この記事では「嫁」と「妻」の違いを見ていきます。みんなは第三者と話すときに自分の配偶者のことを何と呼んでいるでしょうか。男性諸君は「嫁」「妻」「家内」「奥さん」「女房」などでしょうか。女性なら「婿」「夫」「主人」「亭主」「旦那」などかな。「嫁」と「妻」の違いだけでなく、配偶者の呼び方の由来なども含めて元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「嫁」と「妻」の違い

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既婚男性の皆さんは、他の人と話すときに自分の配偶者のことを何と呼んでいますか。「嫁」、「妻」、もしくはそれ以外の呼び方でしょうか。どのように呼ぼうと自身の配偶者のことだということは相手に伝わるでしょうが、本来に意味を考えるとおかしいことに気づきます。まずは、「嫁」と「妻」の違いを確認していきましょう。

「嫁」:息子の配偶者

「嫁」は息子の配偶者(妻)という意味です。日本ではまだ結婚は個人同士のものであると同時に家同士がつながるという意味合いがありますよね。夫の両親の立場から見て、息子と結婚する女性のことを「嫁」と呼んでいます。

そう考えると、夫が「うちの嫁が…」や「(友達に対して)こいつの嫁が…」という言い方は本来おかしいことになるわけです。夫が「うちの嫁が…」と言ってしまうと、自分の息子の妻のことを指していることとなってしまいますね。とは言え、昔から結婚したばかりの女性を「お嫁さん」と呼んでいたこともあり、使う相手を考えれば差し支えないでしょう。

ちなみに、「嫁」の対義語は「婿」ですので、当然「婿」は娘の配偶者(夫)という意味で、妻の両親が使う言葉ですね。

「妻」:自分の配偶者

「妻」は自分の配偶者を指して使う言葉です。つまり「妻」が、本来、他の人に自分の配偶者のことを伝えるときに使う言葉ということ。2022年のある調査では、男性が自分の配偶者を何と呼んでいるか、という問いに対して、「嫁」と答えた人が最も多かったとのことですが、「嫁」の正確な意味から考えると間違っているということですね。友人同士なら「嫁」と呼んでも差し支えないでしょうが、会社など公的な場面では「妻」を使うのが無難でしょう。

ちなみに、「夫妻」という熟語がある通り、「妻」の反意語は「夫」となり、女性が自分の配偶者のことを指す言葉ということですね。

配偶者の他の呼び方

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「嫁」と「妻」、「婿」と「夫」以外にも配偶者の呼び方はいろいろありますよね。次はそれぞれの本来の意味などを確認しながら見ていきましょう。どの呼び方を使うのか、皆さんの参考になると嬉しいですね。

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1. 「奥さん」と「旦那さん」

「奥さん」は「奥様」の少し砕けた言い方。武家などの広い屋敷の少し奥まったところを「奥」と呼んでいたことに由来する言葉です。武家社会などでは、女性が人前に出ることが少なかったので「奥方」「奥様」などと呼んでいました。その由来から「奥さん」は、他人の妻を指して使う言葉ですので、自分の妻を「奥さん」と呼ぶのはおかしいですよね。

「旦那」の語源は「施し・布施」という意味のサンスクリット語の「ダーナ」。時代劇などでお金や物をくれる人を「旦那」と呼んでいますよね。そこから転じて、家族の中でお金をくれる家長(妻の立場からすると夫)のことを「旦那」と呼ぶようになったのですね。

「旦那」も本来の意味から見て、他人の夫を指して使う言葉ですので、自分の夫を「旦那」と呼ぶのはやはりおかしいということになります。しかし、「奥さん」も「旦那」も親しい間柄であれば使っても差し支えはありません。

2. 「家内」と「主人」

「家内(かない)」は明治以降、男性が外(会社)に行き、女性が専業主婦として家を守るようになりました。そのため、外で働く夫にとって妻は「家の中にいる人」ということで、妻を「家内」と呼ぶようになったのです。

夫を「主人」と呼ぶのは「一家の主(あるじ)」に由来しています。が、「主人」には様々な意味がありますよね。店の主、自分が仕える人(雇い主)など。家長制度などの影響もあり、「主人」は上下関係を含んだ言葉と言えます。

最近では共働きの夫婦も多くなっていますし、夫婦間の上下関係もありませんので、もしかすると「主人」「家内」という呼び方は、時代にはそぐわなくなっているかもしれません。

3. 「女房」と「亭主」

「女房」はそもそも「妻」を表す言葉ではありませんでした。宮中で働く女性使用人の部屋を「女房」と呼んでいて、それが転じて女性使用人のことを「女房」と呼ぶようになりました。皆さんも知っている紫式部も天皇の后の女房(使用人)だったのですよ。

