この記事ではゲジゲジとムカデの違いについてみていきます。2つとも「無数の足をもつ虫」というイメージがあるよな。その通りゲジゲジは分類上、「広義のムカデ」なんです。ですが一般的なムカデと違って、ゲジゲジは人にとって無害です。今回はそんな「足の多い虫」の違いを、見分け方も含めて、大学で生物を学んだライター2scと一緒に解説していきます。

ライター/2sc

理系の大学院に通うかたわら、ライターとして活動。技術から生活までさまざまな知識を、科学の視点で解説する。この記事では「多足類」こと、ゲジゲジとムカデの違いについてわかりやすく解説していく。

ゲジゲジとムカデを大まかに比較

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まずはゲジゲジとムカデの分類について徹底解説。両者は別々に呼び分けられていますが、「無数の足」や「大顎」などいくつかの共通点をもっています。以下そんなゲジゲジとムカデを、大まかに比較していきましょう!

一般的なムカデは「オオムカデ目」

ムカデは「多足類」という節足動物の仲間で、厳密には「多足亜門ムカデ上綱ムカデ綱」に分類されます。

そんなムカデは漢字で書くと「百足」となるように、「おびただしい数の足をもつ虫」です。その胴体には15対から191対もの足が付属。それに合わせて長い胴体も兼ね備えています。頭部には脚が変形してできた「顎肢/がくし」が付属。その噛む力と分泌する毒によって、ゴキブリなど大きな昆虫を仕留めます。

以上ムカデはさらに、オオムカデ目・イシムカデ目・ジムカデ目・ゲジ目の4グループに細分化。その中で普段わたしたちが「ムカデ」と呼んでいるのはオオムカデ目です。日本にいる種だと、頭だけ赤色の「トビズムカデ」や全身が青みがかった「アオズムカデ」、全身が赤みがかった「アカズムカデ」などが該当します。どの種も体長10cm〜20cm程度と大型。顎肢に人を苦しめる「強い毒」をもちます。

ゲジゲジは広義のムカデだが「変わり者」

ゲジゲジはムカデの一種です。正式には「ゲジ」という名前で、「多足亜門ムカデ上綱ムカデ綱ゲジ目」の虫を指します。彼らはムカデの中でも異質な存在。「短い胴体から長く伸びた脚」やそれを活かした「スピーディな動き」など、他のムカデにはない個性をもっているのです。日本には体長3cmの「ゲジ」と、体長6cmの「オオゲジ」の2種類のゲジゲジが生息しています。

以下この記事では、ムカデの代表格「オオムカデ目」と変わり種の「ゲジ目」の違いについて徹底解説。見分け方や毒の違いはもちろんのこと、彼らを駆除する方法についてもみていきましょう!

\次のページで「ゲジゲジとムカデの具体的な違い」を解説!/

ゲジゲジとムカデの具体的な違い

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ゲジゲジ(ゲジ)とムカデ(オオムカデ)とでは、具体的に違う点が5つもあります。とくに胴体や背中、顔など「見た目の違い」が顕著。両者は同じ「ムカデ綱」とは思えないほどに違っているのです。さらに毒の強さにも違いが。野外で危険な虫を見分けたいなら、最後までお読みください。

違い1.体つきや歩き方

ゲジゲジとムカデは一目で見分けられます。両者では「体の見た目」や「歩き方」が大きく異なるのです。まず脚の本数が多く、胴体が長いのはムカデ。ゲジゲジの脚が15対なのに対して、ムカデは21対前後の脚を有しています。多くの脚が付属するその胴体は平均して10cm程度、最大でなんと20cmほどにもなるのです。そんなムカデは長い胴体をくねらせながら、地を這うように歩行するのが特徴となります。

対してゲジゲジでは3〜6cm程度の短い胴体に、ムチのような長い脚が付属。その体つきゆえに歩き方が特徴的です。ゲジゲジは長い脚で、地面から胴体を浮かせながら素早く走ります。そして長い脚を身を守る際にも活用。ゲジゲジは鳥など天敵に襲われたとき、脚を切断(自切)して逃げ切るのです。脚は脱皮で再生するので支障ありません。切り離した脚は独立して動き、天敵の注意を惹きつけます。

違い2.背中の見た目

ムカデと違ってゲジゲジでは、胴体の背中側中心に「白色またはオレンジ色の斑点」がついています。斑点の中心には縦長の孔が開いているのが特徴です。これは「気門」といって彼らが呼吸をするための孔。ゲジゲジは背中で息をしているのです。対してオオムカデなど他のムカデでは、体の側面に気門が付属します。

