この記事ではCSRとCSVの違いについてみていきます。どちらも企業の経営の話題などで使う言葉というイメージがあるよな。違いはずばり「企業の利益」に関係しているかどうかということのようですが、SDGsとの関係など調べてみるといろいろな特徴があるみたいです。
今回はそんなビジネス用語の違いを、定義から確認しつつ、言語文化学部卒ライターさやかと一緒に解説していきます。

ライター/さやか

現在、4歳の娘を育てながらライターとして活動中。夫は企業のサステナビリティに関わる職に就いていることもあり、「CSR 」「CSV 」という言葉は日常で耳にしている。自身もエコ、エシカル、ロハスなどに関心がある。

CSRとCSV の違いとは?

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CSRCSV。ビジネスシーンや就職活動などにおいて、よく耳にする重要なワードですよね。しかし、両者の違いについてはっきりと説明できないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、CSRとCSVの違いについて解説していきます。

CSR:企業が義務感を持って社会貢献活動をすること

CSR(Corporate Social Responsibility)は、訳すると「企業の社会的責任」。90年代にサステナビリティ社のジョン・エルキントン氏が提唱したと言われています。

具体的には「企業が義務感を持って慈善活動や社会貢献に取り組むことで、社会的責任を果たす」ことを指しており、基本的には事業の発展や利益追求とは直接関係がないことも多いようです。

CSV:企業が本業として社会問題の解決に取り組むこと

CSV(Creating Shared Value)は、訳すると「共有価値の創造」。アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター博士らが2011年に発表した論文の中で提唱し、広く知られるようになりました。

「共有価値」とは「『経済的価値』『社会的価値』両立」です。この「経済的価値」とは「利益の獲得」を指し、「社会的価値」とは「社会的な問題の解決により社会が享受できる価値」を指します。

つまり、これらを「共有する」とは「企業が本業として社会問題の解決に取り組み利益を獲得することでより良い社会を実現する」ということ。そして、これを「創造する」とは「この仕組みを作り企業価値を上げ持続可能な経営を目指すこと」を意味します。

【CSR】
1.目的:企業としての社会的な責任を果たし、顧客・株主と良い関係を保つこと
2.本業との関連性:やや関係することもあれば、全く関係ないこともある
3.社会貢献の効果・影響:本業ではないので、あまり高くはない

【CSV】
1.目的:社会問題を解決しながら自社の利益を確保し、持続可能な経営を目指すこと
2.本業との関連性:本業が社会貢献と直接繋がっているため、深く関係する
3.社会貢献の効果・影響:高い。大きな効果を生みやすい

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CSV経営は一石二鳥の経営戦略!もう少し詳しく解説

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CSR・CSV共に、企業が社会に及ぼす影響を考慮して経営をする姿勢を指した言葉ですが、特にCSVは本業を社会貢献そのものとするという考え方であることがわかりました。この、CSVを意識した経営をしているかどうかということも、近年では投資家や就活生にとっては大きな指標となってきています。

ここからは、この「CSV 」についてもう少し詳しく見ていきましょう。

1.社会問題の解決に大きく貢献でき、効果を期待できる

CSV経営を提唱したポーター博士らも「寄付や慈善活動だけでは、根底からの社会問題解決まで結びつきにくい」と考えていました。企業が社会貢献や社会問題の解決自体を本業として、主体性を持って取り組む方がより高い効果を期待できることは明らかです。

2.企業価値を高めることができる

ポーター博士らは、「社会価値と同時に自社の利益も生み出し企業価値を高めることが企業の本来あるべき姿」とも述べました。

具体的には、「社会価値」とは個人・企業などが社会貢献をすることで社会が受けられる価値のことであり、企業価値とは社会における企業そのものの存在価値のことです。「エシカル消費」などといった言葉もありますが、そのような製品やサービスを提供することで、社会にとって有益な企業として社会的な信用を高めることもできます。

このように、社会貢献と利益の確保が同時に生み出されていくサイクルを意図的に作ることが、これからの企業にとって重要な戦略と言えるでしょう。

3.サステナブルな経営を実現できる

前述した健全なサイクルのもとで活動を続ける企業は社会からも必要とされ結果的に持続可能な経営ができるようになっていく可能性が高まります。

ただし課題としては、1社のみで実践できることには限りがあるということです。企業がCSV 経営を本格化させるためには、良い意味で戦略的に社会全体を巻き込み、関係者全員がWin-Winとなるように事業活動を進める力が必要になります。

SDGsとの関係性は?

