今回は「配電盤」と「分電盤」の違いがテーマです。分電盤の方は一般家庭から大規模施設までどこでも設置されているが、配電盤は大規模施設の管理を担当している人でないとあまり馴染みがないかも知れない。
両者は違うものですが密接な関係にあり、これらがうまく作動しないと施設が機能しなくなったりするんです。それぞれの特徴と管理上の注意点などを、雑学好きライターのねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

配電盤と分電盤の違いをざっくり解説

最初に、配電盤と分電盤の違いをざっくり解説しましょう。配電盤は高圧の電力を「変圧」して分電盤に送り込む装置で、一方の分電盤はそうして配電盤から送られた電気を施設内に分配するという役割を負っています。両者は電気設備や電化製品を使用する上で欠かせない存在であり、それぞれ異なる役割を果たしていることが分かるでしょう。

配電盤:電気を分電盤へ送る

配電盤には、発電所から送られてきた高圧の電気を「一時配電」として一度受け取り、その電気を施設内で使えるように低い電圧に変えた上で(変圧)、分電盤へ送り込むのが主な役割です。

配電盤には配電・計測・保護装置も内蔵されており、それぞれ重要や役割を担っています。もしこれらの装置がなかったら、発電所から送られてきた高圧の電気がうまく変換・供給されず、施設内の電気設備や電化製品が使用できなくなるでしょう。

つまり配電盤は、電力の安定供給と、施設内の電気設備および電化製品などを使用するためには欠かせない存在なのです。

分電盤:電気を分配する

一方、発電所や配電盤から供給されてきた電気を、建物や施設内のモーター・コンセント・証明などの各機器へと分配する役割を負っているのが分電盤です。

工場や学校、ビルに大規模商業施設などの規模が大きい施設はもちろん、一般家庭でも、分電盤による電力の分配が行われています。そのおかげで、私たちは生活でも仕事でも電気設備や家電製品などを使えていると言えるでしょう。

この電気は、低電圧であれば発電所から直接送られてきますが、高電圧の場合は一度配電盤を通すことになります。つまり高電圧の電力は、まず配電盤を経由し、次に分電盤を通るという順序で各機器に分配されるのです。

配電盤と分電盤が使われる施設の違いは?

前項までで、配電盤と分電盤がそれぞれどのような機能を果たしているのかを見てきました。次に、配電盤と分電盤の使われる施設の違いを説明しましょう。

先にざっくり解説しておくと、配電盤は主に工場・学校・ビルなどの大規模施設に設置されます。一方、考え得るあらゆる施設や一般家庭まで設置されており、その内部で電気を分配する役割を負っているのが分電盤です。このような違いがあるのはなぜなのでしょうか。

配電盤:ビルや工場などの大きな施設

image by iStockphoto

先に説明した通り、配電盤は、主に工場や学校・ビルなどの規模の大きな施設で、発電所から送られてくる高圧の電気を受けるための設備です。この高圧の電気を、施設内の設備で使用可能なレベルの電圧へと変換し、幹線を通して分電盤へと送ります。

よって、そのような高電圧の電力を必要としない一般家庭では、基本的に配電盤が設置されることはありません。大規模施設で配電盤が必要なのはこうした理由からです。

大規模施設では、電力会社と高圧受電契約を交わすのが一般的なので配電盤が必要になるでしょう。しかし一般家庭の大部分は低圧受電契約なので配電盤は不要です。

分電盤:ほぼ全ての施設

一方の分電盤は、工場や学校、ビルなどの大規模施設から、戸建ておよびマンションなどの一般家庭に至るまで、ほぼすべての建物・施設に設置されています。

前項でも説明した通り、大規模施設には発電所から高電圧の電気が送られてくるため、そのままでは使えず一度配電盤を経由しなければなりません。しかし一般家庭に供給される電力は電圧が低いので、そのまま分電盤が各設備や電化製品に電気を分配してくれるのです。

\次のページで「配電盤と分電盤の設置場所の違いは?」を解説!/

配電盤と分電盤の設置場所の違いは?