違い3.顔つき

ゲジゲジの顔つきは「昆虫のバッタ」に似ています。頭全体が縦に長く、顔には大きな眼が1対付属しているのです。対してムカデの頭部は平らで一見、眼がないように見えます。じつは彼らの眼は「単眼」といって、簡素なつくりのもの。ムカデでは視力が退化しているのです。代わりに嗅覚が発達。ムカデは「数珠玉状の太い触覚」で匂いを感知します。

\次のページで「違い4.毒性」を解説!/

違い4.毒性

ムカデは顎で噛みついた相手に「強い毒」を注入します。その成分は最強の昆虫と名高い「スズメバチ」のものと同じで、ヒスタミンやセロトニンなどの混合物。噛まれると腫れや激痛などの症状が出ます。また過去に「ムカデやハチの毒」を受けたことがある人は、「アナフィラキシーショック」を発症することも。じんましんや呼吸困難、低血圧など致命的なアレルギー症状をきたす場合があるのです。

対してゲジゲジの毒は人にとって無害。昆虫を麻痺させる程度の毒性しかもちません。さらにゲジゲジは温和な気質をもち、ほとんど人に噛みつきません。仮に噛まれてしまっても、血が出る程度で済むでしょう。同じ「ムカデ綱」でも、ムカデとゲジゲジとでは危険度に差があるのです。

違い5.人との関係

ムカデもゲジゲジも「害虫」として、人から嫌われる生き物です。とはいえ両者では「害虫としてのカテゴリー」が違います。まず強い毒をもつムカデは、人に直接的な被害をもたらす「衛生害虫」です。対してほぼ無毒で大人しいゲジゲジは「不快害虫」で、見た目が悪いというだけで忌避されています。

そんなムカデ/ゲジゲジには「益虫」としての側面も。彼らはゴキブリやダニなど、ほかの害虫を捕食してくれるのです。

ゲジゲジやムカデを退治する方法

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ここからは「不快害虫」のゲジゲジや「衛生害虫」のムカデを撃退する方法について徹底解説。侵入の予防から発見時の駆除まで、詳しくお伝えしていきます。さらにムカデに噛まれてしまったときの、「正しい処置」や「間違った処置」についてもみていきましょう!

まずは家への侵入を防ごう

ゲジゲジやムカデはしばしば家の中で見かける害虫。エアコンのダクト周辺や窓のサッシなど「わずかな隙間」から、屋内へと侵入してくるのです。そのためゲジゲジ/ムカデの侵入を防ぐには、家中の隙間を探し出してテープで塞ぐ必要があります。ほかには家の基礎沿いに設置する「ムカデ返し」が有効です。名前通りの返し構造で、ゲジゲジやムカデが物理的にシャットアウトできますよ。

とはいえコストの関係で、「物理的な侵入対策」が取れないこともありますよね。その場合はゲジゲジ/ムカデの餌となる「ゴキブリの駆除」や、彼らが忌避する「樟脳やハーブ精油の散布」が有効です。またゲジゲジやムカデは普段、庭先の落ち葉に潜んでいます。そのため「落ち葉掃除」をすれば、家の敷地から彼らを追い出せますよ。以上さまざまな対策を駆使して、ゲジゲジやムカデの侵入を未然に防ぎましょう。

ムカデの駆除方法

人に実害を与えてくるムカデは、発見次第駆除したいところ。ですがムカデには他の虫に通用する攻撃が効きません。彼らは「潰されても動き続ける生命力」や「殺虫剤への耐性」などを兼ね備えた、しぶとい害虫なのです。そんなムカデに有効なのは「熱湯」または「冷凍スプレー」による攻撃。どちらも有害成分が発生しないので、赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心して使用できます。

\次のページで「ムカデに噛まれたときの対処は?」を解説!/

ムカデに噛まれたときの対処は?