江戸時代になり、武士が目上の人に対して自分の妻を紹介するときに、「身の回りの世話をしてくれる人」ということで使ったのが広まったと言われています。「女房」は使用人、家政婦のニュアンスがあるせいでしょうか、最近ではあまり使われないようです。

「亭主」は「屋敷や店の主」という意味が語源。夫という意味で使われるようになったのは江戸中期以降のようです。基本的には自分の夫に対して使う言葉で、他人の夫に使う言葉ではありませんし、親しい間柄で使う程度にとどめておくのが無難でしょう。

4. 「かみさん」

妻の呼び方として「かみさん」ということもありますね。もともとは目上の人を指す「上様」からきており、商人や職人の妻、店の女主人を「おかみさん」と呼んでいたことに由来するようです。これも親しい間柄で使えますが、目上の人には使わないほうがよいでしょう。

「嫁」と「妻」は誰が呼ぶかの違い

男性の配偶者を「嫁」と呼ぶか、「妻」と呼ぶか、それは誰が呼ぶのかの違いです。「嫁」は息子の配偶者(妻)なので、夫の両親が呼ぶときの言い方「妻」は自分の配偶者という意味なので、夫が自分の配偶者を呼ぶときの言い方となります。他にも夫婦間でお互いをどう呼ぶのか、いろいろな言い方がありますが、話し相手との関係を考慮しながら使い分けるといいでしょう。

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簡単で分かりやすい「嫁」と「妻」の違い!誰が呼ぶかがポイント?配偶者の呼び方の由来も元塾講師が詳しく解説!

この記事では「嫁」と「妻」の違いを見ていきます。みんなは第三者と話すときに自分の配偶者のことを何と呼んでいるでしょうか。男性諸君は「嫁」「妻」「家内」「奥さん」「女房」などでしょうか。女性なら「婿」「夫」「主人」「亭主」「旦那」などかな。「嫁」と「妻」の違いだけでなく、配偶者の呼び方の由来なども含めて元塾講師のyêuthuquáと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/yêuthuquá

海外在住。現在の仕事を始める前は教育関係の仕事に従事。国内外を問わず身につけた知識や経験をもとにわかりやすくお届けする。

「嫁」と「妻」の違い

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既婚男性の皆さんは、他の人と話すときに自分の配偶者のことを何と呼んでいますか。「嫁」、「妻」、もしくはそれ以外の呼び方でしょうか。どのように呼ぼうと自身の配偶者のことだということは相手に伝わるでしょうが、本来に意味を考えるとおかしいことに気づきます。まずは、「嫁」と「妻」の違いを確認していきましょう。

「嫁」:息子の配偶者

「嫁」は息子の配偶者(妻)という意味です。日本ではまだ結婚は個人同士のものであると同時に家同士がつながるという意味合いがありますよね。夫の両親の立場から見て、息子と結婚する女性のことを「嫁」と呼んでいます。

そう考えると、夫が「うちの嫁が…」や「(友達に対して)こいつの嫁が…」という言い方は本来おかしいことになるわけです。夫が「うちの嫁が…」と言ってしまうと、自分の息子の妻のことを指していることとなってしまいますね。とは言え、昔から結婚したばかりの女性を「お嫁さん」と呼んでいたこともあり、使う相手を考えれば差し支えないでしょう。

ちなみに、「嫁」の対義語は「婿」ですので、当然「婿」は娘の配偶者(夫)という意味で、妻の両親が使う言葉ですね。

「妻」:自分の配偶者

「妻」は自分の配偶者を指して使う言葉です。つまり「妻」が、本来、他の人に自分の配偶者のことを伝えるときに使う言葉ということ。2022年のある調査では、男性が自分の配偶者を何と呼んでいるか、という問いに対して、「嫁」と答えた人が最も多かったとのことですが、「嫁」の正確な意味から考えると間違っているということですね。友人同士なら「嫁」と呼んでも差し支えないでしょうが、会社など公的な場面では「妻」を使うのが無難でしょう。

ちなみに、「夫妻」という熟語がある通り、「妻」の反意語は「夫」となり、女性が自分の配偶者のことを指す言葉ということですね。

配偶者の他の呼び方

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「嫁」と「妻」、「婿」と「夫」以外にも配偶者の呼び方はいろいろありますよね。次はそれぞれの本来の意味などを確認しながら見ていきましょう。どの呼び方を使うのか、皆さんの参考になると嬉しいですね。

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