前項までで、配電盤と分電盤の特徴およびその機能、そしてそれぞれどのような施設で利用されているのかを見てきました。分電盤は基本的にどのような施設や建物にもありますが、配電盤は特に大規模な施設に限って設置されていることが分かったでしょう。

次に、配電盤と分電盤の設置場所の違いを見ていきます。配電盤は一般の人が入れない場所に配置され、分電盤は屋内の目立たない場所に設置されるという違いがありますが、例えば具体的にどのような場所が挙げられるでしょうか。

配電盤:一般人は入れない場所

先述の通り、配電盤が使われるのは、主に工場やビル、学校などの規模が大きな施設に限られます。そうした施設は必要とする電力も大きく、発電所から供給される電気もとても電圧が高いです。よって、配電盤はそのような高圧電流を受け止めなければならず、誰でも気軽に触れられるような場所には設置されません。

もちろん完全に人が触れられなくなるわけではなく、施設内からアクセスできるようには配置されますが、一般の人が入り込めないように制限されていることがほとんどでしょう。

分電盤:屋内の目立たない場所

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一方の分電盤は、建物や住宅内部の電気設備の配置・構造によって設置場所も異なりますが、屋内のあまり目立たない場所に取り付けられるのが一般的でしょう。配電盤の場合は、一般の人が入れないような特別な部屋を設けることが珍しくありませんが、分電盤の場合はそこまではしません。

具体的な設置場所としては、屋外の壁面や地下室、階段、クローゼットの中などが挙げられるでしょう。目立たない場所が多いのは、室内の美観を損なわないためでもありますが、外部からの衝撃や影響を受けにくくするためでもあります。

配電盤と分電盤の中身の違いは?

次は配電盤と分電盤の中身の違いを見ていきましょう。配電盤にはメーターや遮断機が収められており、分電盤には引き込み線や分岐開閉器があるという違いがあります。これらの違いは、前述の通り配電盤と分電盤のそれぞれの役割に由来すると言えるでしょう。

配電盤:メーターや遮断器

配電盤には、電気の監視や制御に必要なメーターといった機器や、電気回路に故障が起きたり異常が発生した際に、電流を遮断するブレーカーやヒューズといった遮断器などが収められています。先述の通り、配電盤は高圧受電設備から送られてくる高圧の電気を受けるための設備なので、金属製のキャビネットなどに設置されるのが一般的です。

分電盤:引き込み線や分岐開閉器

分電盤の内部には、引き込み線や、配電盤から電気が入ってくる幹線と分岐開閉器が配置されています。ブレーカーや漏電遮断器、照明のスイッチなどのスイッチユニットもありますが、これらの配置場所は基本的に分岐開閉器の次なのが一般的です。

分電盤は、樹脂や金属のキャビネットの中に必要な機器が収納されている事が多く、壁面に据え付けたり、埋め込まれたりしています。

\次のページで「配電盤と分電盤の故障パターンの違いは?」を解説!/

配電盤と分電盤の故障パターンの違いは?

次に、配電盤と分電盤が故障するパターンの違いを見ていきましょう。配電盤は、金属片の侵入や器具の故障が原因で設備が使用不能になる可能性がありますが、分電盤もまた、発熱やショートによる停電、火災の危険があります。よって細心の注意を払って管理しなければなりません。

配電盤:設備が使用不能になる

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配電盤が故障するパターンとしては、金属片が入り込んで活電部でショート・破損する場合や、器具の故障やコードの損傷、あるいはヒューズ切れなどの場合が挙げられます。

これらの理由で配電盤が故障すると、高圧受電設備から送られてくる電気が適切に変換されません。よって、施設内の設備が使用できなくなる可能性があります。また、配電盤の内部にある機器に故障が起きれば、電気回路が故障したり過電流が流れたりするなどの異常が起きたときに、正常に電流を遮断できなくなる事も考えられるでしょう。

分電盤:発熱・ショートによる停電など

分電盤が故障するパターンとしては、異物や水滴が入り込むことで、漏電や過負荷による発熱が生じる場合などが挙げられます。こうなると短絡が発生し、施設の停電をはじめ火災などの重大な事故につながることがあるので注意が必要です。

分電盤が故障する具体的な事例としては、天井から水が染み出して、その水が電線を伝って分電盤内部へ浸入したというケースが挙げられます。これにより導電部で短絡が発生し、停電だけで済めばいいのですが、発火してしまう可能性も否定できません。

また、綿埃が大量に分電盤の内外に付着している場合も、安全性の面で問題があると言えるでしょう。こうした事態を防ぐためにも、分電盤の内部へ水が入り込むのを防ぎながら、定期的に清掃を行うことが大切です。

配電盤を経由した電力を分電盤が各所へ送る

配電盤と分電盤は電力の流れを制御し、施設内の電力供給を確保する重要な役割を担っています。まず、発電所からの高圧電気を受け取って低電圧に変換し、分電盤へと送り込むのが配電盤の役目です。