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CSRとCSV、これらはSDGs と切っても切れない関係にあると言えるでしょう。ここからは、SDGs について定義などを確認していきます。

SDGs:持続可能な開発目標

「SDGs」は「Sustainable Development Goals」の略です。これは、2015年に国連総会で採択された「我々の世界を変革する 持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の中に登場する「17の目標と169のターゲット」という文言がこれにあたります。

SDGsの内容は、今の社会における「世界で取り組むべき問題への目標」や「持続可能な社会の実現に向けて、人類と地球にとっての重要な課題に対する行動指針」などを示しているものです。

社会課題の解決を重視する流れは、今後の企業の事業戦略にも大きな影響があると感じる企業が増え、SDGsの内容と自社の事業を結びつける企業が増えた影響もあり、CSVの概念も浸透したと考えられます。

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CSR とCSVの違い は「企業の利益の追求」の視点の有無

CSR とCSV の違いは、その社会貢献が企業の利益に繋がるものなのかどうかという点だと言えます。いま、社会課題の解決につながらない経営のあり方は、投資家などはもちろん、一般社会に生きる人々にとっても歓迎されない世の中になってきました。

私たち1人1人が、CSR・CSVに取り組む企業を積極的に応援するようになっていけば、より良い未来に繋がっていくのではないでしょうか。

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雑学

3分でわかる!CSRとCSVの違いとは?SDGsとの関係も言語文化学科卒ライターが簡単にわかりやすく解説!

CSV経営は一石二鳥の経営戦略!もう少し詳しく解説

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CSR・CSV共に、企業が社会に及ぼす影響を考慮して経営をする姿勢を指した言葉ですが、特にCSVは本業を社会貢献そのものとするという考え方であることがわかりました。この、CSVを意識した経営をしているかどうかということも、近年では投資家や就活生にとっては大きな指標となってきています。

ここからは、この「CSV 」についてもう少し詳しく見ていきましょう。

1.社会問題の解決に大きく貢献でき、効果を期待できる

CSV経営を提唱したポーター博士らも「寄付や慈善活動だけでは、根底からの社会問題解決まで結びつきにくい」と考えていました。企業が社会貢献や社会問題の解決自体を本業として、主体性を持って取り組む方がより高い効果を期待できることは明らかです。

2.企業価値を高めることができる

ポーター博士らは、「社会価値と同時に自社の利益も生み出し企業価値を高めることが企業の本来あるべき姿」とも述べました。

具体的には、「社会価値」とは個人・企業などが社会貢献をすることで社会が受けられる価値のことであり、企業価値とは社会における企業そのものの存在価値のことです。「エシカル消費」などといった言葉もありますが、そのような製品やサービスを提供することで、社会にとって有益な企業として社会的な信用を高めることもできます。

このように、社会貢献と利益の確保が同時に生み出されていくサイクルを意図的に作ることが、これからの企業にとって重要な戦略と言えるでしょう。

3.サステナブルな経営を実現できる

前述した健全なサイクルのもとで活動を続ける企業は社会からも必要とされ結果的に持続可能な経営ができるようになっていく可能性が高まります。

ただし課題としては、1社のみで実践できることには限りがあるということです。企業がCSV 経営を本格化させるためには、良い意味で戦略的に社会全体を巻き込み、関係者全員がWin-Winとなるように事業活動を進める力が必要になります。

SDGsとの関係性は?

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CSRとCSV、これらはSDGs と切っても切れない関係にあると言えるでしょう。ここからは、SDGs について定義などを確認していきます。

SDGs:持続可能な開発目標

「SDGs」は「Sustainable Development Goals」の略です。これは、2015年に国連総会で採択された「我々の世界を変革する 持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の中に登場する「17の目標と169のターゲット」という文言がこれにあたります。

SDGsの内容は、今の社会における「世界で取り組むべき問題への目標」や「持続可能な社会の実現に向けて、人類と地球にとっての重要な課題に対する行動指針」などを示しているものです。

社会課題の解決を重視する流れは、今後の企業の事業戦略にも大きな影響があると感じる企業が増え、SDGsの内容と自社の事業を結びつける企業が増えた影響もあり、CSVの概念も浸透したと考えられます。

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