ムカデに噛まれてしまった場合、毒を除去するのが先決。傷口を「冷水」で洗い流しましょう。また専用の器具「インセクトポイズンリムーバー」を傷口にあてがえば、毒が吸い出せます。この器具はハチ毒にも有効。野外作業の頻度が多いなら携行しておきましょう。最後にムカデ毒に有効な「抗ヒスタミン剤含有」のステロイド軟膏を患部に塗布すれば、手当てが完了します。

次はムカデに噛まれたときに、「やってはいけない処置」について2つ紹介。まず噛まれた傷口を「お湯」で洗い流してはいけません。この場合血行が良くなってしまい、全身に毒が回ってしまうからです。また毒を「自分の口」で吸い出すのもやめましょう。口の中に傷があると、そこから毒が入り込んでしまいます。以上の対処法はスズメバチやイラガなど他の毒虫でも共通なので、覚えておくとよいでしょう。

ゲジゲジは「ムカデの仲間」だが無害

ムカデとは「多足亜門ムカデ上綱ムカデ綱」の虫を指す総称。さらに細かく、「全長10cmもの体」と「有毒な大顎」をもつオオムカデ目など4グループに分かれます。そのうちの一つが「ゲジゲジ」ことゲジ目です。彼らはムカデの代表格「オオムカデ目」と大きく異なります。まずゲジゲジは「人に効くほどに強い毒」をもちません。さらにムカデらしからぬ「短い胴と長い足」を活かして、素早く走るのです。

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雑学

簡単でわかりやすい!ゲジゲジとムカデの違いとは?見た目や毒性・効果的な駆除方法も大学で生物を学んだライターが詳しく解説

違い4.毒性

ムカデは顎で噛みついた相手に「強い毒」を注入します。その成分は最強の昆虫と名高い「スズメバチ」のものと同じで、ヒスタミンやセロトニンなどの混合物。噛まれると腫れや激痛などの症状が出ます。また過去に「ムカデやハチの毒」を受けたことがある人は、「アナフィラキシーショック」を発症することも。じんましんや呼吸困難、低血圧など致命的なアレルギー症状をきたす場合があるのです。

対してゲジゲジの毒は人にとって無害。昆虫を麻痺させる程度の毒性しかもちません。さらにゲジゲジは温和な気質をもち、ほとんど人に噛みつきません。仮に噛まれてしまっても、血が出る程度で済むでしょう。同じ「ムカデ綱」でも、ムカデとゲジゲジとでは危険度に差があるのです。

違い5.人との関係

ムカデもゲジゲジも「害虫」として、人から嫌われる生き物です。とはいえ両者では「害虫としてのカテゴリー」が違います。まず強い毒をもつムカデは、人に直接的な被害をもたらす「衛生害虫」です。対してほぼ無毒で大人しいゲジゲジは「不快害虫」で、見た目が悪いというだけで忌避されています。

そんなムカデ/ゲジゲジには「益虫」としての側面も。彼らはゴキブリやダニなど、ほかの害虫を捕食してくれるのです。

ゲジゲジやムカデを退治する方法

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ここからは「不快害虫」のゲジゲジや「衛生害虫」のムカデを撃退する方法について徹底解説。侵入の予防から発見時の駆除まで、詳しくお伝えしていきます。さらにムカデに噛まれてしまったときの、「正しい処置」や「間違った処置」についてもみていきましょう!

まずは家への侵入を防ごう

ゲジゲジやムカデはしばしば家の中で見かける害虫。エアコンのダクト周辺や窓のサッシなど「わずかな隙間」から、屋内へと侵入してくるのです。そのためゲジゲジ/ムカデの侵入を防ぐには、家中の隙間を探し出してテープで塞ぐ必要があります。ほかには家の基礎沿いに設置する「ムカデ返し」が有効です。名前通りの返し構造で、ゲジゲジやムカデが物理的にシャットアウトできますよ。

とはいえコストの関係で、「物理的な侵入対策」が取れないこともありますよね。その場合はゲジゲジ/ムカデの餌となる「ゴキブリの駆除」や、彼らが忌避する「樟脳やハーブ精油の散布」が有効です。またゲジゲジやムカデは普段、庭先の落ち葉に潜んでいます。そのため「落ち葉掃除」をすれば、家の敷地から彼らを追い出せますよ。以上さまざまな対策を駆使して、ゲジゲジやムカデの侵入を未然に防ぎましょう。

ムカデの駆除方法

人に実害を与えてくるムカデは、発見次第駆除したいところ。ですがムカデには他の虫に通用する攻撃が効きません。彼らは「潰されても動き続ける生命力」や「殺虫剤への耐性」などを兼ね備えた、しぶとい害虫なのです。そんなムカデに有効なのは「熱湯」または「冷凍スプレー」による攻撃。どちらも有害成分が発生しないので、赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心して使用できます。

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