この記事では「脅迫」と「強迫」の違いについてみていきます。どちらも、他人をおどす行為を指す言葉ですが、何となくの意味は知っていても、その違いは何かと問われると答えに困る人も少なくないでしょう。そこで今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

脅迫と強迫のざっくりした違い

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まずは「脅迫」「強迫」のざっくりした違いについて説明しましょう。「脅迫」「強迫」は、どちらも何らかの行為をさせるために、危害を加えるとおどす行為を意味し、正直、意味の上では大きな違いは無いと言えるでしょう。

ただし、やはり細かいニュアンスの違いなどはあるので、「脅迫」「強迫」では使われる場面などに違いがあるのです。例えば、法律の分野においては、刑法では「脅迫」民法、商法などでは「強迫」の方が使われます。

脅迫と強迫の漢字を説明

さきほど、「脅迫」と「強迫」はどちらも他人をおどすことを言い、大きな意味の違いはないものの、法律の分野においては、刑法では「脅迫」民法、商法などでは「強迫」が使われるという違いがあることを説明しました。ここからは、それらの違いについて理解を深めるため、それぞれに使われている漢字に着目して説明していきたいと思います。

「迫」は音を立てて「せまってくる」様子

まずは「脅迫」「強迫」の両方に使われる「迫」という字について説明しましょう。「迫」の右側には「白」がありますが、色の「シロ」とは関係ありません。

では何をあらわしてるかというと、「拍手」の「拍」にも使われているように、これらの「白」は音を立てることを意味していると考えられているのです。ですから、「迫」という字は、道を後ろから音をたてて「せまってくる」様子をあらわしていると考えられています。

「脅」は脇に力を入れる様子

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つぎは「脅」という字について説明しましょう。上にのっている「劦」については、それぞれの「力」は「力の入っている手」を意味し、それが三つあることで、りきんだ手を左右から力で挟んでいる様子をあらわしていると考えられています。

そして下にある「月」は肉、つまり身体をあらわし、このような「劦」と「月」を組み合わせた「脅」は、両ワキに力を入れる様子をあらわしていると考えられているのです。

ですから「脅」という字は「ワキ」や、恐怖で「ワキに力が入る様子」、つまり「おびえる」ことをあらわしていました。それがやがて日本では、身体の一部である「ワキ」のことを同じく「劦」と「月」を組み合わせた「脇」と書き、「脅」は「おびえる」や「おどす」ことに使うようになったのです。ですから、「脅」を使っている「脅迫」は「相手をおどす」ニュアンスが強く、だからこそ、刑法では「脅迫」の方が使われているのかもしれません。

\次のページで「「強」は虫の殻の固さ」を解説!/

「強」は虫の殻の固さ

今度は「強」という字の成り立ちを説明しましょう。「強」という字は、実はもともと「コウゾクムシ」という虫を表す字で、その虫の殻が固いことから「つよい」という意味になったのではないかなどと考えられています。そこからやがて、「強(し)いる」「強制」など、相手の意思や考えを無視して何かを無理にやらせるときにも使われるようになりました。

ですから、「強」という字を使った「強迫」は、「無理強いすることによって相手が自由に考えることを妨害する」というニュアンスが強く、だからこそ、民法、商法などでは「強迫」の方が使われるのかもしれません。

新聞では「脅迫」が使われる

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さきほど、「脅迫」「相手をおどす」ニュアンスが、「強迫」「無理強いすることによって、相手が自由に考えることを妨害する」ニュアンスが強いと説明しましたが、その違いはわずかなもので、厳密に使い分けることは非常に困難です。

ですから、新聞では「強迫観念」のような、一つの単語の中で使われているなど特殊なケースを除き、「きょうはく」に関しては基本的に「脅迫」の方を使うように統一されているといいます。

脅迫と強迫は大きな意味の違いは無い!

今回の説明で、刑法では「脅迫」民法商法などでは「強迫」が使われるといった違いや、「脅迫」「相手をおどす」ニュアンスが、「強迫」「無理強いすることによって、相手が自由に考えることを妨害する」ニュアンスが強いというわずかな違いについてわかっていただけたかと思います。

とはいえ、さきほども言ったように、「脅迫」「強迫」の意味の差というのは本当にわずかなものなので、日常を過ごす上ではそこまで思いつめる必要はないでしょう。

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雑学

簡単でわかりやすい!脅迫と強迫の違いとは?新聞ではどちらが使われる?現役塾講師がわかりやすく解説

この記事では「脅迫」と「強迫」の違いについてみていきます。どちらも、他人をおどす行為を指す言葉ですが、何となくの意味は知っていても、その違いは何かと問われると答えに困る人も少なくないでしょう。そこで今回はその違いについて、国語の講師でもある空野キノコと一緒に解説していきます。

ライター/空野きのこ

大学在学中から文学・国文法や教育について本格的に学び、現在は小中学生に勉強を教えている講師。その知識と経験を活かし、言葉の雑学を中心に分かりやすく解説していく。

脅迫と強迫のざっくりした違い

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まずは「脅迫」「強迫」のざっくりした違いについて説明しましょう。「脅迫」「強迫」は、どちらも何らかの行為をさせるために、危害を加えるとおどす行為を意味し、正直、意味の上では大きな違いは無いと言えるでしょう。

ただし、やはり細かいニュアンスの違いなどはあるので、「脅迫」「強迫」では使われる場面などに違いがあるのです。例えば、法律の分野においては、刑法では「脅迫」民法、商法などでは「強迫」の方が使われます。

脅迫と強迫の漢字を説明

さきほど、「脅迫」と「強迫」はどちらも他人をおどすことを言い、大きな意味の違いはないものの、法律の分野においては、刑法では「脅迫」民法、商法などでは「強迫」が使われるという違いがあることを説明しました。ここからは、それらの違いについて理解を深めるため、それぞれに使われている漢字に着目して説明していきたいと思います。

「迫」は音を立てて「せまってくる」様子

まずは「脅迫」「強迫」の両方に使われる「迫」という字について説明しましょう。「迫」の右側には「白」がありますが、色の「シロ」とは関係ありません。

では何をあらわしてるかというと、「拍手」の「拍」にも使われているように、これらの「白」は音を立てることを意味していると考えられているのです。ですから、「迫」という字は、道を後ろから音をたてて「せまってくる」様子をあらわしていると考えられています。

「脅」は脇に力を入れる様子

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つぎは「脅」という字について説明しましょう。上にのっている「劦」については、それぞれの「力」は「力の入っている手」を意味し、それが三つあることで、りきんだ手を左右から力で挟んでいる様子をあらわしていると考えられています。

そして下にある「月」は肉、つまり身体をあらわし、このような「劦」と「月」を組み合わせた「脅」は、両ワキに力を入れる様子をあらわしていると考えられているのです。

ですから「脅」という字は「ワキ」や、恐怖で「ワキに力が入る様子」、つまり「おびえる」ことをあらわしていました。それがやがて日本では、身体の一部である「ワキ」のことを同じく「劦」と「月」を組み合わせた「脇」と書き、「脅」は「おびえる」や「おどす」ことに使うようになったのです。ですから、「脅」を使っている「脅迫」は「相手をおどす」ニュアンスが強く、だからこそ、刑法では「脅迫」の方が使われているのかもしれません。

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