基本的に分電盤は、送られてきた電気を施設内の機器に分配し、ビルや学校・一般家庭などで電気設備や家電製品が適切に使えるようにしますが、送られてきた電気が高電圧の場合はいったん配電盤を経由して分電盤に電力が送られることになります。

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雑学

簡単でわかりやすい!配電盤と分電盤の違いとは?設置場所や内部構造・故障時の症状も雑学好きライターが解説

今回は「配電盤」と「分電盤」の違いがテーマです。分電盤の方は一般家庭から大規模施設までどこでも設置されているが、配電盤は大規模施設の管理を担当している人でないとあまり馴染みがないかも知れない。
両者は違うものですが密接な関係にあり、これらがうまく作動しないと施設が機能しなくなったりするんです。それぞれの特徴と管理上の注意点などを、雑学好きライターのねぼけねこと一緒に解説していきます。

ライター/ねぼけねこ

法学部出身。某大組織での文書作成・広報部門での業務に10年以上従事し、IT・プログラミング分野の歴史にも詳しい。

配電盤と分電盤の違いをざっくり解説

最初に、配電盤と分電盤の違いをざっくり解説しましょう。配電盤は高圧の電力を「変圧」して分電盤に送り込む装置で、一方の分電盤はそうして配電盤から送られた電気を施設内に分配するという役割を負っています。両者は電気設備や電化製品を使用する上で欠かせない存在であり、それぞれ異なる役割を果たしていることが分かるでしょう。

配電盤:電気を分電盤へ送る

配電盤には、発電所から送られてきた高圧の電気を「一時配電」として一度受け取り、その電気を施設内で使えるように低い電圧に変えた上で(変圧)、分電盤へ送り込むのが主な役割です。

配電盤には配電・計測・保護装置も内蔵されており、それぞれ重要や役割を担っています。もしこれらの装置がなかったら、発電所から送られてきた高圧の電気がうまく変換・供給されず、施設内の電気設備や電化製品が使用できなくなるでしょう。

つまり配電盤は、電力の安定供給と、施設内の電気設備および電化製品などを使用するためには欠かせない存在なのです。

分電盤:電気を分配する

一方、発電所や配電盤から供給されてきた電気を、建物や施設内のモーター・コンセント・証明などの各機器へと分配する役割を負っているのが分電盤です。

工場や学校、ビルに大規模商業施設などの規模が大きい施設はもちろん、一般家庭でも、分電盤による電力の分配が行われています。そのおかげで、私たちは生活でも仕事でも電気設備や家電製品などを使えていると言えるでしょう。

この電気は、低電圧であれば発電所から直接送られてきますが、高電圧の場合は一度配電盤を通すことになります。つまり高電圧の電力は、まず配電盤を経由し、次に分電盤を通るという順序で各機器に分配されるのです。

配電盤と分電盤が使われる施設の違いは?

前項までで、配電盤と分電盤がそれぞれどのような機能を果たしているのかを見てきました。次に、配電盤と分電盤の使われる施設の違いを説明しましょう。

先にざっくり解説しておくと、配電盤は主に工場・学校・ビルなどの大規模施設に設置されます。一方、考え得るあらゆる施設や一般家庭まで設置されており、その内部で電気を分配する役割を負っているのが分電盤です。このような違いがあるのはなぜなのでしょうか。

配電盤:ビルや工場などの大きな施設

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先に説明した通り、配電盤は、主に工場や学校・ビルなどの規模の大きな施設で、発電所から送られてくる高圧の電気を受けるための設備です。この高圧の電気を、施設内の設備で使用可能なレベルの電圧へと変換し、幹線を通して分電盤へと送ります。

よって、そのような高電圧の電力を必要としない一般家庭では、基本的に配電盤が設置されることはありません。大規模施設で配電盤が必要なのはこうした理由からです。

大規模施設では、電力会社と高圧受電契約を交わすのが一般的なので配電盤が必要になるでしょう。しかし一般家庭の大部分は低圧受電契約なので配電盤は不要です。

分電盤:ほぼ全ての施設

一方の分電盤は、工場や学校、ビルなどの大規模施設から、戸建ておよびマンションなどの一般家庭に至るまで、ほぼすべての建物・施設に設置されています。

前項でも説明した通り、大規模施設には発電所から高電圧の電気が送られてくるため、そのままでは使えず一度配電盤を経由しなければなりません。しかし一般家庭に供給される電力は電圧が低いので、そのまま分電盤が各設備や電化製品に電気を分配してくれるのです。

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