簡単でわかりやすい!備忘録と健忘録の違いとは?健忘録は間違い?現役塾講師がわかりやすく解説
ライター/空野きのこ
大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。
備忘録と健忘録のざっくりした違い
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まずはじめに「備忘録」と「健忘録」の違いについて説明したいと思います。「備忘録」とは、「物事を忘れてしまった時のために、覚えておくべきことを簡単にメモしたもの」のことです。一方の「健忘録」も「備忘録」と同じく、「物事を忘れてしまった時のために、覚えておくべきことを簡単にメモしたもの」を指す言葉として使われています。
しかし、「健忘録」はおそらく「備忘録」と間違えた誤用が広まったもので、辞書などに正式な日本語の単語として載っている言葉ではありません。そこで今回は「備忘録」の意味や、「健忘録」という間違いがなぜ広まったのかなどについて、言葉の意味に着目しながら、ていねいに説明したいと思います。
「健忘録」の読み方は?
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さきほど、「備忘録」とは「物事を忘れてしまった時のために、覚えておくべきことを簡単にメモしたもの」のことで、「健忘録」はおそらくその誤用で、辞書などには載っていない言葉だと説明しましたね。ただ、インターネットの普及した今日では、誤用である「健忘録」という使い方も一部では広まっていて、中には誤用であるとわかっていながらも、あえて使っているという人もいるようです。
そのためネット上で「健忘録」という言葉を目にし、その読み方がわからないので知りたいという人もいらっしゃるでしょう。そこで「健忘録」の読みかたをお教えしたいと思います。「健忘録」という言葉はありませんが、「健忘(けんぼう)」という、辞書にものっている単語はありますので、「健忘録」は「けんぼうろく」と読んでおけば間違いないでしょう。
備忘と健忘のそれぞれの意味を説明
さきほど「健忘録」という言葉は存在しないものの、「健忘」という言葉はあることを説明しましたが、「備忘録」を「健忘録」と間違えてしまう理由として、その「健忘」という言葉の存在が一因になっているのではないかと考えられます。そこで、ここからは「備忘録」と「健忘録」に使われている「備忘」と「健忘」という言葉、そのそれぞれの意味について説明していきましょう。
「備忘」は忘れたときのために備えること!
まずは「備忘」について説明しましょう。「備」は訓読みで「備える(そなえる)」、「忘」は「忘れる(わすれる)」ですので、「備忘」とは文字通り「忘れたときのために備える」という意味の言葉です。この「備忘」という言葉も、「忘備」と書かれることもありますがそれはあくまで誤用ですので注意してください。
「備忘」は、例えば、「本(書)を読む」から「読書」や「山に登る」から「登山」などと同じように、一文字目の漢字が「行動や動作」、二文字目の漢字が「行動や動作の対象」という構成で出来ている、中国から入ってきた言葉が元となっている単語です。
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