対した団体

一方、国民民主党の支援団体は、かつて革命思想や過激な社会主義に反対した旧「同盟(全日本労働総同盟)」に加盟していた団体です。

一例を挙げると自動車産業の分野では「自動車総連」、電力会社の労組である「電力総連」、各種産業の労組連合である「UAゼンセン」などが挙げられます。

先述したような革命思想や過激な社会主義というのは、一世を風靡したマルクス主義に基づく思想で、社会の変革を目的とするものでした。歴史的に見ると、もともとこの思想は労働者の権利を守るために生まれたのですが、世界的にも社会変革の方向性を巡って穏健派と過激派に分かれることが多く、一枚岩でない点はどの国も同じです。

立憲民主党と国民民主党の結党の歴史

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ここまで見てきた内容で、立憲民主党と国民民主党の特徴と基本政策・経済政策・支持層について理解が深まったと思います。最後に、そんな両党はいつ結党し、そしてどのような活動スタイルで現在に至っているのかを解説しましょう。

立憲民主党:2017年に結党

立憲民主党は、2017年10月に結党されました。前身である民進党の解党を受けて、「立憲主義・草の根民主主義」を掲げて、与党に対する野党第一党として結党されたのです。

その後も立憲民主党は、テレビやSNSを活用して、与党・自民党に対して積極的に攻撃を加える姿勢をアピール。立憲民主党の昔の母体にあたる民主党が、かつて劇的に政権交代を果たした記憶があることから、もう一度与党に返り咲くチャンスを狙い活躍しています。

特に、与党の政策上のミスやスキャンダルを指摘する手法には定評があり、週刊誌やSNS上の匿名の投稿なども積極的に活用して与党を攻めることもしばしば。その姿勢は、特に一部のコアな層に支持されています。

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国民民主党:2018年に結党

国民民主党は、2018年5月に結党されました。当時の民進党と国民党(希望の党からの分党)や立憲民主党との合流・分離などの複雑な過程を経て立ち上げられたものです。

先述の通り、国民民主党は「対決より解決」を掲げ、左右いずれかのイデオロギー的立場にくみせず、あくまでも政策本位の立場を保っています。政策が一致すれば与野党関係なくあらゆる政党・会派・政治家と連携し、法案の審議でも賛成の立場に回るというスタイルです。

立憲民主党も国民民主党も民進党を前身とする野党

立憲民主党と国民民主党は、共に民主党・民進党を前身とする政治政党です。立憲民主党は中道左派の野党第一党で、完全な自由よりも「平等」を重視し「まっとうな政治」をスローガンとしており、貧富の差の是正などを喫緊の課題として掲げています。

一方、国民民主党は中道政党の野党です。与野党としての立場やイデオロギー、思想信条に関係なく「政策本位」「中道」をモットーとする、フラットな姿勢の党だと言えるでしょう。

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簡単でわかりやすい!立憲民主党と国民民主党の違いは?基本政策や経済政策・支持層も雑学好きライターが詳しく解説

今回は政治の話で、立憲民主党と国民民主党という二つの政党の違いがテーマです。どちらも与党・自民党に対する野党であり、与党の政策を批判する立場にありますが、その政治的なスタンスや方向性は大きく異なっているんです。
また、ある政党の基本政策について理解を深めるにはその支持層についても知っておく必要がある。これらの内容を雑学好きライター・ねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

立憲民主党と国民民主党の違いをざっくり解説

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立憲民主党国民民主党は、共に野党であり現在の与党・自民党を批判する立場である点は同じです。また、共通の政党を母体としている点も共通していますが、その政治姿勢については異なるところもあります。以下ではその相違点をざっくり見ていきましょう。

立憲民主党:中道左派の野党第一党

立憲民主党中道左派の野党第一党です。中道左派とは、政治的な方向性で言うと「平等」を重んじる立場で、貧富の格差の解消などを目指しています。

立憲民主党が掲げるスローガンは「まっとうな政治」です。現状の政治が「まっとう」でないという認識からスタートしており、「立憲主義と多様性」の破壊、情報の隠蔽、そしてトップダウンで行われる政治への危機感を強く訴えています。また、与党自民党に対する攻撃的で厳しい姿勢も特徴的です。

メンバーには市民運動家や法曹出身者が多く、かつて存在した日本労働組合総評議会(総評)に属していた労働組合である旧総評系の支援を受けています。

国民民主党:中道政党の野党

一方の国民民主党は立憲民主党とは異なり、右派でも左派でもない中道を歩む中道政党の野党です。彼らは「改革中道政党」を標榜しており「つくろう、新しい答え」というスローガンを掲げています。

特に、与党と対決することよりも解決策の提示によって独自色を出し、建設的な野党として提案型野党になることを目指している点が特徴的です。

よって、国会議案や政府案件に対しても、付帯決議を通した建設的な提案を行っています。党員には官僚出身者が多く、かつての日本社会党系労組である旧同盟系の労組から支援を受けてる点が大きな特徴です。

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